トック(キン肉マンⅡ世)

登録日:2023/09/04 Mon 17:29:45
更新日:2025/01/11 Sat 09:39:02
所要時間:約 7 分で読めるムニカ




何するんですか

ワシはもちじゃなくて韓国超人のトックと申すムニカ!

アンニョンハセヨ



トックとは『キン肉マンⅡ世』のスピンオフとしてVジャンプで連載されていた『キン肉マンⅡ世~オール超人大進撃~』に登場する超人。

【プロフィール】

所属:正義超人
出身:韓国
身長:240cm
体重:202kg
超人強度:115万パワー



【概要】

正義超人と悪行超人の垣根を超え、全宇宙最強の超人を決定する超人一等祭に韓国代表として出場した超人。
の化身超人であり、名前も韓国で食べられているうるち米を使った細長い餅のトックに由来する。
餅らしい真っ白い肌に肥満体で、つぶらな瞳にタラコ唇と愛嬌のある風貌。頭には鉄鍋を帽子のように被っている。
言葉の最後に「~ムニカ*1」とつけるのが口癖。

礼儀正しく温厚な性格をしており、自分を餅と間違えて腹に噛み付いてきた万太郎にも怒ることなく項目冒頭の台詞で丁重に自己紹介している。
たとえ試合であっても相手が苦しむ姿に心を痛めるなど超人レスラーらしからぬ優しい心の持ち主。
見た目通り大食漢で、万太郎から(おそらくは噛み付いたお詫びに)牛丼を奢ってもらった際は12杯も平らげていた。

だがいくら温厚とはいえそこは超人。ひとたび怒りに火がつくと体の柔軟性を活かした戦い方で敵を打ちのめす一面もある。
日々肉体を鍛錬し技に研きをかけている心身ともにビューティフルな超人しか残れない(イケメン・マッスル談)超人一等祭予選競技「巨大雲梯長時間ぶら下がリ~~~ン*2」を勝ち残っていることからも超人レスラーとして立派な実力者と言えるだろう。
なにせこの予選、テリー・ザ・キッドガゼルマンセイウチンチェック・メイトジェイドといった名だたる実力者がみーんな脱落してしまっているのだ。ガゼルマンはいいだろって? Vジャンプのガゼルマンはちゃんと強いんだぞ!!



【必殺技】

  • トッポキプレス
体を変形させて相手を包み込むように捕縛し、そのまま圧し潰してしまう荒業。
柔らかい餅と侮るなかれ、金属や超人の骨をたやすく砕いてしまう威力がある。
捕縛してから投げ技に繋げるバリエーションもある。

  • トッポキコイル
蛇のように細長く変形させた体で相手に巻き付き、締め上げる技。
相手の体をねじ切ってしまうほどの威力があるらしい。
クリオネマンのゼリー・ボディ・インパクトによく似ている。



【劇中の活躍】

先述のとおり超人一等祭に韓国代表として出場。
「巨大雲梯長時間ぶら下がリ~~~ン」では自分を叩き落とそうとするノルウェー代表トラップ・ザ・ジャックをトッポキプレスで返り討ちにする。
その後18時間もの間生き残り、見事に決勝トーナメント出場を果たす。

トーナメントではBブロック第2試合にてタコの化身であるイタリア代表の残虐超人、天タコルズと対戦する。
二人の対戦は東京・新宿三勢丹百貨店の地下食料品売り場にて「熱湯昆布出汁デスマッチ」で行われた。
……意味がわからない方のために説明すると、これは巨大なガスコンロと土鍋を設置し、北海道産高級利尻昆布(超巨大)で出汁を取ったグツグツ煮えたぎる昆布出汁の上にリングを設置し、そこで戦うというもの。
餅の化身超人であるトックがリングアウトして出汁に落ちればお雑煮の、タコの化身超人の天タコルズが落ちればタコの柔らか煮の一丁上がりとなるため、晩御飯のおかずを狙っている主婦たちが目の色を変えて応援している。
念のために言っておくが、超人一等祭はd.M.p.(デーモン・プラント)*1が裏で糸を引いているデスゲームなどではなく、宇宙超人委員会が主催する由緒正しい大会である。
超人オリンピック予選で、ガソリンを撒いたプールを泳がせて後から火をつける連中だけのことはある。


