アレクシア・アシュフォード

登録日:2025/05/15 Thu 15:23:34
更新日:2025/05/17 Sat 13:29:19NEW!
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復活の時、私は女王として目覚める。そして我が子らによってT-Veronicaが世界中に放たれ、地球上の全生物が私の僕となる。

そう、地球も私の蟻塚のように美しい一つの生態系となるのだ。


アレクシア・アシュフォード(Alexia Ashford)とは、「バイオハザード CODE:Veronica(以下CV)」の登場キャラクター兼クリーチャー。同作のラスボス。

外伝作品の「ガンサバイバー2 バイオハザード CODE:Veronica(以下GS2)」「バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ(以下DC)」にも登場する。


【プロフィール】

年齢:27歳
身長:175cm
体重:54.3kg
血液型:不明

【概要】

イギリスの名門貴族、アシュフォード家6代目当主であるアレクサンダー・アシュフォードの娘。
7代目当主であるアルフレッド・アシュフォードは双子の兄にあたる。
10歳にして名門大学を首席で卒業し、アンブレラの推薦を受けて南極基地の主任研究員に任命された才女。
祖父にあたるアシュフォード家5代目当主、エドワード・アシュフォードはオズウェル・E・スペンサージェームス・マーカスと並ぶアンブレラ創立メンバーの一人でもある。
また直接の面識はないものの、同じくアンブレラ研究員であるウィリアム・バーキンは彼女に一方的なライバル心を向けていたことが語られている。

【人物像】

長い金髪に碧眼、紫色のドレスをまとった美女。
だが、性格は冒頭の文面からも分かる通り非常に傲慢且つ邪悪そのもの。自分以外の生物を全て実験動物としか考えない等、サイコパス・マッドサイエンティストと言って差し支えない。
「女王アリさえいれば巣は存続できる」というアリの生態を「他のアリが奴隷として命を捧げる姿はまさに理想的」「私と愚民共の関係にふさわしい」と称するなど、アリに対して強い関心を持っている。
仕掛けを解く際に流れる幼少時代のスライドでは、トンボの翅を引きちぎって地面に落とし、アリの餌になるのを眺めながらアルフレッドと共に歪んだ笑みを見せる場面が見られる。
イルカのボールペンとかニワトリの鳴き声みたいな下品な笑い声が最大の特徴

「DC」では本編に比べて言動が幼く、「子供特有の無邪気ゆえの残酷さ」が前面に出たような性格になっている。

【出生の秘密】

かつて、アレクサンダーは父エドワードのウイルス研究をサポートする傍ら、研究をより効率よく進めるための極秘プロジェクトを水面下で進めていた。
だがその最中、エドワードが始祖ウイルスに感染し死去*1、アレクサンダーにとってウイルス研究は専門外だったため他の研究者に大幅な遅れをとってしまい、アシュフォード家の名は没落する。
かつての栄華を取り戻すため、アレクサンダーはプロジェクト「コード:ベロニカ」を急ピッチで進める。

これはアシュフォード家初代当主であるベロニカ・アシュフォードをクローン技術で蘇らせようというもので、専攻していた遺伝子工学の知識をもとに知性を司る遺伝子を特定、ベロニカの細胞から作り出した受精卵に手を加えて天才児を人工的に生み出すことに成功する。
彼にとって想定外だったのは、男女の双子が生まれてきたことだった。兄の方は「普通より知能は高いが天才とは言えない」レベルだったが、妹の方は史上稀にみる天才的な知能を備えていた。
…もうおわかりであろう、この双子こそがアルフレッド・アレクシア兄妹である。

かくしてベロニカ計画は成功を見たかに思われたが、アレクサンダーにはもう一つの誤算があった。
クローン人間という禁忌に手を出した代償か、アレクシアは確かに明晰な頭脳を持ち合わせてはいたが、人間性は上述の通り完全に破綻していたのである。
当然、アレクサンダーの悲願であるアシュフォード家再興など考えておらず、「世界を巨大なアリ塚にたとえ、優秀な女王アリである自分がその頂点に君臨する」ことを目的に行動している。

【作中での動向】

  • 1983年
南極基地にて新型のウイルス兵器「T-Veronica」の開発に成功。出生の秘密を知りアレクサンダーを憎んでいたアルフレッドも巻き込んで父を拉致、T-Veronicaの実験体にするも失敗。これをきっかけに副作用を受けずウイルスを定着させる方法を思いつき、研究中の事故による死亡を装って15年間のコールドスリープに入った*2

