キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド

登録日:2025/02/21 (金) 05:03:54
更新日:2025/03/05 Wed 01:28:55
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その一撃に、世界が揺らぐ。

“正義の象徴”を受け継いだヒーローの物語








『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(Captain America:Brave New World)』とは、2025年に公開された米映画。
MARVEL社のコミックヒーロー実写映画化シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)」の映画通算第35作目にして、フェーズ5の映画第5弾である。



概要


本作は、「キャプテン・アメリカ」シリーズの通算第4作目にして、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でスティーブ・ロジャースから2代目であるサム・ウィルソンへと世代交代が行われた後としては初の作品となった。
そのため、本作の前日譚としてDisney+配信ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』が重要な位置付けとなり、同作の視聴が推奨されている。
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でファルコンとして初登場し、その後サイドキックとして活躍後、ドラマで正式に2代目キャプテン・アメリカとなったサムだが、本作ではその真価が試される。
スティーブ・ロジャースという先代の重圧を抱えつつも、「サム自身にしかできないこと」を示し、彼のヒーローとしての在り方を存分に発揮した。

そして、本作のもう一つのキーマンとなるのは、『インクレディブル・ハルク』でハルクの捕獲作戦を指揮するという半ばヴィラン同然の役柄として初登場し、その後もアベンジャーズに幾度も障害として立ちはだかってきたキャラ、サディアス・ロスである。
本作でアメリカ合衆国大統領に就任した彼は、部下であるサムと方針で対立するが、やがては大きな陰謀に飲み込まれていく。
これまでは「アベンジャーズ=ヒーローの邪魔者」として描かれがちだったロスだが、本作ではその複雑な内面が明かされ、人間としての厚みが描写された。
惜しくも、これまでロスを演じてきたウィリアム・ハートは本作の製作前に病死したため、新たに、『STAR WARS』シリーズや『インディジョーンズ』シリーズ、『ジャック・ライアン』シリーズ等で活躍した名優、ハリソン・フォードがキャスティングされた。
ロスという人間が抱える傲慢さと脆さの矛盾を、高い演技力で表現している。

そのほか、本作では『インクレディブル・ハルク』以来の登場となるキャラが2人も登場するため、同作が重要な役割を担っている。ある意味本作は「実質『インクレディブル・ハルク』の続編」とも言える作品となっている。
これまでブルース・バナー役の俳優の違い(エドワード・ノートン→マーク・ラファロ)や単独映画としての続編が制作されなかった事に伴う一部の伏線の未回収などから、ファンの間で「観なくていい」という扱いを受けていた。そんな同作の要素をふんだんに取り入れた事で、本作の鑑賞にあたって事前に観ておくべき作品として推奨される運びとなった。

監督は、『クローバーフィールド・パラドックス』『ルース・エドガー』のジュリアス・オナー。



ストーリー


サノスとの最終決戦の後、スティーブ・ロジャースから指名され、「キャプテン・アメリカ」を継ぐこととなったサム・ウィルソン。
フラッグ・スマッシャーズの事件をきっかけに、彼は自分にできる最善を尽くすことを誓い、新たなキャプテン・アメリカとして活動を続けていた。

そんな中、アメリカ合衆国の次期大統領として、アベンジャーズの活動を何度も妨害してきた元陸軍将軍のサディアス・ロスが当選した。
ロスに個人的に反感を抱いているサムは複雑な心境になりつつも、表向きは彼に従う姿勢を取る。

そして、ロスは次なる政策として、インド洋に現れた巨人から採取される新しい金属「アダマンチウム」を各国と共有する条約を提示し、ホワイトハウスで式典を開催する。
サムと相棒のホアキン、そして恩師の元超人兵士・イザイアも招待されるが、そこで信じがたい事件が起こる。
イザイアが突然凶暴化し、ロスを銃撃したのだ。
イザイアはすぐさま取り押さえられるが、彼は自分が何をしたかを一切覚えておらず、サムは、彼が何者かに操られたのだと確信する。

ロスにそれを打診するサムだったが、条約の締結ばかりを気にするロスは彼に全く聞く耳を持たず、交渉は決裂。
やむなく、サムはホアキンと一緒に独自で調査することにし、その果てに予想外の黒幕に辿り着く。
そして、黒幕の魔の手は追い詰められたロス自身にも伸びつつあった。

やがて訪れる国家間の断絶と戦争の危機。果たして、新たなキャプテン・アメリカは如何にして立ち向かうのか?




