姉畑支遁(ゴールデンカムイ)

登録日:2018/01/05 (金) 16:59:02
更新日:2025/01/16 Thu 02:34:03
所要時間:約 10 分で読めます





動物が 大好きなんだ…!!


(アネ)(ハタ)()(トン)は漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物。
CV:堀秀行

モデルは容姿・名前とも博物学者アーネスト・トンプソン・シートン
加えて、口調やヒグマに攻撃された際のリアクションは完全に正憲氏。

……誰だかわからない?
お答えしよう。ムツゴロウさんである。*1



【概要】

生物学者を自称する、刺青の脱獄囚の一人。
動植物をこよなく愛しており、とても研究熱心な人物であることは確か。
北海道の動植物を専門に調査していたが、研究に熱中するあまり、持ち主に無断で家畜に近づいたのを牧場主に見とがめられ、牧場主に大怪我を負わせたため逮捕。
網走監獄に収監となった。

収監後、同じ監獄に居合わせたのっぺらぼうと土方歳三の手引きにより、体に金塊のありかを示す刺青を彫られ脱獄。
釧路付近に潜伏し、野生動物の研究をしていたところ、山中で谷垣、インカ、チカパシと遭遇する。
チカパシに生き物の素晴らしさを説き、その場では三人と打ち解けたものの、一行が寝静まった隙に谷垣の銃(二瓶の形見)を奪い逃亡。
谷垣はそのせいで近辺のアイヌからあらぬ疑いをかけられ、杉元佐一とその仲間たちも彼を追うハメになった。





以下ネタバレ


姉畑支遁(シートン)のウコチャヌプコロ動物記~

博識なのは事実だし、チカパシも素直に懐いてしまうほど穏やかな人柄を装ってはいるが……


大丈夫 大丈夫だからッ

大好きだからッ(カクカク


その実態は、本作でもぶっちぎりで首位独走状態の超弩級異常性愛者であった。
北海道の自然の雄大さ・美しさに涙すら流す小綺麗なおじさんとして登場したが、それが逆に読者を「なんだこいつ?」「新手の変態か?」「新しい囚人か?」と警戒させ、
ページを捲れば牡鹿の尻に怒張したチンポを挿入した全裸のおっさん(刺青付き)が見開きで「今日もドッタンバッタン大騒ぎ」しており、案の定であった。
収監される要因となった「持ち主に無断で家畜に近づいた」もつまりはそういうこと。
絵面に反して本人は大真面目な上にナチュラルに変態すぎて、ついにはwiki籠りをして本作を「変態水滸伝」*2と言わしめる有り様。

それでも単に強すぎる動植物への愛を持て余すだけならまだマシ
しかし姉畑の真の本性は、


私はッ!!なんてことをッ!!汚らわしいッ!!

こんなことッ あってはいけないッ!!


生き物を好き勝手に辱めた挙句、自分のした行いやその相手を「汚らわしい」と断じて惨殺するという、極めて常軌を逸した猟奇殺戮者。
樹木に対しても同様であり、性癖はもちろん、人格面でも一周回ってもう一周してやっぱり危険と言わざるを得ない。
なお、樹木(性交時に大股開く程度には太い)をレイプした後はその木を狂ったように一般的なサイズの剣鉈で切り倒そうとしていた。案の定無理だった。

さて、そんな姉畑が狙う本命の獲物はなんとヒ グ マ(キムンカムイ)

自然を思うがままに満喫していた折、偶然出会った谷垣一行からヒグマの話を聞いたせいで君だけの犯る気スイッチが入ってしまい、谷垣の持っていた村田単発銃を盗んで狩りに出かけてしまった。
犯し殺した牡鹿の死骸を放置したのもヒグマを誘き寄せる工作であり、目的成就のためにはとメス熊のオソマを全身に塗りたくる*3わ、バッタを食らうわ、熊相手にわざと風上から近付く*4わ、フレンドリーに話し掛けるわ、読者側にも呆れを通り越して尊敬すら抱かせるくらいの変態的所業を繰り広げる。
シュワちゃんがコマンドーで見せた有名過ぎるあのシーンを彷彿とさせる演出まで背負い、姉畑は征く。
全ては己の快楽のために。

その間にカムイの惨殺騒ぎで血相を変えた周辺のアイヌに谷垣(濡れ衣)が捕まるし、
杉元も(金塊の手掛かりだからとは言え)雌雄動植物見境なく合体しようとする命知らずな変態をヒグマから守らなくてはならなくなるし、
変態がしがみついたヒグマにはヤチマナコ()に追い詰められるし、
正直傍迷惑としか言い様がなかった。


「手のちからがもう限界だッ」

「神よ!!」
「私に僅かながらのちからを!!」

頑張れ支遁!!