  • 本編
コールドスリープを終え、計画通りT-Veronicaとの共生に成功。手始めに南極基地を脱出しようとしたクレアとスティーブを捕える。
南極基地に乗り込んできたクリスがクレアを救出したところに再度姿を現し、二人を分断。
スティーブにT-Veronicaを植え付けてクレアを襲わせる一方、自身はT-Veronicaを奪いに来たウェスカーと対面し、ウイルスの力を開放して交戦*3。彼が逃げた後はクリスに襲い掛かるも倒され、一時的に姿を消す。

その後、南極基地を脱出しようとしたレッドフィールド兄妹を妨害するべく出現。巨大な女王アリの姿へと変貌してクリスを苦しめるも、最後はアンブレラの最新兵器・リニアランチャーを打ち込まれ爆発四散した。
皮肉にもかつて自身を一方的にライバル視していたウィリアムと同じような末路を辿る事となった。*4


【クリーチャーとして】

  • 第1形態
T-veronicaのチカラを開放して異形化した姿。
まだ人間だった頃の面影が残っているが、全身が灰色に変化して各所に植物が絡みついたようなデザイン。
最大の特徴は外気に触れると発火する血液。周囲にまき散らしてダメージを与えるとともに、炎の壁を作り出してこちらの行動範囲を狭めてくる。この血液の影響で、纏っていたドレスは変異の際に燃え尽きた。つまりすっぽんぽんだがエロくはない。
そして最も恐ろしいのはプレイヤーを掴み上げて直接熱を送り込み即死させる「体内発火」。レバガチャしても脱出できないので捕まった時点で死は確定する。要は近づかなければいいんだろ、と思うかもしれないが、血液散布を食らうと炎を振り払う動作が入って数秒間動けなくなるため、行動範囲の狭さも相まってその間に接近されることも少なくない。
その他消化液を吐き出す攻撃も使うが、威力は低く上記2つに比べればさしたる脅威ではない。
そんなわけで、なるべく距離を取っての攻撃を心がけること。幸い覚醒して間もないためか耐久力はそれほどでもなく、遠距離からのハンドガンでも30発ほど打ち込めば倒せる。
戦闘BGM「Theme of the alexia」は当時のバイオとしては珍しいオペラ調の楽曲。ピアノのイントロから始まる燃え盛るような曲調はアレクシアの特徴を捉えており人気が高い。

基地の自爆装置起動後に出現した際は、何でもいいので攻撃を当てればイベントが進行するが、モタモタしているとクレアが突き落とされてゲームオーバーになってしまうため注意。

バトルゲーム・ウェスカー編のボス。武器がナイフしかないので上述の体内発火が脅威。ナイフプレイを極めたユーザーでもない限り、道中でマグナムを手に入れておかないとまず勝ち目はない。D.I.J.の日記が出ちゃった?知らんよ。

パラレルワールドにあたる「GS2」ではロックフォート島で第1形態のアレクシアがクレアとスティーブの2人と対決するシナリオとなっており、当のスティーブはT-Voranicaを植え付けられる事なく生き延びた上に第1形態のまま倒される等、正史とは真逆の結末を迎えていた。
ちなみに「GS2」におけるラスボスが追跡者であり、アレクシアの死後にクレアとスティーブの前に立ちはだかった。*5

  • 第2形態
アレクシアのウイルスが進行して巨大な女王アリへと変貌した姿。後述するマヌエラの件から見るに、これ以降の形態は度重なるダメージを負ったことによるイレギュラーな姿と考えられる。
上半身は腕がなくなって4枚の翅が生え、下半身は巨大な卵管となる。巨大な根のようなもので体を支えているためか移動はできなくなっている。
触手の振り回し・叩きつけに毒液、攻撃生物の産出など行動パターンも多彩化している。
攻撃力・耐久力共に高い難敵だが、ここまで温存できているなら火薬付きボウガンが非常に有効。遠距離から乱射していればあっさり倒せてしまったりする。

  • 第3形態
卵管を破壊されたことで上半身だけを離脱させ、飛行形態をとったもの。セクトニアソウル?アレクシアの方が遥かに先です。
その姿は女王アリよりもアリの餌として虐待していたトンボに酷似しているのが皮肉である。
当人としても悪あがき的な形態なのか、動きは素早いものの攻撃は発火血液をまき散らすだけと単調。