登場人物


  • サム・ウィルソン/キャプテン・アメリカ
演:アンソニー・マッキー/吹き替え:溝端淳平
初代ファルコンにして、現・2代目キャプテン・アメリカの元空軍兵。
苦しむ他者を放ってはおけない、スティーブ・ロジャースが認めるほどの「善良」な心の持ち主。
無論、悪意のある人間に対しては人並み程度の反感は抱くが、立場上飲み込めるほど理性はある。
先代から受け継いだヴィブラニウムの盾を操り、それに加えて特製スーツを駆使した高機動の飛行戦法による電撃作戦を得意とし、空中戦はお手の物。
アベンジャーズを何度も妨害してきたロスの下で働き、更にはアベンジャーズ再建の案も打診され複雑な心境を抱くも、銃撃事件を機に仲が拗れ、より一層反感を抱くようになる。
やがては深刻化する事件を前にして、「キャプテン・アメリカ」の称号が重荷に感じるも、「自分にしかできない」ことを自覚し、果敢に立ち向かっていく。


  • サディアス・“サンダーボルト”・ロス
演:ハリソン・フォード/吹き替え:村井國夫
陸軍将軍、国防長官に次いで、米国大統領に就任した男。
アベンジャーズには、ハルクことブルース・バナーの捕獲作戦の指揮を執る形で初めて関わり、結果、部下のエミル・ブロンスキーをアボミネーションにした挙句、ニューヨークのハーレム街をハルクとの戦闘で破壊する要因となった。
このために「ハルク・ハンター」の悪名が付けられており、謝罪会見では癇癪を起こして悪評を受けた。
おまけに、バナーの恋人だった娘のベティからは彼を苦しめたことで嫌われ、絶縁状態となっている。
更に、ソコヴィア協定を立案してアベンジャーズに活動制限を課そうとし、のっぴきならない事情で違反したサムを含めたアベンジャーズメンバーをラフト刑務所に投獄。その後は逃亡者となったスティーブやナターシャ、サム達を執拗に追跡した。
この諸々の所業によりサムからは大層嫌われている。
しかし、大統領に就任すると、一転して「協調」路線を押し出し、アダマンチウムの各国との共有を約束して多くの支持を得る。
だが、自身が銃撃されて条約締結に陰りが生じると、露骨に苛立ちを抑えきれなくなり、過激な態度から徐々に周囲から孤立していく。
そんな中で、ある人物の動向を探ろうとするが、逆にその人物から脅迫されるようになり……。


  • ホアキン・トレス/ファルコン
演:ダニー・ラミレス/吹き替え:布施川一寛
サムの現在の相棒の2代目ファルコン。出身地はマイアミ。
お喋りで陽気な性格であり、サムによく窘められているが、互いに信頼し合っている。
情報戦のエキスパートでもあり、空中戦をしながら敵機のハッキング攻撃を仕掛ける戦術が得意。
サムに憧れを抱いており、彼のような活躍をしようとして目立ちたがる危うい面もある。


  • ルース・バット=セラフ
演:シラ・ハース/吹き替え:潘めぐみ
米国政府の安全保障補佐官。小柄*2だが威圧感のある女性。
実は元レッド・ルームのウィドウであり、ナターシャもしくはエレーナに洗脳を解かれ、米国政府の下で働いていた。
そのため格闘戦に優れている。
当初はイザイアを銃撃犯だと決めつけ、サムと対立していたが、黒幕の存在にいち早く気づき、イザイアを保護しようとし、サムとも協力体制を築くなど柔軟な行動を取った。


  • イザイア・ブラッドリー
演:カール・ランブリー/吹き替え:宝亀克寿
朝鮮戦争で活躍したが、政府に30年監禁されていた元超人兵士。
フラッグ・スマッシャーズの事件を機に名誉を回復して以来、サムとは格闘術の訓練で付き合うなど仲良くなっていた。
サムの提案で、ホワイトハウスの式典に招待されることとなり、政府に複雑な心境を抱いていたものの、心機一転として来訪した。
しかし、式典の途中で突然凶暴化してロスを銃撃し逃走。その後我に返るも、身に覚えのない罪により逮捕され、再び刑務所に入れられてしまい、死刑の危機となり絶望してしまう。


  • レイラ・テイラー
演:ゾシャ・ロークモア/吹き替え:松平春香
ホワイトハウスに勤める大統領護衛のエージェント。
サムとは信頼し合う盟友であり、彼とホワイトハウスの情報をやり取りしている。
サム同様にロスのことは気に食わないが、今後のことを考えて表向きは彼に従い、味方についてもらうようにしている。


