登録日:2026/06/18 Thu 18:15:33
更新日:2026/07/02 Thu 13:13:03
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『信長を殺した男 本能寺の変431年目の真実』は、原案:明智憲三郎、漫画:藤堂裕による
漫画作品。
『別冊ヤングチャンピオン』(秋田書店)2016年9月号から2020年8月号まで連載された。
【概要】
快進撃を続けた
織田信長を討つも、今尚その動機は謎に包まれている
戦国武将・
明智光秀。
その子孫
を自称する明智憲三郎氏が著し、ベストセラーとなった『本能寺の変 431年目の真実』(文芸社文庫)を元にコミカライズされたものである。
一見子孫が語るというだけあって信憑性があると感じたかも知れない。
……しかしこの明智某氏、本当に光秀の子孫なのかについては実は多くの人から疑問が持たれている御仁。
なにしろ大学では歴史学ではなく工学部を専攻し、現在(発表時点で)は情報処理関係の会社員だというものの、彼が直接の先祖と主張する明智光秀の子・於寉丸の存在が史料に確認できないのだ。
主張も後述通り明智側に肩入れしまくったものが多く、学者も疑惑の目で見ている人がほとんどで、歴史学者の呉座勇一氏からは「机上の空論」と一蹴されてもいる。
そしてその筆調は本作とて例外ではなく、
- 主役の光秀だけでなく織田信長、斎藤利三など彼に与した人物が優男に描かれている一方で、秀吉を筆頭に光秀と敵対した人物がことごとく醜悪に描かれている。また敵対関係ではなくとも、荒木村重や武田勝頼など比較的光秀の味方寄りにもかかわらず敵対する者たち同様に描かれた人物もいる
- 明智光秀周りの描写は一次資料を元に「明智風呂」などの細かい部分まで拾っておきながら、武田周りは「山本勘助の部分以外は信憑性が高いと言われている」と主張して『甲陽軍鑑』1冊で済ませるなど史料の取捨選択や量に著しい偏りが見られる
- 光秀の母が信長に処刑されたなど軍記由来の考証を廃したと標榜しつつ、処刑された「荒木新七郎」を光秀の孫とするなど軍記よろしく一次資料にない関係を捏造し補完する
- 「三河国浜松」と書いたり書状の画像を取り違えたりするなど、初歩的なミスも目につく
……このような全体的に公正とは言いがたい歴史考証に基づいて描写されており、作中において度々フィクションではなく史実と主張しまくっているのも相まって、戦国時代が舞台の漫画の中でも読者内で好き嫌いが激しく分かれる作品でもある。
とは言え、藤堂先生の圧倒的な画力や擬音を全てひらがなにするなどのこだわり、さらに悪役として非常に魅力的な秀吉の存在も相まって歴史サスペンスとして見る限りはかなり良質な作品に仕上がっている。
実際、
森乱丸の名前や『信長公記』の「是非に及ばず」を「やむをえぬ」と訳すのは誤訳とするなど
織田家周りの一次資料関連に限れば光るものがある考察も存在する。
それにしたって秀吉ら敵対者を必要以上に貶めるのはやりすぎな気もするが……
ちなみに5巻に収録されている、『
磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』を思わせる筆致の『軍記物で見る信長を殺した男』は必見。
2020年には豪華声優陣による朗読劇が配信された。
2021年3月号からは秀吉を主人公に据えた続編『日輪のデマルカシオン』が連載開始。
【おもな登場人物】
キャストは全て朗読劇のもの。
CV:
井上和彦
本作の主人公にして、文武両道の完璧超人イケジジイ。
煕子や斎藤利三、一門衆明智秀満ら多くの人物に慕われるが、秀吉には「
説教臭い正論ジジイ」と目の敵にされている。
気さくな好々爺である一方で、戦では厳格な一面もあり欲に溺れる僧侶達を滅ぼすために比叡山焼き討ちを進言し秀吉をも恐れさせた。その義勇は、悪人のみを貫くという中国の神獣・解豸に擬えられる。
またサウナ好きでもあり、サウナではその肉体美を存分に見せてくれる。
CV:
関俊彦
光秀の主君。光秀とは将軍義昭が襲撃された本圀寺合戦で出会い、彼の力を認める。
若かりし頃より戦の天才として名を馳せ、特に桶狭間の戦いは光秀や秀吉も
「神軍」「何が奇跡か……全て計算された勝利よ……」と舌を巻くほどであった。
光秀からは「麒麟」と崇拝され、最初の内こそ仲睦まじい様子を見せていたが、非合理的な策を取った秀吉を称賛するなど次第に耄碌ぶりを見せ始め、光秀とは対立していく。
その野望はとどまる事を知らず、中国まで攻め入る「唐入り」を図るもその神算鬼謀を光秀に利用され我が身を滅ぼす事に……。
CV:高橋広樹
本作のメインヴィラン。
貧しい身分から成り上がったために上流階級への嫉妬が激しく、それ故に光秀のことは内心「正論ジジイ」と嫌悪しており、松永久秀討伐の際の意見の対立から隠さなくなっている。
