コペッツ

登録日:2025/04/10 Thu 07:30:00
更新日:2025/04/11 Fri 14:18:20
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「暗黒同胞団ではみな平等。だろう? カーン」


コペッツ(Kopecz)とは、『スターウォーズ・シリーズ』の登場人物。
映画本編から千年前の「新シス大戦」の時代に生きた、シスの暗黒卿である。
スケア・カーンの率いる「暗黒同胞団(ブラザーフッド・オブ・ダークネス)」に所属して銀河共和国やジェダイ騎士団と大いに戦い、最終的にルーサンの戦いで戦死した。


【人物】

◆性格

「ファーファラ、私を殺すと約束しろ。見返りに警告を発しよう」
「死を望むというのか、暗黒卿が? 素直にそう言うがいい!」
「死は古くからの友だ。しかしカーンの企みは、死などよりも遥かに忌まわしい!」

非常に大柄かつ筋肉質なトワイレックで、ベインは初対面時に「これほど大きいトワイレックは初めて見た」と驚いたという。

暗黒同胞団の一員として、そしてシス卿としてのプライドは持っていたものの、同時にシス卿らしく、他のシスたちにも一定の警戒心は抱き続けていた。
もともと敵対していたクォーディスはもちろん、カーンに対しても盲目的ではなかった。
参加してしばらくは不満を見せることはなかったが、十年続く戦争でいまだ決着が付かないのには倦厭していたようで、カーンにも批判的になっていたらしい。
もっとも、カーンはカーンで定期的にマインドトリックをコペッツ含む部下たちに使い、なんとかまとめていたという有様だったので、コペッツの懸念は正しかったわけだが。

一方、生粋の武闘派なだけあり、闘志は強くシス卿としてのプライドも高かった。
最終決戦では、カーンの自爆に巻き込まれるぐらいなら、シスとしての誇りある死を望むとして、最後までジェダイと戦った。
また死にかけの相手を殺すのは忍びないと語るジェダイに「シスの秘密を教えてやるから、戦死の名誉を与えろ」と伝え、勝ち目のない一騎打ちに散ることを望むなど、存外、誇り高い面がある。
その気性はジェダイの騎士から敵ながら一目置かれていたという。

意外とマメで面倒見のいいところもあったらしく、兵卒(当時軍曹)に過ぎなかったベインが「問題行動を起こしたために軍法会議に掛けられたし」と訴えられた際には、そもそもの起こりから詳しく調査し、最終的にベインを抜擢してシスのアカデミーに送り、鍛えるという手配もしていた。


◆能力

「古代シスの技法だ」
「フォースを抽出し、爆発寸前の状態で固定化する。起爆は拍手一つだ。その爆弾がひとたび炸裂すれば、あらゆるものを破壊する」

シスのなかでも特に武闘派・猛将として知られただけあり、高い戦闘能力を持っていた。
フォースの力も強く、また気性は剛毅であり、彼をフォースで操るのは困難だった。
実際、マインドトリックの達人として知られ、他のシスたちさえ操っていたスケア・カーンの催眠を、明確に拒むことのできた三人の一人である(残る二人はダース・ベインギサニー)。

ライトセーバーを使った戦闘を特に好んだが、それだけに「ザコに使うのはいやだ」とまで思い、ジェダイパダワン二名を相手取った際にはライトセーバーを使わず、一人は念力で、一人はライトニングで仕留める余裕さえ見せた。
宇宙戦闘機やスピーダーバイクの操縦も得意とした。

将軍・軍司令官としての才能もあったらしく、カーンがヘマを打ってもコペッツの軍が盛り返す、という事態もよく起きていたという。
武闘派だが脳筋ではなく、当時失伝していたはずのソートボムについても詳しく説明した。上段のセリフはその解説場面である。


【生涯】

◆前歴

「ダークサイドの力。情熱と感情の熱。君の中にもそれを感じる……燃えさかる怒りの炎を。それが君を強くするのだ」
コペッツ、デッセルという名前だったベインに向けて

惑星ライロス出身の男性トワイレック。生年などは不明。
「コペッツ」という名はライロスの言語で「哲学者」という意味で、トワイレックの男性ではポピュラーな名前らしい。

