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経絡/経穴

登録日:2025/12/25 Thu 20:17:04
更新日:2026/04/16 Thu 18:52:27
所要時間:約 20 分で読めます






※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください



本項目では東洋医学における経絡(けいらく)経穴(けいけつ)について記載する。
初版時参照文献:『新版 経絡経穴概論(第2版)』『ツボ単: 経穴取穴法・経穴名由来解説・〔ユ〕穴単語集(著:坂元大海・原島広至、監修:形井秀一・髙橋研一)』等


【経絡】

古代中国医学において、人体の中に存在する血や水、気といった生きるために必要な「気血栄衛*1の通り道として考え出されたもの。
縦と横の脈が存在し、縦方向に流れる脈を経脈、横方向に流れて経脈と経脈を繋ぐ役割を持つ脈を絡脈と表す。

経絡の種類

血管が動脈と静脈に大別されてそこから部位ごとに細かく名前が付いているように、経絡も複数の脈に分けられている。
まず経脈は十二の正経と八の奇経に大別され、正経は更に「」と「」で分類される。
陰(陰経)は臓に属して太陰、少陰、厥陰の三陰、陽(陽経)は腑に属し太陽、陽明、少陽の三陽に分けられ、手足それぞれに三陽と三陰の属する経脈が割り振られて{計十二脈}となる。

また通常の経絡である十二正経とは異なる特異な性質を持つ奇経と呼ばれる経脈も存在する。
これらは十二正経の気血が満ち溢れた際に流れ込み、余剰な気血を蓄えたり不足時に供給したりする「放水路」「地下水脈」のような役割を担っている。
奇経は八つの脈があり、それぞれ正経の経穴を共有しているが、任脈と督脈は独自の経穴を持っており、正経十二経と結びつけて十四経とする場合もある。

また経脈には十二経脈から枝分かれして体内深部を走行する経別と呼ばれる支脈もあり、絡脈は十五絡脈とその他の絡脈、その中でさらに枝分かれして小さくなった孫絡がある。


【経穴】

所謂「ツボ」
中医学や漢方医学の概念で、経絡上の重要なところにあるとされている。
東洋医学においては「気」の出入り口と考えられ、指圧や鍼治療、お灸はこの経穴の存在するポイントを身体表面から刺激を与えることで体調の調整、諸症状の緩和を図れるとされる。

経穴の多くは解剖学的には関節、筋溝、腱上、腱下、骨縁、骨端、骨孔、動静脈の上、神経の上部にあたる部分などに存在している。
一般的には「ツボ」と呼ばれることが多く、実際に取穴した際に指頭を使って経穴部位を確認するが、「(けつ)」とも呼ばれることから、熟練の鍼灸師は経穴のポイントを微細な陥凹部として捉えられるという。

概念的なものではあるが、世界保健機関(WHO)もその治療効果を認めており、1989年には361の経穴を国際標準として認定し、2006年には9カ国+2組織が参加してWHOの西太平洋地域事務局(WPRO)主催による経穴部位国際標準化公式会議で国際的に経穴の統一化がなされた。

経穴の種類

経穴には十二正経と任脈、督脈に属する正穴と十四経にも属さず単独で存在し独特の効果を持つ奇穴が存在する。
一般的に鍼治療などで使われる経穴は正穴の方であり、WHOでは1989年に奇穴のうち7穴を十四正経に所属させて計361穴としたが、奇穴も250穴以上存在する。

一方で鍼や灸の施術が禁止されている禁鍼穴・禁灸穴と呼ばれる経穴もあるが、どの経穴を禁鍼穴・禁灸穴に指定するかは諸説ある。

少林寺拳法では、708穴ある中から、80種、142穴を選んで、攻撃の対象にしたり、整法(身体調整法、人を治す技)の対象にしているという。

【主要な経絡・経穴一覧】

  • ()内表記:WHO表記
  • 寸法:1寸=約3cm、1分=約0.3cm

十二正経

  • 手の太陰肺経(たいいんはいけい)
手を流れる陰経の経絡で肺経に属している。募穴は中府穴。
肺と大腸は共に中国の五行では金に属するため密接な関係を持つ。また喉のまわりも取り囲んでいるため風邪にこの肺経の経穴を使うこともある。

  • 手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい)
手を流れる陽経の経絡で大腸経に属する。募穴は天枢穴(足の陽明胃経)。
肺と大腸は共に中国の五行でいうと金に属するため密接な関係を持つ。
また歯のまわりを取り囲んでいるため歯痛にこの大腸経の経穴を使うこともある。

  • 足の陽明胃経(ようめいいけん)
足を流れる陽経の経絡で胃経に属する。募穴は中脘穴(任脈)。
胃と脾は共に中国の五行でいう土に属するため密接な関係を持つ。また大腸や小腸のまわりを取り囲んでいるため腹痛にこの胃経の経穴を使うこともある。