出汁の中に落ちても蛸壺に身を隠すことでしのいだり、保護色でリングキャンバスに同化して奇襲するなどタコらしい戦術で責め立てる天タコルズ。
苦戦するトックだが、出汁から立ち上る湯気で体を柔らかくし、攻撃でできた裂傷を治療するなど負けじと餅らしい戦い方を見せる。
そしてついに必殺のトッポキコイルに天タコルズを捉えるのだが……


さあ…早いとこギブアップしないと体がちょん切れてしまうムニカ~~~っ

いくら凶悪ぶったところでおまえの生来の人のよい性格は変わりはしねぇ…


なんと天タコルズはトッポキコイルの隙をつき、観戦していた子どもに蛸壺を投げつけるという暴挙に出る。
見過ごせないトックは技を解き、身を挺して子どもを救う。しかしその隙にジャイアントスイングに捕えられ、水分を飛ばされて柔軟性を失いカチカチに固められてしまった。

軟体動物であるタコの特性を発揮し、動けなくなってしまったトックの口から体内に入り込んだ天タコルズ。
直後、苦悶の叫びを上げたトックの体に異変が起こった。

腹部から鮮血とともに2本のタコの足が体を突き破って出てきたのだ。
そのまま胸部から2本、両太ももから1本ずつのタコ足が飛び出し、トックは激痛に泣き叫ぶ。


痛い~~~~~っ 痛い~~~~~っ


……これまでトックの体から出てきたタコ足は6本。
残りの2本はなんとトックの両の眼球を裏側から貫き、引きずり出しながら現れた。

そして一瞬の静寂の後、彼の体は天タコルズによって内部から引き裂かれ、バラバラに弾け飛んだ
これこそが天タコルズ最大の必殺技、超人肉体破壊弾(ポンパ・アタッコ)である。
あまりに凄惨な決着にミートと凛子は絶句、庇われた子供は泣き出し、万太郎もいつになく真剣な顔で天タコルズへの闘志を燃やすのだった……


……確認しておくが、この漫画が連載されていたのはVジャンプである。
スケベなおっさんが主な読者層だったプレイボーイではなく、いたいけな小学生も読んでいたVジャンプである。
少年誌であってもキャラが体をバラバラにされて惨殺されるのはゆでたまごの漫画では珍しくないことだが、トックの死に様は初代『キン肉マン』や『闘将!!拉麺男』とは比べ物にならないほど進化した画力で描かれているためかなりのインパクトがある。



【死後】

とまあ、なにも悪いことをしていないどころか立派な正義超人であるにもかかわらず酷い死に方をしたトックだが、彼が不憫なのは主に死んでからの話。

ポンパ・アタッコによって弾け飛んだ彼の肉片は昆布出汁に落下して美味しく煮上がり、観戦していた主婦たちにお持ち帰りされたり、その場でいただかれてしまう。


やったーっ 今晩のゴハンは雑煮に決定だわーっ

美味そうに煮えてるーっ
早いもん勝ちよーっ

ウワア~~っ コシのあるよく伸びるおモチだこと~~っ


もうやだこのゆで市民…
ちなみに我らがキン肉星大王も(万太郎の怒りに気圧されて未遂だが)よだれ垂らしながら食べに行こうとしている*3もうやだこのブタ親父…

そこにAブロック準決勝でケビンマスクとの対戦を控えたZAN国代表、ザ・ドゥームマンが登場。
体を球状に変形させるドゥームボールで鍋に飛び込んだかと思うと出汁に漂っていたお餅(トックだったもの)を次々とリング状に跳ね上げ、ケビンのモチ銅像(原文ママ)を作成。
メテオスライサーで粉砕するというデモンストレーションの材料にされてしまった。デロッデロに纏わりついて砕けないと思うんですけど

