ギサニー

登録日:2025/04/07 Mon 21:30:00
更新日:2025/04/19 Sat 22:34:32
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「それのどこが楽しいの!? 私はジェダイの血が見たいのよ!」


ギサニー(Githany)とは、『スターウォーズ・シリーズ』の登場人物。
映画本編から千年前の「新シス大戦」の時代に生きた、シスの暗黒卿である。
スケア・カーンの率いる「暗黒同胞団」に所属して銀河共和国やジェダイ騎士団と大いに戦い、最終的にルーサンの戦いで落命した。
またダース・ベインとは非常に関係が深い。


【人物】

◆性格

「あらコペッツ! どうしたの?」
「よくない知らせだ」
「ジェダイの援軍が来たのね? 攻撃はいつ頃?」

ウェーブの掛かったつややかな黒髪に、褐色の肌、緑の瞳、豊かな唇と鮮やかな口紅、耳に付けた大きなピアス、と魅力的な容姿の女性。口紅やピアスは派手だが、顔の造形も美しく、決して装飾に負けていない。迫力ある美人といった趣。
額には左のこめかみから中央に向けて、渦巻きのようなタトゥーを入れている。

シスの暗黒卿というと闇に没頭した陰険な人物か、アサージ・ヴェントレスのような凶暴性を剥き出しにした人物をイメージするが、ギサニーは意外にも闊達で社交的な人物
感情をストレートに出す傾向にあり、よく笑い、よく怒り、よく楽しむ。
そういう気性に加えて、元の美貌も相まって、魅了される人物は非常に多い。

「裏切りはライトセーバーよりも強力な武器よ」

もちろん戦時中のシス卿であり、基本的には凶暴で嗜虐的。
戦場での大暴れを好み、ジェダイを直接討ち取ることに意欲を燃やす、ある意味分かりやすい性格。
戦争末期にはジェダイに劣勢になったにもかかわらず、仲間のシスに対して明るい笑顔で応対するなど、逆境にも強い。
かつての恋人と戦った際には怒りや憎しみといった念を直接にぶつけていた。

一方で、仲間や身内に対して面倒見のいい一面がある。
カーンが自爆作戦を打ち立てたと知ると即座に脱走を決意したが、その話をした同僚のシス卿に「あんたはどうするの!?」と、一緒に離脱することを勧めている。
また、戦場で拾った少年兵を弟子にしたが、敵に対して手間取る少年に対して何度も声を掛けたり、助太刀したりしている。
切迫した状況下でギリギリまで声を掛け、ついに見捨てることになっても「残念ね」と呟くなど、意外と無情ではない。
シスの訓練をしていた時期には、当時伸び悩んでいたベインに接触し、一緒に修行をしていた時期もある。


もう一つの特徴として、多情で恋多い一面があると言うこと。
ジェダイ時代には兄弟子の男性と恋愛関係になり、それを糾弾され関係を無理やり終えさせられたことで、怒り狂ってシス側に寝返ったほど。
シスに転向後も、ベインと恋仲になったかと思えば、同期の優等生に寝返り、またベインが強くなったと確信すると同期と手を切りベインの側に戻る……と、割と節操がない。
シスの暗黒卿らしいと言えばそうだが、シスもダークジェダイも基本的に恋愛模様が描かれないシリーズと言うこともあって、なかなか異彩を放っている

しかし、そうした放逸なところが魅力となり、多くのジェダイやシスから魅力的に思われていたのも事実。
口説くことはなかったが、人間ではないトワイレックのシス卿コペッツも内心では見蕩れることがあったという。

またベインとの関係は基本的に良好で、彼から「二人の掟」の構想を打ち明けられたり、最初の弟子になってほしいと頼まれたりと、同胞団に明かされるとマズいはずの話も聞かされている。
すでにギサニーから毒を盛られた身でありながら、彼女が差し出したシチューをなんだかんだでうまそうに食べる場面もあり、ベインは意外と打ち解けていた。