  • 足の太陰脾経(たいいんひけい)
足を流れる陰経の経絡で脾経に属する。募穴は章門穴(足の厥陰肝経)。
胃と脾臓(現在の膵臓も含む)は共に中国の五行でいう土に属するため密接な関係を持つ。
また心臓のまわりを取り囲んでいるため心臓の病気にこの脾経の経穴を使うこともある。

  • 手の少陰心経(しょういんしんけい)
手を流れる陰経の経絡で心経に属する。募穴は巨闕穴(任脈)。
心臓と小腸は共に中国の五行でいう火(君火)に属するため密接な関係を持つ。
心包と共に神に通じ、ここが病むと精神活動に影響すると言われている。また心は血脈をつかさどるため、胸の痛みなど心臓疾患はもちろん血液疾患にも使われる。

  • 手の太陽小腸経(たいようしょうちょうけい)
手を流れる陽経の経絡で小腸経に属する。募穴は関元穴(任脈)。
心臓と小腸は共に中国の五行でいうと火(君火)に属するため密接な関係を持つ。
鼻や耳のまわりを取り囲んでいるため鼻づまりなどの病気にこの小腸経の経穴を使うこともある。

  • 足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)
足を流れる陽経の経絡で膀胱経に属する。募穴は中極穴(任脈)。
膀胱と腎臓は共に中国の五行でいう水に属するため密接な関係を持つ。
腎臓のまわりを取り囲んでいる。

  • 足の少陰腎経(しょういんじんけい)
足を流れる陰経の経絡で腎経に属する。募穴は京門穴(足の少陽胆経)。
膀胱と腎臓は共に中国の五行でいう水に属するため密接な関係を持つ。
肺のまわりを取り囲んでいるため肺結核などの病気にこの腎経の経穴を使うこともある。

  • 手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい)
手を流れる陰経の経絡で心包経に属する。募穴は膻中穴(任脈)。
心包と三焦は共に中国の五行でいう火(相火)に属するため密接な関係を持つ。
胸のまわりを取り囲んでいるため胸の病にこの心包経の経穴を使うこともある。

  • 手の少陽三焦経(しょうようさんしょうけい)
手を流れる陽経の経絡で三焦経に属する。募穴は石門穴(任脈)。
心包と三焦は共に中国の五行でいう火(相火)に属するため密接な関係を持つ。
耳のまわりを取り囲んでいるため耳の痛みにこの三焦経の経穴を使うこともある。

  • 足の少陽胆経(しょうようたんけい)
足を流れる陽経の経絡で胆経に属する。募穴は日月穴。
肝臓と胆嚢は共に中国の五行でいう木に属するため密接な関係を持つ。
また耳のまわりを取り囲んでいるため耳の痛みにこの胆経の経穴を使うこともある。

  • 足の厥陰肝経(けついんかんけい)
足を流れる陰経の経絡で肝経に属する。募穴は期門穴。
肝臓と胆嚢は共に中国の五行でいう木に属するため密接な関係を持つ。
また目のまわりを取り囲んでいるため目の痛みにこの肝経の経穴を使うこともある。

督脈、任脈

  • 督脈(とくみゃく)

  • 任脈(にんみゃく)


【耳鍼(耳介療法)】

耳介には、身体全体を反映する「縮図(マイクロシステム)」という考え方があり、身体の各部位が耳の反射区(corresponding points)に投影される(体性対応)、痛みや炎症があると耳の該当部位の反応が変化する、など耳の特定部位を刺激することで全身の痛みや不調に作用するという耳介療法(Auriculotherapy)の理論をフランス人医師ポール・ノジェが唱えている。
経絡理論とは異なる体系だが、日本ではしばしば伝統医療が国際的に評価された例として紹介される。
耳鍼(Auricular Acupuncture/AA)、電気耳鍼(EAS)、耳つぼシール/耳介圧(Auricular Acupressure/AP)などは、この考え方を利用したもので
刺さない、自分で押して刺激できる、コストが安いという耳つぼシール(耳介圧)が一番研究が進んでおり、次いで AA(耳鍼)。EAS(電気刺激)はサンプル数が少なすぎて科学的な分析は不能とされる。