後日行われた万太郎対天タコルズのBブロック準決勝は、半年風呂に入ってないから垢が溜まりすぎて貫けないという汚い&意味不明なゆで理論でポンパ・アタッコを破った万太郎が勝利。
だが万太郎はたこ焼きにされた天タコルズが酒飲みのオヤジ共に貪り食われるのを見過ごせず、彼を救出する。なんでそんな事になってるのかは本編を読んでください。読んでも理解できないかもしれないけど

天タコルズは万太郎の優しさに心打たれたのか、以降は自らを犠牲にしてでも人間たちを守ったケビンマスクの正義超人魂に感涙したり、万太郎をゴンドラ車で決勝戦のリングに送り出し、ドゥームマンとの戦いを応援するなど完全に善玉ポジションに収まった。



試合前から万太郎と絡みがある、試合で正義超人としての立派な生きざまを見せる、対戦相手である悪行超人に惨殺される、亡骸の一部を口にされる、その対戦相手が万太郎との試合後に慈悲を与えられ改心し友情を芽吹かせる…
これらの共通点からプレイボーイ版におけるザ・ニンジャポジションといえる(この場合天タコルズはハンゾウポジションに当たる)。
キン肉マンらしい熱い展開なので媒体を越えて採用されるのも頷ける。

ただしニンジャのおっさんは死後に幽霊として自身の胸の内を明かしたり、万太郎や正義超人転身後のハンゾウを激励したりと、後味が悪くない(むしろ生きている時より扱いがいい)のに対し、死後になんのフォローもないトックが不憫であることは否めない……

また、海洋生物モチーフの対戦相手に攻撃されそうになった人間を身を挺して庇い、その隙に全身を貫かれる技を受けて敗北、という流れはプレイボーイ版におけるクリオネマン戦のセイウチンのセルフオマージュでもある。

ただしセイウチンは一命を取り留め、万太郎の仲間としてその後も登場、(読者からの評判はさておき)強化・悪堕ちイベントによる活躍の場も与えられている。レギュラーキャラクターとゲストキャラクターの差があるとはいえ、死んだまま出番の与えられないトックの不憫さが際立っている。
あと身体を引きちぎられ、料理にされる最期はブロッケンマンの原作版とアニメ版の合体との声もある


『Ⅱ世』においては超人の復活が初代『キン肉マン』ほど気軽にできるものではない描写がされているのだが、トックがなんらかの形で復活し、万太郎や天タコルズ、ドゥームマンと仲良くやっていけることを願う限りである。



【余談】

  • キン肉マンシリーズ恒例の読者募集超人だが、20話の扉絵で紹介された際のデザインは頭に橙を乗せており日本の鏡餅に近い。
    元々は鏡餅モチーフの超人としてデザインされたものを、韓国の超人を出すことを思いついたゆでがアレンジして採用したものと思われる。

  • プレイボーイ版には同じく韓国代表の超人チヂミマンが超人オリンピック ザ・レザレクションの出場選手として登場している。
    トックと彼は何気に超人強度の数値が全く同じだったりする。


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最終更新:2025年01月11日 09:39

*1 韓国語で「~ですか、ますか」といった疑問形を意味する終結語尾。「~です、ます」を意味するムニダと間違えてるんじゃないか?と思う読者もいるかもしれないが、怒った時は「~ムニダ」に変わっているため意図的なものである。それでも可笑しいって?都合の悪いことは忘れよ!

*2 たっぷり油をすり込んだ鉄棒に最後の8人になるまでひたすらぶら下がり続けるというもの。他の選手への攻撃は認められる。

*3 雑煮が食べたかったらしくトックが勝とうとしたら残念がってた場面もある