ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク

登録日:2025/03/03 Mon 00:45:43
更新日:2025/07/05 Sat 12:02:32
所要時間:約 15 分で読めます






「想像力」超えろ!


『ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク』とは、2025年2月21日に公開されたウルトラシリーズの劇場作品である。
配給はバンダイナムコフィルムワークスと円谷プロダクションが共同で担当。



【概要】

特撮テレビドラマ『ウルトラマンアーク』の劇場版。
しかし従来のウルトラ映画がTVシリーズの後日談を描いていたのに対して、本作の時系列はTVシリーズの第21話第22話の間のストーリーと公式で明言されている。
実際に映画本編でも冒頭で最終回までのあらすじを軽く紹介した上で、22話のちょっと前に起きた出来事だと解説している。
本編中の出来事が劇場で公開されるのはニュージェネレーションヒーローズでは『ウルトラマンギンガ劇場スペシャル』以来、TVシリーズ終了後での上映としては初となる。

監督は『アーク』本編のメイン監督である辻本貴則、脚本はシリーズ構成の継田淳が担当する。
辻本監督は『フィギュア王No.325』でのインタビューにて、本作が本編の挿話になった経緯について、
最終回がすごくいい感じに完結しているのに、その後(劇場版で)盛り上げなきゃいけないってのが大変だよなっていうのがあったので、
いざ自分でやる機会があったら「最終回のその後」は描かないほうがいいなと思ったんです。
と語っている。
そして制作にあたって、第22話の異様な世界観とうまくリンクできるという理由から同話の前日談という形に収まった。

本編の内容は主人公ユウマがゲスト宇宙人に課せられる3つの試練に挑戦するというもので、オムニバス形式の3部構成となっている。
とはいえ、ただ3つのお話を並べただけでは劇場版である意味が薄くなることから、ゲスト宇宙人のサスカルを狂言回しとして設定し、彼と決着をつける構成にまとめている。
また、TV本編では回収しきれなかった設定の補完に加え、終盤では最終回後の要素も入っているため、例年と同じく本編を全話視聴した上で鑑賞するのが望ましい。

前作同様、過去作のウルトラヒーローの客演はない一方、本作限定のウルトラ戦士としてギルアークが登場する。
また今回登場する劇場版オリジナル怪獣の数は過去最多と思われる。


【ストーリー】

暗黒宇宙卿 ゼ・ズーの一派の脅威からウルトラマンアークと共に地球を救った飛世ユウマは、アーク=ルティオンの故郷を救うために宇宙に旅立った。
今回お送りするのはユウマのその後……ではなく、"楽園"の騒動の少し前のお話。

SKIPのメンバーで鍋パーティーをする為に買い出しに行っていたユウマは、その帰り道で不思議な老人に出会う。
老人は自らを『ディグル星の宇宙賢者サスカル』と名乗り、ユウマがアークと一体化しているのを見抜いていた。
そしてサスカルはユウマに勇者としての資格があるか見極めるべく、時を操る能力を駆使して彼に失敗すればアークの力を失うという『3つの試練』を課す。


君に戦士としての資格があるかどうか、スペシャルな試練だ。


第1の試練『犬狼怪獣と少年』

SKIPに『怪獣を保護して欲しい』という依頼が入った。
依頼人の青年・武川モトキの話によれば、子どもの頃から親しい怪獣・ドグルフ(愛称『ムーゴン』)が弱っているという。
しかしドグルフが獰猛な怪獣である事を知るユウマはモトキの話を訝しんでしまうが…


第2の試練『怪奇!宇宙植物事件』

星元市役所の職員・谷口から謎の植物を預かったSKIP。
シュウによれば、その植物は人間に寄生して悪事を働くガチュラと呼ばれる危険植物だという。
人間に寄生する前に駆除しようとするSKIP一同だが、あろうことかガチュラは脱走を図り、SKIPのメンバーの誰か(※ユピーは除く)に寄生してしまい…