三木城の捕虜相手に故意にリフィーディング症候群を引き起こす事で非合理的な殺戮を行うなど邪智暴虐な性格で、その悪逆非道ぶりは古代中国の霊獣
饕餮に擬えられ、悪い事考えた時には顔面に
殺意の波動饕餮文が浮かび上がったり果ては
己自身が饕餮と化したりする。
史実通り
6本の指を持っていたが、柴田勝家にそのことを引き合いに出されてコケにされたため
自らの手で斬り落としてみせた。
光秀が後世の軍記や小説で暴虐の謀反人と貶められたのは、本作においては秀吉の画策によるとのとされている。
傲岸不遜な性格ながら、内心光秀には思う所があったようで山崎の戦いの後には彼を愚弄した家臣を叱咤するという意外な一面を見せた(首見聞で光秀の首を見つけた時もそれまでは光秀の死を確認しなければ休まらないと焦っていたが、喜びもせず神妙な顔をしていた)。
信長に対しては心底尊敬している部分もあれば、
「どこか甘いから信頼するジジイ(光秀)に殺された」と死後に愚弄する二面性も持つ。
続編「日輪のデマルカシオン」では主人公としてスポットが当たったこともあるからか、悪辣な部分以外に正の部分にも触れ、そして徐々に運命に翻弄され狂っていく悲劇性にも焦点が当てられている。
肖像画そっくりの肥満体。
天下統一の障害になるとして信長に本能寺で暗殺されかけるが、光秀の裏切りにより難を逃れる。
それゆえ光秀に並々ならぬ恩義を感じ、孫たる徳川家光の名は光秀に肖って付けた名だという。
信長に暗殺されかかったのに続編では小牧・長久手の戦いで史実通り織田信雄に与しているって?細かい事は気にするな!
「自分は信長や光秀、秀吉と違って凡人」と嘯いているが、その策謀は紛れもなく非凡なもの。
CV:
稲田徹
室町幕府15代将軍。
秀吉と並び醜悪を絵に描いたような性格で、本圀寺合戦で信長に守ってもらった恩をすっかり忘れ各地の大名に呼びかけて幕府再興を目論むも信長、そして光秀の奮戦によりその野望は潰えた。
やたら肉欲が豊富で誰得なベッドシーンもある。
番外編『日輪の告白』では老いさらばえた秀吉の御伽衆・道休として、信長の華々しき活躍を聞き取る。
「信長様の草履を懐で温めたという!」「知らん何それ」
明智家重臣。サウナ好き。
山崎の戦いで秀吉の策により光秀が孤立してゆく中、唯一裏切らず守るために奮戦し処刑された。
光秀の親友にして元主君。サウナ好き。
光秀・家康・利三とともに信長を殺害する策を練ったものの、土壇場で光秀を裏切った。その真意とは……?
明らかに途中で設定が変えられているため、本作の歴史考証としてのトンデモ具合としてよく引き合いに出される。
CV:
植田佳奈
光秀の正室。
斎藤道三に生国美濃国を乗っ取られ、越前国へと落ち延びる途中に19歳の光秀と出会い、その後土岐氏再興のための政略結婚により光秀と結ばれる。
天王寺砦の戦いで赤痢にかかった光秀を必死で看取り、その後光秀は奇跡的に快癒するも煕子は彼の身代わりになるかの如く息を引き取った。
織田家重臣の有岡城主。
三木城攻めに参加した事で信長の残虐さにいやけがさし、謀反を企てる。
ケツアゴにもっさりした髭という醜悪な外見ながら本来は家族思いの情に厚い人物らしく、包囲されると尼崎城で巻き返すために逃亡。村重自身は逃げ延びたものの、残された妻のだしや孫の新七郎をはじめ一族郎党は斬首された。
光秀はだし達の首を丁重に弔おうとするが、秀吉は首を晒すべきだと主張。しかし信長が秀吉の策を採用したため光秀と亀裂を生んでしまう。
武田家最後の当主父子。
『甲陽軍鑑』の記述通り謀反を持ちかけてきた光秀と手を組もうとするも老害軍師・長坂長閑斎が使者を切り捨てたり真田昌幸を冷遇するなどの妨害にあいピンチに陥る。
織田軍に追い詰められ「余も逃げぬ…」とかっこよく宣言した次のページでアヘ顔を晒しながら討たれた。せめて北条家の者に啖呵切るエピソードとか書いたれよ……
南蛮から宣教師ヴァリニャーノが連れてきたアフリカの黒人で本名はヤスフェ。
信長に重用され多大な恩義を抱いており、信長と光秀の密談にも同席することが許されていた。
本能寺での奮戦ののち光秀に「こやつは動物と同じ…何も知らぬ」と見逃され、「本能寺で
違う男が殺される予定だった」と語る。
宣教師たちが流暢な日本語を話すのに対しコイツだけなぜか
全文カタカナのカタコトになっている。
追記・修正は信長を殺してからお願いします。
- ダイ〇クト出版のバナー広告かな? -- 名無しさん (2026-06-18 20:52:03)
- 記事の内容こそ割と偏りが目立つ気がするが… -- 名無しさん (2026-06-18 21:23:22)
- 明智光秀って妙に若く描かれることが多いから、最初から年寄りって結構珍しいかも知れない -- 名無しさん (2026-06-18 22:02:16)
- 本書を読んでいないので分からないが、何で荒木村重が斬首されているんだ? -- 名無しさん (2026-06-19 02:48:12)
