おおさか東線

登録日:2013/05/04 Sat 15:09:00
更新日:2025/08/26 Tue 11:05:57
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おおさか東線(ひがしせん)とは、大阪府の大阪駅から久宝寺駅までを結ぶ、JR西日本の鉄道路線である。
ラインカラーは「先進都市のイメージを持つ銀色と、JR西日本のコーポレートカラーの青色を合わせる」という意味を込めたブルーグレーで、路線記号は F 


目次


概要

片町線の貨物支線である城東貨物線を旅客化したもので、大阪市中心部や北から南東まで放射状に伸びる各鉄道路線と連絡する役目を持つ。

2008年3月15日に南側の放出~久宝寺間が開業。
しかし北側に当たる放出~新大阪間は遅れに遅れ、南側開業から11年も経った2019年3月16日に完成し運行を開始した。
本記事の初稿では「アニヲタWiki残ってるかな?」とか書かれてたが……おかげさまで全線開通まで無事残りました。

その後、新大阪~大阪間は貨物線の地下化を実施し、2023年3月に開業を果たした。
だ が
大阪駅を名乗っているが場所は「うめきた地区」とよばれるエリアに新設された地下ホームであり、高架の従来ホームとは大きく場所が離れているので要注意である。

また、このうめきた開業と同時に定期列車によるVVVFインバータ車両の運用が無くなった。JR発足後、21世紀に開業した新線なのに……
……と思いきや、臨時列車として運転されてきた特急「まほろば」が2025年に定期化され、極めて少ない本数ながら定期VVVF列車がようやく復活した。

その開業経緯や路線構造から、JR東日本武蔵野線に近い性質を持っている。
武蔵野線ほど長くないし、接続路線に優等列車が止まる気配は今のところなさそうだし、利用客が少ないのか連絡運輸を実施している私鉄は今里筋線のみだったりする。


運行形態

  • 普通
     Local 
早朝と深夜以外の時間帯では、線内往復で毎時4本程度運行されている。

  • 直通快速
     Direct Rapid Service 
朝夕限定で、かつ1日4往復のみの種別。「直通」の名の通り、久宝寺からは大和路線へ直通して奈良を発着とする。
平日の場合、朝は奈良発のみで、夕方は逆に大阪発のみ。土日祝日であれば、両方向から運転されている。
なお、快速ではあるのだが、おおさか東線内には待避駅がないため、前を走る普通列車を追い越すことができない。

開業当初は放出から学研都市線JR東西線に直通して尼崎へ向かっていたが、新大阪〜放出開業と同時に新大阪発着に変更され、両線への乗り入れが廃止された。
新大阪から神戸方面の直通は配線上不可能なので、これからの復活も期待できず、同沿線に用がある時は乗り換えるしかない。
どっちの方が便利かというと微妙なところだが、とりあえず朝夕限定と言わず本数をもっと出してくれ。

2023年10月からは座席指定車「うれシート」が設定されている。

  • 特急まほろば
     Limited Express  MAHOROBA
◇停車駅:大阪、新大阪、法隆寺、奈良駅
2019年の全線開通をきっかけに臨時列車として不定期に設定され(2021・2022年のみコロナ禍により休止)、上記の通り2025年に定期化された。
土日祝日限定かつ1日1往復だけの運転。
大阪から奈良に直通し、当線を経由するが、新大阪以外におおさか東線内の途中停車駅はない。


車両

現行車両

  • 221系
ご存じJR西日本関西地区の主力。2022年3月から201系に代わって普通列車に投入。
奈良所属だが、その大半はJR神戸線JR京都線からの転属車両。
2023年3月のダイヤ改正からは直通快速運用にも使われるようになった。

  • 683系
特急「まほろば」用の車両。
定期列車化に伴い、専用車両として投入&リニューアルされた。
計2編成の導入が予定されており、蘇芳色と金色基調の「安寧」が2025年4月に運行開始。
墨色と灰渋色基調の「悠久」も同年10月から運行開始予定。

過去の車両

JR西日本関西地区の主力通勤型電車。いずれも直通快速で使われていた。
2023年3月18日ダイヤ改正で撤退。

開業当時の直通快速として使用されていた。
JR東西線の北新地駅に4ドア車用のホームドアが設置されるため、3ドアの本形式は2011年3月にその役目を207系に明け渡した。

カラーは黄緑。2013年に山手線で使用されてから50周年を迎えているので特別に走らせて……いません。
開業時から使用されていたが、2018年1月に運用を終了。
いくら色が似てるからって「山手線?」って言うのは禁句。

