ガゼルマン(キン肉マンⅡ世)

登録日:2025/01/11 Sat 01:11:11
更新日:2025/04/08 Tue 20:16:10
所要時間:当然HFナンバー1の項目だ。 約 5 分で読め…ん?




バカには勝手にほえさせておきましょう

バッファローマン先生 式を続けてください



ガゼルマンとは、ゆでたまごの漫画作品『キン肉マンⅡ世』の登場人物である。
新たに地球を守る新世代超人の一員で、悪行超人復活に際して28年ぶりに再開された超人養成学校・ヘラクレスファクトリー(以下HF)の卒業生。
新世代の最初期に薫陶を受けた第一期生と呼ばれるグループを首席で卒業したエリートである。多分、きっと。


二本角を頭から生やし、赤と白の鮮やかなカラーに黒いラインのデザインが特徴の鹿男。
砂漠地帯に棲息するガゼルのような俊敏で柔軟な体の動きと、足腰の強靭さを備えた強豪超人…の、はずである。
ルックスもイケメンでビジュアル系であり不敵な態度を崩さないクールでニヒルな伊達男。…と、本人は思っている。
オシャレにも気を使うらしく、プライペートではツノを通す穴があるハットを被っている。

3ヶ月にわたるHFの地獄の訓練を一番優秀な成績で卒業したプライドとそれに裏打ちされた実力で教師陣からの信頼も厚く   
その優秀さから日本防衛の要所である首都・東京の防衛を任され、平和のために凶悪な悪行超人と日夜戦い続けている。
初期設定は本当にそんな感じだったんです…


その外見から劇中でも鹿呼ばわりされているが、モチーフのトムソンガゼルは厳密にはウシ科であり、シカ科ではなかったりするでもみんな纏めて偶蹄目

CV:増谷康紀(TVアニメ版)





プロフィール

分類:新世代超人 HF一期生
出身地:タンザニア
身長:205cm
体重:136kg
超人強度:100万パワー*1


年齢:14歳~16歳
異名:暴れん坊、サバンナの熱風、 小鹿ちゃん
キャラクターソング:ガゼルマンの叫び(歌:増谷康紀)



得意技

・アントラーフィスト
トムソンガゼルのツノを模した2本の爪。爪なのか拳なのか角なのか
ベアクローのように取り外し式の鉤爪として使う。
切れ味抜群で当たればすごい。凄いったら凄い。

このほか、美波里公園で万太郎を牽制した時には頭のツノを片っぽ取り外して投げるという謎技を使っている。
どうも抜いた端からすぐに頭に新しいのが生え変わっているらしい。
頭のツノで体当たりなどはしないようだ。



・悪い子だ!(チャランボ)
鍛え抜かれたドッシリ重い強靭な足腰で相手をクリンチしたまま釘付けにし、首相撲に捉えてから膝蹴りの嵐を浴びせ、トドメにハイキックで吹っ飛ばす。
チャランボとは、膝蹴りを意味する架空のムエタイ技術。ゆで先生が低迷期に週刊少年ジャンプで描いていた『蹴撃手マモル』に出てきたもので、コアな読者だけがわかるファンサービスとなっている。
(誤解されがちだが、実在する技ではない)

技名は先輩への礼儀を弁えない無礼な二期生の後輩を誅するための台詞なのだが、後々のガゼルマンの大活躍もあって本人の代名詞として定着した。
膝蹴り1回ごとにコールするのがマナーである。悪い子だ!悪い子だ!悪い子だ!

