登録日:2010/05/22 Sat 14:51:56
更新日:2024/12/29 Sun 11:52:59
所要時間:約 4 分で読めます
C72にて頒布され、同年9月21日に委託が開始された。
前作、東方文花帖から約2年ぶりの新作。
■ストーリー
博麗神社。幻想郷の東の境界にある寂れた神社である。
里居を忘れた妖怪がここを寝床にしているかの様に、いつも人間以外の生き物で賑やかであった。
妖怪の多い神社に人間の参拝客など居る筈もなく、神社におわす神様は信仰心不足に悩んでいた。
――そんな神社にも転機が訪れたのである。
以上、公式サイトより抜粋。
■システム
今作は原点回帰をコンセプトとしているため、今までのシリーズに比べてきわめてシンプルになっている。
一定以上の点数でエクステンド。グレイズはエフェクトのみで点数などは得られない。
自機性能が高すぎるためどうしても難易度が低くなってしまい、システムがシンプルを通り越して簡素なのでやりこみ要素に欠け、さらに敵の攻撃も基本的に「上から下へ弾が飛んでくる」の一辺倒でワンパターン。
速度が遅く密度の高い弾幕を避けるシチュエーションが多く、「イライラ棒」とも称された。そのため後述のようにゲームとしての評価はあまり高くない。
しかし2年ほどの充電期間(6面構成の正統派STGとしてはさらに年月がある)を経て発売されたこともあり、演出、特にBGMに関してはこれまでの東方作品と比しても頭一つ抜けており、
さらにこの時期からニコニコ動画のサービス開始などもあって二次創作熱が急騰。この作品に人気キャラが数名登場していることもあり、低難易度がそのまま敷居の低さにつながった。
現在では、風神録以降の作品が入手しやすいこと、花映塚以前の作品が動作保証対象外となったこと(=プレイするにはスキルがいる)なども手伝い「初心者に最も向いた作品」の名をほしいままにしている。
ちなみに霊撃を縛るとかなり難易度が高くなるが、スコアアタックにおいてすら行う意味がまったくない上、その霊撃を縛ってなお一部の自機はあまり苦戦しない。
前作以前と違い今作のパワーは最大5で、Pアイテム小を取ると0.05、大を取ると1上昇する。
パワーの一の位が増えるとオプションが増え、攻撃力が上がる。
最大になるのはパワー4以上の時で、パワー5になってもオプションは4つ。
パワーを1消費することで無敵・弾消し・広範囲攻撃が出来る霊撃を放つ。
従来のボムが廃止されたため、その代わりとなるシステム。
パワーはすぐに回復するので結構撃ちまくれるが、使いすぎると攻撃力が下がるためご利用は計画的に。
一応パワーが最大の5の時は、一発撃ってもパワーは4で留まるため攻撃力は下がらない。
霊夢と魔理沙で若干性能が違っているが、いわゆる「夢想封印」「マスタースパーク」のようなエフェクトがなく、非常に地味。
また、これまでの作品(特に紅・妖・永)に比べると「ボムの性能が誤差レベル、パワーがある限り打ち放題」という性能からとにかくボムをぶっぱなしやすく、
これまでの作品のボム型自機よりもさらにボムゲーと化す。稼ぎでさえボムゲーと化す。ぶっちゃけボムを打つ場所を覚えておけば、後述のレザマリバグを使わなくてもExtraもLunaticも余裕でクリアできてしまう。
このことから当時は「神奈子のラストスペルまでにいかに残機を持ち越すかを考えるだけのゲーム」とまで言われた。STG攻略における「パターン化」の重要性を学ぶのであればこの上ない教材かもしれない。
緑色のアイテムを取ったり、霊撃で弾を消したりすると、左下の信仰点が増加する。
その点数がそのまま点アイテムの最高点となるほか、スペルカードボーナスにも大きく影響するため、稼ぎの要となる。
しばらく敵を倒さなかったり、アイテムを取らないと減ってしまうため、敵撃破やアイテム回収のタイミングも重要となる。
ボスの攻撃を時間切れさせた時も減少するが、必ず時間切れになる耐久スペルを耐えきっても(スペル取得しても)、
同じように信仰点が減らされてしまうバグ(?)がある。
■自機
自機はリセットされ、霊夢と魔理沙の二人になった。
キャラごとに違う3つの装備から選択する方式である。
性能にほとんど差がないため、霊夢Bか魔理沙の中から好きなものを選ぶといいだろう。
毎度お馴染みの巫女さん。当たり判定が狭く、移動が遅いのは相変わらず。
霊撃範囲が広く、弾消し能力が高い。
~誘導装備~
誘導するホーミングアミュレットを放つ。妖々夢以前の霊符装備とだいたい同じ。