  • 尾崎首相
演・吹き替え:平岳大
日本国の首相。ロスとは「盟友」の仲らしい。
一見、人当たりのいい人物だが、政治的手腕は非常に優秀勝つ強かであり、諜報機関を駆使して米国の弱点を掴み、ロスに対して強気に出る。
アダマンチウム強奪の事件を米国の仕業と決めつけ、資源独占のために徹底抗戦を辞さない姿勢を取る。
ある意味本作一番のファンタジー要素と思われているとか。


  • セス・ヴォールカー/サイドワインダー
演:ジャンカルロ・エスポジート/吹き替え:広瀬彰勇
悪名高い傭兵組織「サーペント」のリーダー。
金に目がなく残虐な行動も平然と行う外道であり、悪知恵も働く卑劣漢。
キャプテン・アメリカことサムを敵視しており、報酬よりも彼の命を奪うことを望んでいると豪語するほど。
ある人物からの依頼で日本からアダマンチウムのサンプルを強奪し、サムにより阻止された後、彼を消すために再戦し、敗北して捕まるが、黒幕の情報を流して減刑を図る。





キーワード


  • セレスティアル島
インド洋に突如として出現した巨大な物体。
未知の物質で構成されており、それにより各国がこぞって権利を争ってきた。
その裏には、地球を遥か過去から監視してきた長寿の種族の戦いがあったのだが、彼らはまだ知らない。


  • アダマンチウム
セレスティアル島から発掘された未知の金属。
ヴィブラニウムをも上回る硬度の金属とされ、研究するとこれまでの技術が一変すると言われている。
米国、日本、フランス、インドが利権を賭けて争っていたが、ロスの発案で共有する条約が締結されることとなる。
だが、ホワイトハウスの銃撃事件により条約は暗礁に乗り上げ、再び各国の睨み合いとなってしまう。


  • キャプテン・アメリカスーツ
サムが装着する飛行能力を有した戦闘スーツ。
翼はヴィブラニウム*3で、ダメージを蓄積すると放出するブラックパンサースーツ同様の能力がある。
ファルコン時代から行っていた翼の切っ先で敵を貫くほか、羽を射出する機構も搭載されるなど、攻防一体の優秀な装備。
超高速で飛行時を行う際はナノマシンによってヘルメットが展開し、顔全体が覆われる。
小型支援ユニット「レッドウイング」も装備しており、探索や攻撃支援を行う。

劇中では二種類のスーツが登場し、冒頭のサーペント制圧作戦では「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」に登場した白いラインが印象的なスーツを着用。
その後はスティーブ・ロジャースのスーツに似たデザインのスーツを使用している。

  • ファルコンスーツ
ホアキンが装着する新型ファルコンスーツ。
深緑色の全身を覆うタイプのスーツで、高い機動力を誇る。
ハッキング用デバイスを飛ばして敵機の制御を奪う能力を有する。


  • サーペント
世界で暗躍している悪名高い傭兵集団。
作中では、日本が採掘したアダマンチウムのサンプルを強奪し、ある人物に売ろうとしたが、その買い手は現れなかった。


  • キャンプ・エコー
人里離れた僻地にある軍事施設。
ロスはしきりにここの様子を詮索しており、ある重要人物が収監されている。
内部は事実上その人物の研究室と化している。


  • 洗脳システム
本作の黒幕が開発した、任意の人間を思いのままに操るシステム。
該当人物の光学遺伝子情報を割り出し、スマートフォンに特定の光信号を送らせて脳内にインプットし、「Mr.ブルー」の音楽を起動キーとして傀儡にしてしまう。


  • ロスの薬
ロスが定期的に飲んでいる錠剤。心臓のための薬らしい。



追記・修正は「変わった」ことを世に示してからお願いします。


























CAPTAIN AMERICA WILL RETURN

キャプテン・アメリカは帰ってくる








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最終更新:2025年03月05日 01:28

*1シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の時に「5年前に心臓発作を患い、13時間のバイパス手術を受けた」とも語っている。

*2 演者のシラ・ハースの身長は151cmで、サム役のアンソニー・マッキーが178cmなので、彼と並んだ時に頭一つ分小さいのがうかがえる

*3 但しスーツ部分は普通の素材なのか、通常のナイフでダメージを受けていた