津田英治

登録日:2025/02/05 Wed 23:06:10
更新日:2025/03/14 Fri 18:36:05
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津田英治とは、日本の男性声優。1948年8月23日兵庫県相生市生まれ。2025年1月13日没。最終所属はオフィスBAN。

【概要】

1970年代より主に関西ローカル圏のCMでナレーターとして活躍。
落ち着いた語り口が特徴。後に全国区の企業でもCMに起用されたことがあるため、知らないうちに声を聞いていた人も多いと思われる。また、KOFシリーズではタクマ・サカザキのCVを担当した。

さて、そんな津田氏であるが、鉄道趣味者からはあることで非常に有名であった。その筋では偉人と言っても過言ではないだろう。

鉄道の自動放送である。

具体的な使用開始時期は不明であるものの、1980年代後半から90年代前半には既に大阪市交通局、近畿日本鉄道、大阪モノレール、神戸市交通局などで駅自動放送や車内放送のナレーターを務めていたことが確認されている。
なお、氏と鉄道との縁はそこそこ古く、各種自動放送に起用される以前より既に近鉄や国鉄→JRのCMナレーションを務めていた。今もつべの奥底を探ればあるはずだが、80年ごろのCMでは既に駅自動放送よりちょっと若いぐらいの渋い声であり、本来は落ち着いている人が今日だけやたら元気な声で喋っているかのようなナレーションは必聴。
意外なところでは『電車でGO!名古屋鉄道編』のCM音声も津田氏であり、何やら声質とのギャップがすごい叫び(某笑顔動画で言うところの「ちっちゃくてかわいい津田英治」―津田氏のボイスサンプルより―)がする。

JRではCM類を除くとJR東日本で導入されたATOSの旅客案内システムによる駅自動放送が初出。女性声優である向山佳比子とペアを成し、東京圏の複雑な路線網に対応した数多の放送パーツが収録され、近鉄や大阪市営地下鉄などに続き首都圏JRでも「駅の音」の主として多くの利用者にアナウンスを提供した。
その後も多少の使用箇所の差し替えを挟みつつ、近鉄、大阪市営地下鉄、首都圏JR、横浜シーサイドラインなどの自動放送を長らく担当。
なお大阪市営地下鉄の駅自動放送は中村健治という別の方が担当していたが中村氏が1992年に早世してしまい、自動放送のシステム更新の際に順次津田氏の放送に差し替えられた。が、自動放送のシステム更新が遅く中村氏の放送は結局さらなるシステム更新が行われるまでの20年以上にわたって残ることとなる。そんな中、阪急直通の絡みでちょくちょく自動放送パーツの追加が必要になる堺筋線の駅自動放送が旧システムのまま放送パーツだけ新しいものが必要になり、そのパーツだけ津田氏が新録した結果放送が中村氏と津田氏の継ぎ接ぎになったという四方山話も。似たようなネタで、東武鉄道の放送でも1フレーズだけ津田氏のものがあった。

2000年代後半ごろからは愛知環状鉄道線、JR東海の中央本線、JR西日本の大阪環状線桜島線大和路線おおさか東線でもそれぞれ自動放送システムの更新の際に向山氏と津田氏が起用され、東名阪のJR全てで向山氏、津田氏がコンビで自動放送を担当することになった。

しかし、同時にATOSや近鉄の自動放送では、津田氏の加齢によるいわゆる「昔のキャラを演じたら今と声が違う問題」が発生し、放送に若干の継ぎ接ぎ感が出るようになっていた。この影響により、近鉄では車内放送を有田洋之*1、駅放送を樹リューリに、ATOS型放送では2014年収録分より田中一永*2に男声を譲ることとなった。

その後駅自動放送の新パーツ収録はほぼJR西日本に限られるようになった一方で鉄道アナウンスといえば津田氏という印象は鉄道ファンの間で多く根付いており、鉄道関連の玩具に声を吹き込んだり、まさかの鉄道系音MADに本人出演などスポット的ではありながらも時折意外な場所で津田氏の新音声を聞く機会に恵まれ、そのたびに音鉄たちが盛り上がることが恒例となっていた。

【逝去】

2025年1月18日。折しも大阪市高速電気軌道中央線の夢洲延伸を翌日に控え、まだ見ぬ新区間の乗車、夢洲駅探訪に多くの鉄道ファンが心躍らせる一方、音鉄は近鉄で最後まで残った津田氏によるけいはんな線車内放送の行方に秘かに注目を寄せていた。
だがその矢先、氏の所属事務所であったオフィスBANからの一報が入る。