このタイミングで使用可能になるリニアランチャーで戦うことになる。他の武器は一切通用しないが、リニアランチャーが命中すれば一撃で倒せる。ただし相手が素早いうえにリニアランチャーの弾速は遅いので当てるには工夫が必要となる。
コツとしては、狙って撃つのではなく敢えて少しずらすようにして撃つこと。アレクシアはリニアランチャーの発射に反応して移動する性質があるので、勝手に突っ込んできて当たってくれるのだ。

バトルゲーム・クリス編のボス。こっちは普通に攻撃が通用し、専用の撃破モーションも入る。最初からマグナムを持っているので道中が楽な反面、第2形態からの連戦になるのでボス戦の難易度は高い。

【T-Veronica】

アレクシアが生み出した新型のウイルス兵器。「ベロニカウイルス」「T-アレクシア」と称される場合もある。
始祖ウイルスをベースに、女王アリをはじめとする様々な昆虫や植物などの遺伝子を組み込むことで誕生した。そのため、「T」の名を冠してはいるが始祖ウイルスベースという点以外T-ウイルスとは全くの別物*6
そのまま投与すると他のウイルス兵器同様に脳が破壊されて知性のない怪物と化してしまうが、アレクシアはアレクサンダーの失敗を糧に「低温でウイルスの活動を抑えながらゆっくりと細胞を変化させていけばいい」と考え、15年間のコールドスリープに入っていた。15年もの間無防備な状態になることには危機感を抱いていたものの、強大な力を得るためならば多少のリスクは仕方ない、と割り切っている。

「DC」ではアレクシア同様ウイルスに完全適合した少女「マヌエラ・ヒダルゴ」が登場。こちらは彼女の父の発案により、コールドスリープではなく「定期的に全身の臓器を同年代の少女から奪った臓器と入れ替える」という方法でウイルスを馴染ませている。彼女も自我を保ったまま発火血液を操れるようになっており、ラスボス戦ではレオン達に協力してくれる。
なお、こういった血液を武器にするキャラクターは「放っとけば出血多量で死ぬんじゃない?」などと冗談半分に言われることがあるが、マヌエラの場合戦闘に時間がかかりすぎると血の使い過ぎで本当に死ぬ。彼女の生死がエンディングにもかかわってくるが、クラウザーの反応を見るに生存ルートが正史の模様。

「6」ではこれに「2」の「G-ウイルス」の特性を融合させることで生み出された「C-ウイルス」が登場している。

【関連人物】

  • アルフレッド・アシュフォード
アレクシアの兄でアシュフォード家7代目当主。アンブレラ幹部の一人で、ストーリー前半の舞台である「ロックフォート島」の司令官を任されている。
貴族らしくプライドが高いが、彼も司令官として有能とは言えず、解剖医と組んで囚人を遊び半分に拷問・処刑するなどアレクシア同様性格は完全に破綻している。以前からロックフォート島で目撃されていたアレクシアの正体は彼で、アレクシアがいない寂しさに耐えきれず妹の人格を生み出し、鏡に映った自分と会話しているというのが真相であった*7
アレクサンダーの悲願である「アシュフォード家の再興」を誰よりも強く望んでいたのは、不要な存在であるはずの彼の方だったのは皮肉と言わざるを得ない。

アレクシアはレポートの中で彼を「忠実だが無能な兵隊蟻」などと評してはいたものの、眼前で事切れた彼を膝枕で看取っており、直後にクレアたちを捕えたのも見ようによっては兄の仇討ちと解釈できなくもないなど、一定の情は持っていたことを示唆する描写もある。
「DC」では逆に「お仕事から解放してあげた」と称して自ら彼を殺害している。

  • アレクサンダー・アシュフォード
アシュフォード家6代目当主にして、アレクシアの戸籍上の父。
15年前、アレクシアの手でT-Veronicaの実験体にされ適合に失敗、クリーチャー「ノスフェラトゥ*8へと変貌し、表向きは失踪ということにされて南極基地の奥深くに監禁されていた。
作中では一貫して無能な人物と称されているが、(バイオ世界は現実世界より遥かに技術の進歩が早いとはいえ)まだまだ遺伝子工学も未発達であろう1970年代にクローン人間の誕生を成功させるなど、あくまでウイルス研究が不得手だっただけで研究者としては一流だったと言えるだろう。もっとも、クローン人間という禁忌に手を出し、世界を混乱させるウイルスの研究を平然と行っている以上、彼もまた紛うことなきマッドサイエンティストには違いないのだが。
また、ガイドブックでは「彼がアルフレッドを軽んじることがなければ、軽蔑はされても憎悪までは抱かれなかったかもしれない」とつづられている。
「DC」ではアレクシア戦で生前に彼が残した映像を見ることができ、アレクシアが危険な実験に手を出すことを見越したうえで、彼女を止めるべくリニアランチャーを開発していたことが明かされる。

