X-ARMY(エグザミィ)

登録日:2011/10/05(水) 23:05:03
更新日:2025/02/23 Sun 18:30:08
所要時間:約 4 分で読めます




ARMS』に登場する、巨大軍需産業複合体を背景に持つ組織エグリゴリによって作られた実験部隊。
突然変異や人体実験によって得た超常の能力を持つ者達で構成されている。劇中に直接登場するのは五人だが、実際はもっと大勢いるらしい。
モデルは恐らくMARVEL COMICSX-MEN



鐙沢村の惨劇と新たなるARMS適正者・久留間恵との出会いを経た高槻涼達の前に現れた。
自分達がただの実験体でしかない事に不満を抱き、ジャバウォックを倒す事で自分達の力と価値を証明すべく涼達を襲撃。
そして隼人武士、恵の三人を人質にとって藍空遊園地の建設予定地で涼と戦いを繰り広げた。

その神にも近い力にエグリゴリの学者達も驚愕してたよ
だから僕は奴らに…こう呼ばれるようになった…“魔王(セイタン)”クリフとね!!

異名「魔王(セイタン) クリフ」
X-ARMYのリーダー格であり、ユーゴーの実兄。
ユーゴーより力の発現が遅かったせいで冷遇されており、能力の覚醒時には自分を蔑んでいた研究者を覚醒したばかりの能力を振るって皆殺しにしている。
発現した力は、凄まじい強さの念動力(サイコキネシス)。その威力は物質に原子レベルまで干渉できるほどで、自らの周りに全てを遮るサイコシールドを張る事も可能。
更に力の応用により生身で空中に浮きながら移動する事もでき、凄まじい破壊の力を振り撒きながら宙を舞う姿は魔王(セイタン)そのもの。
またユーゴーがいる場合に限り、額を合わせる事で彼女の精神に干渉してそのテレパシー能力を使う事もできる。
圧倒的な念動力をもって涼を追い詰めるが、精神干渉によって目覚めたジャバウォックの力には敵わず敗北した。
敗北後は涼達と和解し、憑き物が落ちたように穏やかな様子で紅茶を楽しんでいた。
能力としては序盤のキャラクターとは思えないほどのとんでもない性能を誇っており、彼がもし一行に付いてきていたら物語が変わってしまったとさえ言える。
サイコシールドを張った状態でも普通に会話できるという事は……?


  • ユーゴー・ギルバート
    • アニメ版CV:本間ゆかり
―私はテレパシスト… 私にしか出来ない戦いがあります…―

異名「天使(エンジェル) ユーゴー」
クリフの実妹。登場時は眉無しオールバックの不気味系女子だったが、仲間フラグが立つあたりから美少女化していく。
世界最高クラスのテレパシー能力を持ち、同系統のテレパシストと対峙してもその干渉を完全に弾き返すほど。
さらにテレパシー操作で自我を持たない兵士と感覚を共有し、複数体をまとめて動かす事もできる。
但し操作している対象のダメージが自身にフィードバックするというリスクを負う上、あまりに非人道的なので滅多にやらない。
エグリゴリの一員であるが非常に穏やかな人格者で、X-ARMYの作戦にも余り乗り気ではなかった。
幼い頃から汚い部分も含め他人の思念を聞き続けていたため心に傷を負っていたが、重い運命を背負いながらも戦い続ける涼の心を知り、惹かれるようになる。
X-ARMYの作戦が終了した後は涼達とともに行動し、テレパシー能力を活用した擬似通信を始めとして彼らの戦いをサポートし続けた。
その役割は重要な局面を突破する鍵となる事も多く、自分や他人の精神を送り込んでジャバウォックの暴走を止める事さえやってのける。
肉体的にはそれほど訓練を受けていたわけではなく殆ど普通の人間であるため、しばしば死にかけ死ぬ死ぬ詐欺と読者に思われてたりする。しかし……



面白いでしょ、“曲がれ”って思うだけで、私にはなんでも曲げられちゃうのよ。

異名「螺旋(ツイスター)のキャロル」
サイコキネシスを操る、ベレー帽の似合う小悪魔的な少女。
登場したメンバーの中では最年少で、幼いながら物理現象を無視してなんでも意のままに捻じ曲げる事ができる強力な力を持つ。
『不思議の国のアリス』の作者、ルイス・キャロルと同じ名前なので何か重要な伏線を仕込まれているのではと深読みしたファンも多かったとか。
クリフとユーゴーをお兄ちゃん、お姉ちゃんと呼ぶが血縁関係ではない。
詳しくは該当項目参照。



