登録日:2025/09/16 Tue 17:27:38
更新日:2025/09/20 Sat 22:25:58
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DJとは音楽を交互にかけてチヤホヤされる人のことだ
【DJとは】
上記の言葉が全てを物語っているが、もう少し詳細にいうと、
ディスコやクラブなどで音楽を切れ目なしに流し続ける役目を担う人たちのこと。
下記のように元々はディスクジョッキー(
Disc
Jockey)の略語だが、この言葉はむしろ
ラジオDJの印象が強いため、単にDJという場合クラブのそれを指すことが多い。
元々は1935年にスタートしたラジオ番組「Make Believe Ballroom」という番組の司会者であったマーティン・ブロックが、レコードを矢継ぎ早に入れ替えるスタイルで人気を博し、彼や彼のスタイルを真似るラジオ司会者を競馬の騎手(ジョッキー)になぞらえたのが始まり。後述のように現在でもこの意味でDJという単語が使われることはあるが、本項では軽く触れるに留める。
始まりは
太平洋戦争の頃、ドイツにより占領され、踊り場含む集会を禁じられたフランスの国民がこっそり店などの秘密の集会場に集まり、レコードをかけ流して踊るスタイルを編み出したと言われている。
そして、戦後主権を取り戻したフランスやバンドマンが不足していた
アメリカなどのクラブがBGM係に近い形でこのスタイルを引き継いだ。そしておそらく、このスタイルが上記マーティン・ブロックのレコードを次々入れ替えるスタイルに似てたことからこちらにもDJの名がつくことになったと推測される。
そして、おそらく1960年頃に2つのターンテーブルと中央に1つのミキサーというスタイルになったとされている。
そして、60年代末に台頭したニューヨークのDJ、フランシス・グラッソが2つの曲をリズムに合わせて途切れること無く繋ぐという今日まで続くクラブDJのスタイルが完成した。
その後、70年代にはダブや
ヒップホップなどDJをルーツとする音楽が誕生し、80年代に入るとドラムマシンやサンプラーなど電気で動き(そして演奏に頼らない)楽器をいち早く取り入れ、テクノやなどの音楽ジャンルを生み出し、時代の最先端を担う文化となった。
日本では80年代より
マハラジャを始めとするディスコが大流行。アメリカから持ち込まれた最先端の音楽が流行し、同時にDJという演奏スタイルも日本に広く知れ渡ることとなる。ここから世間一般に広がった音楽については数が多いため詳細は後述する。
やがてシーンは風営法や時代の変化により小規模なクラブやバーに変遷したが、令和に至ってもDJを軸としたクラブミュージックが音楽文化の最先端を担っている。
DJとターンテーブルはミュージシャン、楽器とは区別されることもあるが、
LINKIN PARKのようにDJが在籍しているバンドも多い。
こうしたバンドのDJは、曲中でサンプリングを鳴らしたり、スクラッチなどをリズム楽器のように扱ったりする。
アニヲタ的視点で見るなら、ユーロビートは『
頭文字D』などで有名な他、90年代〜00年代初頭のアニソン、ゲーソンでよく見られるR&Bやハウス、音ゲーや
電波ソングに多いハードコアテクノ、近年のアニソンや劇伴によく見られるEDMやヒップホップなど、こうした音楽は全てDJ、クラブ文化をルーツとしており、
そういった点でDJがオタク文化に与えた影響は図り知れないと言える。
また、場合によっては現役のクラブDJが直接アニソンに携わることもあり、一見縁が薄いようでその実非常に距離が近い存在と言えるだろう。
【DJの種類】
ラジオDJ
ラジオで音楽をかけ、その合間を喋りで繋ぐ人。
イントロに喋りを被せたりフェイドアウト中に喋り始めたりすることがあることでもわかるように、彼らも「その場に無音の瞬間を作らない」ことを求められる以上、クラブDJと本質は同じ。
喋りの方がメインに近くなると「ラジオ・パーソナリティ」呼びの方が似合う場合もある。またラジオ局J-WAVEではDJではなく「ナビゲーター」で統一している。
ディスコDJ
現在のクラブDJの原型とも言える存在だが、曲間に喋りを入れる場合も多い。フロアを盛り上げる煽り・トーク力が求められる。
また、7〜80年代当時はハコ(会場)備え付けのレコードを使用することが多く、客からのリクエストに応えることを求められたりするなど、アドリブ力も必要だった。
さらに技術的にも、曲同士のピッチ(テンポ)を合わせて違和感なく次の曲と繋ぐというテクニックが要求される。
クラブDJ
やることは基本ディスコDJと同じだが、MCは少なめでストイックに音楽を途切れさせずに繋いでいくことが多い。音楽ジャンル的にはテクノ、ハウス、エレクトロ、EDM等が多い。現在一般的にイメージされるDJの主流。もちろん場面次第ではマイクで煽る場面も見られる。時々ミックス済みの音源を流しっぱなしで煽る方がメインみたいな人も……
