313系近郊型直流電車

登録日:2025/01/31 Fri 12:15:01
更新日:2025/06/01 Sun 21:34:36
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313系とは、JR東海の直流近郊型電車である。


概要

電化区間の在来線各線で使用していた普通列車用車両、具体的には国鉄形の113系・115系・103系・117系・123系・165系と6形式の置き換えを目的に導入された。

先に登場していた特急形の373系をベースとしているが、導入された路線が平野部から山間部と多岐にわたり、また導入期間が15年に及んだ事もあり、投入線区に応じた仕様変更がなされている。

本形式の導入にともないJR東海は非回生ブレーキの電車が全廃され、2023年まではJR東海の在来線電化区間全線で運用されていた。

後述する8000番台を除き基本デザインは全て同じである為、「先頭が白くて丸っこいよく走ってるJR東海の在来線電車」といえば、なんとなくわかる沿線住民の方も多いのではないだろうか?


車両解説

ここでは共通項目と大まかな分類について解説する。

片側3扉、ビード付きのステンレス車体で、前面はパノラミックウィンドの貫通形である。
塗装は8000番台を除いてJR東海のコーポレートカラーであるオレンジ帯、前面は白で統一されている。
前面の白さから、当時ブレイクしていた美容研究家になぞらえ「その子」の通称がついた。
また、前面部のステップがしゃくれアゴを連想させる点から「猪木」なるあだ名もあったり。

側窓サイズは全て同じだが、転換クロスシート車は5枚、セミクロス・ロングシート車は4枚、8000番台は3枚に分割される。
内装には廃タイヤを使った床材が敷かれており、静粛性が高いのも特徴。

211系・213系・311系・315系とも併結可能で、実際そのような運用も多数見られる。

製造時期によって前期型・中後期型の二形態に大別される。
主な違いは以下の3つ。
  • ヘッドライトが初期型はハロゲンランプ、中後期型はHIDランプ(窓下)とLED(窓上)を使用。
  • 行先表示が前期型は幕式、中後期型はフルカラーLED。
  • 中後期型ではトイレの大型化が実施され、これに伴い対面座席は廃止された。

次車別解説

それではここから詳細を解説してゆこう。

前期型(1・2次車)

113系・165系・103系置き換えのため、1999年~2001年に導入されたグループ。
  • 0・300番台
東海道線に導入された転換クロスシート(車端部と乗降扉隣は固定)の編成で、4両が0番台、2両編成が300番台を名乗る。
  • 1000・1500番台
中央線関西線に導入された編成で、内装は転換クロスシートだが車端部はロングシートとなる。
4両編成が1000番台、3両編成は1500番台を名乗る。
  • 3000番台
関西線・身延線御殿場線中央線(中津川~塩尻間)用に導入された。
ワンマン運転に対応しており、車内はセミクロスシート。2両編成のみ存在する。
なお、中央線用の車両は後に飯田線119系を置き換える形で転属している。
  • 8000番台
中央線のライナー列車「銭取られるセントラルライナー」専用編成で、3両編成のみ存在する。
塗装が一般型と大きく異なり、オレンジと黒を大胆に配したグラフィックが特徴。
車内は簡易的なデッキが装備され、窓には横引きカーテン、車端部は大型固定式のテーブルまでついている豪華仕様。
転換クロスシートのクッションも0・300番台より肉厚で座り心地が良い。
ただし、その豪華仕様が災いしたのかセントラルライナー廃止後は微妙に持て余し気味の感も。
某将棋星人のお気に入り。

中期型(3次車)

2006年から113系・115系・123系置き換えのために導入されたグループ。
  • 1100・1600番台
中央線用に導入された編成。基本設計は1000・1500番台に準じているが、クハ312形は0番台から400番台に変更された。
4両編成が1100番台、3両編成は1600番台を名乗る。
  • 1700番台
飯田線用に導入された編成で、3両編成のみ存在する。
発電ブレーキとセラミック噴射装置を搭載する急勾配対応仕様車である。
この編成はJR東日本エリアである篠ノ井線松本まで乗り入れる。
1500・1600番台の予備車も兼ねており、飯田線以外でも営業運転している姿を見る事が出来る。
内装は1000・1500番台と同じ。
  • 2500・2600・2300番台
東海道線静岡地区および御殿場線・身延線に導入されたシリーズ初のロングシート車。
主に211系と併結して使用される。
2500・2600番台は3両編成、2300番台は2両編成。
  • 3100番台
身延線・御殿場線に導入された編成。
基本設計は3000番台と同じで、2両編成なのも同じ。
3000・3100番台は入出庫の都合などで東海道線で運用されることもある。
  • 5000番台
東海道線の快速用に導入された編成で、6両編成のみ存在する。
車体間ダンパとセミアクティブサスペンションを装備し、乗り心地改善を図ったのが特徴。
大抵特急列車や新幹線にしか装備されないデバイスを料金不要車両にぶち込んだチート級スペックとなっている。さらに転換クロスシートも全席方向転換可能となった。
形式そのものは既に運行開始していたも関わらず、登場時には車両展示会が実施されたことでも東海の力の入れようがうかがえる。
なお、Y102編成は2017年3月に踏切事故に遭遇し、事故の被害が大きかった下り側2両を代替新造の上で復帰した。
代替車両はそれぞれ置き換え元の車番に+100されているほか、仕様は5次車に合わせられている。