  • ヴォルフ
    • アニメ版CV:広瀬正志
こんなものじゃ この不死身のヴォルフ様は殺せないわよ♥

異名「不死身のヴォルフ」
ガチムチ体型で髭面の、ハーブティーが好きなオカマガン細胞から抽出した特殊な遺伝子が組み込まれており、たとえ心臓を刺されようが再生する事ができる
大柄な体格に見合ったパワーを持ち、不死身の肉体を生かした捨て身の攻撃を得意とする。だが不死身に対する過信により防御は不得手。
新宮隼人を倒すほど(あくまで初期の頃)の実力であったが、涼との戦いでは不死身能力の穴に気付いた彼に回復力とは無関係の脳を揺さぶられた挙げ句、締め落とされた。
ちなみに隼人の事は結構好みのタイプらしい。
尚、ジムでトレーニング中にエグリゴリに「より魅力的な肉体を手に入れられる」とスカウトされた経緯があるが、実際は実験台でしかなく冷遇されていた。
不死身という異名だがあくまでも外傷が再生するだけであり、呼吸ができない場合は普通に死ぬ。また、脳も弱点と言える。


  • キクロプス
    • アニメ版CV:宝亀克寿
異名「千里眼のキクロプス」
ゴーグルをかけた寡黙な男。神経細胞に突然変異を起こす新薬の実験台にされ、超人的な『目』の力を得ている。
X線・赤外線のみならず、ありとあらゆる光・電磁波を視る事ができる上、光線の位相を揃えて放射し物体を焼き尽くすといった芸当も可能。
ただし特殊なゴーグルを掛けていないと能力が常時発動するようで、特に光が乱反射するような状況では危険が伴う。
上記の能力とARMSすら切り裂く超振動ナイフを用いて涼と戦うが、ミラーハウスに誘い込まれて能力が暴走した事で敗れる。
ちなみにこのナイフはエグリゴリの実験室から拝借した超振動ブレードの試作品であり、後に正式採用されたものを高速機動サイボーグが使っている。
なお彼は子供の頃からエグリゴリの戦闘マシーンとして育てられ、薬物実験で超人的な視力を得た代わりに声を失った。
日常生活にも支障が出る事から組織に欠陥品と切り捨てられ、エグリゴリの科学者を見返す為に今回の作戦に参加した。
その設定のせいで喋れないので影が若干薄い






以下ネタバレ

涼達との戦いの末、和解したX-ARMY。
しかしその独自行動を疎んじたエグリゴリにより、彼らの能力が移植された超人部隊『レッドキャップス』が送り込まれる。
X-ARMYの実験はその兵士達を完成させる『プロジェクト・レッドキャップス』の為の捨て石に過ぎず、本国に残った他のX-ARMY達も全て処分されていた。
自分達と同じ強みを持つ無数の兵士による統率された作戦行動に追い詰められ、惨殺されるヴォルフとキクロプス。
ヴォルフはワイヤーで絞殺されて吊るされていた。
そしてクリフの前には、アドバンストARMSを持つキース・レッドが現れ、その力によって下半身を吹き飛ばされる。
生き残ったのは逃げ延びたユーゴーとキャロルだけであった……



クリフならキース・レッドの「グリフォン」に勝てたのでは?という意見もある。
実際、ジャバウォックを一時は一方的に蹂躙したクリフの超能力の威力は凄まじく、グリフォンを射程外から攻撃する事も出来ただろう。

しかし、この点を真面目に考察するなら、まず涼との戦いの際にバリアを張っていても会話ができていた事から音を遮断する事は出来ないか、出来ても平常時はやってないと思われる。
加えてキースの手の内が超音波による攻撃である事を初見で見抜けるわけがない点を考えれば、生身の人間がいきなりぶつかる相手としてはかなり分が悪く、最悪下手をすれば瞬殺だろう。
そもそも彼の超能力自体、ジャバウォックを一方的に蹂躙していたように見えて、実際には引き裂けていないどころか有効打にもなっていなかった。そしてキースの再生力もかなり高い。
極めつけは、この時点のキースは鐙沢村でのジャバウォックの暴走からデータを収集し、完全体の力をものにしている。

「この私のARMS、最終形態…グリフォンの力をな!!さあ、受け取りたまえ!!」

この台詞のようにオリジナルと違って完全体の能力を自由自在に使えるキースの最終形態相手では、さしもの魔王も勝ち目は薄いだろう。
更に言えばそもそもキースは彼らの事を一方的に熟知していた為、有利に立ち回るのは容易な事である。
加えてARMSの特性には「一度受けた攻撃に対して耐性がつく」というものがある。
その為、恐らくはすでにサイコキネシスの耐性を得ていた可能性があり。そうでなくともこの戦いの中で受けて再生すれば問題なかっただろう。
後にキャロルのサイコキネシスを受けた際も意に介さず一瞬で回復していた為、キャロルの能力に何の警戒もしていなかった事も説明がつく。

クリフの死ぬ間際の台詞からも、レッドキャップスではなくキースにやられたとはっきり言っている。下半身が吹き飛ばされたのは高出力の超音波によるものだろう。



こうしてX-ARMYはキャロルとユーゴーを残して壊滅。
キースとレッドキャップスとの決着をつけた後、ユーゴーは涼達に同行し、キャロルは新宮家に身を寄せる事になった。
日本を離れるユーゴーにキャロルは「必ず生きて帰って」と約束し、日本に残るキャロルにユーゴーはクリフらの眠る墓を託した。






