登録日:2012/07/12 Thu 11:32:50
更新日:2025/03/31 Mon 23:24:43
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カニバリズムとは人間が人間の肉を食べる行動、あるいは宗教儀礼としてのそのような習慣をいう。
ちなみに、現代日本でやったらたとえ相手の人間に危害を直接加えてない(自然死や自分が無関係の外傷で死亡した人を食べた)場合でも
死体損壊罪で3年以下の懲役となる(ただし、極限状態で命をつなぐためやむを得ず食べた場合は緊急避難で無罪となる)。
「カニバリズム」とはスペイン語のCanibales;人肉を食べると信じられていたカリブ族の一つ、Columbusによる言葉が語源。
概要
このカニバリズムを説明するに辺り、まず人肉から説明しなければならない。
人肉は文字通り人間の肉を指す。
動物に例えると人間は雑食動物に該当する。
豚肉や鶏肉などと比べて考えれば、基本的に肉食動物、雑食動物は食用に向かないので、本来ならマズいはずである。
だが、人肉の味は色んな説があり、「
ザクロの味」「味の素
のもとみたいな味」「筋が多くて煮込みにしか向かない」「しょっぱい」と多くの感想がある。
比較的美味なのは脳味噌らしい。
喰わず嫌いはいけないのかー
昔、シエラ・ネバダ山脈山中トラッキー湖畔で起きた遭難事故で、
最後の救助者が、先の救助作業の際に渡された食料があるにもかかわらず、死体を食べつづける例もあった。
しかし、大抵の感想は戦争などの極限状態や、参考文献からの抜粋がほとんどであり、当然ながら人肉の味を正確に知る手段は現代では無いに等しい。
☆カニバリズムの分類
さて、カニバリズムと聞くと、「人が人の肉を食べる」と考える人が多いが、それは半分正解で半分間違い。
カニバリズムにも社会的行為としての行為と、そうでない行為に分類に分けられ、きちんと理由が存在する。
「カニバリズムなんて野蛮だ!」と思う前に、一度だけ思考を向けてもらいたい。
社会的理由(文化人類学による)を含むカニバリズム
いわゆる特定の社会での人食。きちんと理由が存在するもの。
特定の社会では、対象の肉を食べると、特別な効果が得られると信じられている場合がある。
これらは族外食人と族内食人に分けられる。
族外食人は、復讐といった憎悪の感情が含まれていたり、単に「被食者の力を欲する」ためだったり理由は様々。
もう一つの族内食人は死者の魂を受け継ぐための儀式的意味合いが存在すると言われている。
いわゆる「例えお前が死んでも、お前の魂はずっと俺の中で生き続ける!」という考え。
土葬や火葬にしてしまうと、肉体はこの世から無くなるため、それを惜しんでの行為と見ることができる。
(無論、この行為を葬制か人身供養として捕らえるかで意味合いが異なるが)
つまり、フィクションや語りで誤解されがちな食人族は、なにも意味なく人を食べるわけではないのだ。
ヤーさんが組長やカシラの遺骨を食べる、なんかも結構ある。
社会的理由を持たないカニバリズム
いわゆる、社会的理由無しに人を食べる行為。
前述した緊急的な理由や、稀に問題視される性的目的のカニバリズムが該当する。
性的目的のカニバリズムとは、いわゆるフェティシズムである。
カニバリズムはしばしば性的な幻想をもって受け止められ、またそのようなフェティシズムを持つ者も多数存在するが、
その幻想の達成は(幸いながら)実現不可能だと認識している者が多く、現実に達成することはあまりない。
なお、古代~近代の中国において、人肉食は恒常的食文化として継承されていた歴史があり上記どちらにも該当しない。
かつて人肉は「両脚羊」として市場に流通し、様々な調理方法も考案されていた。
さすがに現代では前時代的文化として批判されているが、文化大革命時代には粛清と称して白昼堂々人間を生きたまま解体し食べていた者もいたようだ。
また中国は歴史的に、黄河の大洪水や
バッタの大量発生、それらがもたらす大規模疫病などの災害が頻繁に発生し、その都度激しい飢饉に見舞われた。
そういう環境では必然的に死者の肉が食べられることが多かった。結果、中国史で食人の記録は豊富である。
対して日本史では、
豊臣秀吉が鳥取城を兵糧攻めにした「鳥取城の
飢え殺し」などで、食人の記録がみられる。
しかし日本史では全般的に食人の記録はほとんどなく、これは稀な記録である。
だがな、この世にはそれをやってのけた外道もいやがるんだ!
連続殺人者である
アルバート・フィッシュ、エド・ゲイン、ジェフリー・ダーマー、フリッツ・ハールマン、アンドレイ・チカチーロが該当する。
パリ人肉事件の佐川一政もこれに挙げられる。
性的なものをベースにしながら、より「食人」を重視したゲオルグ・カール・グロスマン、ニコライ・デュマガリエフは犠牲者も多数となった。
理不尽にも還らぬ人となった被害者らに対しお前達はどう責任を取ると言うのだ!
私は人の命をとことん愚弄するド外道どもを、許してはいけない~~~~~!!
