シードマスター説

登録日:2011/06/02(木) 01:41:33
更新日:2024/02/29 Thu 01:24:14
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シードマスター説とは「地球に生きる生物の誕生、進化、絶滅などを支配している『存在』が居る」とする説である。
インテリジェント・デザイン(ID)説とも。




……こんなことを聞いてオカルトだと思った? まぁ確かに。

ツチノコネッシーなどのUMAやUFOなどのように確かな事実はどこにもないため、半ばオカルト扱いされてはいるが、このシードマスター説は多くの既存の事実や疑問を元に唱えられたもので、根拠はなくとも「シードマスター」または「大いなる知性」「偉大なる知性」とでも呼ぶべき存在はいるのではないか?と、学者間でも真面目に議論されている。

そもそも地球の歴史、そしてそこに生きる生物の歴史には未だ不透明な部分が数多く見られ、現状ではどうにも説明できぬこともある。

地球史に関する数々の謎を解決させる説であり、何というか中には「あ~もうわかんねぇ! 全部シードマスターがやってんだよ!」などと音を上げる学者もいる。

シードマスター説がどのような過程で唱えられるようになったのか?
それは未だ解明していない謎を統合して生まれたのである。
あと野暮の極みだとは思うが、現代の科学及び進化論による回答も併せて載せる。


生物の進化と謎

生物の発祥

生物がどのような過程で発生したのかは現在も解明できておらず、人類は未だアメーバ一匹作り出すことができない。
生物が発生したと思しき時期の地球環境を再現しても、タンパク質の塊ができるだけで、生物と呼べるものは作れないのである。

まずは最低限
  • 細胞のようなまとまった形を持つ
  • 代謝系を有する
  • 自己複製ができる
という要素が揃わないと、それから生物として進化することなど不可能であるわけだが、この地点で相当に複雑である*1

ついでに付け加えると、この時期の地球には当然植物なども存在していなかったため、大気の成分は窒素と二酸化炭素が主。つまりはオゾン層なども存在していなかったため、せっかく遺伝子を持てるところまで進化しても、それを破壊する宇宙線や紫外線が容赦なく降り注いでいたはずである。
これらの宇宙線や紫外線は変異を誘発し進化を促す面もあったが、「変異」ではなく単なる「破壊」で終わってしまう可能性も十分にあるため、「壊れた遺伝情報を修復する機能」までなければ次の進化には繋がらない。

地球に生物が誕生するためには「細胞という形状」「代謝系」「自己複製」「修復機能」といった要素をまとめて備えたタンパク質が誕生してくれないといけないわけだが、いかに何億年と時間をかけたとは言え、そんな偶然を期待するのはあまりにも無理がないだろうか?
このことから、地球外から生物の種が蒔かれたのではないかと言われている。

生物のミッシングリンク

首の短いキリンの化石は発見されているが、中間のキリンの化石は発見されていない。
他に、クジラやコウモリなど比較的新しい生き物も「生物は環境に適応するために自然淘汰を繰り返し、ゆるやかな進化をとげる」というダーウィンの進化論では説明できないような生物が多々見受けられる。

ウイルス進化論

生物のミッシングリンクを解決しようとする上で、最近唱えられている新たな進化論。
特定のウイルスに感染すると遺伝子に影響が起こり、数世代で爆発的な進化を遂げるというものである。
これによりミッシングリンクの説明がつく。

そして、この考えを推し進めた場合、「進化とはそもそもウイルスによって方向性が与えられているのではないか」という発想に行き着く。
意思を持つ『何者か』がウイルスという道具を利用して、人為的に進化を引き起こしたのだとすれば?

ウイルス進化したかはわからないが、アジアを発端に世界中に蔓延したあのSARSウィルスの脅威から約一年後、イスラエルの動物園で一匹のサルが突然、人間のように背筋を伸ばし二足歩行を始めたのが発見された。
このサルはウイルス性の腸炎に感染していた。

有性生殖をする生物の「新種」はどうやって子孫を残す?

生物が突然変異と自然淘汰の繰り返しで進化をする以上、その過程のどこかで従来の種とは異なる「新種」が誕生するわけであるが、その新種はどうやって子孫を残すのか?

「新種」である以上、従来の種とは別モノである。
別種の生物同士が交尾をしても、子孫は残せない。
よしんば子供を残せたとしても、その子供は生殖能力を持たない。
イヌとウナギが結婚しても子供が産まれることはないし、人間と鹿が交尾をしても同様
ライオンとヒョウを交配させた「レオポン」という獣や、オオクワガタとコクワガタとの間で生まれた「オオコクワガタ」という昆虫はいるが、彼らに生殖能力はない*2

ある日突然、変異で新種が生まれたとして、その新種がどれだけ環境に適応し、優れた能力を持っていたとしても、周りに従来の種しかいないのであれば生殖能力のある子供は作れず、後の世代には繋がらないはずである。
新種の生物が定着するには同じ突然変異を起こした新種が、同時期・同地域に、ある程度まとまった数だけ誕生しなければならない。
そんな都合のよい偶然が、何度も起こりうるものであろうか?