しかも作中ナレーションすら姉畑を応援し始める。


ヒグマの注意が杉元に向いている間に変態はヒグマの尻に這い上がり、杉元を守るべくアシパさんが変顔になりながら投げたジムグリにヒグマが怯んだ瞬間、無謀な試みをやり遂げる。
思いを遂げた姉畑とオスのヒグマとの交合を直接目の当たりにした一同*5と担当の煽りは「信じられない」の一言に尽き、
杉元に至っては「やりやがったッ!」「マジかよあの野郎」「やりやがったッ!!」「姉畑支遁すげえッ!!」とやけに激賞し、姉畑を「先生」呼ばわりし出す始末。
きっと全国の読者諸氏も同じ気持ちだったろう。


そして我らが姉畑先生は、度重なる性的興奮の絶頂の最中……




姉畑先生… まさか…!!



勃ったまま死んでる……




満足気な表情で天に召され(腹上死し)ていた。
アシパさんも「鮭みたいな奴だったな」*6と評する変態学者は、文字通り幸福の絶頂の中でこの世を去って逝った。
おかしい人を亡くした。皆そう思った。
遺体はその後荼毘に付されることもなく、杉元によって刺青を剥がされ、釧路の大地に埋められた。

ついでに言うと、その雄姿(?)から最終的には「先生」と呼ぶに至った杉元が姉畑と直接会話したことは実は一度もない。



【余談】

金塊のヒントとなる刺青を彫られた脱獄囚ではあるが、姉畑が金塊について語る場面は全くと言っていいほどなかった。どの程度知っていたのかすら不明。
劇中では異常かつ独善的な生物愛とそれに振り回される杉元一行が描かれるのみであり、辺見二瓶のように己の目的に生きるタイプで金には興味がなかったのだろう。

姉畑本人からは少し離れるが、彼(の所業)が物語に及ぼした影響として
  1. 谷垣の捕まったコタンに尾形が滞在するにあたって、尾形の誤解に気付いた杉元から玉井伍長の死の真相を聞かされたことで谷垣に対する尾形の警戒が解かれる。
  2. 二瓶と谷垣を知っていたために傷から谷垣を犯人と誤解したアイヌのキラウらと谷垣はじめ杉元一行も和解するが、姉畑の所業への祟りかバッタの大群がコタンを襲撃
    「被害に遭ったカムイは十分に手厚く送り出したはずだ」というキラウの抗議も虚しく緑が食いつくされる。
  3. いろいろあって谷垣とインカが結ばれる。
  4. ラッコしか食料がない状態で男どもが一日閉じ込められた結果、「谷垣=すけべマタギ」の図式が定着してしまう
というようなことがあった。
その後、蝗害によりコタンの蓄えがなくなったために漁港へ出稼ぎに行ったキラウは人斬り用一郎を探す土方一味と出会い、門倉との漫才コンビとしてレギュラー入りすることになる。
また、この蝗害への対策を口実として鶴見が網走監獄への艦砲射撃を行うことが可能となった。

ウコチャヌプコロ……(真剣)

「ウコチャヌ」とは、動物の交尾のことである。
姉畑の所業に対し、アシパさんが抱いた疑問として、この言葉は現れた。
杉元はその意味を噛み締めるかのように神妙な面持ちで復唱し、これもまた読者らへ絶大な衝撃を与えた。


「どうしてだ?杉元…… どうしてこんなことを?」
「人間が鹿とウコチャヌしても子供なんか出来ないのに……」

「ましてやオスの鹿とウコチャヌする意味がわからない」
「オスはメスとしかウコチャヌしないはずなのに
オスとウコチャヌするなんて」

「どうしてだ?杉元……」

「ウコチャヌ……」


語源としては
  • ウコ:「互いに」
  • チャヌ:「知る・覚える」
  • :「~している・~しながら」
から成立する熟語で、直訳すると「お互いのことを知る」「なかよしする」「オカカワリする」といった意味になる。
なお、劇中でこの言葉について杉元は詳しく聞かなかったしアシパさんも説明していない。そりゃそうだね。

アイヌの感覚からすれば、この言葉は動物に限って使われ、人間同士ならば「オチウ」などが一般的。
「人間と動物とが」「オスとオス同士とが」「ウコチャヌ」するなんてことは普通はあり得ない。*7
まあ、海の向こうにはバイソンとかボノボとかみたいなオス同士・或いはメス同士でも交尾する生き物もいるんだけど……。