◆能力

「隷属しているのはあんたよ、ジェダイ。フォースを自分のために使わないなら、何のために術を学んだの!?」

シスの暗黒卿というだけあって、当然のことながらフォースライトセーバーに通暁する。
各種の念力やマインドトリックも一通り使えるが、彼女の場合はジェダイ時代からフォースライトニングを使えたというのも特徴的。
ダース・ベインにこの技を教えたのもギサニーである。

ライトセーバーについては、当然ながら赤い光刃のシス型。柄は通常タイプ。
得意としたフォームは不明。
しかし最後の戦いでは洞窟で襲いかかるジェダイや共和国兵士をほとんど一人で全滅させており、相当な腕利きであるのは確か。

またギサニーは、このライトセーバーとは別にもう一つ、ライトウィップという武器も所有していた。
これはライトセーバーの亜種で、鞭のような長くしなやかな光刃を作り出し、振り回して使うもの。
当然、その光刃はライトセーバーのものと同じものなので、触れた相手を即座に切断する。
本物の鞭は布一枚でも威力を大幅に減衰されてしまうが、こちらは直撃すれば一瞬で切断するので、殺傷力は本物の鞭の比ではない。
またその軌道も非常に読みにくく、変幻自在の攻撃ができる。加えてその光刃は通常のライトセーバーよりもずっと長く、間合いに入ることさえ難しい。

一方、軌道が読みにくいのは使い手にとっても同様であり、迂闊に振り回すと自分や味方をも切り裂いてしまいかねない
当然、鞭である以上いちいち振りかぶる必要があるし、防御には使いにくい。
使用者が少ないのも道理なのだが、ギサニーは自分を斬ってしまわないのはもちろんのこと、敵と味方が交戦しているところに助太刀し、相手の脚だけを切り落とすという芸当さえ可能とする。

その高い殺傷力と変幻自在の太刀筋を見事使いこなす彼女には、歴戦のジェダイでさえも簡単に討ち取られてしまうほど。
シスの訓練生時代には彼女一人で敵対したシスを二人同時に討ち取り、ルーサンの戦いでは元兄弟子のジェダイ・キール・チャーニーを一方的に撃破している。


【生涯】

◆前歴

「じゃあ私はどうなのよ!? キール! 私の怒りを買ったとは思わないわけ!?」

出身地や生年など、詳しい前歴は不明。
ただ、種族は人間であり、その美貌からしてもルーサンの戦役時点で二十代だっただろうとされる。恐らく同世代のダース・ベインも当時26歳だし。
幼少期にジェダイ騎士団に引き取られ、一歳年上の候補生キール・チャーニーと共に、ハンダ(Handa)という名のジェダイマスターのパダワンとなった(当時はまだ一度に複数の弟子を持つことが許されていた)。

少女時代、ギサニーは一度フォースとの繋がりを失ったという。というより、フォースのあまりにも巨大な一面を知って怖くなり、精神的に「壁」を作って拒絶したという。
幸いにもマスター・ハンダの補助でなんとか克服できた。

やがてギサニーとキールが成長し、ナイト昇進も近いか……と思われていた矢先、事件が起きる。
若い女であるギサニーと若い男であるキール・チャーニーとが、男女の仲になってしまったのだ。
当然マスター・ハンダは激怒して、二人とも激しく折檻した。
キールは反省の念を示したが、ギサニーは却って怒り狂い、何とジェダイから離反してシスへと転向することを決意した。
それも、すぐにシス帝国へと亡命するのではなく、しばらくジェダイ騎士団に留まり、惑星ルーサン奪還作戦に関する情報を集めてから離反。
この情報をシス帝国首脳部・暗黒同胞団(ブラザーフッド・オブ・ダークネス)に高く売り込んだ。

