ドゥラメンテ(競走馬)

登録日:2021/09/09 Thu 13:47:08
更新日:2025/04/30 Wed 19:46:40
所要時間:約 9 分で読めます


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15年クラシック世代 G1馬 これほどまでに強いのか ぼくのかんがえたさいきょうのけっとう アイコンテーラー ウマ娘ネタ元項目 エアグルーヴの孫 エリート キングカメハメハ産駒 ギャップ萌え サラブレッド サンデーレーシング シャンパンカラー スターズオンアース タイトルホルダー ダービー馬 デムーロ最強の相棒 ドゥラエレーデ ドゥラメンテ ドゥラ免停 ドゥレッツァ ドリフト ミスタープロスペクター系 ミルコ・デムーロ リバティアイランド リーディングサイアー ルガル 不運 二冠馬 受け継ぎし熱い鼓動 名は体を表す 名馬 堀宣行 天才 完全連対 幻の三冠馬 強者薄命 怪物 悲運の名馬 故馬 未完の大器 気性難 牝系4代G1制覇 牡馬 皐月賞馬 社台の本気 種牡馬 競走馬 競馬 良血 荒々しくはっきりと 超良血 闘争心の塊 馬ーサーカー 鹿毛



果てなき物語

負けん気の強い彼女の子は
男まさりの女帝となり
その娘もまた
優美な女王として名を馳せた。

そして女王の遺児は
気鋭の勇将として
荒々しく世を統べる。

子らに伝わる野性
孫たちに受け継がれる品格
の物語は果てなく続く。

───名馬の肖像 2019年 東京優駿



ドゥラメンテ(Duramente)とは、日本の元競走馬、種牡馬。
荒々しくも圧倒的な走りでクラシック二冠を達成するも怪我に泣かされ、種牡馬としてもクラシックホースを輩出し、リーディングサイアーに輝きながらも僅か5世代しか産駒を残せず他界した、悲運の名馬。

メディアミックス作品『ウマ娘 プリティーダービー』にも登場しているが、そちらでの扱いは当該項目参照。
ドゥラメンテ(ウマ娘 プリティーダービー)


データ

生誕:2012年3月22日
死没:2021年8月31日(9歳没)
父:キングカメハメハ
母:アドマイヤグルーヴ
調教師:堀宣行(美浦)
主戦騎手:ミルコ・デムーロ
馬主:サンデーレーシング
生産者:ノーザンファーム
産地:安平町
セリ取引価格: -
獲得賞金:5億1,660万円
通算成績:9戦5勝[5-4-0-0]
主な勝鞍:15'皐月賞15'東京優駿、16'中山記念

5世代血統

キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo(米)
1990 鹿毛
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise a Native
1961 栗毛
Native Dancer
Raise You
Gold Digger
1962 鹿毛
Nashua
Sequence
Miesque
1984 鹿毛
Nureyev
1977 鹿毛
Northern Dancer
Special
Pasadoble
1979 鹿毛
Prove Out
Santa Quilla
マンファス
Manfath(愛)
1991 黒鹿毛
ラストタイクーン
Last Tycoon(愛)
1983 黒鹿毛
トライマイベスト
1975 鹿毛
Northern Dancer
Sex Appeal
Mill Princess
1977 鹿毛
Mill Reef
Irish Lass
Pilot Bird
1983 鹿毛
Blakeney
1966 鹿毛
Hethersett
Windmill Girl
The Dancer
1977 鹿毛
Green Dancer
Khazaeen
アドマイヤグルーヴ
2000 鹿毛
サンデーサイレンス
Sunday Silence(米)
1986 青鹿毛
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason
1958 黒鹿毛
Turn-to
Nothirdchance
Cosmah
1953 鹿毛
Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding
1963 栗毛
Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower
1964 鹿毛
Montparnasse
Edelweiss
エアグルーヴ
1993 鹿毛
トニービン
Tony Bin(愛)
1983 鹿毛
カンパラ
1976 黒鹿毛
Kalamoun
State Pension
Severn Bridge
1965 栗毛
Hornbeam
Priddy Fair
ダイナカール
1980 鹿毛
ノーザンテースト
1971 栗毛
Northern Dancer
Lady Victoria
シャダイフェザー
1973 鹿毛
ガーサント
パロクサイド
5世代内の近親交配 Northern Dancer 5×5×5 9.38%

出生 -社台血統の集大成-

父は大種牡馬キングカメハメハ。母はエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴ。母父はご存じサンデーサイレンス
オークス馬ダイナカールから女帝エアグルーヴへと受け継がれてきた由緒正しき牝系の生まれであり、更に血統表を遡ればトニービンやらノーザンテーストやらと社台グループを支えたスーパーサイアーがごろごろ出てくる良血の中の良血である。
当然、幼いころから大きな期待をかけられていた。
ちなみにアドマイヤグルーヴは2012年10月に死亡してしまったため、ドゥラメンテは最後の子であった。

名前の由来はイタリア語で「荒々しく、はっきりと」という意味を持つ音楽用語から。
後にこの名前が全くその通りになるとは誰が思っただろうか…。


デビュー -名は体を表す?-

馬体が薄く、あまりバランスが良くなかったため焦らずじっくり調教を積み、10月の東京芝1800mの新馬戦でデビュー。
圧倒的1番人気に推されたが出遅れが響いたか2着。
続く未勝利戦ではゲート内で暴れるという荒さを見せたが、レースでは他馬をまるで相手にせず6馬身差で圧勝。
才能の片鱗を見せた一方ゲート再審査ももらってしまった。

ここは無事通り、3歳初戦はセントポーリア賞。
ここでも1倍台の圧倒的人気を受けると、直線で楽々と抜け出し、追えば追うほど伸びるという規格外の末脚で2着に5馬身差の圧勝。

次は中1週で共同通信杯に出走。
またまた圧倒的1番人気になったが、レースでは出が良すぎたせいか道中掛かりっぱなしになってしまい、直線で伸びを欠き、内で完璧に立ち回ったリアルスティールの2着に敗れる。
ここまで高いスペックで誤魔化してきた気性の悪さが足を引っ張った形となってしまい、クラシックにやや暗雲が立ち込めることとなった。

能力はずば抜けたものを持ちながらも気性難のせいでその力をフルで発揮できないという、名は体を表すとでも言うべきか、良くも悪くも荒々しい馬であった。

その後、陣営はこれ以上の酷使を嫌い、馬の状態を優先させて除外覚悟で皐月賞直行を選択。
賞金的には結構ギリギリだったのだが、幸運にも(?)ゲート割れになったおかげで出走に漕ぎつける。

クラシック -規格外、狂気のパフォーマンス-

皐月賞は3戦無敗で弥生賞を制したサトノクラウン、共同通信杯で負かされたリアルスティールに次ぎ3番人気。初めて1番人気を譲ることとなった。
鞍上はこの時JRA所属になったばかりのミルコ・デムーロ騎手を迎える。
レーススタート、ドゥラメンテは若干出負けしたが、焦らずに後ろの内の方でレースを進める。
3コーナー手前からジワリと進出し、馬群が固まってきたその時、



「おーとっと!ぶつかったぶつかった!」

「弾き飛ばされたのはドゥラメンテ、不利がありました」



ドゥラメンテは内から外に出そうとした騎手の指示に過剰反応し、コーナードリフトの如き大斜行をぶちかます。
場内が騒然とする中、前の方では完璧に立ち回ったリアルスティールと前で粘った3戦無敗のキタサンブラックが必死の戦いを繰り広げていたが、ドゥラメンテは残り200mから一気にスパート。前の集団に襲い掛かる。



「外からリアルスティール、200を切った」

「内で懸命にキタサンブラック、キタサンブラック、リアルスティール!」


「外からドゥラメンテ!」

「外からなんと、ドゥラメンテ!」


「これほどまでに強いのか!?