この言葉で、読者らにさえ「野田先生は『ゴールデンカムイ』を映像化させる気なんて皆無だろう」と思わせた姉畑シリーズに一層の異常さが添えられ、「姉畑=ウコチャヌの図式さえ完成しているとも言えるが、しかし作中で実際にこれを発したのは杉元とアシパさんだけである。

なお、前述の通り姉畑の行為を目の当たりにして妙なリスペクト精神を抱きかけた杉元とは対照的に、アシパさんの姉畑に対する感情は「憤懣」「嫌悪」で一貫している。
「おい杉元!この男を哀れむのか?やめろ」
……と、叱った上で、
「姉畑支遁が本当に動物を愛していたならどうして最後に殺すんだ?」
「姉畑もどこかで動物とウコチャヌするのが良くないことだと分かっていたんだ」
「あとになってその存在ごと無かったことにしようなんて…本当に自分勝手だ」
「どうしてウコチャヌする前によく考えなかったのか…そうすれば殺さずに済んだのに…」
「なあ杉元!!そう思わないか?」
……と、再び「ウコチャヌ」を連発しつつ、素直な怒りを投げかけた。
アシパさんの意見はまったくもってその通りであり、杉元も思わず言葉を飲み込んだが、尾形の「男ってのは出すもん出すとそうなんのよ」という的確かつ空気を読まない発言で台無しになった。

今日もドッタンバッタン大騒ぎ

姉畑の物語がヤンジャンに掲載されていた当時には某動物擬人化美少女ブラウザゲーム原作のアニメが制作側も予想外の大反響を受けながら放送中であった。
その上、抜群のタイミングでヒグマをモデルとしたキャラクターが登場してしまったため、「ウコチャヌを含めたアイヌ語ネタは、水を得た魚の如く活性化した読者らの手で瞬く間に伝染したのである。
姉畑が神々を穢した罪は重い(超とばっちり)

まぁあろうことか流行に乗じて「すごーい!彼は変態けものフレンズなんだね!」*8なんて狙い澄ました煽り文を書く担当編集も大概だがな!!!


まさかのアニメ化

大半のファンから「まず映像化は無理だろ」という共通認識を持たれ、アニメの監督も2期制作の際制作NGを言い渡されていた禁断のエピソード「支遁動物記編」だが……


なんと、単行本23巻の完全予約限定DVD同梱版に収録された
姉畑先生役は上述の通り堀秀行氏。
オーディションでなく直接オファーの形で選ばれており、声がかかるまで堀氏はゴールデンカムイという作品に触れていなかったそうだが、その内容を把握すると「いくら放送用ではないにしても、それ大丈夫?ありなの?」と語ったという。当然である。
本作が実写映画化されたのでそちらも期待され始めている




動物が大好きでウコチャヌしたい方は追記・修正お願いします。


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最終更新:2025年01月16日 02:34

*1 このご両人をモデルにして後述の人物像がどこから混入したのかは謎すぎるが、一説には「井の頭自然文化園に侵入して同様の犯行を繰り返していた会社員」も入っているのではないかとの声もある。1956年にゾウを標的にして命を落とした時に報道されており、画像が見られるが、容姿に共通点も見られる。

*2 「水滸伝」:超人的なアウトローが梁山泊という砦に集結して腐敗した政府と戦うお話/「ゴールデンカムイ」:変態的な悪党が北海道に変態的に散らばって戦う変態的なお話

*3 警戒を解くために臭いを偽装するという意味では好判断だが、喜び勇んでダイブする必要は全く無い。

*4 熊を警戒する普通の人は匂いで気づかれないようにするため風下からそっと離れましょう。

*5 尾形の手引きで脱走した谷垣とそれを追ってきたアイヌの皆さんもおり、この瞬間に濡れ衣は晴らされた。

*6 卵産んで精子ぶっかけたらそのまま死んじゃうもんな。

*7 アイヌの民話にもカムイと人との異類婚姻譚は存在するが、アシリパさんによれば「本当は良くないことだとわかっているから」必ず人間に変身して行われ、人間と結婚しようとした悪い狐の悪知恵がバレて殺される話もある。

*8 当該作品の項目内脚注にもあるが、この言い回しは原作には存在しない造語だと考えられている。悪意ある煽りに用いられることもあるので、用法・用量を守り、正しくお使いいただきたい。