幸い、彼女は暗黒面の素質が強かったというかカーンやコペッツは「何でジェダイにいたんだ」と不思議がってた。
同胞団の首領スケア・カーンは彼女を惑星コリバンのシスアカデミーに送り、シスとしての訓練を受けさせた。
また、暗黒同胞団の猛将として知られるコペッツは、ギサニーから受け取った情報を利用して、共和国軍を大破した。


◆シスの女卿

「私一人ではシラクには勝てないのよ。強すぎるわ」
「彼はシスアリだと言われているが」*1
「私は予言を信じないの」

アカデミーに入ったギサニーは、ベインという名の大柄で禿頭のシスと親しくなった。
当時ベインは、精神的なショックからフォースとの繋がりを見失っており、迷いがあって能力が衰えていた。当然、他のシスたちからも見放され、孤立していた。
似たような経験を持ち、かつそれを克服していたギサニーは、ベインに近づくとその克服のため、協力
ジェダイ時代から培っていたフォースライトニングの技術も伝授した。
もちろん、ベインの側も先行するシスの知識を教えている。

この過程で、ギサニーとベインは恋愛関係になった。
またギサニーは、ベインと協力することで、アカデミーのシス候補でも一番の実力者と言われていたザブラクの男・シラクを打倒することを考えていた。
実際彼は相当強く、ベイン曰く「ダブルブレード=ライトセーバーの使い手としては、ブレードマスターと言われたカシム卿の次ぐらいには強いだろう」とのこと。
戦闘フォームはパワー重視のシエンと、なんとジュヨーも使いこなした*2

しかしベインは、一度シラクを試合で打ち負かしたにもかかわらず、殺さずに見逃した
これを「シスらしくない」「臆病なのか」と怒ったギサニーは、ベインの側を離れてシラクと組み、今度はベイン打倒に舵を切った。
シラクは、ギサニー、それに元の友人二人の計四人で、折しも古代シスの霊廟調査から帰ってきたベインを襲撃した。
だがフォースとの繋がりを取り戻したベインははるかに成長しており、ギサニーは今度はシラクから離反。友人二人を自ら殺害し、ベインがシラクを討ち取るのを観戦した。
今度は、シラクの命乞いもベインには通じなかった。


◆ベイン暗殺計画

「ブラッドスープを持ってきたわよ」
「また毒入りか?」
「あなた……知ってたの?」
「口紅に仕込んでいたのだろう」

ギサニーがシスに寝返った時点で、シス帝国は惑星ルーサンを占拠、その勢力を近隣星系に広げていた。
これに対して、ジェダイ騎士団の武闘派勢力・光明軍団が猛反撃を開始し、惑星ルーサンに上陸、拠点も築き上げた。
シス帝国はこのルーサンの戦いが戦争の趨勢を決めると判断。シス帝国の全戦力をここに集結し、ホス卿率いる光明軍団と雌雄を決することにした。

ギサニーにも動員令が下った。
しかし、ルーサンに到着した彼女に与えられた指令は、ジェダイ討伐ではなくかつての愛人ダース・ベインへの暗殺任務だった。
彼はカーンの方針を批判しており、またカーンが先にベイン討伐のため派遣した剣豪カシムも返り討ちにしていて、敵対していた。

ギサニーは予知夢でベインが惑星アンブリアにいると知り、現地へと訪問。
ベインはすでに同胞団を解体し、「二人の掟」を中心とする新たなシスの教団を作るべきと考えていて、ギサニーに「最初の弟子になってほしい」と交渉したが、ギサニーは今のところそのつもりはないと拒否した。
とはいえ、ベインとギサニーの関係自体は悪くなっておらず、この会合の間にベインとギサニーは何度か口付けを交わしている。
……そしてこの口付けが、ギサニーからベインへの罠であった。
ギサニーは、この口紅に毒を塗っていた。それも、協力で遅効性の毒を舌に塗り、その上に即効性で弱い毒を重ねて塗った。
ベインとて警戒はしている。裏切りはシスの道だ。だから、そのまま毒を飲ませてもベインはすぐに見抜き、解毒の手を打ってしまう。
しかし、二種類の毒を重ね塗りしたことで、ベインは「即効性の弱い毒」にはすぐに気づき、対処したが、その舌に塗られていた「遅効性の強い毒」には気付くのが遅れた。

