ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(MtG)

登録日:2011/05/06 Fri 01:31:27
更新日:2025/08/12 Tue 20:52:12
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「祝福されし完成をとくと見よ」




《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator》とは、マジック:ザ・ギャザリングに登場するカード。
のクリーチャ-。

カード性能

ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator (黒)(黒)(黒)(黒)
クリーチャー - ファイレクシアン・ホラー
トランプル
いずれかの発生源がファイレクシアの抹消者にダメージを与えるたび、その発生源のコントローラーはその点数に等しい数のパーマネントを生け贄に捧げる。
5/5

解説

能力と名前やフレーバーテキストを見てわかるように、《ファイレクシアの抹殺者》の完成型のようである。
つまりファイレクシアの抹殺者は未完成のプロトタイプだったらしい。
抹殺者はエヴァ初号機という異名を持つが、今回の抹消者はどうみてもエヴァ初号機の暴走モードにしか見えない。
因みに抹殺者の日本語読みはニゲイターだが、抹消者の日本語読みはアブリタレイターである。


まず大きく目を引くのがその能力である。

抹殺者の能力は抹殺者がダメージを受けると、受けたダメージだけ自分がコントロールするパーマネントを生け贄に捧げなくてはいけないというデメリット能力。
しかし抹消者はその逆で、抹消者がダメージを受けると、ダメージを与えたプレイヤーが与えたダメージだけパーマネントを生け贄に捧げなくてはならない。
つまりダメージを与えると、致命傷になりかねないディスアドバンテージを強いられる。

ブロックするにしても上記の能力とトランプルがあるため、チャンプブロックをするメリットがほぼない。
殴り勝てるもしくは相打ちを取れるクリーチャーでブロックしても、マイナス修正がかかっていない限り、パーマネントを5個以上確実に失うことになるため非常に痛い。

抹殺者?《ショック》一発じゃんwとか言っていた使いは、きっと祝福されし完成をとくと味わうことになるであろう。All Will Be One.


スタンダードでの活躍(初出時)


初出時は神話レアで収録。
当時のスタンダードで活躍が期待されるカードであったが、実際のところそれほど暴れなかった。

まず、被覆やプロテクションを持っているわけではないので、黒なら喉首狙いなどの単体除去、白なら平和な心やタッパー、金属術適用時限定の《急送》、青ならバウンスや打ち消しと赤と緑以外は他のクリーチャーと同じ対処で処理できる。

対赤や対緑用に使えば…という考え方もできなくはないが、そもそも当時のスタンダードには色を問わずにわずか1マナで-5/-5修正を与える四肢切断》が存在しており、それがほとんどのデッキに採用されていた。
戦争と平和の剣》の登場で赤との除去の信頼性が下がっていたため、Caw-bladeや大幅有利と思えた赤単にすら《四肢切断》で殺されるレベル。とてもじゃないが分が悪すぎる。
もちろんそれらがないなら対処は大変だが、大体そんな場面ってこいつでなくても大体脅威なので…。

さらに、マナコストが黒のクワドラプルシンボルと非常に色拘束がキツいので、黒単色デッキくらいでしか運用出来ないのだが、初出時のスタンダードの黒は感染が主流だったので戦略と全くかみ合わなかった。

このカードを採用した青黒ゾンビもトーナメントシーンの一角には存在したが、結局、ゼンディカー期は上記のカウブレードの、イニストラード期は青白デルバー等の隆盛を抑えきれず、活躍しきれないままスタン落ちを迎えたのだった。

スタンダードでの活躍(再録時)



「ノーンの幇間が小綺麗な磁器の下に隠しているものを見せてみよ。」
――シェオルドレッド

そして時は流れ2023年…なんと新セット『ファイレクシア:完全なる統一』にてレアになって再録された。*1
イラストも新調されており、前と比べるとおどろおどろしさが減ってスリムな外見になった。またイラスト違い版では日本人アーティストによる墨絵バージョンも用意されておりこちらも中々かっこいい。

カード性能はスタンダードでさえ評価はあまり高くなかった。
除去耐性の低さは変わっていないし、クリーチャーの性能はインフレしており、4マナ域はだいぶ混雑していた。
何より新たな下半身を得た上司が強すぎた。

だが、約2年後の『霊気走破』で《ウェイストウッドの境界》が登場すると、黒緑デッキに抹消者を投入することが可能になり、格闘呪文の《薮打ち》*2と組み合わせて盤面をつるつるにするコンボを搭載したゴルガリ・ミッドレンジが登場。プロツアー霊気走破でスタンダード9勝1敗という好成績を残した。

完成されたファイレクシアの殺戮兵器は、皮肉にもその故郷が滅んだことで*3真価を発揮できたのであった。

下環境での活躍


残念ながら、いわゆる「環境」のデッキで採用されることはほぼない。

だが、そのステータスや設定などのロマン性の高さから人気は高く、「環境には届かないがガチ寄りのデッキ」や「ファンデッキ」ではよくお目にかかる。
特にパイオニアの黒単信心での採用率は高く、4ターン目こいつ、5ターン目《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》で6点以上のライフを吸っていることがよくある。
まあここでも《囁く者、シェオルドレッド/Sheoldred, Whispering One》と枠を争っていることが多いが…。

「25周年マスターズ」やMTGアリーナの「ヒストリック・アンソロジー3」で再録されており、比較的入手も容易なので、興味があれば組んでみるのもよいだろう。


-Φ-追記・修正は、生皮を剥がされ機械の体を手に入れて「完成」した方のみお願いします。-Φ-

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最終更新:2025年08月12日 20:52

*1 ちなみに完全なる統一では対となるクリーチャーとして、《ファイレクシアの立証者/Phyrexian Vindicator》が登場した。こちらは白のクァドラプルシンボルで飛行5/5、ダメージを受けるとそれを軽減して反射することができる。

*2 格闘モード以外に基本土地サーチモードもある点も抹消者と噛み合っている

*3 『霊気走破』の背景ストーリーで開催されるレースは、新ファイレクシアの侵攻用戦略兵器を破壊したことで生じた現象を土台として開催されている