ドゥラメンテ!!」



最終的には100mほどであっという間にリアルスティールらを抜き去り、1馬身半突き放して勝利
直線が短くゴール前が急坂な中山競馬場でこれである。しかも斜行によるロスもあってこれである。まさに圧巻。
その別次元ぶりは数値にも現れており、上がり3ハロンはあのディープインパクトの皐月賞をも上回る33秒9。ちなみに上がり2位は34秒5。
しかも中山の直線は310mでコーナードリフトが4コーナーである事も考えると、大斜行してムチャクチャなロスがあった上でこの上がり
JRAのレースレーティングはレース史上最高の119。史上最高、要するにディープとオルフェーヴルよりも上である
この時点でドゥラメンテは21世紀の三冠馬2頭の同時期より強いと評されたという事なのだ。

また、この勝利により史上初となる牝系4代GⅠ制覇(ダイナカール→エアグルーヴ→アドマイヤグルーヴ→ドゥラメンテ)という快挙を達成。
鞍上のデムーロ騎手はJRA所属になってからは初のGⅠタイトルとなった。
だが、さすがにこの大斜行は見逃されるはずもなく、馬はお咎めなしだったがデムーロ騎手は開催4日の騎乗停止となり、この年の天皇賞(春)に乗れなくなってしまった。誰が呼んだか「ドゥラ免停」*1

次は順当に日本ダービーへ。
ここでは皐月のえげつなさすぎる勝ち方もあり断然の1番人気に推される。
ただ、気性面から折り合いを不安視する声や、あるいは切れ味が凄すぎてマイラーなんじゃないかとかいう声も少しはあった。

だが、ドゥラメンテはここでも圧巻のパフォーマンスを見せる。
今回はちゃんと折り合いがついて落ち着いて中団でレースを進めると、直線でまたも怒涛の末脚が炸裂。
皐月賞のように吹っ飛んだりすることもなく、馬場の真ん中を力強く駆け抜けて迫るサトノラーゼンやサトノクラウンを寄せ付けず1馬身余り突き放してゴール。見事に二冠達成となった。

その勝ちタイムは2分23秒2。かつて父キングカメハメハが地獄のハイペースの中叩き出した極限のレコードをコンマ1秒更新するレコードタイムであった。
ダービーで得たレースレーティングは121。ディープ(119)やオルフェ(120)をも上回り、またもや史上最高の数値を叩き出した。

鞍上のデムーロ騎手は2003年のネオユニヴァースに次いで2度目の二冠達成となり、ダービー2勝目となった。
インタビューでは「あの時はガイジン騎手だった。JRAの騎手になれて本当によかった。日本の騎手になった実感が湧いた」と涙ながらに語った。

狂いだす歯車、そして

こうなると当然三冠達成に期待がかかり、あるいは凱旋門賞もチャンスがあるのではとファンの間では騒がれることになる。デムーロ騎手もその素質を高く評価していた。

しかし、現実は非情である。
ドゥラメンテは放牧先で両前脚の骨折が判明。全治半年の診断を受け、この年は全休となってしまった。
三冠も、斤量の有利な凱旋門賞も、幻に消えてしまったのだった。
そういえば、父キングカメハメハもダービー後に屈腱炎で早期引退に追い込まれている。
どうして競馬と言うのはこうもいらんところが親に似てしまうのか…ファンは天を仰いだ。

ちなみにドゥラメンテ不在の菊花賞はキタサンブラックが制した。キタサンは後に春天2連覇などをやってのける最強のステイヤーとして活躍することになるのだが、そんなキタサンにドゥラメンテは菊の舞台で勝てたのか?というのは今でもよく議論される。
血統から考えると長距離適性は怪しいが、春の二冠で示した絶対能力が高かったことや、キタサンブラックも菊花賞以前は血統的に長距離は厳しいと評されていたのに上記の成績を残せた*2こと、更に後の話だがドゥラメンテ産駒2頭が菊花賞を制したことを考えるとあわよくば…。

そして4歳の初戦は中山記念。
古馬戦線をここで始動する有力馬が集い、GⅡにしては毎年ハイレベルになることで有名なこのレースだが、今回も皐月賞馬3世代が出揃うというハイレベルなレースになった。
そんな中、9ヶ月の休み明けのドゥラメンテは+18kgと激太り。陣営も自信無さげな発言をしており、不安要素は満載だった。
それでも2.1倍の圧倒的1番人気を背負ったドゥラメンテは、中団から手ごたえ良く進み、直線で楽々と抜け出す。
後方にいたアンビシャスに詰め寄られたが、クビ差振り切って勝利。
3歳時に比べるとパッとしないパフォーマンスとなってしまったが、休み明けの七分仕上げでこれならまあよしといった内容であった。

次はドバイシーマクラシックに出走。結果次第では凱旋門賞を目指すとコメントされた。
なのだが、頭突きで調教師の眼鏡を吹っ飛ばすなど落ち着きのない様子を見せており、しかもレース直前に右前脚を落鉄するアクシデントが発生。ドゥラメンテが暴れるせいで付けなおしもままならず、結局右前脚は裸足で出走することに。
それでも中団から懸命に前を追うが、結局イギリスのポストポンドに及ばず2着。
むしろ落鉄して2着に粘ったのなら大健闘である。

帰国後は宝塚記念に出走。
春天を制したキタサンブラックや前年覇者ラブリーデイなど、メンツは揃ったがここでも1番人気。
しかし、雨が降って渋った馬場となってしまったせいでキレ味自慢のドゥラメンテには不利な舞台となってしまい苦戦。最後は直線で懸命に脚を伸ばし、前のキタサンブラックをわずかにかわしたが、重馬場巧者のマリアライトに届かず2着。

しかもレース後にコース内でミルコが下馬するほどの異常が発生。ドゥラメンテは馬場の悪化していたところで躓き、故障してしまったのである。
直後の検査で左前脚の跛行と診断され、凱旋門賞の断念はこの時点で決定。
精密検査で左前脚の球節の腫れや靭帯、腱などに複数の炎症が確認され、競争能力喪失と診断。そのまま引退となってしまった。

圧倒的な素質を秘めながらもケガによって能力をフル発揮できず、「未完の大器」という評価のままターフを去ることとなった。
三冠や凱旋門賞など、ファンが見た夢も夢のまま終わってしまった。

総合戦績は9戦5勝2着4回。完全連対である。
二冠を制した時点で凄いのだが、なによりその二冠のパフォーマンスが圧倒的であり、ディープやオルフェも上回ると評されたのだ。三冠確実とみなされるのも当然の話である。

後に春秋古馬3冠の王道路線を走り続けGⅠを7勝し、JRA顕彰馬にまでなった王者キタサンブラックには一度として先着を許しておらず、他にもドゥラメンテと同じ日にドバイターフを制したリアルスティールや、香港ヴァースや宝塚記念を勝ったサトノクラウンを子供扱いしたその力は、歴史上に名を刻む数多の名馬に遜色ないだろう。

種牡馬入り、早すぎる最期

社台スタリオンステーションにて種牡馬入りしたドゥラメンテだったが、自分自身が主流血統そろい踏みであったため、「ドゥラメンテは血統が自身で完成しきっているから種牡馬としては厳しい」などといった、配合相手の確保に苦労するのではないかと言う声があった。

しかし、社台グループは無限の資金力で海外から優秀な牝馬をかき集めてドゥラメンテにつけまくった。
これほどの実績を残した馬の、その美しさすら感じる血統を残さないわけには行かなかったのだ。
かくして生まれてきた産駒たちは評価も高く、初年度の2歳リーディングも種牡馬同期のモーリスを抑えてディープインパクトに次ぐ2位につけた。
初年度産駒は2020年にデビュー。その中からタイトルホルダーが弥生賞ディープインパクト記念を制してさっそく重賞初制覇を決め、皐月賞で2着に入るなど活躍。これから育成ノウハウが確立されればもっと上を目指せるとファンからは期待されていた。
ドゥラメンテの種牡馬入りから程なくして世を去ったキングカメハメハの良き後継になれると、種牡馬として夢の続きを見せてくれると…。