ギサニーが去ったあと、果たしてベインは気付くことのなかった二種類目の毒が発動し、生死の境目を彷徨った。


◆ルーサンの戦い

「ジェダイを滅ぼした後に、それを見届けましょう」
「うむ。全てはそれからだ」

しかし、悪運もあってベインはなんとか腕利きの医者を見つけ、その娘を人質にとってなんとか回復。
体力を回復させた彼は、惑星ルーサンに赴き、ジェダイ軍と戦うスケア・カーンの本陣を訪れた。
すわ一触即発かと思われたが、ベインはカーンの暗殺計画を「じつに勇気ある決断だった。賞賛に値する行為だ」と褒め、改めて暗黒同胞団に参加。
ジェダイ討伐のため、「戦闘瞑想」の秘術を用いて一気に大技を使うべしと進言した。

この時、ギサニーもスケア・カーンの本陣に参加していた。
作戦会議が終わったあと、ギサニーはベインの元を訪れ、しばし歓談した。

この際ベインは先の暗殺がほとんどうまくいったことを賞賛しつつ、「本来なら毒にも対処できるはずのシス卿が毒で死にかけたというのは、暗黒卿の数が増えすぎ、暗黒面のフォースが薄くなってしまったからだ」「ダークサイドを強くするためには、暗黒卿の数を一人にするべきなのだ」と熱弁。
ギサニーはそこに「あるいは、二人」と続ける。
ベインも「うむ。二人に」とギサニーの言いたいことを理解し、同意。


その夜、シス軍はフォースを使えない雑兵たちや、弱いシス卿を中心とした陽動部隊がジェダイ・光明軍団の本陣を夜襲。
それとは別にベインを中心にカーン、ギサニー、コペッツ、そしてその他大勢のシス卿が集まり、一心になってフォースを操るという「戦闘瞑想」の秘術を展開。
さらにそうして集めた莫大なフォースをベインが炎に変えて操り、シスの陽動部隊もろともジェダイの本陣に叩き付けた。
この強烈な一撃で、ジェダイ本陣は壊滅。組織のナンバースリーだったペルニカが戦死するなど大きな打撃を受ける。


◆逆転

「スピーダーに乗りなよ、ベイン! 一気にジェダイを殺しましょう!」

しかし、シスの猛攻は一時途絶えた。
カーンが瞑想から覚め、ベインの戦闘瞑想を破ったのだ。他のシスたちも離脱してしまう。
カーンはベインの力が強くなりすぎることを恐れた。コペッツも「まるでベインのフォースが我々の生命力を吸い取るようだった」と嫌悪感を示す。
ベインは憤慨するが、カーンは「あれだけ打撃を受けたジェダイなど、あとは我々が個別に殲滅すればいい」といって耳を貸さず、ベイン以外のシスたちを連れてスピーダーで飛んで行ってしまった。
ベインはなおもギサニーを説得しようとしたが、彼女も「それのどこが楽しいの!? 私はジェダイの血が見たいのよ!」と、快楽を優先してしまう。
(いちおうギサニーはベインに上記の台詞で誘っていて、彼女は少なくともベインを嫌ってはいなかったが)
残されたベインはギサニーをついに見限るが、彼の言葉は飛んでいったギサニーには聞こえなかった。


カーンやギサニーを中心としたシス主力は、前夜の一撃で大ダメージを負った光明軍団を襲撃。
もちろん光明軍団も迎撃を開始するも、弱り切ったジェダイには反撃する余力もなく、そのまま全滅か……と思われた矢先、シス部隊の背後に巨大な飛行戦列艦が出現。
光明軍団のナンバーツー、ヴァレンサイン・ファーファラの援軍が到着したのである。
カーンのシス軍はもちろん反撃を開始したが、戦場に到着したばかりの300のジェダイは無傷で、カーンたちは逆に大打撃を追って敗退した。