アニメでは平手打ちの連打という手技パターンも披露した。断じてお尻ペンペンではない

・サバンナヒート
まだ見ぬガゼルマンの大技。高速回転を加えてアントラーフィストで切り裂く。
スクリュードライバーのような弾丸の螺旋回転とは異なり、縦回転のバックスピンで突撃しアッパーカットのように下から突き上げる。
2本のフィストによって両側の股関節から頭頂部にかけて二筋の一直線に切断されるガゼルマンの強力フェイバリットであり、マトモに喰らうと縦3枚おろしに分割される恐るべき威力を誇る。

使用すれば必ず勝つとも言われている伝説の必殺技でもあり、ジェイドのベルリンの赤い雨との切断対決にも期待が懸かる。


・スパイラル・トーピドー
タッグ技。ガゼルマンが片手でブン投げたセイウチンが魚雷のように突撃する。
劇場版2作目で使用。




オレたち9人は優秀な成績でファクトリーを卒業して

諸先輩からも将来を嘱望されて大事な日本の防衛を任されたんだ

お前は成績ビリでお情けで美波里公園防衛の任を与えられたんじゃないか


当初のガゼルマンは首席卒業のプライドを持ったエリートであり、落ちこぼれの万太郎を見下す優等生だが傲慢な性格だった。
しかし型にはまらない万太郎の強さや友情に触れ、仲間を思いやる心を持った真の正義超人として目覚め、ライバルとして切磋琢磨していく事になる。


正々堂々と闘おうぜ!


この項目をご覧になった会場の皆様方にも、ガゼルマンという超人の素晴らしさがお分かり頂けたのではないだろうか。
二期生との入れ替え戦も無事に勝利を納め、超人オリンピック ザ・レザレクションでの新たな活躍が楽しみである。


追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\悪い子だ!/









ガゼルマン、あとは僕に任せろ。
お前の分まで僕が精一杯がんばるからね。









「あっこら、おい待て万太郎!」


「まさか…オレの項目はこれで終わりかよ!」








「バカヤロォォォォ………」













本当は強いはずの概要



…まぁ、熱心な読者には周知の事実なのだが、このガゼルマンは物凄いかませ犬…いや、正確には戦いの場すら与えられないのでかませ犬にもなれない空気超人である。
万太郎とケビン以外はとにかくまともな試合や勝ち星が殆どつかない二世という作品においては、そこまで突出して悲惨という訳でもないっちゃないのではあるが、
曲がりなりにも同期の桜のキッドやセイウチンがそれなりに試合数がある中で、特徴的な噛ませシーン+試合がないというコンボではレギュラーキャラとするには些か厳しいのは否めず、ほぼ新世代のビッグ・ボンバーズになってしまっている。なおビッグ・ボンバーズⅡ世たちはそれに輪をかけて悲惨である

当初は「偉大な親を持つも不良や落ちこぼれの万太郎やキッド」に対して「血統に頼らないクールなエリート」としてキャラ立てされ、本当に万太郎のライバルキャラとなる予定だった。
動物をモチーフとしながらもビジュアル系のイケメン顔で、珍しく読者投稿ではないゆでサイドの完全オリジナル超人なあたりからも当初の意気込みがうかがえる。

が、ケビンマスクなどのスターを立て続けに出すことを決めてからアッサリ引き立て役に路線変更し、ついたあだ名は「小鹿ちゃん」
当初のクールさはどこへやら、万太郎キッドセイウチンと4人で自堕落に遊び呆け、「team-AHO」という不名誉な渾名を授かり、以降はどんどんフェードアウトしていく。

その不憫さが逆に人気の秘訣となったのか、他媒体では物凄く愛されている。
結果として箸にも棒にもかからなくなった時期の原作の人気投票で10位に入るという快挙を成し遂げ、泣いて喜んでいた。

頑張れガゼルマン。
みんなが君を応援しているぞ。



本当は物凄く強いって言われたい活躍


・ヘラクレス・ファクトリー編

全盛期。HF首席である。
ロビンマスク曰く「成績も優秀でいつも冷静沈着な性格」が東京赴任の決め手だそうである。
…校長のお言葉なのだから間違いはない。いいね?