道中こそ楽だが攻撃力が低めで、ボス戦が長期戦化しやすい。慣れてくると一番使いにくくなる。
~前方集中装備~
正面に封魔針を放つ。妖々夢以前の夢符とだいたい同じ。
特に密着時の攻撃力が高く、非常にオーソドックス。
~封印装備~
妖怪バスターを放つ。
これは高速時は広範囲をカバーするショット、低速時は自機から扇状のショットを放つ。
密着時には最高の攻撃力を持つがそれ以外は攻撃力がどうしても低くなりがち。今作で一番扱いにくい装備かもしれない。
いつも通りの魔法使い。移動が早いので事故りやすい。
霊撃の範囲が小さく、弾消し能力は低めだが画面上部へと上昇していくためボス相手には効果的。
~高威力装備~
スプレッドスターというショットを放つ。
このオプションは、高速時に自機の動きをトレースした形になり、低速時はその形が固定され自機を追尾する。
画面下で下ボタンを押すとオプションが自機にまとまり、高火力と広範囲を状況に応じて使い分けられるのが特徴。
魔理沙はついに
他のシューティングゲームからもラーニングしてしまったようです。
~貫通装備~
貫通するイリュージョンレーザーを放つ。妖々夢以前の恋符に似ているが少し違う。っていうか貫通はほとんど飾り。
パワーが3の高速移動時に、ショットが異常に高威力になるバグ(レザマリバグ)があり、これを使うと冗談抜きで誰でもクリアできるレベルになる。
代わりにパワー3を維持する必要があるため、うまい話ばかりというわけではない。パワーが4になった瞬間とんでもなく弱体化する。
~魔法使い装備~
コールドインフェルノというショットを放つ。
高速時は普通に自機を追尾するが、低速に切り替えた時にその場で固定される。
永夜抄のレミリア装備によく似ており、自機の性能が単純な今作では最もトリッキーな動きになるため稼ぎなどでもよく使われる。
■本編
Stage 1 八百万の秋の神
♪人恋し神様 ~ Romantic Fall
今作は1面ボスから本気である。ボス曲はかっこいいし、Lunaticになると攻撃に弾速までついてとにかく派手。
特にLunaticはこれまでと同じように考えていると簡単に狩られる、いわゆる「強い1面ボス」の先駆け。
しかし霊撃システムのおかげでパワーさえ惜しまなければたやすく倒せる。システムが味方してくれなくて評価が低くなってしまった感じ。
その霊撃システムがなくなった地霊殿以降の1面ボスは、物見遊山でやってきたノーマルシューターの残機を瞬く間に溶かしていく。
♪稲田姫様に叱られるから
Stage 2 神々の疵痕
♪厄神様の通り道 ~ Dark Road
ボス:
鍵山 雛
ストーリーの本筋にもさほど絡まず、その後の作品でもさほど登場せず、敵としてもなんかパッとした個性のない、そんなキャラ。
ガイドライン板の「ゆっくりしていってね!」スレでは「風神録2面ボス」というオリキャラがいた時期もあった。
単なるハリボテに「2面ボス」と書かれただけのシュールなキャラである。
♪運命のダークサイド
Stage 3 瑕疵無き要塞
♪神々が恋した幻想郷
ボス:
河城 にとり
水滴をモチーフとした水色と白の弾幕が目立つ。特に「光り輝く水底のトラウマ」は軌道が独特でかなり事故りやすい。ぶっちゃけそれだけ。これでも風神録のボスの中では比較的個性の強い攻撃を放ってくる方である。
人気キャラであるにとりの初登場であり、「高度な機械文明を持ち人間に友好的な妖怪」という設定を持つ河童が登場したことで二次創作の在り方が変わった。
たぶんこっちの方が重要。
というのも、その後様々な作品でにとりは独特な性能の自機として登場するからだ。
♪芥川龍之介の河童 ~ Candid Friend
Stage 4 要塞の山
♪フォールオブフォール ~ 秋めく滝
中ボス:
犬走 椛
セリフ一切なし。スペカも立ち絵もなし。ほんのわずかな敵アイコンと設定テキストだけですさまじい量の二次設定が作り上げられたキャラ。2024年現在で例えると
スイレンママとかその辺が近いかもしれない。
「の」の字のような弾幕をすさまじい勢いで放ってくるという非常にシンプルな敵で、まともにやり合うとかなりの難敵。
しかしスペカではないので、クリアラーからスコアラーに至るまで「
さっさと霊撃を2回打って倒し、その後に出てくる敵からアイテムを分捕る」というやり方でスキップされる。
ボス:
射命丸 文
これまで「以前のボスキャラが自機になる」というパターンはあったが、「以前自機として登場したキャラがボスとして登場する」という珍しいパターン。
