E4系新幹線電車

登録日:2025/03/18 Tue 14:33:27
更新日:2025/03/29 Sat 12:49:16
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E4系は、1997年から2021年までJR東日本に在籍した新幹線電車である。
E1系に引き続き、「Max」(Multi Amenity eXpress)の愛称がつけられた。


概要

東北上越新幹線で開業当時より使用されていた200系の置き換えと通勤需要への対応を目的に開発された。

全車2階建ての新幹線といえば1994年にE1系が導入されていたが、東北新幹線系統の多層建て列車への対応と需要差による柔軟な編成の組成を目的に開発され、1997年から2003年にかけて26編成が製造された。

8両編成のみが在籍し、2本連結した16両編成の定員は1634人と世界最大級を誇った。

車両解説

車体はアルミ合金製で、両方の先頭車が分割・併合に対応した。
トンネル微気圧波による騒音対策から曲面的なロングノーズとなっており、他に例えるものがない独特の様相となった。
塗装はE2系に準じた飛雲ホワイト/紫苑ブルーのツートンカラーを採用し、帯色は落成当初が山吹イエロー、2014年以降はE1系と同じ朱鷺色に変更された。

車内は勿論全車2階建てで、座席数は817席と平屋車である200系やE2系10両編成以上の輸送力を確保している。
E1系での課題だったワゴンでの車内販売への対応のため、1~7号車のデッキにワゴンを昇降させるためのリフトを搭載。弁当の自動販売機は廃止された。
8号車はバリアフリー対応のため、車椅子用のエレベーターを設置した。
客室はE1系と異なり、2・4・6号車に平屋席の設置が行われた。
1~3号車2階が自由席用のリクライニング機構を搭載していない3+3列席、7・8号車2階がグリーン席、6号車平屋席は普通車のバリアフリー対応のため2+2列席、それ以外は普通車扱いの2+3列の座席となっている。

編成は4両1ユニットの2ユニットで、MT比は4M4T。モーターの出力は1基420kW。
出力は200系の8両編成よりも小さいながら、軽量化の効果か起動加速度が1.65km/h/sに向上している。

なお、本形式には北陸新幹線対応編成が4本(P51・P52・P81・P82編成)導入されており、安中榛名~軽井沢間にある碓氷峠の急勾配を通過するための装備がなされた。
P81・82編成は50/60Hz両方の周波数に対応していたが、60Hzへの対応は簡易的なものであり、緊急時に60Hz区間に乗り入れるだけのものとして想定されていた。
実際の北陸新幹線運用は車重より登坂能力に問題があると判断され軽井沢東京間の上り列車のみで使用され、運用上制約が多すぎたため、2003年9月15日を最後に北陸新幹線での運用は設定されなくなった。


運用の変遷

1997年12月20日に東北新幹線東京~盛岡間で運行開始。E1系の運用を徐々に置き換え、1999年12月4日改正で東北新幹線内の定期「Max」運用は全てE4系に交代した。
この間、1999年4月28日からは山形新幹線との併結運用を開始している。

2001年5月7日より上越新幹線での運用を開始し、2004年3月12日改正からは上越新幹線の16両運用が越後湯沢駅まで拡大された。

2005年12月10日改正で東北新幹線仙台~盛岡間の定期運用から撤退し、以降は山形新幹線併結列車と上越新幹線での運用が主流となる。

2012年3月17日改正より、上越新幹線全区間において16両運用を開始。その一方で同年9月29日改正で東北新幹線から撤退した。

2013年3月16日改正より、高崎駅、または越後湯沢駅で分割併合を行う東京~新潟間の「Maxとき」のうち、途中駅発着の編成を「Maxたにがわ」として列車名を分割。このパターンの列車は冬季に「たにがわ」が越後湯沢駅から分かれるガーラ湯沢駅まで延長となる場合もあり、上越新幹線でも多層建て列車が運行されるようになった。
この時期から老朽化に伴う本格的な廃車も始まっている。当初は2016年の引退が計画されていたが、東日本大震災によるE5系以降の新形式増備計画への影響が発生したため一旦この計画は棚上げとなった。

その後は小康状態が続いたが、2017年からE7系を上越新幹線に導入し運用を行いE4系を置き換えることが発表された。
同年6月24日には東北新幹線開業35周年を記念して仙台~上野間で団体臨時列車として久々に運用された。
その後は順当に廃車が続いたが、2019年10月に発生した台風19号によって北陸新幹線の長野総合車両センターが浸水し、留置していたE7系・W7系が被災する事態が発生。
これに伴い置き換え計画が再度変更され、延命措置が図られることとなった。

その後上越新幹線向けのE7系増備は続き、2020年12月18日のプレスリリースにて、2021年秋をもってE4系の運行が終了することが発表された。
2021年10月1日の運行をもって定期運用から離脱。同年10月9日に新潟~盛岡間、10日に盛岡~新潟間で団体臨時列車が運行され、これを以ってE4系の営業運転が全て終了した。

現在はE444-1が新津鉄道資料館に保存展示されている。

関連作品

電車でGO!プロフェッショナル仕様にて、Maxやまびこ46号を運転可能。
盛岡〜新花巻間の運転で、同区間のみを走るダイヤの中では唯一の隠しダイヤかつ難易度が一段上になっている……が加減速性能ともに申し分ない上にダイヤも緩いので全く難しくはない。
強いて言えば車重ゆえに惰性走行時の減速がかなり大きいので、駅構内の低速域の調整には苦労するかもしれない。

1998年6月25日より単品で発売、2003年7月10日以降単品の品番はS-10として販売、2014年6月28日より動力の世代交代とともに連結仕様*1化、2015年12月26日より新塗装に変更し、引退後の2025年3月時点でも販売中のロングセラー。
連結仕様は、動力世代交代前のオールインワンセット、「E4Max車両基地レールセット」に収録されたのが初出。

2001年9月の展開開始時点で発売。単品はト-03の品番で3両編成、オールインワンセットでは最上級品である「E4系MaxやまびこDXレールセット」にて5両編成で収録。

上述のポケトレインの販促アニメ。「E4けいMaxやまびこさん」名義。声優は宇垣秀成。まじめで親分肌、放送当時、実際に併結相手だったこともあってか、問題児のE3けいつばさくんのお目付け役、みたいな立場である。第1話では坂道に弱音を吐くつばさを叱っているが……。

2003年10月5日に放送されたテレビアニメ版スペシャル「爆走列車! 網走発東京行き! 両津VS拳法バァさん!」に登場。両津が犯人を護送のためにMaxやまびこ132号(E4系P3編成)に乗車。しかし先行列車のこまち16号(E3系R15編成)に180km/hを下回ると起爆する爆弾が設置され、走行中に両列車を併結することになる。



追記・修正はE4系の16両運用に乗ったことのある方にお願いします。

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最終更新:2025年03月29日 12:49

*1 マグネット連結器を後部車両に搭載した編成同士で連結可能な仕様