・d.M.p編

成績ビリで美波里公園という超局地的防衛を任された万太郎を見下し、公園の外に出ることを許さず牽制。
あわや対立かという所に登場したケビンマスクに腕を文字通り軽く捻られて上空に飛ばされてしまい、KOできる状況で足のインステップで優しく頭をトラップして受け止められるという舐めプ*2を喰らってしまう。ガゼルマンの運命が決まってしまった瞬間だった。

その後、深夜に怪しい3人組を発見するも「うるさい小鹿ちゃん」呼ばわりされ逆に袋叩きに遭いリタイア。
しばらくフェードアウトしてから包帯の残る体で関西のナイトメアズとの決戦に呼び出されたかと思えば万太郎グッズの売り子をやらされるなどもう初期から既に暗雲が立ち込めている。

ただしまだこの時点では人気のビジュアル系という立ち位置はキープしていたらしく、作中のギャルの電話投票では3万票を集めケビン、キッドに次ぐ3位と高順位だった。(後にチェックメイトの台頭で4位転落)

・H・F一期生vs二期生入れ替え戦編

色んな意味で全てが終わったシーズン。

クールでストイックな優等生の設定はどこへやら、すっかり不良たちに毒され、team-AHOの4人で日本防衛の任をサボって遊び呆けていたせいで二期生との地球駐屯を賭けた入れ替え戦の対象となってしまう。
抽選によって1番手のジェイドと当たる事になり「実力的には万太郎やキッドにも劣らないという暴れん坊のガゼルマン先輩」と評価され、一期生の中でキッドとギャル人気を二分するビジュアル系と紹介されていたのだが…

試合序盤は持ち前の強靭な足腰でタックルを止めて「悪い子だ!」するなど攻勢に出たが、遊び倒しで鍛錬を怠っていたせいですぐに筋肉の痙攣とスタミナ切れを起こすというあんまりな理由でガゼルマンのターンは終わってしまう。他の一期生は生活習慣の問題で衰えた描写は無かったので本当に一人だけ不憫。スタミナ切れさえなければもっと善戦できたのだろうか…

せめてもの抵抗でジェイドの髑髏の徽章を拾い「似合いやしないぜカッペが!」と煽るも、報復に鯵の開きになりました。
ジェイドの過去を思えばガゼル先輩が悪いのだが、この時のジェイドはまだキャラにブレがありかなり意地悪く先輩の不摂生をdisっていたので、暴言に関してはどっちもどっちである。

ベルリンの赤い雨によって際限なく降り注ぐ血飛沫に、縦に大きく切り裂かれて骨まで丸見えの恐ろしくグロい断面、そして「グ…グゴゲーーッ!!」と、ゆで漫画らしい珍妙な断末魔が合わさって、見せ場のジェイド以上にガゼルマンがある意味で人々の記憶に残るシーンとなってしまった。

一応、正義超人特有の後腐れのなさでジェイドとは特に遺恨はないらしく、悪魔の種子編の冒頭では一緒にトレーニングしているコマがあった。

入れ替え戦自体は万太郎の勝利で終わり、何とか日本駐屯超人の座は守れた。が…


・これ以降


もう全く出てこない。コマの隅にたまに描かれるだけの存在となる。
勝ち試合やかませ犬以前の扱いとなってしまった。

一応、超人オリンピックのタンザニア予選を勝ち抜く程度の奮起はしている。
が、本大会の予選は第3競技のビーチフラッグの時にやっぱりコマの隅に描かれたのを最後に出番がないまま敗退。
負けの瞬間すら描かせてもらえず、後にこのことを自虐った自著伝「オレはここで負けていた!」を出版した。

悪魔の種子編ではバリアの問題で出禁状態でリングにも上がれず、Bエボリューションズの入場演出をチェックメイトと一緒に手伝ったり、万太郎の特訓のサポートなどは行ったが、まともな出番からはどんどん遠ざかっていく。

そして(現時点での)最終章にあたる究極の超人のタッグ編ではタイムマシンの建造は手伝ったものの何とタイムスリップ不参加。
元の時代に帰れる保証もない危険な旅に他のガゼルマン以上のモブ超人たちが家族や大切な人を思い浮かべる中で、一人だけ大自然で野生のガゼルと戯れる風景をイメージしていた。
自然や動物たちを愛するのもなんら悪いことではないのだが、今までそんな素振りもなく唐突に一人だけガゼルの事を考えているのでなんともシュールである。ギャル人気設定はどこに行ったのか
参加した所で顔剥ぎされたりロクな目にあわないので、正しい決断ではあったのかもしれない。