  • ベロニカ・アシュフォード
アシュフォード家初代当主である女性。容姿は肖像画で確認できるが、知的で聡明な女性であったという以外の人物像は不明。本編中では語られないが、アシュフォード邸の地下にミイラ化した彼女の遺体が安置されているという裏設定があり、アレクサンダーはこの遺体からDNAを採取した模様。
上述したとおり、アレクシアにはアシュフォード家への愛着など皆無であるが、ウイルスに「ベロニカ」の名を冠しているあたり、彼女なりに何か思うところがあったのだろうか?

  • スティーブ・バーンサイド
ロックフォート島の刑務所に囚われていた青年で、クレアの仲間。
南極基地でアレクシアに捕えられ、T-Veronicaを植え付けられてモンスター化しクレアに襲い掛かるが、触手に拘束されて苦しむクレアを見たことで自我を取り戻し、触手を切断して彼女を救ったものの、直後に触手の一撃で致命傷を負わされ絶命。
「精神力でウイルスを抑え込み、大切な相手を守る」という点は後のシリーズのこの人に通ずるものがある。

アンブレラの元工作員にして、クリスの宿敵。
T-Veronicaを手に入れるべく、部下を引き連れてロックフォート島及び南極基地を襲撃。ロックフォート島で起きたバイオハザードはこいつが原因である。
当初の目的であったアレクシアの拉致には失敗したものの、体内にT-Veronicaが残っていたスティーブの遺体を奪取したことでT-Veronicaの入手には成功している。後にこのT-Veronicaは「DC」にて南米を拠点とするマフィア「聖なる蛇」の手に渡り、新たな事件を引き起こすことになる。
なお、アレクシアとウェスカーは「(意味合いは違うが)プロジェクトによって人為的に生み出された天才」「ウイルスをばらまいて理想の世界を作り、自分がその頂点に君臨するのが最終目的」という共通点を持っていたりする。

【余談】

関連性は不明であるが、『CV』より前に発売された小説『バイオハザード 北海の妖獣』に登場したミレーヌ・ビアズレー「イギリスの名門貴族である悪役令嬢」「アンブレラの研究員で独自のウイルスを開発」「父親の手で造られた天才児」等といったアレクシアのプロトタイプ的な人物であった。

また、ドラマCD『生きていた女スパイ・エイダ』に登場したクリスチーヌ・アンリもアレクシアの先駆けとも言える悪役令嬢であり、アルフレッドが育て上げた死神の女上司であった。





そう、アニヲタWikiも私の項目のように美しい一つの生態系となるのだ。


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最終更新:2025年05月17日 13:29

*1 後にスペンサーの差し金であることが判明する。

*2 その事を知らないウィリアムが、G発見について「あの忌々しいアレクシア嬢もあの世で悔しがってるに違いない」と綴っているメモがリメイク版1で手に入る。ちなみにこのメモが書かれたのは88年頃。……5年経ってるのにどんだけ執着してるんだ

*3 この際、オリジナル版ではウェスカーを一方的に叩きのめしているが、完全版以降は火炎を振り払われて一撃を食らうなど、ウェスカーの超人ぶりが際立っている。

*4 ウィリアム自身はアレクシアがコールドスリープを終える前に命を落としていた。

*5 作中では「実験体」という名称。

*6 ゲーム中手に入るグレネード用対B.O.W弾もT-ウィルス由来のものを想定しているため、T-Veronicaによって産まれたアレクシア及びノスフェラトゥには効果がない。

*7 判明するのはロックフォート島脱出時だが、序盤から「二人が一緒にいるところを見たものはいない→二人が同一人物だから」「アレクシアの部屋に飾られた、成人女性にしては子供じみた調度品→アルフレッドがその時代のアレクシアしか知らないため」など伏線は貼られている。

*8 ルーマニア語で「不死者・吸血鬼」を意味する。事情を知らない南極基地の作業員が後年勝手に名付けたもので、彼らの間ではオカルト話の類として伝わっていた模様。