人気の高かった「風神少女」を捨てて「妖怪の山」という新しいBGMを引っ提げて登場だが、ボスとしてはそこまで外連味の強い攻撃は行ってこない。
♪妖怪の山 ~ Mysterious Mountain
Stage 5 霊山に風が吹く
♪少女が見た日本の原風景
ボス:
東風谷 早苗
人気キャラの早苗の初登場。弾を☆型に配置し、これがゆっくりと崩れていくという攻撃を中心に放ってくる。いわゆる「イライラ棒」ボスの顕著な例。
メインストーリーにおいては印象に残りやすい「海が割れる日(モーゼの奇跡)」というスペルカードを放ってくるが、これも旧作の攻撃のリメイクだったりする。
当時の東方は基本的に性格に癖のあるキャラを二次創作で無理やり丸めて愛好するという流れだったのだが、早苗は当時の台詞や設定テキストから推察するとそんな回りくどいことをしなくても常識人の女の子のように考えられたため人気が大沸騰した。
しかし地霊殿EX中ボスあたりで「常識にとらわれてはいけないのですね!」とはっちゃけてしまい、しばらく「性格がいいのか」ということで激論が交わされた結果、やっぱりいつもの東方キャラだということになり現在に至る。
♪信仰は儚き人間の為に
Stage 6 あゝ風の神よ 神湖の地に
♪御柱の墓場 ~ Grave of Being
ラスボス:
八坂 神奈子
みさえ。
EX中ボスのときはかなり印象に残る攻撃を仕掛けてくるのだが、6面ボスだと「エクスパンデッド・オンバシラ」という絶句するようなネーミングセンスのスペカが印象に残る。
ネーミングセンスのみならず、自機の行動範囲を狭めてくる赤いレーザー(御柱)を放ってくるためビジュアル的にもかなり派手。
難易度はそんなに高いボスではないのだが、ラストスペル「風神様の神徳」が
全難易度を通して見ても非常に理不尽。
この「神徳」時はこちらの霊撃範囲が最低レベルにまで落ちてしまう上に敵の体力が非常に多く、単純なボムゲーが通用しなくなる。そのため「いかに神徳までに残機を残すか」という評価になってしまった。
どちらかというと「東方五大老」と呼ばれる年増キャラ五人衆の一角だったり、Skebでよこしまなリクエストをされていたりという活躍の方が目立つかもしれない。
♪神さびた古戦場 ~ Suwa Foughten Field
Extra Stage 愉快な日本の神様
♪明日ハレの日、ケの昨日
中ボス:八坂 神奈子
6ボスのときと違って、登場時の思わせぶりなセリフから繰り出される4段階の攻撃がいずれも非常に印象に残る。
BGMのちょうど転調のあたりで攻撃がクライマックスになるため、演出効果も抜群だ。
いずれも見掛け倒しだが、そのせいで「霊撃を使わずにクリアできる程度の難易度なのでつい欲張ってしまい、事故って最初からやり直し」という事態が頻発する。
ボス:
洩矢 諏訪子
ミシャグジ様をカエルの神様だという誤解を広めてしまったキャラ(本来は蛇の神様と言われている)。
開幕で工夫すると序盤の事故要素である「二拝二拍手一礼」が変な方向に放たれるというバグがある。
これまでのEXボスと比べるとあまり個性的な攻撃を仕掛けてくるわけではないのだが、何気に耐久スペルを2つも持っているため結構事故りやすく、
困ったときにとりあえず感覚で霊撃を打っているとラストスペル「ミシャグジさま」で絶対に息切れするという難易度的にはナイスなデザイン。
このミシャグジさまは単なる「米粒弾が斜めの軌道で交差しながら放たれる」という非常にシンプルなものなのだが、
難易度は人によって「時間がかかるだけで楽」というものから「固いし避けにくいし最悪」とするものまで評価が分かれる。
難易度は人によって評価が分かれるところで、「七つの石と七つの木」以降の5つのスペルカードは人により得手不得手がかなりはっきり分かれる。
BGM「ネイティブフェイス」はニコニコ動画における東方ブームの講師を放ったこともあり非常に多くの音MADが作られ、
松岡修造やビリー・ヘリントン、チャージマン研!などを素材にした動画は東方の知名度にも大きく貢献することとなった。
♪ネイティブフェイス
二次創作での東方風神録
やはり守谷神社ネタが多く、早苗は大抵霊夢のライバルキャラに…。
あとにとりが独特のキャラクター(良い意味で)とエンジニアという設定から、様々な場面で使い回されてる。
追記・修正よろしくお願いします。
- 自機が二人っきりなの今のところこの作品で最後になっているよな -- 名無しさん (2016-06-07 10:53:16)
最終更新:2024年12月29日 11:52