ウイルスと彗星

地球の軌道と交差する彗星は大体年間10個ほどあり、地球に飛来する彗星のかけらは年間約35000トン以上と言われている。
そして、そのかけらには年間約100トン以上の有機物が含有していると言われている。
その有機物の中に未知のウイルスやバクテリアがあるとしたら?
それが生物に感染し、病気を引き起こしたり、進化を促しているとしたら?

昆虫

昆虫は宇宙から来たと言われている。
と言うのも昆虫の体は非常に化石になりやすいにも関わらず、その祖先の化石は未だに見つかっていない。ある時期から突然出現した生物だと言われている。
また昆虫はウイルス・バクテリアなどの病原体を運び感染を拡大させるには非常に適した生物である。

地球という星

現在、地球のような多種多様な生き物が暮らす星は発見できていない。

地球の支配者

6500万年前の地球の支配者であった恐竜は絶滅した。隕石が原因と言われている。
そして次の支配者となったのは、二足歩行をして高度な知能を有する我々人間だった。
このようなプロセスも偶発的に起こったのだろうか?
何か一つでも順序が違ったり、足りなかったりしたら我々も存在していなかったのかもしれない。

まとめ

つまりシードマスターとは、「地球の誕生の段階から彗星や隕石・ウイルス(生物化学兵器)・昆虫などで地球に干渉し、地球に生きる生物の誕生・進化・絶滅を支配し、まるで実験場のようにしているとされる存在」である。

まだ地球が表層まで赤く煮えたぎっていた頃、
  1. 彗星を激突させて海を作り、
  2. 生物が暮らせる環境を生み出し、
  3. 進化の閉塞に陥った種を隕石とかで絶滅させ、
  4. 高度な知能を持つ生物の発展に手を貸し、
  5. ウイルスを蔓延させ進化を促進させる
存在……。

そんな支配者か、あるいはスパゲティモンスターのような存在がどこかにいるのかもしれない。
まあ、ゲッター線みたいのかもね。

いわゆる陰謀論のように、仮に進化論で説明がついたとしても「だからいないという根拠にはならない」というのが厄介な所ではあるが……。


上記の理論におよそ共通して言えることとして、「生物(あるいはその進化)のような複雑なモノや仕組みが偶然生じるとは考えにくい」という、いわゆる『ありえなさからの理論』による「従ってそれを行う『何者か』が存在するはずだ」という考えが基になっている。

たとえば、時計を作る時計職人はいても「時計職人を作る時計」はいないし、ましてや時計が偶然・自然発生するわけがないという理屈だ。
そしてこれは議論を待つまでもなく正しい。実際今日、世界に数千万種を超えると予想される生物がいることは偶然ではない。

しかし、例えば「生物は複雑だから『何者か』が作ったに違いない」とする理論では「ではその『何者か』を作ったのは『何者』か?」という疑問が生じ、堂々巡りを招くだけである。
時計のたとえで言えば、『何者か』は確実に生物より複雑であるはずで、さらにその『何者か』よりもっと複雑な存在を直ちに想定せざるを得ないからである。

そうした反論の一つとして、進化生物学者のリチャード・ドーキンス*3は『盲目の時計職人』にて「シードマスターがもし実在したとしても、それは 盲目の時計職人 のような存在だろう(要約)」と主張し、作為的な進化の誘導説を強く否定している。
そして、ドーキンスの理論の根底にある(反ID説に留まらない)反創造論・反宗教主義・懐疑主義・ダーウィン主義・科学主義などは2006年、『神は妄想である』にて毀誉褒貶の激しい一つの頂点に達するのだが……閑話休題。

つまるところ、『何者か』、すなわちシードマスターをこの問題に持ち出すことは何の解決にもならないのだ。

そもそもIDer(ID説の支持者)は、シードマスターの候補として「未来から来た生物学者かもしれない」などと言ってみることもあるが、神に代わる「まともな代理人」を候補に挙げたことがゼロと言っても差し支えない。
彼らが「安物のタキシードを着た創造論者」と少々意地の悪い嘲笑を受けるのもやむを得ないのかもしれない。

結論としては、「自然淘汰は偶然の産物である」とIDerや創造論者は語るのだが、それは自然淘汰を十分に理解してない(する気がないのかもしれない)からである。
上記の『ありえなさからの理論』に対する考察を行うのであれば、「偶然と創造のどちらが真実か」ではなく、「偶然・創造・自然淘汰のいずれが真実か」と問う方が正しいのだ。


「花が美しいことさえ分かれば十分じゃないのか?
花の下に妖精がいるなんて信じなくても」

(ダグラス・アダムズ著 『銀河ヒッチハイク・ガイド』16章より)



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最終更新:2024年02月29日 01:24

*1 とりあえず、タンパク質の殻の中に核酸が入っているだけで、自力で増殖できないウイルスよりも複雑な構造であったと思われる。

*2 ライオンとトラを交配させた「ライガー」のメスには、ごくまれに繁殖力のある個体が発生することもあり、ライオンやトラとの間に子をもうける場合があるが、そうして産まれた孫世代の子供たちにはオス・メスともに生殖機能がない。

*3 アニヲタ諸氏には「ミーム」の命名者・広め役と言えばピンと来るだろうか。