1月13日、津田英治、逝去。

大動脈解離を患っていたとのことで、おそらく闘病しつつもJR西日本の駅自動放送に声を吹き込み続けていたことと思われる。最晩年の2024年には大和路線に導入された普通車指定席、愛称「うれシート」関連の津田氏による新放送が収録されたが、この放送パーツは他の放送パーツと比べても明らかに声が掠れ滑舌が悪く聞き取りづらいものであり、発声だけでも非常に苦労されていたことが分かる。

東名阪のさまざまな鉄道路線で自動放送を担当し、多くの人々が何気なく聞いていた温かみのある落ち着いた声の主、そして鉄道の自動放送で八面六臂の活躍を見せた偉人の死は鉄道ファンに大きなショックを与え、その情報はSNS上で瞬く間に拡散し各種報道記事にも掲載。多くのファンが氏の逝去を悼んだ。

訃報の翌日、けいはんな線では夢洲開業に伴い放送の更新が行われたが、その放送は夢洲関連のみならず他のパーツも近鉄他路線と同じく有田氏の声に総入れ替えされ、津田氏の車内自動放送は同日をもって全鉄道から消滅した。

駅自動放送の方もATOS導入地区ではただでさえ田中氏への更新が進んでいるうえ、ホームドア導入に伴い津田氏の放送パーツが存在しない言い回しが必要な駅が今後ますます増えるため消滅が着実に近づいている。他路線でもゆくゆくは設備や運転系統の都合、はたまた放送システムの更新などで津田氏の放送パーツが使用できなくなることが見込まれ、津田氏の声が聞けなくなっていくことは確実である。

津田氏との本当の別れの前に、津田氏の放送のファンはできるだけ多く津田氏の声を聴くようにしたいものである。

【主な担当線区・駅】

ATOS導入線区全般(声優変更後に導入された青梅線五日市線横浜線京葉線を除く)
※順次田中一永氏の声に変更。木更津駅と仙台駅もATOS型放送を使用しているがこの2駅も田中氏の声に変更済み



新越谷駅
板倉東洋大前駅
東あずま駅
曳舟駅

※1フレーズのみ。いずれも消滅済み

  • 横浜シーサイドライン
金沢シーサイドライン

  • 愛知環状鉄道
愛知環状鉄道線

  • 近畿日本鉄道
高安駅
西青山駅
※大阪地区の駅を多く担当していたが順次樹リューリ氏の声に変更。車内放送全般も担当していたがこちらも順次有田洋之氏の声に変更され2025年1月18日をもって消滅

  • 大阪市高速電気軌道
南港ポートタウン線
※大阪市交通局、大阪トランスポートシステム各区間開業時より。唯一民営化後も使用されていたが2022年消滅

  • 大阪市交通局
御堂筋線
谷町線
四つ橋線
中央線
千日前線
堺筋線
長堀鶴見緑地線
南港ポートタウン線
※車内放送は南港ポートタウン線を除く全線で担当。駅自動放送は御堂筋線、谷町線、中央線、堺筋線(一部パーツのみ)、長堀鶴見緑地線、南港ポートタウン線で担当。車内放送は1995年をもって消滅。駅自動放送は順次有田洋之氏の声に変更され、南港ポートタウン線を除き大阪市高速電気軌道移管前に消滅済み

  • 大阪港トランスポートシステム
コスモスクエア駅(テクノポート線、ニュートラムテクノポート線)
※テクノポート線は大阪市交通局移管後有田洋之氏の声に変更

  • 北大阪急行電鉄
車内自動放送
※1999年をもって秀平真由美氏の声に変更

  • 大阪モノレール
本線
※消滅済み

  • 能勢電鉄
車内自動放送
※消滅済み

  • 神戸市交通局
西神線
山手線
※2020年1月をもって徳田祐介氏の声に変更

【その他の出演作品】




本日も、アニヲタWikiをご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、3番線の、電車は、16時、15分発、特別快速、ホリデー快速、追記、2号、ホリデー快速、修正、2号、良記事、行き、です。この、電車は、10両、です。

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最終更新:2025年03月14日 18:36

*1 KOFのチャン・コーハンやサムスピの壬無月斬紅郎の人

*2 フロムの歴史ゲー『義経英雄伝』の佐藤忠信の人