ヒップホップDJ
ヒップホップがメインのクラブ等でプレイするDJの場合はクラブDJと同じである。ヒップホップの場合はグループ内にDJがいる場合が多いのが特徴。DJがレコードでビートを繋ぎ続けるのをバックにMCがラップするというのがヒップホップの基本スタイルである。DJ文化に詳しくない人が「DJやってるんだって?」とか言いながら右手でスクラッチの真似をするが、スクラッチ等のトリックプレイは基本ヒップホップの文化で、例えばテクノのDJがスクラッチすることはほとんど無い。
ロックDJ
ロックDJと一括りにされるが、要するに狭義のクラブミュージック以外の音楽でDJする人々の雑に括った総称である。
厳密にピッチを合わせたり、スクラッチを入れたりする必要が無いため参入の障壁が低く、アマチュアDJ人口が多い。
だが、ロックDJでも上記のテクニックやカットイン等を駆使して神技的なプレイをする人も少なからずいる。おそらく最も玉石混交なジャンルだろう。
【DJ機材】
ターンテーブル
アナログDJにとっては必需品。ピッチコントローラーのついたダイレクトドライブのレコードプレイヤーを2台使用するのが基本。TechnicsのSL-1200 Mk3以降の機種がスタンダードだが、同製品の生産中止以降Pioneerをはじめとする各社がSL-1200のコピーモデルのようなターンテーブルをリリースしている。SL-1200自体も近年復活した。
CDJ
CDでDJプレイができるようにした機材で、ほとんどPioneer DJ製品一強である。ピッチコントロールだけでなく、曲の再生ポイントを記録できるCUEやループ機能など、デジタルならではの機能を備えている機種が多い。近年の製品ではディスプレイに波形を表示するものが主流。
だが、現在最も絶滅危惧種なのがこの分野で、CDJにUSBメモリを刺せるようになってデータDJが一般化して以降、Pioneer DJ(現Alpha Theata)の現行製品でCDを読み込めるプレイヤーが存在しないという事態になっている。
DJミキサー
2台(またはそれ以上)のターンテーブルやCDJなどの音声をミックスし、出力する機材。よくDJが熱そうにつまみを触る仕草はこのミキサーのEQかゲインを触っていると思って良い。これもPioneer DJ製品がスタンダードだが、今は亡きVestaxなどの製品もよく見かける。
DJコントローラー
CDJとミキサーが合体したような見た目のものが多く、主にパソコンと繋いでPCDJが使う。PCの人は自前で持ち込むことが多いが、ケーブルの繋ぎ換えや置き場所で苦労することが多い。カバーを付けないタンテの上に直置きするのはアナログDJからもクラブ側からも嫌われるのでやめよう。
【ジャンル】
前記の「種類」と重複する部分もあるが、クラブ等でよく見かけるDJのジャンルを簡単に紹介する。
ディスコ
「種類」の項目参照、なんだかんだいまだに根強いジャンルである。
テクノやハウスの現場でも盛り上がってくるとディスコノリになってくることもしばしば。
テクノ/ハウス
「種類」参照。クラブ系の主流ジャンルだが、トランス、エレクトロ、ハードコア、EDM等との境界は曖昧。
テクノの一部のジャンルでは大きく盛り上げることなく淡々とビートを提供し続け踊らせ続ける強者も存在する。
楽曲は素材であり、一般的な音楽で重視されるメロディはあまり重視されない。
EDM
クラブミュージックの派生だが実情はロック・ポップ系のDJに近く、メロディなどを重視し、アンセムで盛り上げるスタイルが多い。
ミックス済みのCDRやUSBメモリだけを持ち込み、流しっぱなしでDJをするフリと呼ばれるスタイルが一番多いジャンル。
これも「種類」参照。ヒップホップの曲を繋いでいくパーティももちろん主流だが、その場でラップを入れていく場合も少なからずある。また、前述の通りスクラッチ等で魅せるプレイをするDJも多い。
レゲエのDJはセレクターと呼ばれる。音楽に合わせて喋る人(MC)のことをディージェイ(Deejay)と呼ぶ。プレイスタイルはヒップホップに近く、バックスピンなどの技も使われ「コマゲン!」と叫んで盛り上がった曲をもう一度かけることも。また、DeeJayが喋ったりトースティング(レゲエ版のラップのようなもの)をすることも多い。
余談だが、繋ぎ(後述)などが得意じゃないロック・ポップス系のDJが自分を卑下して「DJ未満の選曲係」というニュアンスでセレクターを名乗る場合が散見されるが、これはレゲエのセレクターに失礼なので気をつけよう。
ロック/ポップ
「種類」の項目参照。曲を最後までかけるスタイルのDJが最も多いのがこのジャンル。反面、小西康陽等の影響で極端に短い時間(イントロだけとか)でカットインし、次の曲に繋いでしまう(クイックと呼ばれる)DJも多い。