さらにネタバレ









第四部「アリス編」において涼の絶望と憎悪に呼応して『アリス』を取り込んで暴走し続けるジャバウォック。
世界を滅ぼしかねないその力を止めるべく、そしてかつて涼と交わした「いざという時には自分が命と引き換えにでもジャバウォックを殺す」という約束を守るべく、ユーゴーはそのテレパシー能力の全てを駆使して精神世界のジャバウォックを焼き尽くさんと自爆を試みる。
その思いに応えるかのように涼は己を取り戻し、ジャバウォックの力を制御して全てを鎮める。
しかしすでにユーゴーの精神能力は限界に達しており、その体に心が還ってくる事はなかった……
そんな彼女の最期の表情は、たとえ自分の想いが報われなくとも想い人との約束を果たし彼を救えた事に満足したかのような、穏やかなものだった。

私が…生まれて初めて愛した人… 私は… いつでもあなたのそばにいます…



アル
「なんでだよ………?
 なんで、あんな馬鹿どものためにおまえが生命をかけるんだよ!?
 なんで…あの時… 帰ってくるって約束しなかった…!?
 なんとか言ってくれ… ユーゴー…」




こうしてX-ARMYの唯一の生き残りとなったキャロルは、第五部の冒頭にて涼達と共に泣きながら、約束が果たされなかったユーゴーの墓参りをするのだった。




「ユーゴー… みんな揃ったわ… 
 今日はあなたの命日でもなければ、特別な日でもない…
 だけどみんなで決めたの
 たまに集まって、あなたに会いに来ようって…
 みんな元気でやっているわ
 あなたと私達が命がけで勝ち取ったこの"世界"で、懸命に生きてる
 だから、心配しないで…」



だが、そんなユーゴーの犠牲の上で勝ち取ったはずの世界さえも、キース・ホワイトの掌の上であった。






オリジナルARMSの力も失った涼達には、もはや超常的な戦闘力を持つキース・ホワイトやモデュレイテッドARMSに勝ち目はなかった。







(ユーゴー… オレも…どうやら君のもとへ行きそうだ… もう…オレには…)
















【諦めちゃだめですよ…】





最後のネタバレ





完全体となったモデュレイテッドARMSの猛攻に倒れた涼達三人…
死ぬ間際というところで、涼の脳裏に誰かが語り掛けてきた。


「ユ… ユーゴー… どうして!?」

私は死んでなんかいませんよ… 私は"アリス"に取り込まれたんです…
いつでもあなた達のARMSの中にいたんですよ…
聞こえるでしょう?"声"が… あなた達を呼んでいる…

(ドクン)

……“(ちから)”が欲しいか?……

恵さんやカツミさんやみんなの声…

(ドクン)

(ちから)”が欲しければ…


さあ、応えてあげて!!









くれてやる!!



騎士(ナイト)が立ち上がる!!




くれてやる!!




白兎(ホワイトラビット)が飛び上がる!!




くれてやる!!




魔獣(ジャバウォック)が目を覚ます!!






この復活シーンはそれぞれ見開き3連発の怒涛の6ページ
更にハートの女王(クイーン・オブ・ハート)はこの直前、アザゼルに必死にコンタクトを取ろうとしてホワイトの"ブリューナクの槍"を撃たれた恵により発現。
恵はアザゼルを介して涼達がモデュレイテッドARMSによって瀕死にまで追いつめられている光景を見せつけられ、絶望の涙を流す。
だが女王はその仮面を外し、「アリス」の素顔を見せ、ハートの女王(クイーン・オブ・ハート)の力をもってしてオリジナルARMSを呼び覚ましたのだった。

【恵】
みんなのために…

"(ちから)"が…

"(ちから)"が…

欲しい!!





ハートの女王(クイーン・オブ・ハート)

"(ちから)"が欲しいか!?

"(ちから)"が欲しいのなら…


与えましょう!!


"アイギスの鏡"!!





騎士(ナイト)
愚か者ども!わからぬか!?我と貴様との"力"の差が!!
覚醒して間もないおまえらに見せてやる!!

本当の"力"というものを!!


白兎(ホワイトラビット)
どこを見ている!ノロマな奴らめ…おまえらと我らの決定的な違いを教えてやろう!!
おまえ達がいう我々オリジナルは自らの"意志"を持つARMS
そして、その"意志"こそがARMSの"力"!

"意志"こそが無限の可能性!!


魔獣(ジャバウォック)
ARMSのなんたるかも知らず
"力"のみを求めてきたおまえ達では…


我らには勝てん!!




ここからの胸のすくような反撃の快進撃は作中最高潮のカタルシスである。

女王(けい)(ホワイト)を希望の光で払い除け仲間達を照らし


白兎(たけし)は仲間達の為に最後まで優しさを持って戦い


騎士(はやと)はずっと追いかけていた父親の仇に引導を渡し


魔獣(りょう)はようやく神獣(カツミ)のもとに駆け付けた



そして涼とカツミによりアリスの怒りと憎しみは飲み込まれ、ユーゴーはクリフ達X-ARMYの仲間と共に今度こそ天国へと昇っていったのだった。




追記・修正は使い捨てのティーバックのように捨てられてからお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年02月23日 18:30