それでもまだ作中ではガゼルマン専用のキャラクターショップが存在したり、自著伝を何冊か出すなど文筆業にも覚えがあるようで、マルチな才能を発揮して頑張っているらしい。問題は本業のレスリングなのだが…


当初は主人公のライバルキャラとなる筈だった栄光。
それがあれよあれよという間の転落劇で、汚名を返上する機会すら与えられないまま連載を終えてしまう。


頑張れガゼルマン。
サバンナに昇る朝日に向かって思いっきり吠えるんだ。


本業別媒体・別作品での活躍



Vジャンプ版(オール超人大進撃)


2001年〜2007年連載。
ようやく我らが小鹿ちゃんに救いの手が差し伸べられた。


オレは孤独なガゼルマン


実技・理論ともに申し分ないHF首席という部分は保持しつつ本作のガゼルマンは初期設定がある程度拾われ「ストイックで一匹狼な努力家」として登場する。ガゼルなのに狼とはこれいかに

他の同期生との合同練習も全て断り、ガゼルマンは一人で日々の鍛錬に打ち込んでいく。
協調性がないと謗られるその孤高さには、ある理由があった。

幼少時代、タンザニアの超人小学校で友人のザ・ファックスを身を挺して助けるも仇で返されてしまい、他人を信じることができなくなってしまったのである。

「あの時にオレは誓ったんだ 仲間や友達なんてものは信じないと」

「地球の平和ならオレ一人の手でだって救える!」


よくネットでネタにされている
「わぁぁーっ新世代正義超人の中でもいつも孤立している嫌われ者のガゼルマンだーっ!」
という事前にスピーチ原稿を用意していたとしか思えない妙に詳しい少年たちの罵倒はVジャンプ版のこの回が元ネタである。
群れを拒む孤独な嫌われ者という自覚はあるが、だとしても二度と他人は信じないという内心を語る結構シリアスなシーンなのだが、それにしても罵倒の語彙があまりにも具体的で面白いので仕方ない。
…ので、この台詞を持ってプレイボーイ版ガゼルマンの不甲斐なさを笑うのは微妙に濡れ衣だったりする。



そして友を裏切った男、ザ・ファックスは悪行超人となりガゼルマンに牙を向く。
ファクシミリで送信されて腹のボディから出したエジプトからのお客様・ペーパーミイラを交えた2vs1の悪行ファイトにガゼルマンは苦しめられる。
このまま一人ぼっちで死んでいくのかと思われた矢先、駆けつけた万太郎が手を差し伸べる。
痩せ我慢から協力を拒むが、正義超人の名誉、そして仲間を守りたいという万太郎の気持ちに、ガゼルマンの頑なだった心は解けていく。それはかつて一度は手放してしまった正義超人に最も必要なもの、友情だった。

万太郎のタッチを受け入れ、急造タッグは悪行超人を圧倒する。そしてザ・ファックスはガゼルマンの必殺技サバンナヒートの前に敗れ去るのだった。
試合後、1人背を向けてその場を立ち去るガゼルマン。
「あいつ何も変わってないじゃんか」と軽口を叩かれたその顔は、穏やかに微笑んでいた。



不遇・空気だった原作(プレイボーイ版)の鬱憤を晴らすかのような大躍進。
サバンナヒートが初披露されたのもVジャンプ版からで、更にこのあとシングルマッチでもう1勝するなどレギュラーキャラの名に恥じない活躍を見せたVジャンプ版前半のMVPである。
3巻の巻末はなんと4ページ使ったガゼルマン特集と制作秘話インタビューで構成されており、ファン必見。「Vジャンプはオレの心のタンザニアだ!」

ゆでもプレイボーイ版の扱いは"やや"消化不良だったので、こっちで活躍させられてよかったとコメントしている。
動物という分かりやすいモチーフはVジャンプの読者層である子供にもウケたようだ。