しかし、運命はまたも彼に牙をむくのである。


2021年8月31日、急性大腸炎によりわずか9歳という若さで急死してしまった。父の死からも2年しか経っていない
関係者によると1週間前から右前肢蹄冠部に負った外傷の治療を行っており、治療も良化途上にあったのだが、30日に腸炎の兆候が見られて以降急激に悪化していったという。
競走馬としても種牡馬としても完成を迎える前に不運に見舞われるとは…。
主戦のミルコ・デムーロ騎手も「僕がジョッキーとして出会った馬のなかで間違いなく一番強い馬」と相棒を悼み、多くのファンが嘆き、悲しみに暮れたのは言うまでもない。
残された産駒はわずかに5世代。この中から父の夢であった三冠や凱旋門賞のタイトルを取る産駒は出てくるだろうか…


産駒の活躍

ドゥラメンテが亡くなった約2か月後、彼の産駒であるタイトルホルダーが菊花賞を制し初のGⅠ勝利、父が出走することも叶わなかった菊花賞・産駒のGⅠ初勝利&クラシック初制覇を亡き父に捧げた。
しかもこの時の鞍上は23年前セイウンスカイスペシャルウィークなどを相手に劇的な勝利を挙げた横山典弘騎手の子として同年に生を受けた横山武史騎手。
そして逃げ馬が菊花賞を制したのは23年ぶり、レース運びもセイウンスカイと同じ序盤ハイペース・中盤抑え・終盤再加速で勝利したこともファンの間では話題となった。

初年度産駒のクラシック年終了までは重賞戦線での活躍馬がタイトルホルダーしかおらず(勿論GⅠ馬を出しているのだから文句なく凄い事なのだが)、付けられた牝馬の質を考えるとやや物足りない印象を与えていたが、翌年春ではアリーヴォが上がり馬として名を挙げ小倉大賞典で初重賞制覇を飾ると、大阪杯では世代王者のエフフォーリアを含めた強豪相手に3着と活躍。更に2年目産駒からは牝馬二冠馬スターズオンアースを輩出するなど徐々にその期待に見合う産駒が出現し始めている。
特に2022年上半期の活躍は凄まじく、JRA芝重賞で6勝、うちGⅠ4勝という記録を打ち立ててみせ、下半期には2歳芝GⅠ計3戦の内2戦で勝つとさらに大暴れ。その能力の高さを改めて証明した。ディープインパクトやハーツクライの現役産駒を同世代に抱えた上でこれである。この活躍は当然高く評価され、同年のセレクトセールでの産駒価格は大幅に高騰、多数の期待馬が億超えで売られていった。

2023年上半期でもJRA芝重賞で7勝、うちGⅠ3勝という高成績と複数の重賞馬を輩出。そして、下半期でもGⅠを2勝、高額レースであるジャパンカップや有馬記念での入着も功を奏して、中央競馬でリーディングサイヤーの座を獲得した
クラシック戦線を戦うのに必要な早熟性と古馬戦線を戦うのに必要な成長力を産駒たちが見せており、また肌馬の血統ひとつでマイルから長距離まで対応可能、更にはダートでは一定以上は走れる、という評価だったが2年目産駒のヴァレーデラルナが地方交流GⅠ勝利を挙げ、3年目には2歳GⅠも獲れる早熟性もあることで更に万能性に磨きがかかった。
更には2年連続で二冠牝馬が誕生……どころか三冠牝馬も誕生、5歳で初めてGⅠを獲るだけの古馬になってからも成長性がある…
後述のルガルの勝利によって1986年以降、産駒が1200m・3200mのJRA・G1両方を制した種牡馬としては
サンデーサイレンスディープインパクトに次ぐ史上三頭目、僅か3世代での記録達成はこの2頭でもなしえていない最速記録。
一覧としては以下のようになっており、あとは芝2500mの有馬記念を残すだけとなっている。

芝1200m ルガル
芝1600m スターズオンアース・リバティアイランド・シャンパンカラー
芝2000m ドゥラエレーデ・リバティアイランド
芝2200m タイトルホルダー
芝2400m スターズオンアース・リバティアイランド
芝2500m 該当なし*3
芝3000m タイトルホルダー・ドゥレッツァ
芝3200m タイトルホルダー

と、徐々にその期待に見合う、あるいは期待以上の種牡馬となりつつあるだけに一層早逝が悔やまれるところである。

種牡馬としては与えられた牝馬の質の高さもあってか極めてバラエティの富んだ傾向を見せる。更に本馬自身も自分の特徴をストレートに伝えるのではなく、どちらかといえば牝馬側の血統の主張を強めるような傾向にあるようで、それが更に産駒の適性を大きくブラしている。
一方、気性の悪さや良くも悪くも弾むような柔軟な馬体が全体的に引き継がれるようで、若駒時代の怪我や気性の悪さから活躍が3歳秋をすぎるケースもチラホラ見られる。ドゥラメンテ自身も「産駒は3度成長する」事で有名なノーザンテーストの血の影響か晩成の可能性が高かった事(実際現役引退時も未完成な馬体という評価がされていた)も相まって、どちらかといえば晩成、もとい古馬になっても成長を続けるタイプの馬が出やすい。
ドゥラメンテ自身は故障に泣かされ病気によって早逝してしまったが、産駒の方でも父と同様に脚部不安や故障で長期離脱を余儀なくされてキャリアが頓挫するケースも少なくはない*4

また、現役時代は(ミスタープロスペクター直系ということもあり)一時期マイラー疑惑もあった彼だが、産駒はどちらかといえば長い距離で活躍する馬が多い。マイルGⅠも複数勝利しており、桜花賞に至っては2022年2023年で連覇しているが、スターズオンアースもリバティアイランドも高いパフォーマンスを見せたのは次のオークスの方であり、むしろマイル戦では忙しそうな競馬を見せている。スプリント*5に至っては、2024年に3年目産駒のルガルがシルクロードステークスを、そしてスプリンターズステークスを勝つまで重賞戦線での勝利馬が現れなかった。

こういった傾向が掴まれた事や育成が固まってきたこと、そして何より彼自身が強い産駒を送り続けた事が実ってか、2023年にはリーディングサイアーも獲得。
2024年は稼ぎ頭の一頭だったタイトルホルダーこそターフを去ったものの、選手層はむしろ日に日に充実しており、またラストクロップがいよいよ出陣することもあって、引き続きサイアーリーディングにおいて高い地位を保つと推測される。
なおそのラストクロップが皐月賞に4頭出走したものの、残念ながら誰も勝利できず皐月賞の親子制覇の夢は潰えてしまった。
しかし日本ダービーではキングカメハメハから数えて親子3代制覇の可能性が残っている。

下記JRA重賞を勝った代表的産駒達が今後彼の血を広げてくれる事に期待したい。

なお、気になる直系の存続だが、2025年時点でタイトルホルダーが後継種牡馬として直系孫を世に送り出し、ひとまず子世代で末代となる事態は回避した。
タイトルホルダーが主に繋養地で重用されており、まだ種牡馬入りしていない現役世代にも有望株は多い為、しばらくは繁栄していくものと思われる。

主な産駒


宿命

願いをひとつ叶えるために
どれほどの汗をぬぐい
涙を流さなければならないのか
ましてや二つ三つ
夢の実現を積み重ねようと思えば

だが見ているがいい
すこぶる底意地の悪い
この世界を司る至高の存在よ
お前が投げつけてくる石礫(いしつぶて)など
(かわ)しきり跳ね除けて見せよう

例え(たお)れても朽ち果てぬ
孫々へと希望を託し
たゆまずに未来へと進もう
それが我ら血族宿命
斯くも過酷な我らの生き様だ


───名馬の肖像 2024年 皐月賞

初年度産駒

タイトルホルダー

その名は、タイトルホルダー
JRA ヒーロー列伝 No.93

母:メーヴェ、母父:Motivator*6
主な勝ち鞍:'21 弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)、'21 菊花賞(GⅠ)、'22・23 日経賞(GⅡ)、'22 天皇賞・春(GⅠ)'22 宝塚記念(GⅠ)
表彰:'22 最優秀4歳以上牡馬
特記事項:'21 皐月賞(GⅠ)2着、'23 有馬記念(GⅠ)3着