全編SKIP所内のみで展開される異色作。
また、シネマトゥデイのインタビューでも触れられている通り、某有名SF映画のオマージュも含まれている。


第3の試練『決戦!アーク対ギルアーク』



【登場人物】

国立研究開発法人「SKIP」

  • 飛世ユウマ
演:戸塚有輝

TVシリーズに引き続き主人公。
映画の冒頭とラストでは語り部も務めている。
サスカルの3つの試練に戸惑いながらも、1つずつ答えを導き出していき、同時に人間としても成長していく。
第1の試練では怪獣生物学者としての観点からドグルフ(ムーゴン)とモトキの友情を眉唾だと感じていたが、事件の真相を知ると自分の認識が間違っていた事を素直に認めた。
3つの試練を終えた後は本当にアークの力を失いかけるのだが、結果はご存知の通り。


  • 石堂シュウ
演:金田昇

地球防衛隊から派遣された特別調査員。
相変わらずコーヒー好きは健在で、第2の試練にてガチュラをいぶりだす為にコーヒーを用いた際は『こんな形でコーヒーを使いたくなかった…』と嘆くほど。


  • 夏目リン
演:水谷果穂

SKIPのメカニック担当調査員。第2の試練のメインキャラ。
ガチュラに宿主として肉体を乗っ取られてしまうが、やられっぱなしでは終わらず、自身の体から抜け出たガチュラにアークを突き飛ばしながらエレマガンで止めを刺し、普段からは想像もつかない程の過激な捨て台詞を吐いた。


  • 伴ヒロシ
演:西興一朗

SKIP星元市分所の所長。第1の試練のメインキャラ。
犬を飼っていた経験から、ドグルフ(ムーゴン)とモトキの友情を理屈ではなく信じられるとユウマに語っていた。


  • ユピー
CV:広瀬裕也

ご存知SKIPのサポートロボット。リンと同じく第2の試練のメインキャラ。
分離した頭部からガチュラが苦手とするコーヒー豆を砕いてまき散らす事で、リンの体からガチュラを追い出す活躍を見せた。
なお、コーヒー豆を勝手に使われたシュウは『私のコーヒーが…』とショックを受けていた


ゲスト

  • 武川(むかわ) モトキ
演:中山翔貴

星元市から離れた村に住む青年。
幼少期に秋吉山で迷子になった所をドグルフに助けられ、彼にムーゴンという名前を与えた。
SKIPにムーゴンを助けてほしいと相談するが、彼らが防衛軍の指揮下で動いていると知ると、悪態をつきながら分所を後にしてしまう。
ムーゴンの最期を看取った後はヒロシとユウマにきちんと謝罪し感謝を述べた。


  • 谷口
演:相馬絵美

星元市役所の職員。
出張所の建設予定地で奇妙な植物(ガチュラ)を発見し、SKIPに調査を依頼した。


【ウルトラマン・怪獣】

  • ウルトラマンアークルティオン
ユウマと共に怪獣の脅威から星元市を守り続けている(いた)光の巨人。
本作ではルティオンとして自我を出すことはなく、終始ユウマの意思で活動している。
ガチュラ戦では分所内での等身大戦という珍しい対戦カードが描かれた。
また、TV本編では最後まで描かれなかったニュージェネ恒例のインナースペースが終盤のとあるシーンにて例外的に解禁されている。


  • 宇宙賢者 ディグル星人サスカル
身長:1.68m/体重:58kg
演:竹中直人
正しき心を持つ物に叡智を授けるといわれている、銀河を流離うヒューマノイドタイプの宇宙人。
見た目はサングラスをかけ、シルクハットを被った洋装の老人だが、水を操って作った鏡越しにユウマの秘密を見破る洞察力の持ち主。
また、種族単位で時間を操る能力を持っているため、未来で起こりうる可能性の内3つの出来事を試練としてユウマに課す。
試練に失敗すれば、ユウマはアークの力を失うという。
本作の狂言回し的ポジションで、基本的に試練の最中には介入はしないが…


  • 犬狼怪獣 ドグルフ(ムーゴン)
身長:65m/体重:65,000t
肩書が表す通り、犬とオオカミを併せたような見た目の怪獣。
愛嬌のある見た目とは裏腹に、人や家畜を襲う獰猛な怪獣として恐れられており、その生態を知るユウマも『人間と仲良くなる怪獣とは思えない』と断言するほどであった。
しかし秋吉山に生息していた個体はシャゴンから近くの村を守っていたらしく、山に迷い込んだ少年時代のモトキを保護して、救助が来るまでの間洞窟に匿っていた。
それ以来モトキから『ムーゴン』と呼ばれるようになり、彼が大人になった後も交流は続いていた。
やがて年老いたムーゴンは次第に元気がなくなり、アークと共にシャゴンを撃退した後は老衰により力尽きた…