  • 201系
中央線?は禁句。
大和路線と同じウグイス色の車両が使用されていた。
2022年3月のダイヤ改正で撤退。

  • 287系
臨時時代の「まほろば」運用に、阪和線所属の「くろしお」用車両(3両編成)が使われていた。臨時込みのVVVF運用0を辛うじて阻止してた立役者。
定期化に伴い、同運用からは撤退。
ただし「らくラクやまと」としては引き続き走っており、梅田貨物線より大阪〜新大阪間に乗り入れる。


駅一覧

<凡例>
●…停車
┃…通過

普通列車は表中の全駅に停車する。




(JR-)
駅名




接続路線
F 01 大阪 JR西日本:JR京都線JR神戸線JR宝塚線大阪環状線
JR東西線(北新地駅)
阪急電鉄:京都線宝塚線・神戸線(大阪梅田駅)
阪神電気鉄道:阪神本線(大阪梅田駅)
Osaka Metro:御堂筋線(梅田駅)、谷町線(東梅田駅)、
四つ橋線(西梅田駅)
F 02 新大阪 JR西日本:山陽新幹線・JR京都線
JR東海東海道新幹線
Osaka Metro:御堂筋線
F 03 南吹田
F 04 JR淡路 阪急電鉄:京都線・千里線(淡路駅)
F 05 城北公園通
F 06 JR野江 京阪電気鉄道:京阪本線(野江駅)
Osaka Metro:谷町線(野江内代駅)
F 07 鴫野 JR西日本:学研都市線
Osaka Metro:今里筋線
F 08 放出 JR西日本:学研都市線
F 09 高井田中央 Osaka Metro:中央線(高井田駅)
F 10 JR河内永和 近畿日本鉄道:奈良線(河内永和駅)
F 11 JR俊徳道 近畿日本鉄道:大阪線(俊徳道駅)
F 12 JR長瀬
F 13 衣摺加美北
F 14 新加美
F 15 久宝寺 JR西日本:大和路線
特急と直通快速は、大和路線へ直通


駅解説

JR京都線JR神戸線JR宝塚線大阪環状線JR東西線阪急電鉄京都本線・宝塚本線・神戸本線、阪神電気鉄道本線、Osaka Metro御堂筋線谷町線・四つ橋線乗り換え。
梅田貨物駅跡地である再開発区域「うめきた」内の地下に設置された。
当初は北梅田駅と仮称されていたが、利便性を考慮して大阪駅を名乗ることとなった。
このホームは2031年開業予定のなにわ筋線に接続し、開業時には南海電車も乗り入れる予定。
この距離感を見て京葉線東京駅を思い浮かべた人、正直に手を挙げなさい

JR東西線は北新地駅、阪急・阪神の駅は大阪梅田駅、御堂筋線は梅田駅、谷町線は東梅田駅、四つ橋線は西梅田駅
既存の大阪だけでも6つも駅名が分裂し、さらに距離が離れているのに同一駅名というカオスに混迷を煽るような事態を招きかねない。

余談だがうめきた新ホームを挟んだ地下区間は急勾配が存在するため、貨物列車の一部については改正から後部に補機を連結して運用するようになった。誰が呼んだか「梅田峠」「大阪のセノハチ」

ご存知、大阪の(新幹線における)玄関口。
東海道新幹線山陽新幹線・JR京都線、Osaka Metro御堂筋線乗り換え。

  • JR-F03 南吹田
JR京都線から近い位置にあるが乗り換え駅はなく、またここからJRの吹田駅までは約2kmの距離だが、鉄道で出る場合は一旦東淀川駅を越えて新大阪駅で乗り換えて折り返す必要がある。
JR淡路方には久宝寺方面から東海道本線の京都方面へ向かう貨物線へ分岐できる神崎川信号場がある。

  • JR-F04 JR淡路
阪急京都本線・千里線(淡路駅)乗り換え。
2022年にはJR河内永和駅を抜いて単独駅乗降客数1位に躍進した。
阪急も長年に渡って絶賛高架工事中。
どっちが早く完成するか?という状態だったが、結果はJRが遥かに先に終わることに。

  • JR-F05 城北公園通
公共交通がバスしかなかった赤川地区待望の新駅。
2024年3月ダイヤ改正からはバス利用者のさらなる鉄道移行を狙ってか、直通快速の停車駅に昇格。*1
JR淡路方に渡り線があるが、架線がなく保線用車両の出入りにしか使えない。
計画当初は同じ位置にあった都島信号場から「JR都島駅」と称されていたが、場所が都島区ではないこと、Osaka Metro谷町線の同駅と大きく離れているなどの理由から今の駅名になった。