ドゥラメンテに初の重賞、GⅠ、クラシック制覇を届けた代表産駒その1にして2024年現在の牡馬筆頭産駒。2023年有馬記念をラストランとして引退、生まれ故郷のレックススタッドで種牡馬入りとなった*7
馬名は英語で「選手権保持者」の意で、父・母父・母母父*8がいずれもダービー馬だったことに因む。
Sadler's WellsやMill Reefと行った重厚な牝系の身体能力とドゥラメンテの苛烈な闘争心が融合した結果、まさかの逃げ切りを得意とするステイヤーというどちらかといえばドゥラメンテ本人よりそのライバルに似ている馬に仕上がった稀にガチで勘違いする人もいるんだとか。なお小さすぎる半姉メロディーレーンも菊花賞5着のステイヤーだったり。
詳しくは当該記事を参照。


アイコンテーラー

母:ボイルトウショウ、母父ケイムホーム
主な勝ち鞍:'23 JBC レディスクラシック(Jpn1)

初年度産駒2頭目のGⅠ馬。伯父にアルゼンチン共和国を制したトウショウナイトがいる他4代母がストームバードの母であるサウスオーシャンという家系の出身。
芝で勝ち上がり、重賞戦でも'22 中日新聞杯3着、'23 愛知杯2着と地味に穴を開けて存在感を示していたが、メイステークスで12着を取った後にダート転向。日本のダートが脚にあったのか転向初戦のBSN賞を完勝するとシリウスステークスでもハギノアレグリアスの2着と活躍ら牡馬ダートの上位相手でも通用する実力を示した事で'23 JBC レディスクラシックに1番人気で出走する。
本レースにはダート牝馬戦線で安定した活躍を続けるグランブリッジ、レディスプレリュードを制したアーテルアストレア、前女王のヴァレーデラルナ、門別出身の地方馬ながらフェブラリーステークス6着と活躍したスピーディキックと現牝馬ダートの頂上を決めるに相応しい馬が集まる。
レースは逃げるヴァレーデラルナを2番手で追走、最終コーナーで先頭を奪うと以降追い上げてくる後続を一切寄せつけないまま、最後は4馬身差を付け人気に応えて圧勝。2着以下に差し・追い込み馬が揃う後ろ有利の馬場展開の中押し切る力強さを見せて名実共に砂の女王に輝き、騎手から調教師に転身して2005年から開業した河内洋調教師にGⅠ級初勝利という「河内の夢」を叶えたのだった。
ドゥラメンテ産駒は別馬で同レースを連勝、ダートでも強い事を改めて示して見せた。
この勢いのままドゥラエレーデ共々チャンピオンズCに出走。しかしスタート安めで砂を被ってしまうと直線では早々と手応えが怪しくなりドゥラエレーデにも先着を許す14着と大敗してしまった。
6歳初戦には仁川Sに出走し1番人気に支持されるも3着。川崎記念では逃げるライトウォーリアを番手から捕まえにいくも逃げ切られ、最後にグランブリッジにも差されて3着だった。
連覇がかかったJBCレディスクラシック6着を最後に年齢を考慮して協議の末に引退。生まれ故郷の畠山牧場で繫殖牝馬となる。


アリーヴォ

母:エスメラルディーナ、母父:Harlan's Holiday
主な勝ち鞍:'22 小倉大賞典(GⅢ)
特記事項:'22 大阪杯(GⅠ)3着

初年度産駒。母は韓国のダート重賞を制したパワーホース。夏の条件戦から順調に勝ち上がりを続けた上がり馬の一頭。なにげにドゥラメンテ産駒初のGⅢ馬でもある。
2歳から3歳春までは未勝利戦を脱出したまではいいのだが、1勝クラスで善戦しながらも勝ち切れないもどかしい成績となっていた。
しかし、ローカル開催が主流となる夏の小倉にて覚醒。1、2勝クラスを連勝するとそのまま初のクラシックとなる菊花賞へ殴り込んだ。
菊花賞こそタイトルホルダーに屈したものの7着と好走し、そのまま主戦場こと小倉で4勝目を挙げオープン馬となった。
年明け初戦はやはり主戦場の小倉で小倉大賞典に挑みこれに勝利、初の重賞制覇と共に大阪杯への出走へ向けて道を固めた。
大阪杯は世代王者のエフフォーリアと、同じ上がり馬ながら強烈なパフォーマンスで金鯱賞を勝利したジャックドールの対決にファンが湧くことになるものの、そんな前評判をぶち壊しながら2頭に先着する3着と好走。勝ち馬と連対馬が好位で競馬する中、後方から差し脚を伸ばす競馬で馬券内に飛び込む強さを見せており、今後の中距離戦線でも目が離せない存在となった。
大阪杯の勢いそのままにここは勝算アリーヴォと挑んだ宝塚記念では再び同父の同期、タイトルホルダーと相見えるが彼とその前を走るパンサラッサが作る異常ペースに適応できず14着と大敗。
加えて左前脚に軽度の球節炎を発症で長期休養を余儀なくされ、加えて23年2月に右前浅屈腱炎も発症。24年2月に引退となり復帰は叶わなかった。
引退後は北海道札幌市の乗馬クラブであるモモセライディングファームに乗馬として繋養されて、第59回北海道春季馬術大会に参加していた。


アヴェラーレ

母:アルビアーノ、母父Harlan's Holiday
主な勝ち鞍:'23 関屋記念(GⅢ)

初年度産駒。母はアメリカ産馬ながらスワンS、フラワーカップなど重賞2勝の実績馬で父と同期。
2歳新馬・春菜賞連勝するも母同様クラシック路線には進まずニュージーランドトロフィーに出走するも15着の大敗、以降は条件戦にシフトし5歳春にOP入り。
久々の重賞挑戦となった京王杯はレッドモンレーヴの4着に敗れるも、関屋記念では先に馬群から抜け出したディヴィーナを差し切って見事重賞初勝利。
スワンSでは1番人気に支持されるも特に見せ場を見せることなく7着に敗れた。
その後GⅢを2戦走った後、クラブ規定によって24年2月に引退、繫殖牝馬となった。


バーデンヴァイラー

母:ヴィートマルシェ、母父:French Deputy
主な勝ち鞍:'22 マーキュリーC(JpnIII)、'23 佐賀記念(JpnIII)

初年度産駒。母は未勝利戦を勝っただけだが母母は桜花賞など数々のタイトルを獲得したキョウエイマーチ、半姉にはBCディスタフを制したマルシュロレーヌがいる良血。
未勝利戦から条件戦を勝ち進みOP入り、初重賞戦のアンタレスSは15着の大敗となるが次走の初の地方交流重賞・マーキュリーCを勝利し初の重賞制覇。
中央の重賞ではなかなか結果を出せなかったが、佐賀記念も制しタイトル2つ目を獲得。
以降も中央よりも地方重賞の方が好走することが多かったが徐々に精彩を欠くようになり去勢、更には地方へ移籍した。
24年の帝王賞後に左前脚屈腱炎が判明し引退、石川県の珠洲ホースパークで余生を送っていた。
だが引退後まもなく急性腸炎を発症、引退から僅か2カ月後に6歳でその生涯に幕を閉じた。
皮肉にも父と同じ病で亡くなる直前も『前日日中まで容体は回復傾向にあったが、その後容体が悪化した』と過程も同じだった。


2年目産駒

スターズオンアース

母:サザンスターズ、母の父:Smart Strike
主な勝ち鞍:'22 桜花賞(GⅠ)'22 オークス(GⅠ)
表彰:'22最優秀3歳牝馬
特記事項:'22 秋華賞(GⅠ)3着、'23 大阪杯(GⅠ)2着、'23 ヴィクトリアマイル(GⅠ)3着、'23 ジャパンカップ(GⅠ)3着、'23 有馬記念(GⅠ)2着