……しかし、シス側でベインとカーンが揉めたように、ジェダイ側も内紛が起きた。
光明軍団のリーダー・ホス卿は、もともと性格が苛烈で、かつ短気であり、闘争心が強い反面協調性がなかった。
そしてホス卿は、船から下りてきたファーファラに「どこで道草を食っていた!!」と激怒。
しかも、こういうときにホス卿をなだめていたペルニカは前夜戦死していた。
ホス卿は「貴様がのんびりしていたからペルニカも死んだのだ!!」と怒り狂い、ファーファラも激怒。ついにファーファラは援軍部隊だけを率いて、独自にカーン追撃に行ってしまった。


「自分自身を見てみなさい! 私を殺す気になれないでいる! まだ私を愛しているってわけね、キール。その“愛”があんたを殺す! だからジェダイは勝てない! あなたは弱い。ダークサイドのほうが強いのよ!!

そして、元の負傷兵ばかりになったホス卿本陣を、離脱していなかったギサニーが襲撃。
この本陣にはギサニーのジェダイ時代の兄弟子にしてかつての恋人、キール・チャーニーもいた。
ギサニーとチャーニーは一騎打ちとなるが、実力はギサニーが圧倒的に上で、しかもチャーニーにはギサニーへの未練があった。
結局チャーニーの説得も通じず、ギサニーのライトウィップがチャーニーの手首を切り落とす。
さらに、一連の戦いを見ていたジェダイの少年兵ダロヴィットも、ジェダイの弱さとシスの強さを痛感。
これまでの激しい戦争の現実を見て「ジェダイの理想」が脆弱なものであったことも悟ったダロヴィットは、手首ごと落ちたチャーニーのライトセーバーを奪い、その持ち主を殺害した。
ギサニーはこの少年兵の選択を賞賛。自分の新たな弟子として、シスに迎え入れて本拠地へと去って行った。


◆思念爆弾

「バッカじゃないの!? 呆れたもんだわ、なに考えてんのよ!!」
ダロヴィット「ソートボムって何? どういう意味?」
「まあ、要は……我々は死ぬということだな」

本陣に戻ったギサニーは、待っていたらしいコペッツと再会。
形の上では敗退したが、ギサニーはチャーニーを討ち取りジェダイにも打撃を与え、新しい弟子も得たことで快活な気性を取り戻し、浮かない顔のコペッツにも「ジェダイの援軍が来たのね? 攻撃はいつ頃?」と殺る気満々で応対していた。
ところが、コペッツから「もっと悪い状況だ。カーンは思念爆弾(ソートボム)を使うつもりらしい」と聞かされたことで、彼女も顔色を変える。

ここに到り、ギサニーはカーンが想像していた以上の愚か者だったと判断。
もはや司令部にも顔を出さず、ダロヴィットを連れて即座にルーサンから撤収することにした。

「正気じゃないわよ!! ベインが正しかったわね。私はもうこんなところ出ていくわ! コペッツ、あなたは来るの!?」
「いや。私はずっと昔に自分の道を選んだ」
「好きにしなさい!!」

ギサニーが最初通った表の出入り口は、ファーファラ率いる新手のジェダイ部隊に攻撃されていた。コペッツはこちらに立って迎撃していたが、劣勢を覆すことはできず戦死を遂げる。
ギサニーはダロヴィットを連れて、裏口へ抜ける洞窟を進んだが、こちらもジェダイの別働隊が侵入していた。
ギサニー・ダロヴィットと別働隊は激しく戦うが、別働隊にはダロヴィットの従兄弟で兄弟同然の仲だったハーディンがおり、ダロヴィットとは実力が同じで、また互いに殺意を抱くことができず膠着状態に陥る。
その上、戦闘のパニックで洞窟のコウモリが暴れ出し、ジェダイにもシスにも襲いかかった。

ギサニーはコウモリに襲われながらもジェダイや共和国兵を殲滅し、またコウモリも駆逐したが、片目を潰されてしまう。
その上、振り向けばダロヴィットはまだハーディンともつれ合っていた。

「聞こえないわけ!? ダロヴィット! いい加減になさい!!