彼は最初、フォースの才能をジェダイに見出され、コルサントでジェダイの訓練を受けていた。
しかし、長年続く新シス戦争でジェダイ騎士団の綱紀も乱れており、またコペッツ自身ライトサイドに満足できず、最終的にジェダイ騎士団から離反、シスの勢力に亡命した

その頃のシスは映画本編の時期とは違い、大勢いた。数が多ければ人材もある程度は豊富になる。
シスに転向したコペッツは、人間族のシス卿クォーディスと激しいライバル関係になった。当時のシスは仲間割ればかり繰り広げていて、コペッツとクォーディスの対立も「よくある現象」でしかなかった。
一方、コペッツはシス卿ながらも堂々とした威厳ある人物で、かつ実力は他のシスと比べても頭一つ抜けていたため、他のシスたちからも一定の尊敬を集めていた。
離反したジェダイ側からも、武闘派として名高いホスとヴァレンサイン・ファーファラはコペッツに対して敵ながら敬意を抱いていたという。

当時は、ジェダイからシスへの亡命者は多かった。
コペッツがいつシスに転向したかは不明だが、それより以後の1010BBY、ジェダイマスター・スケア・カーンがシス帝国に亡命。
シスの暗黒卿を名乗るとともに、「全員が対等にして平等である」「シスは互いに協力してジェダイと戦うべきで、相争うのは止せ」というシスとしては一風変わった組織暗黒同胞団(ブラザーフッド・オブ・ダークネス)を設立する。

カーンは、争っていたコペッツとクォーディスも仲介、両人ともに「同胞団」に加えた。
1006BBY、カーン、コペッツ、クォーディスを中核とした「暗黒同胞団」はシスの母星コリバンを奪還
クォーディスを中心としてシスアカデミーを再建し、素質あるダークサイダーを養成する一方、コペッツは軍を率いて前線に立ち、共和国への戦争指揮に当たっていた。
実際、軍略家としての評価はスケア・カーンよりも高く、同胞団では一番の名将と言われていた。
意外と部下たちへの面倒見はよかったらしく、将兵の論功行賞についての調査を自分が手がけることもあったという。


ある時、彼の指揮した軍が敵勢を打ち破った。
この際、ある分隊の軍曹が無能な上官を気絶させた上で指揮を執り、敵を打ち破ったという報告がコペッツの元に届いた。
成果は上げたが命令は無視した、ということで本来は処罰するべきところだったが、コペッツはなにか感じるところがあったようで、その軍曹を詳しく調べ、実際に現地に赴いてさらに精査。
その結果、問題の軍曹は極めて優れた発想をしていたことと、強大なフォースの素質を持っていたことも発覚。
デッセルという名のその軍曹には、極めて優れた才能がある、と見たコペッツは彼の処罰を取り消し、コリバンに連れて行ってシスとしての訓練を受けさせた。
このデッセルはやがて頭角を現わし、シスとしての法名「ベイン」で呼ばれるようになる。


◆ルーサンの戦い

「ルーサンに艦隊を送るべきだ。全戦力を、だ。ジェダイを一挙に殲滅して、銀河系から永遠に一掃する」

シス帝国は惑星ルーサンに攻め込んだ。「第一次ルーサンの戦い」である。
共和国軍は惑星ルーサンに拠点を置いて惑星キャッシーク(現在はシスが占領中)を攻めていた。ここを落として、キャッシークを守り、ひいては共和国本格攻略の足がかりを得る計画である。
共和国ルーサン方面軍の戦闘機部隊は非常に強く、シスの戦闘機隊は大いに苦戦していた。
これは共和国軍の中枢にいるジェダイが、数人がかりで一心に瞑想して戦場全体のフォースを手繰り、巨大な現象を引き起こすという「戦闘瞑想」の技法を使っていたためである。
コペッツはシスの戦闘機に乗り込んでいたが、この気配にいち早く気付くと、そのフォースのうねりの「中枢」を感知。共和国軍旗艦に飛び込み、ライトセーバーを抜いて兵隊やジェダイ騎士も撃破。
ついには戦闘瞑想を行っていた女性セレアンのジェダイマスターとその弟子二名を発見し、コペッツは彼女たちを即座に殺害
フォースの支援を失った共和国軍は弱体化し、一気にシスの軍勢により駆逐された。
この戦功はコペッツに帰し、彼の名声はますます盛んになった。