2022年の牝馬クラシック二冠馬。ドゥラメンテに2つ目のクラシック勝利を届けた愛娘。代表産駒その2
馬名の由来はそのまま「地球上の星」
母系はドイツの名門牝系として知られる「ドイツのSライン」に属しており、母の妹は2017年のオークス馬ソウルスターリング、更に母の母はディアヌ賞(フランスオークス)などGⅠ6勝を挙げた超名牝スタセリタ。
正に日本の名血統と欧州からの名牝の巡り合いという超良血馬である。そしてこれぞ前述した社台の無限の資金力の賜物である。
詳しくは当該記事を参照。
特記事項のレース数=ゴールドの前でステイした数からお察しの通りブロコレ倶楽部の会員でもある


ヴァレーデラルナ

母:セレスタ、母父:Jump Smart
主な勝ち鞍:'22 JBC レディスクラシック(Jpn1)

ドゥラメンテ初のダートGⅠ馬。
半妹に後述のリバティアイランドと牝馬三冠路線で対決した23年クイーンカップ(G3)勝馬のハーパーがいる。
母父父は世界のダート戦線で最大級の勢力を誇る大種牡馬、A.P.Indyであり母系の良さを引き出す傾向のあるドゥラメンテ産駒らしく彼女もダートのスペシャリストとして誕生した。
3歳春はJDDでワンツーフィニッシュとなったノットゥルノ、ペイシャエスといった同世代の強豪が1勝クラスの壁となって立ち塞がり続けるも、古馬混合が解禁された6月以降は一気に条件戦を連勝しオープン馬まで昇格。秋最大の地方交流重賞大会、JBCの初戦JBCレディスクラシック出走へ漕ぎ着けた。
レースには同年かしわ記念の覇者でもあるショウナンナデシコが圧倒的な支持を受ける中、彼女は最外の枠から出走。
抜群のスタートを決めると一気に逃げ馬を外から見る2番手を奪取し、直線では外から上がってきたスレイプニルステークス覇者のテリオスベルと馬体を合わせて直線へ入っていく。
直線でそのまま抜け出すと後は内から上がろうとするショウナンナデシコを封じ、外から差しきらんばかりの勢いで上がってきた同期グランブリッジを凌いで優勝。父をダートGⅠサイアーへと押し上げた。
鞍上・岩田望来騎手にとってもこれがGⅠ級初制覇となった。
明くる2023年は始動戦となったTKC女王杯競走とエンプレス杯でグランブリッジに敗れる2着に。この時代のダート牝馬は彼女との二強と主張せんばかりの好走を続けた。
かしわ記念ではメイショウハリオに敗れ新馬戦以来の馬券外、初の掲示板外となる8着に敗れた。
秋初戦にはレディスプレリュードに出走するが6着に終わった。
連覇を目指しJBCレディスクラシックに出走するもアイコンテーラーの勝利を11着で見届けることになった。
このレースを最後に翌年1月11日付で抹消、ノーザンファームで繁殖牝馬になった。


サウンドビバーチェ

母:スクービドゥー、母父:Johan Cruyff
主な勝ち鞍:'23 阪神牝馬ステークス(GⅡ)

6月の新馬戦でデビューするも7着、次走も6着で3戦目で初勝利。
1勝クラスを勝利してチューリップ賞に挑むも4着、オークスへの出走権を得るも輪乗り中にゲート裏で他馬に蹴られ騎手を振り落とし放馬・馬体検査で故障も判明し出走除外。
結局スタートが15分も遅延、これはビービーガルダンが競走除外となった2011年スプリンターズSを超える遅延となり、GⅠとしては最長記録。
放送局によっては競走中にCMが流れてしまったり、すべて放映できてもそのまま番組を終了せざるを得なくなったりと、各所が大きく混乱していた。
次走の紫苑Sではスタニングローズにクビ差2着の好走。
そのまま秋華賞に挑んだが今度は馬場入り後に放馬、今度は異常が見られなかったため出走するもスタニングローズが連勝で栄光を得た裏で7着に敗れた。誰が呼んだか放馬二冠馬、年度代放馬。
翌年の初戦では2番人気に推されるも11着の惨敗、これが響き次走阪神牝馬Sでは6番人気に落とすも好スタートから番手で競馬を進め、10番人気の馬を抑え1着で重賞初勝利。スタニングローズに迫った実力が決してフロックでは無い事を証明して見せた。
なおこのレースでは6番・10番・9番人気が馬券に入ったことで3連単は101万円の波乱になった
出走権を得て参戦したヴィクトリアマイルもソングラインの5着と好走を見せた。
ところが半年ぶりの復帰戦のターコイズSでは3番人気に支持されるも15着の大敗、東京新聞杯でも14着、2回目のヴィクトリアマイルは大荒れの歴史が繰り返された中10着と大敗が続いている。
CBC賞では馬場入り直後に鞍上を振り落としキャリア3度目の放馬をやらかしてしまった。検査で異常無しだったためそのまま出走したが結局16着大敗に終わった。
このやらかしにネット上では放馬三冠という称号が与えられたのは言うまでもない。
結局これを最後に24年10月4日をもって登録抹消。生まれ故郷の三嶋牧場で繁殖牝馬となる。

3年目産駒

リバティアイランド

君には冠がよく似合う。
JRA ヒーロー列伝 No.96

母:ヤンキーローズ、母父:All American
主な勝ち鞍:'22 阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)'23 桜花賞(GⅠ)'23 オークス(GⅠ)、'23 秋華賞(GⅠ)
表彰:22 最優秀2歳牝馬、23 最優秀3歳牝馬
特記事項:'23 ジャパンカップ(GⅠ) 2着、'24 香港カップ 2着

ドゥラメンテ初の2歳GIウィナーにして牝馬三冠馬代表産駒その3で牝馬筆頭産駒。彼女の活躍によりドゥラメンテは3世代連続GⅠ、クラシックウィナー輩出となった。
ちなみに馬名の由来はアメリカ・ニューヨーク州にあるリバティ島。観光名所として有名な自由の女神像が立地する島である。
タイトルホルダーが父が出走叶わなかった菊花賞・ラストランとなった宝塚記念の雪辱を果たしたならば、彼女は牝馬とはいえ父が手にできなかった三冠の称号を手にしてみせた。
だが産駒G1馬で最も早く父と同じ場所に行ってしまった…
詳しくは当該記事を参照。


ドゥラエレーデ

母:マルケッサ、母父:オルフェーヴル
主な勝ち鞍:'22ホープフルステークス(GⅠ)
特記事項:'23、'24 チャンピオンズカップ(GⅠ) 3着、'23 東京大賞典(GⅠ) 3着

管理調教師は癖馬マイスター池添謙一騎手の弟である池添学調教師。
母がサトノダイヤモンドの半妹、母の父がオルフェーヴルと言う超良血。
ダートの未勝利戦を勝ち、東スポ杯4着からのホープフルS勝ちを決めてファンを驚かせたかと思えば、その後の芝戦線で振るわずダートに戻ると、チャンピオンズカップと東京大賞典で立て続けに3着に。
あまりにも独自性が高すぎるローテから謎の馬呼ばわりされた時期もあったが、やっぱり本質はダート馬だった模様。
詳しくは当該記事を参照。


シャンパンカラー

母:メモリアルライフ、母父:Reckless Abandon
主な勝ち鞍:'23 NHKマイルカップ(GⅠ)