ようやく報われたガゼルマン。しかし快進撃はこれで終わりではなかった。

子供向けのメディアに適したキャラクター…そう、Vジャンプにも勝るとも劣らない大舞台が用意されていたのである。



・アニメ版


2002年放送。
もっとも愛された場所と言っても過言ではない。小鹿ちゃんファンの聖地である。
team-AHOの4人は主題歌映像でも登場するなどレギュラーキャラとして扱われ、ガゼルマンもその一員に恥じない活躍をした。

しかし基本は原作を下地としているので試合の機会はあまり巡ってこない。
そんな新天地でガゼルマンが開拓したのは…


「いいぞ万太郎!さすがにオレ様の応援が効いたみたいだな!このHF成績ぃ…」

(憐れみの目)

「ぅ、ウオォォォォォン……!!!」

リングサイドでのガヤ、いじられ役、コメディリリーフとしての道であった。
いわゆる「残念なイケメン」である。

自分ではニヒルでカッコいいクールなキャラだと思っており、ちょっとカッコつけてみては白い目で見られたり、微妙に天然のズレたリアクションをしたりなどそのボケはまさにアントラーフィストの如き切れ味。
事あるごとに「HF成績No.1のオレが!」とまるで過去の栄光に縋ってみたり「オレはビジュアル系だ!」と息巻いては生暖かい目で見つめられ、生きのいいリアクションで視聴者を楽しませる存在に化けたのである。

team-AHOとしての交流シーンは時間帯や視聴層に配慮したマイルド化によって王様ゲームなどの下品なシーンはほぼ消滅し、レギュラーキャラの仲良し4人組としての描写が圧倒的に増えた。

コメディリリーフとして場外で活躍するため、凛子たちや他のレギュラーキャラとの会話も多め。
とりわけ同じく試合に恵まれないチェックメイトとは大の仲良し。世俗に疎く外の世界に興味津々なチェックメイトとリングサイドで愉快な掛け合いを見せてくれる。チェック(馬)とガゼル(鹿)で…などと間違っても言ってはいけない。
やっぱりちょっと不遇なセイウチンも加わってトリオ漫才で視聴者を楽しませてくれる清涼剤である。

代名詞の「悪い子だ!」はこちらでも愛され、中野さんにdisられて場外乱闘に持ち込んだ時にしかけたり、呪文のように小声の早口で繰り返してはボケてきたチェックメイトを追い回したりしている。

とにかく原作通りでは出番も少ないので、賑やかし要員として原作では同行していない試合でも大体どこかしらにいる。
武道館でのデーモンプラントとの戦いではテルテルボーイ戦から現地に駆けつけ、薔薇を咥えてカッコつけても周りからは華麗にスルー。
KKD(火事場のクソ力チャレンジ)では原作の1戦目にセイウチン、3戦目にキッドが登場しながら1人だけ仲間外れにされたので2戦目の京都に駆けつけるフォローが入った。愛を感じるのだが、現地にいた理由は奈良の鹿せんべいが食べたかったからというなんともトチ狂ったものだったりする。…あの、東京の防衛は…

超人ワールドグランプリ(アニメ版のオリンピックの名称)においては、第一次予選のあっち向いてホイで敗退した事になった。

「あっち向いてホイなんてマジでやってられっかよぉぉぉ!!」

ちなみのこの時、体育座りで大泣きである。

曲がりなりにもビーチフラッグ辺りまでは残っていた原作より成績は悪くなっているが、そもそもマトモに描写すらなかった上に普通に実力で敗退したと思われる原作に比べ、ネタ気味とはいえ敗退の瞬間がキチンと描かれ、理由も"運が悪かった"とフォローされている分だけ優しい…かもしれない。というかこっちの方が美味しいし面白い

この手のメディアによるキャラの性格の違いは否よりの意見が寄せられる場合が多いが、ガゼルマンの場合は下地となる原作での活躍がほぼ無に等しいので、これによって肉付けがされ、全く登場しない原作での人気に還元されたのは一つの事実である。