  • JR-F06 JR野江
京阪電気鉄道京阪本線(野江駅)、Osaka Metro谷町線(野江内代(のえうちんだい)駅)乗り換え。

  • JR-F07 鴫野
学研都市線、Osaka Metro今里筋線乗り換え。学研都市線と合流し、放出までは複々線区間となる。
学研都市線・木津方面⇔おおさか東線・新大阪方面は対面乗り換え可能。

  • JR-F08 放出
学研都市線乗り換え。関西圏の難読地名としてトップクラスに有名。さて、何て読むでしょう?
正解ははなてんあなた、車売る~?
学研都市線とは対面乗り換えができるので、鴫野よりこっちでの乗り換えがオススメ。快速も止まるし。
ただし学研都市線・京橋方面⇔おおさか東線・新大阪方面の乗り換えだけは重複乗車になるので、普通を使って鴫野で降りよう。

  • JR-F09 高井田中央
Osaka Metro中央線(高井田駅)乗り換え。
大和路線にも柏原市に高井田駅があることから、区別のために中央大通りの名称をつけてこの駅名となった。

  • JR-F10 JR河内永和
近鉄奈良線(河内永和駅)乗り換え。

  • JR-F11 JR俊徳道
近鉄大阪線(俊徳道駅)乗り換え。

  • JR-F12 JR長瀬
近鉄大阪線の長瀬駅とは結構離れた場所にある。
元オセロ松嶋尚美の出身地はこのあたり。

  • JR-F13 衣摺加美北(きずりかみきた)
2018年開業の新駅だが、開業時より新駅設置の準備がなされており、駅番号もあらかじめ空けられていた。
赤川同様、空白地だった衣摺地区待望の新駅。
久宝寺方面には大和路線平野駅へ繋がる正覚寺信号所がある。

  • JR-F14 新加美
大和路線の加美駅とは実質隣接しているが別駅。
百済貨物ターミナルへ分岐後のデルタ線の中にある。

  • JR-F15 久宝寺
大和路線乗り換えの終着駅。直通快速はそのまま奈良まで乗り入れる。
かつては駅近くに竜華操車場という国鉄の一大貨物基地があった。


余談

実は、「おおさか東線になるかもしれなかった」区間が存在する。
他に場所もないのでここで解説しておく。

  • 阪和貨物線
その名の通り阪和線に連絡する貨物線で、久宝寺~加美間のとある踏切を過ぎた後分岐し、Osaka Metro谷町線の出戸駅とイオンを横切り南下してカーブ、大和川と平行して進み近鉄南大阪線をアンダーパスしながら杉本町まで至る路線である。
大和路線と阪和線を直結していたので、両線を跨ぐ貨物や臨時列車に使われていた。
おおさか東線と同様に旅客線として転用整備される予定だったのだが、その計画が延びに延び、その間に毎日錆取り用の回送列車しか走らないぐらい利用価値が薄くなってしまったため2004年に休止、2009年に廃線となった。
ちなみに大部分で複線用地は確保されていた。もったいない。
今はとある駐車場を境に、多くの部分で線路と架線柱も撤去されてフェンスで囲われてるが、あまり大きな声では言えないがその駐車場にはフェンスがないので気軽に徒歩で入って架線柱や線路を間近で見れる。でもJR西の敷地への不法侵入だから絶対すんなよ。いやマジで。
用地の転用もそんなに進んでないからワンチャン……と思っていたがバスターミナルができたので、もうダメかもしれない。

  • 南港貨物線
その杉本町からニュートラムの中ふ頭駅まで行くはずだった未成線。いくつか遺構も残っている。
こっちも色々あって延びに延びたので頓挫した。
大和川辺りの東西を繋いでいる交通はバスくらいしかなく、需要は結構あるはずなので阪和貨物線と合わせてこれが実現して旅客化していたらと思うと本当にもったいない。地元の人がインテックスの即売会行きやすくなってたし
ちなみに、出戸から住之江公園までは大阪市が今里筋線を途中駅となる湯里六丁目まで延伸した上に、それと同様のミニリニア規格で地下鉄を通すことを計画している。需要はあるけど建設と維持のコストを考えてそれだけはやめてください


追記・修正は、大阪駅地下ホームの顔認証改札を通過してからお願いします。

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最終更新:2025年08月26日 11:05

*1 ここを経由して梅田に行く34号系統バスは日中でも8~10本運行されており、大阪シティバスの中で最も収益が高い黒字路線である。その反面、混雑が慢性化している。