2022年に東京のマイル戦でデビューし、新馬戦と1勝クラス特別ベゴニア賞を連勝、東京マイルへの適性を証明しながらオープン入りを果たした。
明けた2023年は距離延長かつ舞台を中山へ移して京成杯に出走。初重賞戦は後に皐月賞を制覇するソールオリエンスの勝利を後方から眺める6着に終わるも、続くニュージーランドトロフィーでは鞍上を内田博幸に替え3着入り、NHKマイルカップへの優先出走権を獲得した。
そのまま本番は前走で先着を許したエエヤンやウンブライル、素質馬カルロヴェローチェ、朝日杯馬ドルチェモア、重賞2勝のオオバンブルマイ等が人気を集める中9番人気で出走。
スタート後は馬群後方を外目に追走しながら、直線に入ると一手の決め手で一気に先頭へ。そのまま追いかけてくる後続をじわじわと突き放し、最後は仕舞いのキレで飛んできたウンブライルをアタマ差凌ぎきって勝利、初重賞制覇とともに初GⅠ制覇を達成した。
鞍上の内田博幸にとっても、2018年ノンコノユメと勝ったフェブラリーステークス以来実に5年振り、NHKマイルは2007年のピンクカメオ以来2度目のGⅠ制覇となった。
次走で安田記念に出走するも強豪マイラーがひしめくGⅠで3歳馬では厳しかったか14着で初の2桁台大敗となった。
秋初戦は富士Sが計画されていたが何らかの事情によって登録しないどころか秋の全休が発表された。

翌年復帰戦でなんとフェブラリーSに出走、初ダートでG1を選択したが見せ場を作ることなく16着の最下位、次走は距離短縮で高松宮記念に出走するもこちらでも見せ場なく17着のブービーに終わった。
その後も2桁着順が続くなどG1どころか重賞でもなかなか勝利できていない日々が続いている。


ドゥレッツァ

母:モアザンセイクリッド、母父:More Than Ready
主な勝ち鞍:'23 菊花賞(GⅠ)
特記事項:'24 ジャパンカップ(GⅠ) 2着同着

母はニュージーランドのオークス馬でサンデーサイレンスを経由しないHalo系牝馬の良血馬。
中山2000mで開催された新馬戦に敗れるも未勝利戦を勝利、しかし怪我によって1月・3月のレースを回避、4月の条件戦で上がり最速で勝ち
ダービーへの出走も可能性はあったが間隔の短さから以降条件戦を重ねて古馬混合戦も制しオープン入りまで無敗で辿り着いた上がり馬。
負けた新馬戦以外では全て上がり最速の4連勝中、鞍上の名手クリストフ・ルメールはサトノダイヤモンド・フィエールマンで菊花賞を2勝、
更に3年ぶりに京都での開催という好材料もあり、重賞実績皆無でむしろ重賞初挑戦でGⅠでありながら4番人気に支持された。

ルメールを背に挑んだクラシック最終戦、菊花賞では普段中団に控える競馬多かったため今回も控える競馬をすると予想されていた。
だがスタートから馬が前進気勢で鞍上もあえて気分いいように行かせたことで大外からハナを奪いに行った
1回目のホームストレッチでは先頭を走り、向こう正面では競ってきた馬を前に行かせ足を溜め、3・4コーナーで周りがペースを上げていく中抑えて最終的に先頭を譲りながら直線に突入。
抜群の手応えで直線へ向き一気に先頭を奪うと、そのままダービー馬タスティエーラ、皐月賞馬ソールオリエンスを寄せ付けないどころかむしろ突き放して上がり最速でゴールイン
後続を3馬身以上突き放す圧勝でクラシック最後の一冠を獲得、これで5連勝で全て上がり最速も記録した。なんで逃げステイヤーが2頭も生まれてるんですかね。
重賞経験なしで菊花賞に挑んだ馬としてはなんとあのメジロマックイーン以来33年ぶり
馬券内には2着タスティエーラ、3着ソールオリエンスが入線したが美浦所属馬が菊花賞の掲示板を独占するのはミホシンザンが勝利した1985年以来38年ぶり、更に長い間栗東勢有利とされてた本レースで2年前のタイトルホルダーからはじまって美浦勢が三連覇という快挙尽くしの菊花賞となった
先週のリバティアイランドに続きドゥラメンテ産駒はGⅠを連勝、更に秋の世代最終戦を独占する形となった。
彼は父が春のクラシックを活躍するも怪我で秋以降を棒に振ってしまったのとは逆に、怪我によって春のクラシックに挑戦する機会を失ったが最後の1冠を見事制してみせた。
鞍上にとっても皐月賞はファントムシーフで1番人気に支持されるも3着、青葉賞を制しダービーに挑んだスキルヴィングが2番人気に支持されるもレース終了直後に急性心不全によってこの世を去るなど悔しい・辛いクラシックが続いていた中、最後の1冠を圧勝劇で勝利できたことにレース後笑顔でガッツポーズを見せた。
次走は香港ヴァーズが計画されていたが、これまでの連闘・菊花賞の激走の影響か疲労が抜けきらないと回避。
しかし、まだ3歳で先のある馬であることや、4月から2ヶ月刻みでレースに出ていた事を考えれば、休養は無難な選択と言えるだろう。

4歳初戦に金鯱賞を選択しそこから天皇賞(春)という異例のローテーションが発表された。
メンバー唯一のG1馬で鞍上も引き続きルメールがとったこともあり最終的に1.9倍に支持されたがメンバーで初めてかつ最大斤量の59、菊花賞以来の実戦、最後の判断の差が響いたのか*9対抗馬の重賞馬プログノーシスに5馬身差つけられ2着に敗れてしまった。
そして迎えた春天本番はドバイで落馬負傷したルメールに変わって戸崎圭太を鞍上に1番人気で挑んだが、まさかの15着のブービー負け。更に軽度の熱中症の疑いがあるとされた…加えて翌週に右第1指骨剥離骨折が判明したと発表。3カ月以上の休養を要する見込みになってしまった。

その後熱中症と剥離骨折から回復したのか、英国GⅠインターナショナルステークスに出走すべくイギリスに向かった。
シャドーロール装着とルメール騎手を鞍上に古馬斤量61.0kgで挑んだレース本番は先団外目を追走するも直線で一時馬群に呑まれてかろうじて抜け出すも、早々にハナをとった1番人気シティオブトロイがそのままコースレコードで逃げ切り勝ちを決める中で古馬斤量で最先着の5着だった。

帰国後の予定は短期免許のウィリアム・ビュイック騎手と新コンビでジャパンカップ。他が人気してドゥレッツァ自身は7番人気だったが、序盤はシンエンペラーが先頭で走りスローペースになる中、道中遅いと見たかビュイックドゥレッツァがハナを奪い先頭で走る。最後は先頭で粘るところをドウデュースに抜かされたがそこから盛り返しシンエンペラーとともにドウデュースとクビ差でゴール板になだれ込んだ結果、シンエンペラーと2着同着*10。23世代クラシックホースは全員古馬GⅠ2着を経験することになった*11

翌5歳シーズンの始動戦は父や同期のリバティアイランドが阻まれたドバイシーマクラシック。序盤はシンエンペラーが緩くハナを切るのを追走。途中レベルスロマンスに先頭が替わるがマーク対象をレベルスロマンスにして追走続行。最終的に3着と好走。