デザイン担当は辻本監督。
デザイン画ではゴールデンレトリバー寄りの顔だったが、造形段階で柴犬寄りに変えてもらったとのこと。
因みにデザインが先行していたわけではなく、子供と地底怪獣が仲良くなるというプロットを聞いた上で犬怪獣にすり合わせたという。
CGにより表現された表情の変化は必見。


  • 鎧甲殻獣 シャゴン
TVシリーズにも2回に渡って登場した獰猛な肉食怪獣。
本作では秋吉山に2体出現し、ドグルフ(ムーゴン)を襲った。
このことからドグルフとは弱肉強食の関係だった模様。


  • 宇宙寄生植物 ガチュラ
全長:15~40cm/体重400kg
人間に寄生して意思や肉体を乗っ取る危険な宇宙植物。
寄生された人間は髪が長くなり、両手が蔦状に変化する。
繫殖して地球を乗っ取ろうとする明確な悪意を持っている事から、防衛隊の駆除対象に上がっていた。
5年前に海外で最初の個体が発見されて以来、日本では星元市役所の建設予定地で初めて観測された。
シュウによればカフェインに強い拒絶反応に示すというためSKIPの面々は宿主を炙り出すためコーヒーを飲むことになるが……

  • 宇宙獣 ゼロゲロス
身長:53m/体重:20,000t
ユウマやアークと因縁が深いモノゲロスやディゲロスに似た姿の宇宙獣。
名前の通り角がないのが特徴で、モノゲロスの目に当たる部分は半開きになっている。


  • 邪悪怪人 レポ星人
身長・体重:不明
CV:水野美紀
幻覚作用がある謎の濃霧を発生させる悪の宇宙人。
シュウとは浅からぬ因縁があるようだが…

演じた水野氏は『アーク』TV本編でザンギルを演じた唐橋充氏の妻で、辻本監督とはオムニバス映画『真・女立喰師列伝』からの長い付き合いでもある。
また、特撮出演は同監督による『超速パラヒーロー ガンディーン』以来4年ぶりとなる。


  • 闇戦士 ギルアーク
身長:48m/体重:32,000t
突如空から空間を引き裂いて出現した漆黒の巨人。
アークを黒くした姿が特徴で、ギルアークファイナライズを初めとするアークとほぼ同等の技を使う。


【楽曲】

  • 「arc jump'n to the sky」
歌:access
TVシリーズのOPテーマ。
タイトルバックと終盤の戦闘シーンの挿入歌として使用。

  • 「ミチカケ」
TVシリーズの後期EDテーマ。
ラストシーンにてインストゥメンタル版が流れている。

なお、劇場版オリジナルの主題歌は制作されておらず、エンドロールでは『ウルトラマンアークのテーマ(UA_M-1)』が使われている。
映像は前作同様テレビシリーズのダイジェストだが、21話の後に劇場版のエピソードが挟まれている点が異なる。


【余談】

  • 入場者プレゼントとして、「ウルトラマン カードゲーム」のプロモカードが配布された。
    第1弾は『ギルアーク』、第2弾は劇中シーンをイメージした計3種のPRカードでいずれも数量限定となっている。

  • 企画当初はテレビシリーズの前日談(エピソードゼロ)も考えられていたが、(本編とは別の)SKIPのメンバーを出すのが大変という理由から没になっている。

  • 第2の試練の舞台がSKIP所内になったのは、天候に左右されずに撮影できるというスケジュール管理の一面に加え、テレビシリーズでは出番の少なかった等身大のアークを出したいという話になり、全体のバランスを考慮した結果であると辻本監督は語っている。

  • 終盤で明かされる最終回後のとある要素に関しては、実は初稿にはなく、『ウルトラマンブレーザー』のプロデューサーだった村山和之氏のアイデアだと言う。
    曰く、『最後の試練で得たものが、テレビの最終回に繋がる方がいいんじゃないですか?』とのこと。
    • それを聞いた辻本監督は『的を射てるなぁ』と関心しつつも『この流れから更にどう展開させろと!?』と内心思ったそうな。



君にWiki籠りとしての資格があるかどうか、スペシャルな追記・修正だ。



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最終更新:2025年07月05日 12:02