ギサニーはライトウィップを一閃させてハーディンの脚を切断するが、その直後にカーンの「思念爆弾」が発動。

思念爆弾(ソートボム)が今にも炸裂するのよ! それまでにベインを見つけないと! 彼らのバイクがあるわ! これで逃げるよ! 急ぎなさい、ダロヴィット!」

しかし、ダロヴィットはそれでも「兄弟」を放っておけなかった。
ギサニーはとうとう彼を見捨ててスピーダーに乗り、全速力で逃げ出した。

「残念ね、ダロヴィット。チャンスをふいにしたわ!」

が、わずかに遅かった。
ダロヴィットに手を貸しハーディンを倒したからか、あるいはダロヴィットに声をかけ続けたからか……いずれにせよ、時間を無駄にしてしまったギサニーはスピーダーの上で急速に精気を吸い取られ、ミイラ化。
さらに思念爆弾の影響で爆心地へと引きずられていった。



それから少しして、思念爆弾が鎮静化したあと、銀色の球体を残した「爆心地」を訪れた人間がいた。
一人はダロヴィット。一人は様子を見に来たダース・ベインと、もう一人は拾われたばかりのダース・ザナー。
思念爆弾が残した銀色の球体。その中にシスやジェダイたちの魂が封印されていることを分析・説明するベインの後ろに、ギサニーも現れた。
だが、そこにいたのは美貌と明るさと嗜虐性を誇ったギサニーではなく、精気を吸われて痩せ細り、ミイラのようになったギサニーだった。

「ベイン……」
「生き残ったのよ、私も……ソートボムを、超えたの……あなたのように……」
「あなたの弟子になるわ……一緒に、二人の、お、き……」

それが最後だった。
ギサニーの肉体が一瞬で骨だけとなり、その場に崩れ落ちた。そして目に見えない彼女の魂もまた、この球体に吸い込まれて、犠牲者の一人となった。
ダース・ベインは最後に「彼女は自分自身の裏側を見ることができなかった。ダークサイドを理解できなかったのだ」と言い残して、その場を去った。


【余談】

新三部作が考案された時点で、「女性のシス卿」という案は何度か考案されていたが、結局映画本編では実現することがなかった。
またその考案された没キャラクターたちも何人か再登場したが、アサージ・ヴェントレスマザー・タルジンも、結局は正式のシス卿とはなっていない。
ギサニーはその内、正式な「女性シス」として設定された一人となっている。
(他の女性シスにはダース・ザナーやダース・コグナス、ダース・タロンなどが著名)

また、彼女を含むカーンやコペッツ、ベインなどが初めて本格的に描かれたコミック「ジェダイVSシス」シリーズは2001年に発表されたとのことで、まだEP2も公開されていなかった時期の作品である。
そのため、彼女は「最初の女性シス」といっても過言ではないかもしれない。





「パソコンを立ち上げなよ、ベイン! 一気に項目を追記・修正しましょう!」

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最終更新:2025年04月19日 22:34

*1 シスアリ:「真のシス」の意味で、ダークサイドの体現者とも言われる存在。

*2 剣術指南役のカシム卿は、シラクのジュヨーを「ヴァーパッド」と呼んだらしい。ヴァーパッドはご存じメイス・ウィンドゥ創始の剣術であり、その千年前には存在しないはずであるが、もしかしたらメイスが開発するものとは別に「ヴァーパッド」と呼ばれるジュヨーの派生剣法があり、メイスの時代までに失伝したのかもしれない。