しかしただの不憫なお笑いキャラでは終わらない。
入れ替え戦の決勝前夜では重症のままセイウチンと共にスカーフェイスに立ち向かい、せめて万太郎に少しでも敵の手の内を…と仲間のために体を張れる友情パワーに溢れる一面も持ったナイスガイでもあるのだ。



そんなガゼルマンを"本当は”強い超人だと視聴者やスタッフも一片の曇りなく信じていたが、なにせ大筋は原作準拠なので試合に恵まれないままで終盤を迎えるアニメ。
このままお笑い役で終わるのだろうか、どうか鹿に救いの蜘蛛の糸を。

そんな祈りが天に通じたのか、アニメ一期の終盤でついにそれは起こった。
原作との尺の兼ね合いでオリジナル進行での終了が決まった最終章「最凶悪行超人軍団編」にて、セイウチンとのタッグでついに我らがガゼルマンに試合の機会が訪れたのである。相手が尻と蛙だけど

試合序盤は顔が尻の超人プリプリマン「カッコいいのは見てくれだけで負けっプリばかりが印象に残るケッ陥だらけのヘッポコ超人」という心理攻撃に激しく動揺し、冷静さを失ってしまう。
しかし万太郎のアドバイスにより持ち直し、プリプリマンの頭の尻を「悪い子だ!」でスパンキングする奇策によって反撃を開始する。これがやりたかっただけじゃないかな…

後半では家族をリング外の池深くに落とされ葛藤するセイウチンをぶっきらぼうに激励し、救出に行かせる間に自分1人で2人を引き受ける男気を見せた。


「つべこべ言わずに2人を助けにいけ!」

「地球の平和を守ろうという正義超人が、自分の家族すらまともに守る事ができないというのか!」

「ここはオレに任せて…早く行け!」


この行動によって数的不利のままリング内で2人に甚振られるが、友のために傷つくその姿はまさしく正義超人である。

普段のコメディリリーフとしての役割を負いつつ、主に掛け合い漫才のオリジナル展開で培ってきたセイウチンやチェックメイトとの友情が描かれ、そして必殺のサバンナヒートで勝利を収めたこの試合はVジャンプでの下積みを経たアニメ版ガゼルマンの集大成といっても過言ではない。

「私は信じてます。ガゼルマンが"本当は”物凄く強い超人だって!」

「ガゼルマン!"本当に"強かったんだね!」


「かっ、やっぱり信じてなかったんだな…」


感動のあまりウルウルする万太郎たち。
きっと視聴者も同じ気持ちである。
もう誰もやられ超人などと笑うまい。多分。


・〜伝説の最終回〜ラスト・ダンスは小鹿に


そして、アニメ版ガゼルマンを語る上で外せないのが「カルビ丼音頭のコーナー」
先代の牛丼音頭をリスペクトした曲に、様々なキャラクターへの思いを込めた歌詞を視聴者公募で毎週発表して実際にキャラクターが替え歌を歌い踊るという素敵コーナーである。
音頭は主役の万太郎をはじめ、ミート君、キッド、セイウチン、時にはヨボヨボになった初代キン肉マンに、おがぁとドロシーなんかも踊ったりした。
しかし、我らがガゼルマンだけが一向に姿を見せない。メインキャラなのに。万太郎がガゼルマンをdisった音頭はあった
まるで原作がそうであったように、ガゼルマンという存在が忽然と消えたかのような空白だった。
一人だけ仲間外れ状態なこともあり、小鹿ちゃん音頭を要望する声は非常に多かった。

「小鹿音頭は未だに諦めていません!」
「もうダメかも…ガゼルマン音頭できないかも…」

本編の制作と並行しながら滑らかに動き回る音頭パートを制作するのは至難の業である。他のみんなは早めに作られてたけど
公式サイトで更新されていたスタッフの日記にも、不安が滲み出ていた。

全国津々浦々のファンが期待したガゼル音頭は、幻となってしまったのだろうか?