【戦場鍼(Battlefield Acupuncture)】

Battlefield Acupuncture(BFA) は、2001年にアメリカ空軍の医師の Richard Niemtzow が考えた耳のツボを使った痛み対策で、耳の5か所に、米国製の小さな金色の鍼(ASP鍼)を順番に刺し、数日間つけたままにするという手法が特徴的。
その5カ所は以下の通りで、耳介における中枢神経系の反応点とされ、痛覚処理の調整や βエンドルフィンの放出などが仮説として語られている。
  • 帯状回(Cingulate gyrus)
  • 視床(Thalamus)
  • オメガ2(Omega 2)
  • ポイントゼロ(Point Zero)
  • 神門(Shen Men)
経絡理論に基づくものではなく、
耳介を身体の縮図とみなす「耳介療法(Auriculotherapy)」の体系
に属するが、神門などは中国伝統医学の耳穴体系でも重要視されており、東洋医学の経穴概念と部分的に重なる点もある。

痛みが減ったという報告はあり、軍で広まっているが、
「すごく効く」という研究もあれば、「効果ははっきりしない」という研究もあり、研究の質にばらつきがあるため科学的な裏付けはまだ途中でもっと大規模で質の高い研究が必要。


【フィクションにおける経絡・経穴】

「ツボを刺激することで体調の調整や諸症状の緩和を図る」ということから漫画やアニメ等にも取り上げられることがある。
実際の経穴に忠実な作品もあるが、主にバトル系作品ではツボを刺激することで筋力などの身体能力や治癒能力を飛躍的に高めたり、逆に相手のツボを突くことで麻痺などを生じさせる…といった描かれ方をされる方が多い。

但し現実ではあり得ないような効果を生じさせるツボは大抵架空のもので、固有名を付けずに「ツボ」表記の場合もある
そして当たり前のことであるが、作品中で描かれたオリジナルの効果を生じさせるツボと同じ箇所を刺激しても同じ効果は出ない

以下、経絡経穴が登場する作品一例
※単に体の一部を刺激して強化等行う作品を上げるとキリが無いため、明示的に「経絡」「経穴」という単語を使用している物に限る

「ツボを突いて攻撃する」で真っ先に思い浮かぶであろう作品。
主人公・ケンシロウ等が使う北斗神拳は対象の体内に708ほどある「経絡秘孔」を突く事による体内からの破壊を奥義とする。
経絡秘孔は人体の機能のほとんどに直接アクセスする事が出来るとされ、治癒力の活発化や対象の殺害、場合によっては押された秘孔に対処することもできる。
また心臓の位置が逆だと秘孔の位置が表裏逆になる設定がある。
見破られてからも当の本人が「正確な位置はわかるまい」と発言し、秘孔の効力で全ての秘孔の位置が露わになったときは
一部始終を見ていた北斗神拳の兄弟子が「あのような位置に」と発言しているため単純な表裏逆ではない可能性もある。
北斗琉拳には「経絡破孔」なる概念がありこちらは1109あるという。

作中の忍者達が使う忍術の発動に必要なチャクラと呼ばれる人体を流れる特殊なエネルギーの通り道として「経絡系」が登場する。
各所に「点穴」と呼ばれる無数の経穴(所謂ツボでチャクラ穴とも呼ばれる)が存在し、術の増強ないし削弱の度合いを司っているが、この経絡系を損傷すると上手くチャクラを練れなくなる。
点穴は全部で361個あるが、その大きさは針の穴ほどで、写輪眼では戦闘中に見抜くことは不可能。
通常、経絡系は視認できないが、三大瞳術の一つで透視能力を持つ『白眼』は瞳力が強ければ点穴を含めた経絡系統の全てを見通すことができる。

木ノ葉隠れの里の日向一族が使う体術「柔拳」は手からチャクラを発し、経絡系及び経絡系と絡みついている内臓へのダメージを狙うもので、柔拳で「点穴」を正確に攻撃すると攻撃対象のチャクラの流れを止めたり増幅させたりと自在にコントロールすることができ、点穴を見抜く白眼の持ち主であれば北斗神拳のようなことも可能。
また霧隠れの里の暗部は「点穴」を針などで突くことで対象を一時的に仮死状態にする技術を持つ。

  • 蚊(ゲーム)
を操作して人間から吸血する事を目的としたゲーム。
シリーズ2作目「蚊2 レッツゴーハワイ」では規定量の吸血の他に「ツボを突いて対象の体調不良を治す」こともステージクリアの条件となる。
バトルモードになってもこのツボを的確に突く事で、対象はリラックスして即座に警戒を解く事が出来る。



追記・修正はツボ押しをマスターしてからお願いします。


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最終更新:2026年04月16日 18:52

*1 現代医学で言う代謝物質。

*2 前腕はかつて尺と呼ばれていた。

*3 下歯の土台の骨の意

*4 口を開閉する蝶番

*5 箕とはモミを篩い分ける農具。箕に似た星座のこと。

*6 ここでは下腿の筋のこと。

*7 肺は君主の車の上の絹の傘の形に似ている。

*8 内くるぶし