ドゥーラ

母:イシス、母父:キングヘイロー
主な勝ち鞍:'22 札幌2歳ステークス(GⅢ)、'23 クイーンステークス(GⅢ)
特記事項:'23 優駿牝馬 3着

札幌の2歳新馬戦でデビューするも、出遅れが響いてドゥアイズの4着に敗れるも、次走では好スタートで道中3番手でレースを進め後続に1馬身3/4差をつけ勝利。
重賞初挑戦で今までと同じ札幌・距離の札幌2歳ステークスに出走、1番人気に推され同レースには新馬戦で対決したドゥアイズも出走するが彼女に先着し重賞勝利。
管理する高橋康之調教師にとってもこれが重賞初勝利となった。
阪神ジュベナイルフィリーズへ出走するも大外を引いてしまう、更には同じ枠にもみじSを制し阪神経験のある3番人気のカナロア産駒のウンブライル。
アルテミスSを制し、キタサン産駒初の重賞牝馬となった4番人気のラヴェルなどがいたこともあり6番人気となる。
そしてレースではまさかの大外枠3頭みんな出遅れ、後続から必死に上がり最速で追い、大外枠では最高着順の人気と同じ6着入線となった。
翌年桜花賞トライアルのチューリップ賞に挑むもレース前から落ち着きがなく、更に他馬との接触でやる気を無くしてしまい15着の大敗となった。
続く桜花賞も他の外枠馬たちと共に14着に沈み、次走はオークスを目指している。
オークスでは再び騎手が斎藤新騎手へ戻り出走。中段でレースを進めると最後はリバティアイランドとの上がり差0.1という豪脚で前を追うと、前で粘るラヴェルを競り落としゴール。2着のハーパーにはクビ差及ばなかったものの、その世代内ではリバティアイランドはさすがに例外として、トップクラスの高い実力を改めて示してみせる結果となった。
初の古馬混合戦でクイーンステークスに出走、今まで斤量54or55を背負いながら勝利・好走していた重賞馬にとって斤量51という3歳馬に有利な条件もあったものの
近年3歳馬で勝利していなかった古馬混合戦を外からまくって完勝、札幌2歳S以来の勝利と2つ目の重賞を手にした。
鞍上斎藤新にとっても札幌2歳S以来の重賞勝利・初の同一馬での重賞2勝以上勝利も達成した。
勢いそのまま秋華賞に参戦し最後の1冠を狙うもリバティアイランドが三冠を手にするのを4着で見届けた。
エリザベス女王杯を目指し調整を進めていたが左前屈腱炎で回避、更に幹細胞移植などで復帰まで1年以上かかることが告知された。
その後しばらく音沙汰がなかったが、回復が芳しくなかったか2025年3月25日に引退・繁殖入り。


シングザットソング

母:ザガールインザットソング、母父:My Golden Song
主な勝ち鞍:'23 フィリーズレビュー(GⅡ)

デビュー戦を上がり最速で勝ち上がり白菊賞では最後方から上がり最速で追い込むも5着、エルフィンSでも最後方から追い込むも3着に敗れる。
初重賞でフィリーズレビューを選択、デビュー戦さながら中団でレースを進め最終直線で抜け出しそのまま1着入線、初重賞で勝利をおさめた。
これにより桜花賞へと駒を進めるも、こちらは上位の馬たちに押し負け7着が精一杯。
オークス・秋華賞は距離が長いと判断されてか次走はNHKマイルに挑戦するも11着に敗れた、以降はリステッドにシフトし朱鷺Sは11着、オパールSで2着と久々の好走を見せた
その後8カ月ぶりに重賞戦で京阪杯に出走するも9着、翌年京都牝馬Sでは5着の好走を見せたが、その後はなかなか勝ちきれていない。


シーズンリッチ

母:エバーシャルマン、母の父:ハーツクライ
主な勝ち鞍:'23 毎日杯(GⅢ)

デビュー戦では後方から上がり最速を記録するも4着、次走では番手で進めアタマ差で勝利。
百日草特別・共同通信杯と出走するも何れも勝てず、毎日杯ではたたき合いを制し1/2馬身差で重賞初勝利を飾った。
またこの日、同父のタイトルホルダーが中山で日経賞を制した為、ドゥラメンテ産駒は同日の東西重賞同時制覇を成し遂げた。
毎日杯は皐月賞トライアルではないうえに皐月賞とは間隔もあまりないことから次走は日本ダービーに出走するも7着に敗れ春を終えた。
秋初戦に神戸新聞杯を選択するも10着に敗れたが、毎日杯の賞金で菊花賞への出走は可能なことから最後の1冠を狙うも、同じ父を持つドゥレッツァの劇的勝利を12着で見届けた。
4歳初戦には金鯱賞を選択し再びドゥレッツァと相まみえるがどちらもプログノーシスに敗れるどころか最下位入線となってしまいその後も大敗が続いてた所に2025年に故障してしまった。
なお毎日杯で鞍上を務めた角田大河騎手は翌24年8月に死去しており、彼にとって最初で最後の重賞勝利となった。


ルガル

母:アタブ、母の父:New Approach
主な勝ち鞍:'24 シルクロードステークス(GⅢ)、'24 スプリンターズステークス(GI)

ドゥラメンテ初のスプリント重賞馬。
キングマンボの母でもある歴史的名牝、ミエスクの玄孫であり、故にキングマンボのクロス無しかつミエスクの4×4というクロスを持つ。
多数の活躍馬を持つミエスク牝系の出身らしく彼自身もエリートホースとして期待を寄せられデビュー。
勝ち上がりにこそ4戦を要したものの、橘ステークスの勝利と葵ステークス*12で2着となった事で古馬戦解禁前にオープン入り内定。
古馬戦解禁後も堅実な走りを繰り返し*13、京阪杯では2着に敗れるものの追込み勢が目立つ結果の中先行して粘る負けてなお強しな競馬を披露した。
年明けて4歳古馬となった初戦にシルクロードステークスへ挑戦、
好スタートから2番手で脚を溜めながら競馬を進め、最後は直線で後ろを突き放して強豪古馬であるアグリ相手に3馬身差をつける横綱相撲を披露。一気に混戦模様のスプリント戦線最上位の一角へ駆け上がった。
マイル~長距離、ダートのG1(G1級)を制したドゥラメンテ産駒にとっては短距離でもG1に期待がかかる有力産駒、前走の勝ち方から数々のG1馬・実績馬を抑え1番人気に支持された。
ところがレースではスタート良く前目につけることに成功したが最後脚が伸びず10着と新馬戦以外は掲示板を安定させていた成績が崩れてしまった。*14
2週間ほど経って左橈側手根骨骨折、左第3手根骨骨折が判明したと発表。6カ月以上の休養を要する見込みとなってしまった。
故障を乗り越え直行した秋のスプリンターズステークスでは前走大敗と骨折明けもあって単勝28.5倍の9番人気だったが、ピューロマジックが逃げて前半600m32.0という超ハイペースのレースラップを先行集団から追走。
大逃げからの逃げ切りを図るピューロマジックを他の先行馬とまとめてマークするような体勢で追いかけた。
直線では粘り込むピューロマジックを残り200mのところで捕まえると、最後は追い込みをかけたトウシンマカオ、ナムラクレアを封殺してゴールイン、自身及びオーナーの江馬氏、鞍上の西村淳也騎手にとって初のGI制覇となった。また、ドゥラメンテは産駒初のスプリントGI勝利。またひとつ、その産駒の適正幅を広げてみせるのであった。
勢いそのまま香港の香港スプリントに殴りこむも11着、翌年高松宮記念も7着に敗れたがチェアマンズスプリントに参戦したものの5着に敗れている。正直1着馬がUMAすぎた


4年目産駒

シュガークン

母:シュガーハート、母の父:サクラバクシンオー
主な勝ち鞍:'24 青葉賞(GⅡ)

4年目産駒の牡馬筆頭候補。母と母父の名を見て察した人も多いと思うが、彼はドゥラメンテの産駒でありながら、キタサンブラックの半弟でもあるという、あまりにも因縁めいた良血統の持ち主である。主戦騎手は、兄と同じ武豊。

デビューは3歳になってからとやや遅く、元々は1月終わりに芝1800mでデビュー予定だったが除外されてしまい、翌週の芝1600mでデビューし2着。このレースでは勝負どころでジリジリと足を伸ばしていたが、伸び切る前に勝馬のワールズエンドに押し切られてしまったことや、除外されたレースより実際に走ったレースの方が距離が短かったことから、距離が足りていなかったのではないかという声が多く聞かれた。
陣営もそれを把握していたのか、次の未勝利戦では2000mに距離を延長。5番手からレースを進めて4コーナーで外から先団に並びかけ、直線で抜け出して後続を突き放す完勝を決めた。
次の大寒桜賞では更に距離を延長し2200m。雨による重馬場を考慮し、武騎手は今回逃げの手を選択。4コーナーで後続を一旦引きつけ、直線でもう一度引き離すという兄を彷彿とさせる逃げを披露し、2馬身差で2勝目をあげた。
そして3レース目は日本ダービートライアルの青葉賞。ダービーと同じ2400mのレース。ここでは好スタートを決めてから、再び5番手前後に控えてレースを進め、最終直線で外に持ち出して鞭を入れると一気に加速。先頭集団を飲み込み、追い込んできたショウナンラプンタをアタマ差振り切って重賞初制覇を飾った。
これで日本ダービーへの優先出走権を獲得。本番の日本ダービーでは逃げ馬不在*15のスローペースを2番手で進めて、直線で最初に抜け出したものの後続に上りの脚を使われて最後は7着。やりたい競馬をこなした上でこの着順というのは端的に言えば力不足と言わざるを得なかったが、それでも鞍上は全く悲観的な様子を見せず「現状ではまだといった感じ。秋が楽しみ。」とコメントを残し、調教師も「まだこれからの馬。」と、兄のようなひと夏を越えての成長を期待するコメントを残した。
秋は前哨戦(セントライト記念または神戸新聞杯)を挟んだ上で、兄が制した菊花賞へ向かう予定であったが、さすがに連日の酷暑を懸念してか断念。有馬記念を目指すこととなった…が、今度は左前浅屈腱炎を発症していまい有馬記念の断念を余儀なくされた。