「第二次ルーサンの戦い」でも、コペッツ指揮のシス軍は共和国軍を撃退した。

「第三次ルーサンの戦い」では、武闘派として英名も悪名も高い異端のジェダイ、ホス卿が参戦。有志を募った光明軍団(アーミー・オブ・ライト)を率いて参戦した。
「光明軍団」の戦意は高く、シス軍は宇宙戦闘で出し抜かれ、ルーサン上陸を許してしまう。
また、シスの主力軍はこの時期、ルーサンから周辺の星系を制圧に向かっていたため、ルーサンの戦力が手薄になっていた。
コペッツから苦境を伝えられたカーンは、この戦局が全体を左右するとみて、暗黒同胞団の大半をルーサンに集結させた。

この「第四次ルーサンの戦い」開始時点で数はジェダイのほうが多かったが、ジェダイ側からギサニーが離反してシス側に寝返り、軍の規模や配置など多くの情報を暴露したため、罠に掛けて大敗させた。
さらにシス艦隊は宇宙では銀河共和国の艦隊を撃退して有利に立ち、ついに衛星軌道を封鎖して、星まるごとの籠城体制を構築。
なまじルーサンに降り立ったために光明軍団は援軍も補給も断たれて、敵地に孤立してしまった。

「第五次」「第六次」の戦いでも、あまり激しい戦闘にこそならなかったが、シスの優位は覆らなかった。


◆第七次ルーサンの戦い

さて、「第六次ルーサンの戦い」の裏側では、シスの側で暗闘が起きていた。
発端は、かつてコペッツが見出したベインである。彼はいまや、暗黒同胞団が禁じた「ダース」の称号を掲げて「ダース・ベイン」を名乗り、暗黒同胞団をほとんど公然と避難しながら、独自にシスの道を研究していた。
暗黒同胞団首領スケア・カーンは彼を憎み、ついには刺客を送ったが、最初に送り込まれた剣豪カシムは敗死し、二番手として向かったギサニーも毒を盛ることはできたが、ベインはその窮地も脱していた。
コペッツは将軍として忙しいこともあり、直接参加はしなかったが、カーンの懸念もいちおう分かっていた。

そして「第七次ルーサンの戦い」の作戦計画をシスたちが練っていたところに、そのダース・ベインが帰還
シス卿の暗殺を二度も切り抜け、しかも、それでもあえてベインからは矛を収めて「協力しよう」と言うベインにはカーンたちも気を呑まれた。

武闘派ジェダイ・ホス卿の率いるジェダイ部隊「光明軍団」は現在、森のなかに布陣していた。
ベインは、カーンが当初立案していた「別働隊を森の背後に回して挟撃する」という計画を否定。
ベインが新しく習得した「戦闘瞑想」をシスたちで行い、一気に殲滅する作戦を立てた。
コペッツは賛成し、カーンたちも同意。
全員が意識を集中させて星のフォースを操り、その莫大なエネルギーをベインは炎へと変換して、ジェダイが潜む森へと叩き付けた。
その破壊力は圧倒的で、ジェダイの陣地を蹂躙。大勢のジェダイを倒し、一気に殲滅まで行くかと思われた。

ところが、その途中でカーンが瞑想を破り、他のシスたちも抜けてしまう。
集まったフォースは散り、炎も消えて、ジェダイは逃げ去った。
はしごを外されたベインは激怒したが、カーンは「後はスピーダーで個別に殲滅すればいい」といいだしてさっさと出撃し、同胞団の面々もカーンに賛同して飛んで言ってしまった。

一人残されたベインに、最後に声を掛けたのはコペッツだった。
コペッツはベイン自身には自覚がないだろうが、いまの戦闘瞑想はやられる側には恐ろしく不快であったことと、なにより皆がベインに恐れを抱いたことを語って、去って行った。