否、そうではなかった。諦めない人々の思いを受けて、ガゼルマンは立ち上がる。
まるでラスト5秒に奇跡の逆転ファイトを起こすが如く、最終回に電撃参戦したのだ。

最終回という忙しい時期にあってなお恐ろしくヌルヌル動く踊りの作画、増谷さんのビブラートが響き渡る低音の美声。
ファンが待ち望んだガゼルダンスがそこには広がっていた。
映像はなぜか梁に腰掛けて腕組みで地上を見下ろしていたり、正座でカルビ丼を早食いしたかと思えばちゃんと"ごちそうさま"の一礼をしてから華麗なバク転を決めたり、歌詞もその疑う余地のないはずの実力を疑問視するフレーズが散見されたが、まさしく1年間愛されっぱなしのガゼルマンイヤーを締めくくるに相応しい20秒間だった事は間違いない。

ナイスイで
そしてッコウチョウで
さらにックスも良い


それがアニメ版のガゼルマンである。


「俺は1回しか歌えないのか!!」



頑張れガゼルマン。
燃える友情を力に変えて、ご飯粒は拭っておくんだ。


ゲーム作品

基本的にアニメ版準拠で登場するため、哀れな3枚目として扱われがち。
しかしゲームなので頑張れば強豪超人を撃破するのも夢ではない。
当時のアニメ版の進行上、概ねKKD編までのキャラクターと展開をベースにしている。

・新世代超人VS伝説超人

ゲームキューブ作品。新世代超人がミートの開発したタイムマシンで過去に遡り、全盛期の伝説超人に稽古をつけてもらうという設定。*3
参戦キャラ1人1人に個別のシナリオがあり、当然ガゼルマンにも存在する。
アニマル系の先輩であるバッファローマンに稽古をつけてもらい、未来は安心だと太鼓判を押されて胸を張って帰還するという素晴らしいストーリーである。

セコンドやタッグパートナーにすると「足だ!足を使え!」というアドバイスと共に時間制限付きで相方の攻撃や移動スピードがめちゃくちゃ早くなるという固有能力を持っており、非常に使いやすい。
PS2続編のキン肉マンジェネレーションズでは火事場のクソ力というシステムで自分に使う事ができるようになり、まさに砂漠を駆け抜けるガゼルのような俊敏さで暴れ回れる。倒れた相手にひたすら高速ストピングを続けるだけで相手が死ぬ。

一方、本職のネタ的な部分でも愛されており、アニメ版ではカットされた「グ…グゴゲーーッ!!」がやられボイスで実装されており、軽いダメージで「グゴッ」、強力な必殺技を喰らうと「グゴゲー!」になるという謎の拘り仕様。
このゲームの傾向としてムービーが入る超必殺技のラストは3連リプレイになりやすく、そうなると「グゴゲ!グゴゲ!グゴゲーッ!」と律儀に三度繰り返しプレイヤーの腹筋を崩壊させてくる。

・正義超人への道

ゲームボーイアドンス作品。万太郎1人で進めるストーリーモードでは操作できないが対戦モードなどで選べる。
挑発コマンドでは手鏡を取り出して自分にウットリしたり、勝利すると「このゲームのほんとのしゅやくは俺なんだー!」と叫び出す何かが間違った愛されっぷり。

・超人聖戦史

ワンダースワン作品。HF3期生のオリジナル主人公が初代の時代にタイムスリップし、超人オリンピック(ザ・ビッグファイト)から王位争奪編までの物語に介入していく。
ガゼルマンに特筆するほどの専用のシナリオは無いが、条件を満たせば弟子入りして「悪い子だ!」を伝授してくれたり、ミートくん奪還を賭けて7人の悪魔超人と戦ってくれたり、チームを組んで夢の超人タッグに参加できたりする。
プロフィール設定ではアフリカ出身と打撃タイプを忘れずに。