ミアネーロ

母:ミスエーニョ、母の父:Pulpit
主な勝ち鞍:'24 フラワーC(GⅢ)

4年目産駒の牝馬筆頭候補。母はアメリカでデビュータント(GⅠ)・ソレントS(GⅢ)を制したが2歳で引退その後日本に輸入された。半姉に16年ファンタジーSの勝馬ミスエルテ、半妹に25年フィリーズレビューの勝馬ショウナンザナドゥがいる。
津村明秀を背にデビューし勝利、次走で乗り替わるも5着に敗れ再び津村に戻りフラワーCに出走し勝利。
オークスは14着の大敗となったが秋初戦で秋華賞トライアル・紫苑Sではクリスマスパレードに敗れるも2着で優先出走権を獲得した。
しかし秋華賞では6着に敗れ、初の古馬混合戦でターコイズSに出走するも8着に敗れ3歳戦を終えた。
4歳初戦は中山牝馬Sで始動して、同日直前に開催されたフィリーズレビューを制した半妹に続きたかったところだが、スタートで致命的な出遅れになってしまい8着に終わった。


5年目産駒

マスカレードボール

母:マスクオフ、母の父:ディープインパクト
主な勝ち鞍:'24 アイビーS(L)、'25 共同通信杯(GⅢ)

5年目産駒にして最終世代の現筆頭候補。
半姉にローズSをレコード勝ちして秋華賞ではリバティアイランドの2着に入ったマスクトディーヴァがいる。
戸崎圭太騎手を背にデビューし勝った勢いでアイビーSを連勝。GⅠ初挑戦となるホープフルSではキタサンブラック産駒の東スポ杯馬クロワデュノールが抜きん出た実力で勝利する裏で11着と大敗するも、翌年初戦の共同通信杯で坂井瑠星騎手に乗り代わると好位からジワジワ迫り勝利。
皐月賞では他馬に先約されている坂井騎手に代わり皐月賞2勝の実績のある横山武史騎手が騎乗、『雷神』ジョアン・モレイラとタッグを組んだミュージアムマイルの3着に敗れたが4頭出走した産駒で最先着、唯一ダービーの優先出走権を確保した。なお武史騎手はレース前インタビューで「中山は合わない」と述べていた。
日本ダービーでは、共同通信杯で勝利を手にした坂井騎手とのコンビが復活することが決まっており、ここから父との親子クラシック制覇を果たせるか期待の1頭である。


余談

ドゥラメンテは時折パドックで「パカパカ歩き」とも言われる変な歩き方をすることで有名であった。
岡部幸雄元騎手曰く、これはダイナカール以来の癖であり、なんでも緊張しているときにやる仕草なんだとか。
つまりレースではあんなに爆走するのに本番前は緊張でカチコチということ。なんだかギャップ萌えみたいな属性も持ち合わせたカワイイヤツであった。


創作作品への登場

2023年10月5日に放送されたアニメ第3期・第1話において事前情報も無くいきなり登場、視聴者を驚かせた。ちなみに5話まで台詞が息遣い程度しかなかった中の人は後のインタビューで「息だけで表現しなければならなかったので凄く大変でした」と語っている。いや本当お疲れ様です…*16
なお、サンデーレーシング所有の馬、及びウマ娘化した祖母(エアグルーヴ)がいる馬としては初の実装となった。
寡黙で不遜な言動が目立つがそれは「凱旋門賞に勝つ」という確固とした夢を果たすがためのもの。それゆえに努力を惜しまないストイックな姿勢が目立つが、かえってそれがド天然な発言をもたらすことも……。
ゲーム版のキタサンブラックの育成シナリオでは「ブリュスクマン」という名ありモブがドゥラメンテの代理として登場しており、偽名から正式実装されたウマ娘としてはブロワイエ→モンジューに次ぐ2例目となる。
アニメ完結と同時に実装されたSSRサポートカードでは得意率120という驚異の性能を誇る。

追記・修正はドリフトせずにお願いします。

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最終更新:2025年04月30日 19:46

*1 デムーロ騎手も「裁定委員物凄く怒ってた」とこの件を指して証言している。

*2 キタサンブラックの母父であるサクラバクシンオーは、競走馬時代に短距離最強馬として活躍し、産駒もマイル以下の距離を中心に走って成功した馬が多かった。

*3 最高着順はスターズオンアースの23年有馬の2着、G2であればタイトルホルダーが22・23年に日経賞を連覇している

*4 以下のGⅠ級産駒でも一通りが故障を経験しており、競走中止こそあったものの復帰以降は掲示板を外さずキャリアを通して骨折や炎症での頓挫は無かったタイトルホルダーや、脚部不安でアメリカ遠征を断念したものの芝にダートにとコンスタントに出走してダート古馬GⅠで好走できているドゥラエレーデが比較的マシな方である。

*5 米加では1599mまでがスプリント区分となるが、ここでは1300m以内のレースとする

*6 2005年のエプソムダービー(イギリスダービー)優勝馬。父は1999年の凱旋門賞でエルコンドルパサーを下して優勝し、ジャパンカップに参戦してスペシャルウィークと対決したことで知られるモンジュー。

*7 実は、岩手競馬で3勝していた同父で同年生まれのタカイチイチロウが、母が豪州G1オールエイジドステークスを勝利したハナズゴール(父オレハマッテルゼ)という血統を買われてか、2023年12月に引退して種牡馬入りしていたため、タイトルホルダーが産駒で最初の種牡馬入りというわけではなかった。

*8 1978年エプソムダービー優勝馬のシャーリーハイツ。

*9 同じ後方待機していたプログノーシスの川田騎手は内が空くのを待って内ラチから足を延ばしたのに対し、ルメールは外へと出したことで末脚を出すタイミングが遅れた

*10 JRAG1で2着同着は22年エリザベス女王杯のウインマリリンとライラックの2頭が2着同着だった以来である。

*11 三冠牝馬リバティアイランドが23年ジャパンカップ2着、皐月賞馬ソールオリエンスが24年宝塚記念2着、ダービー馬タスティエーラが24年天皇賞(秋)2着、菊花賞馬ドゥレッツァが24年ジャパンカップ2着同着

*12 モズメイメイのロケットスタートが話題になったレースである

*13 挑戦して3着だった朱鷺S(L)の勝ち馬に後のヴィクトリアマイルで大荒れを演出するテンハッピーローズがいた

*14 最もその新馬戦は9頭立てで9着の最下位だったため10着で今までの戦績に泥を塗ったわけでもない

*15 皐月賞を1000m57.5で飛ばしてレコードペースを演出した毎日杯(GⅢ)勝ち馬メイショウタバルが日本ダービーにも出走が決まっていたが、出走表が出た後に挫石で取消になってしまい、過去のレースで2戦以上逃げたことがある馬が不在となった。

*16 ソース元:「TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』リレーインタビュー①ドゥラメンテ役・秋奈(前編)」 https://febri.jp/topics/umamusume_season3_1_1/