「お前がジェダイを粉砕しようとフォースを集中したとき、お前の歯が我々の喉笛に食い込んでくるかのように感じた……まるで俺たちのエネルギーを吸い尽くそうとしているかのようだったよ」
「我々の唯一の強さは、団結にあるのが分からないのか? ダークサイドのためにやったのだ、私欲のためではない!!」
「まあ……俺たちのためにやったのではないことはわかっているよ」

コペッツとしてはカーンの態度にも思うところはあったようだが、その場はジェダイ追討に参加。
しかし、ジェダイ部隊を追い込んだと思ったその瞬間、暗黒同胞団の背後に突如新手のジェダイ部隊と共和国艦隊が出現。前後からジェダイに襲われた同胞団は、優勢から劣勢へと一気に暗転したことで、大きな損害を受けて敗退した。

実はこれは、先の一件で同胞団を見限ったベインの策略だった。
ベインは以前から考えていた「シスの今後のためには、暗黒同胞団も完全に解体するべきだ」という思想に、本件でついに確信を持った。

そこで、ベインは同胞団の司令室に忍び込むと、命令を偽造して惑星を封鎖していたシス艦隊に、前進しての共和国艦隊攻撃を命じていた。
シス艦隊は、ルーサンを封鎖して共和国の増援部隊を阻み、それによって揚陸していたジェダイ部隊を孤立させ、消耗させていた。
その封鎖艦隊を前進させれば、封鎖線はどうしてもほころびる。そこを共和国の揚陸部隊が必死になって突撃し、間一髪で先遣隊と合流したのだった。


◆破滅と戦死

「カーンは、我々ならばその影響にも耐えられると信じているのだ。ジェダイだけが滅びると思っている」
「正気じゃないわよ!! ベインが正しかったわね。私はもうこんなところ出ていくわ! コペッツ、あなたは来るの!?」
「いや。私はずっと昔に自分の道を選んだ」

自らも重傷を負ったスケア・カーンは、死の恐怖に取り憑かれて平静さを失った
彼は一発逆転の策として思念爆弾(ソートボム)を持ち出した。
カーンは、自分たちの実力ならば思念爆弾の効果を克服できると考えていたが、コペッツは「そんなことは不可能だ」と理解していた。そして、この自殺にしかならない計画を危機として打ち出したカーンが、もはや正気を失っていることも分かった。

コペッツは事の次第をギサニーに打ち明けた。ギサニーも思念爆弾の効果は知っており、カーンを見限り、新しく弟子とした少年も連れて逃げた。
しかしコペッツは、カーンのマインドトリックによる「思念爆弾への参加」はついに拒絶したものの、すでに拠点の洞窟はジェダイに包囲され、抜け出す未来がないことも分かっていた。

万策尽きたと悟ったコペッツは、せめてシスとして誇り高く死ぬべく前線に飛び出し、他のシスたちとともにジェダイ騎士団への決戦に挑んだ。
洞窟を守るシスたちが次々と戦死し、あるいはジェダイに降伏していくなかで、コペッツは最後まで奮闘。
満身創痍となりながらも、ついに共和国増援部隊の司令官ヴァレンサイン・ファーファラの前に出た。
ファーファラは、全身傷だらけで立つのもやっとなコペッツに降伏を勧告したが、コペッツは拒絶。
代わりに、「この俺に戦死という名誉を与えてくれるなら、この先の洞窟で起きていることを教えよう」と伝える。
そのただならぬ様子を見たファーファラは彼の意向を受諾。
コペッツは、「正気を失ったカーンが思念爆弾を作って何もかも破滅させるつもりだ」と言い残して、ファーファラに突撃。
万全の状態であればともかく、消耗しきった状態ではコペッツは敵わず、ファーファラに討ち取られて、壮絶な最期を遂げた。


【余談】

トワイレックのシス卿としては、コペッツの他にはダース・タロンや、ダース・テネブラスのマスター(名前は不明)などがいる。





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最終更新:2025年04月11日 14:18