後期型(4・5次車)

2010年~2015年にかけて117系・119系の置き換え、武豊線電化開業による気動車からの運用置き換えのために増備されたグループ。
車両間の貫通扉は傾斜式から水平式に変更、ロングシートの袖仕切りが大型化されたなどの小変更がある。
このグループから客室の照明がLED化され、1次車以降にも順次変更された。
新しい番台区分は以下の2種のみだが、5000番台・1100番台も増備されている。
  • 1300番台
2010年~2014年に登場した1000番台をベースとした2両編成。
ワンマン運転に対応しているが、初期編成8本は準備工事段階でデビューし、2021年ごろからワンマン化工事が行われた。
  • 5300番台
2010年(ry5000番台をベースとした2両編成。

派生形式

  • 愛知環状鉄道2000系
岡多線を引き継いだ第三セクター・愛知環状鉄道線の車両。
開業時から使用していた100系の置き換えのために導入された。
3000番台をベースとしているが、正面窓が上部まで拡大、前述したステップが普通のものとなっているのが違い。
当初は沿線住民から公募したデザインを採用した緑色のカラーリングだったが、2009年増備の編成から青帯に変更、既存編成も順次この色に変更されている。

  • 名古屋臨海高速鉄道1000形
2004年に開業したあおなみ線の車両。
機器類のほとんどが313系のそれを流用しているが、車体は直線的な独自のデザインとなっている。

  • キハ25系
老朽化したキハ40系・キハ11系の置き換えを目的に登場した一般型気動車。
最大の特徴は313系ほぼそのまんまの見た目だろう。
電車との部品共通化は近年の気動車のトレンドだが、ここまで同じ例は他にJR北海道のキハ201系位しか例がない。
2次車となる1000番台はビード無しステンレス車体を採用。313系には無いスッキリとした外観となったほか、車内は全てロングシート、正面の行先表示器と種別表示器が1つにまとめられて顔つきが変わっている。


動向

こうしてJR東海の在来線電化区間全線で運用を持ち、名実ともに天下を獲った313系だが、後継車の315系登場に伴い転属の動きが出るようになる。

まず、315系0番台導入に伴い中央線名古屋地区から撤退。ここで運用されていた1300番台は4連を組み、関西線に転属。
既存の1000・1100・1500・1600番台を今度は東海道線に転出させて311系の置き換えに充当…とかなり複雑な転配を見せている。

また、静岡地区に残る211系置き換えのために2022年以降、各番台が各地から静岡へと集結しており、特に話題となったのは元セントラルライナーこと8000番台の転属。
「静岡大陸」「ロングシート王国」と揶揄される同区間に超豪華な転換クロスシート車両が登場し話題騒然となった。
そのうちロングに改造される可能性も捨てきれないからね!


関連作品

2003年から2019年まで、サウンド仕様の単品で0番台が、セット品に含まれる形で非サウンド仕様の8500番台が商品化された。

新アーケード版にて、2019年11月7日から登場した中央西線にて運転できる。

身延線沿線を舞台としているため、劇中にて登場。この縁か同線でタイアップ電車が運転されている。

無印・Zの劇中にて登場。また、「Z」時代の玩具「Zギア」内に、劇中未登場ながらザイライナーに「313トウカイドウ」が収録されている。

2023年以降、JR東海とのタイアップキャンペーンが行われ、そのスタンプラリーでAqoursメンバー一人ずつに、JR東海の各形式が割り当てられた。が、なぜか黒澤ルビィだけが唯一在来線車両の本形式を割り当てられた。



追記・修正は313系並みに高い汎用性を誇る人にお願いします。

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最終更新:2025年06月01日 21:34