とはいえ、ディスコなどが登場する以前のクラブDJのルーツはこのジャンルであり、特にレアなソウルミュージックをプレイする「ノーザンソウル」というジャンルは現代でも強く愛されている。
和モノ
広い意味ではいわゆる邦楽全般をプレイするDJのこと。だが、本来の意味は洋楽主体のクラブシーンに対し、古い日本のレコード(歌謡曲、GS、ジャズなど)にも踊れる音楽があるということをリコメンドするためのムーブメントで、洋楽に混ぜて「和モノ」のレコードをプレイするのが基本だった。
アニソン
ロック系とEDMの中間的なスタイル。あまりアナログは使われないせいもあり自作のリミックス等を使うDJも多いようだ。コスプレイヤーやグラドルがDJする場合ミックス済み音源(通称一本WAV)が使われる場合も多い。
他にも都内のDJバーでは毎夜のようにあらゆるジャンルのDJイベントが開催されている。
【DJを扱った・DJが出てくる作品など】
イーピャオ&小山ゆうじろうによる漫画。アニメ化もされた。
ギャグ漫画だが、クラブカルチャーの描写にリアリティがあることには定評がある。
詳細はリンク先参照。
アニメ化もしたゲーム作品。
詳細はリンク先参照。
DJ道
冒頭にセリフを引用したムラマツヒロキ作のDJ漫画。秋田書店から単行本が全1巻で発売中。
主人公が作者と同名のムラマツヒロキに弟子入りし、クラブ界隈でのし上がって行くストーリー。実践的なDJ講座も兼ねた内容となっており、これを読むとそれなりにDJのやり方がわかる作品。
余談だが、作者も当時の担当編集者もDJである。
TOKYO TRIBE2
主人公の出口海(でぐち かい)は天才的なDJテクニックを持ち、劇中のDJコンテストで優勝した程の実力。また自身が所属するチーム、ムサシノSARUが主催するパーティーでは、その腕を見込まれて仲間内からDJを任される場面も。
beatmaniaでは5つ・beatmaniaIIDXでは7つの鍵盤状のサンプラーとターンテーブルを操作するシミュレーションゲーム。
後の音楽ゲームを1つのジャンルとして確立させた作品でもある。2025年現在はbeatmaniaの後継機種であるbeatmaniaIIDXが好評稼働中。
楽曲はbeatmaniaがクラブDJを意識したコア路線の楽曲を、beatmaniaIIDXが同じくDJを意識しつつも幅広いジャンルを意欲的に収録する傾向にある。また現役で活躍するDJから楽曲提供が行われることも。
なお、初代beatmaniaに限っては「あるクラブに飛び入りDJとして参加した主人公がクールなプレイでフロアを盛り上げる」という明確なストーリーがある。
NPCとしては主人公の選曲に対しアドバイスをくれるクラブの支配人、主人公にDJバトルを仕掛けてくる先輩DJも登場する。
左右のつまみを回したり、ボタンを長押ししたりすることで楽曲にエフェクトをかけてアレンジする音楽シミュレーションゲーム。
定期的に一般公募等によって同人音楽系のコンポーザー・DJによる楽曲を積極的に収録しているのが特徴。
炭酸飲料・ファンタの学園ものシリーズCM。
毎回そのクラスのアルファベットにちなんだ奇天烈……失礼、個性的な先生方が登場するがDJ先生はF組。ちなみに担当科目は
数学。
そして次の問題を答えるよう、DJらしくディスクを回しつつ山下さんという女子生徒を指名。「3Xです」と答える山下さんだが……?
【余談】
小さなクラブやイベントなどでは、事実上お目こぼしされている場合もあるが、既存の音楽を営利目的で流す場合は本来著作権料を払う必要がある。
下手すれば訴訟・賠償沙汰にもなりかねず、こうしたトラブルを避けるために然るべき手続きをしているDJも少なくない。
クラブがJASRACなどの著作権管理団体と包括契約を結んでれば支払いを肩代わりしてくれる場合もあるが、その場合でも著作権管理団体に委託していない音楽は別途料金を支払う必要がある。
SNSでは日夜意識高いDJ達によってDJ論が語られ、論争になっている。こういうのは9割何の役にも立たない自分語りなので無視して気楽にナイトクラビングを楽しもう。
追記をカットインして修正をクロスフェードしてください。
- 擦る?様にCDを強制的に動かすのはどれ? -- 名無しさん (2025-09-16 19:44:17)
- 余談のハシゴの外しっぷりに草 -- 名無しさん (2025-09-16 21:43:55)
- もしかしてジョイントロンの長男がDJなのってあの三兄弟が無音の瞬間を作らない勢いで喋りまくるからなんだろうか -- 名無しさん (2025-09-17 00:30:03)
- DO DANCE !!!! -- DJ KOO (2025-09-17 10:53:13)
- 世の中にはナンパ箱なんてものがあるので、DJ聞きたいときは要注意 -- 名無しさん (2025-09-17 21:48:17)
- djdj・・・ -- 名無しさん (2025-09-18 22:45:11)
最終更新:2025年09月20日 22:25