戦績

  • シングルマッチ
× ジェイド(ベルリンの赤い雨)
◯ スカイ・クロウ(体固め)※新聞欄の試合結果のみの情報
◯ 夜叉夢(サバンナヒート)※Vジャンプ版

  • タッグマッチ
◯ザ・ファックス&ペーパーミイラ(サバンナヒート)
※Vジャンプ版、パートナーは万太郎

◯プリプリマン&エル・カエルーン(サバンナヒート)
※アニメ版、パートナーのセイウチンはスカイハイドライバーで勝利

◯ザ・プロテクター&エル・カエルーン(サバンナヒート)
※劇場版2作目、パートナーのセイウチンはタッグ技のスパイラル・トーピドーで勝利

5勝1敗。
きちんとした試合形式で戦いしっかり描写があった上で負けたのはジェイド戦だけ。というかそれ以外の出番が


「そもそも試合すらさせて貰えない」という点が逆に幸いして下手な敗戦が積み重ならず、原作での不遇に奮起した他作品が全力で鹿を愛した結果、勝率だけ見れば普通にHFナンバー1の優等生に見えなくもなかったりする。


大活躍のVジャンプ版もプリプリマンや犀暴愚にノサれたりしているが場外乱闘だったり具体的にどういう経緯でそうなったかが描かれていなかったりで、オリンピックの予選落ちなんかも含めてやられシーンは勝敗の星取りを付けようがない場合が多い。なんというか数字のマジックに味方された戦績である。

特筆すべきは決め技のサバンナヒート。使えば必ず命中し、そして必ず勝利している。4発4中4勝の、まさに当たれば凄いまだ見ぬ幻の大技なのだ。
そもそも原作で使われない事もあり、この記録とジンクスは現在も破られていない。

ちなみにタンザニア予選決勝のスカイ・クロウ戦の試合結果を報じた新聞はアニメではかなり盛られており、悪い子だ!100連発の末に体固めでフォールという凄まじい内容がシレッと書かれている。

どういう経緯でボロボロになったか分からない戦いや場外乱闘も律儀に黒星としてカウントした場合は、大体5勝2敗か3敗くらいに落ち着く。なんとか勝ち越せているだけ御の字だろうか。

原作以外の戦績を持ち出すのは反則…?そんな殺生な。


余談

  • 某・有名な海賊漫画に同じ名前の「ガゼルマン」というキャラがおり、更にアニメ版が同じ制作会社・同じ中の人という謎の符号を見せている。

  • 2022年の横浜DeNAベイスターズ「ロバート・ガゼルマン」というこれまた素晴らしい名前のピッチャーが入団し、同じ名前のキャラがいる事を知った通訳さんの茶目っ気で一時期は入場曲を「キン肉マンGo Fight!」にしたりしている。誰か通訳さんにそのままガゼルマンの歌がある事を…せめて「HUSTLE MUSCLE」に…
    • 残念ながら同選手は2024年に日本を離れている。


  • なので「ガゼルマン」とだけ入力して検索すると我らが小鹿ちゃんを始めこの三者が入り乱れる群雄割拠の時代となっており、画像検索はなかなかカオスである。




「このガゼルマンが必ず追記・修正します!この2本のツノにかけて!」

「なるほど、後はヘラクレスファクトリー成績"ナンバー1"のあなたに任せて戻るとするか」

「なーんか引っ掛かる言い方だなぁ…」

「まぁまぁ、僕は信じているよガゼルマン!」


※追記・修正はHFを首席で卒業してからお願いします


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最終更新:2025年04月08日 20:16

*1 伝説超人基準ではウォーズマンやカナディアンマンと同じトップクラスだが、新世代正義超人はややインフレしており中堅程度

*2 腕を捻る方はお馴染みビッグベンエッジのセットアップ、後者の舐めプはプロヴァケーション・トゥキックとしてゲームなどでも採用されている。記念すべき犠牲者第1号となれたのはある意味栄誉かもしれない

*3 後の究極タッグを彷彿とさせるが、時間遡行の目的も平和そのもので、基本的に正義超人のシナリオの場合はギスったり不穏にはならない