- 明智憲三郎は本能寺の変は信長が家康を殺害しようとしたので、光秀と組んで返り討ちにしたとし、同時に動機の一つは信長の中国大陸征伐阻止とか主張されている方です。面白い説と思う反面で、この主張を『本能寺の変の謎を全て解明した』とし、歴史学者から突っ込まれています。 -- 名無しさん (2026-06-19 10:36:54)
- 原作はダメダメだけどコミカライズ・メディアミックスで良作になったってこと? -- 名無しさん (2026-06-19 20:16:13)
- 実際歴史考証としては落第レベルだよ、細川幽斎とか明らかに光秀への嫉妬で裏切る予定が変えられてるし。それでも「漫画としては」読み応えはあるんだ -- 名無しさん (2026-06-20 13:52:22)
- 生命40億年はるかな旅みたいな言いたくなることはいっぱいあるけどそれはそれとして見応えはある、ってのかな -- 名無しさん (2026-06-20 14:15:42)
- よくわからないが歴史フィクションとしてなら十分面白くて読み応えがあるが、原作者はこれを史実と主張しているのがアレって感じかな -- 名無しさん (2026-06-20 15:53:35)
- そう。これの原作者がそもそもオカルトに足突っ込んでるような人で、考証も裏付けもない妄想を真実として大学で広めちゃうようなそんな感じ。現代において明智光秀の歴史はめちゃくちゃ研究されてるので今見るとおかしいところだらけで面白さはある -- 名無しさん (2026-06-20 16:09:27)
- 「我が家ではこう伝わってるよ。まあご先祖様の主観もあるかもしれないけど、こういう解釈のストーリーもあっていいよね」位のスタンスなら、(出自含めて)まあ学者先生もフィクションにあまり目くじら立てんどいてあげて、で済むんだが……みたいな感じなのかな? -- 名無しさん (2026-06-20 18:34:43)
- 作者が史実と言い張っちゃった『ブッダ』や『アドルフに告ぐ』という感じかな? -- 名無しさん (2026-06-20 18:55:39)
- この人の話は小説としてはそういう切り取りも出来るよね、って感じだけど学説と言われるとそこのお茶飲んでからでいいんで帰ってくださいみたいな感じなのでね… -- 名無しさん (2026-06-20 21:35:19)
- 「素人質問で恐縮ですが――」で撃沈しそうな論文をベースに小説書いたら意外と面白かった件(なお執筆者自身) みたいな状況なのね -- 名無しさん (2026-06-20 22:56:11)
- トンチキな戦国漫画なんかいくらでもあるしなぁ。センゴクでもう慣れた -- 名無しさん (2026-06-21 02:16:58)
- 蒼天航路と一緒で「まるっきり史実では無いけど新しい切り口から描いた漫画」みたいなイメージだった。この作品の秀吉は悪の魅力があって結構好きだった -- 名無しさん (2026-06-21 02:35:04)
- 歴史を題材にしたファンタジーとしては面白いけど、史実として主張しちゃってるから問題ってわけか -- 名無しさん (2026-06-21 08:16:37)
- 実際光秀と信長が信頼しあっていたのに決裂するまでの件とか、完全に饕餮となって朝鮮出兵を強行する秀吉のシーンとかツッコミどころや史実標榜してるのを置いておけば作画先生の画力もあって面白いからな。「事実を主張してそれがガバガバな部分多すぎる」のが問題だし無視できないから仕方ないが -- 名無しさん (2026-06-21 09:27:56)
- 光秀、信長マンセー、秀吉サゲが露骨すぎて冷める。こんなをセンゴクと一緒にしないでほしい。 -- 名無しさん (2026-06-22 01:35:03)
- 歴史上の著名な人物を題材にした漫画で、作画担当の画力が高くて、主人公と主人公の味方をイケメンに描いて、敵対者を基本醜悪に描いてエピソード周りでもサゲるってのは「お〜い!竜馬」という前例があるんだけど、あちらは「嘘や作り話にならないギリギリのところを狙って面白くなるように描いた」って作者が公言してる通り、一線は守ってるし敵対者にも後半からフォローが入り始めてその上で面白い。本作は自称子孫が自分が気持ち良くなるために画力の高い漫画家に描かせて生み出した作品って感じ。 -- 名無しさん (2026-06-22 15:49:54)
- ゴーマンかましてよかですか?じゃないけど対立者を醜く描くのはベタな手法だからね -- 名無しさん (2026-06-22 17:58:26)
- マンガアプリでちょっとずつ読んでるけどなかなかの内容なんだな。これ見て信じるやつもいそう -- 名無しさん (2026-06-28 23:40:37)
最終更新:2026年07月02日 13:13