カニバリズムの範疇に入るのか微妙なもの
カニバリズムの範疇に入るのかどうか微妙なものとして、出産直後の母親が、
赤ちゃんを産んだことで「用済み」になった胎盤を食べるという「胎盤食」がある。
これはあらゆる哺乳動物に見られるため「自然な行動」だとも言える。生のまま食べるか、調理するかは文化圏によってことなる。
「自分の」「要らなくなった」ものとはいえ、人間の臓器であることには変わりないため、これをカニバリズムの範疇に入れ、敬遠する文化圏も存在する。
ライオンの雌は出産時に単独、若しくは護衛の1頭を伴って群れの主力から離れて出産するのだが、外敵からの守護者である父親と合流する前のこの時期は子供にとって最も危険な時期であり、外敵に襲われてしまう事も多い。
母親の力及ばず赤ん坊が殺されたり、致命傷を負わされたりした場合は、母親が安楽死の形で止めを刺して遺体を食べてしまう。
子供の遺体を放置しておくと、生き残った子供を襲うヒョウやハイエナが匂いを嗅ぎつけて更に事態が悪化するので、其れを防ぐ為の習慣と解釈されている。
クールー病
実は、食人には倫理的な問題以外にも重大なリスクが存在する。
それがクールー病(クロイツフェルト・ヤコブ病)である。
この病気はパプアニューギニアの風土病で、フォレ族の間で流行したことが確認されている。
フォレ族の言葉で「恐怖に震える」という意味の言葉が語源らしい。
クールー病は異常プリオンによって引き起こされることが解明されている。
そう、あの狂牛病と同じなのだ。言わば人間版狂牛病である。
異常プリオンは、同種の生物の脳を食べることで発生するとされる。
つまり直接の原因は人間の脳を食べたことなのである。
フォレ族は、しばしば病死した家族の死体を数日間埋葬した後掘り起こし、蛆虫とともに死体を食べたという(そんな事したら別の病気にかかりそうなものだが)。
この習慣のせいかは不明だが、女子供のクールー病の罹患者が非常に多かったらしい(これに対して、男性の患者は精々10分の1ほどだったらしい。男が死体を食べると戦闘力が弱体化するという考えがあったんだとか)。
最終的にニューギニア政府がその食人風習を強制的に禁止したところ、クールー病の被害が激減したとされている。
あり得ないとは思うが、もし人肉を食べる時は脳と神経組織だけは食べないほうが良さそうだ。
ちなみに同族に限らず「伝染性の病気で死んだ動物を食べる」というのは胃酸などで殺菌しきれなかった病原体に感染するリスクがあるので推奨されず、
この為先進国では大抵「人間が殺した(殺さなければ元気だった)家畜でないと食料として流通させてはいけない」という法律が存在する。
フィクションにおけるカニバリズム
カニバリズムはその見た目の衝撃や非現実的な光景から、しばしば漫画や小説でも見られる事がある。
例外は少なからずあるが、その殆どは結構キツめな描写の多い作品が多数を占めているので本当に苦手な人は気をつける事。
なお、便宜上ここに入れたものもあるが「元人間で人外化した奴(ゾンビとか)が人間を食うのはカニバリズムか?」
「吸血鬼ではない人間が他人の血液を飲むのはカニバリズムか?」という判定が微妙な物も存在する。
説話や童話
「
赤ずきん(残虐描写があるバージョン)」
「かちかち山」
漫画
アニメ・特撮
ゲーム
映画
その他
「
ウォーハンマー40K」……貧民街では食糧になってる他、一部戦団の士気上げの為だけに行う事も。
暗黒の遠未来だからなんでもあり
直接的な描写は無いものの、カニバリズムがあった事を匂わせるような描写がある作品
余談
お祭りのカーニバルとは音が似ているが、まったく関係ない。
「カニバリズム」は概要の通り、カリブ海の原住民が人肉を食っていたという風説に由来する(もとはスペイン語)。
対して「カーニバル」の語源はラテン語で「肉を取り去る」、要は「これから断食の時期に入ります、お肉にお別れを告げましょう」という意味。
カニバリズムはしばしば
丸呑み(フェチ)と混同されるが、カニバリズムはあくまで人が人を補食(噛む)する行為のため、厳密には異なる。
(巨大な人間が人を丸呑みにする行為はシュリンカーと呼ばれるため、これもカニバリズムとは少し違う)
……よし、これで完成だ。
レストランで食事をしながら項目をたてるのもなかなか乙なもんだ。最後にいつものっと。
ズズズッ
追記・修正お願いしm………!?
どうされましたか、お客様。
ウ、ウェイター……、この料理は……
「海亀のスープ」ですがなにか……。
そんな、いや、馬鹿な………
ウミガメノスープ
- シンバルを食べたヤジロベーはカニバリズムになるか? -- 名無しさん (2020-12-16 12:04:20)
- シャーマンキングでも母親の肉食って生き延びた話あった -- 名無しさん (2020-12-16 12:22:46)
- どうしても合法にやりたいなら、自分自身の血液を水で割って塩を入れた後に加熱して固めたものを食べるぐらいしかなさそう。他人の血液でやると感染症の危険がある -- 名無しさん (2021-03-26 01:24:47)
- ヨーロッパ人がアフリカやアメリカの人たちを「あいつらは人喰い人種だから奴隷にしてもいいんだ」というために一方的に勝手なレッテルを張ったという説があるらしい -- 名無しさん (2021-04-24 14:04:38)
- 自傷だけどおできを引きちぎると肉の味するぞー -- 名無しさん (2021-04-24 14:07:59)
- にんじん大好き -- 名無しさん (2021-04-24 15:46:13)
- クンタラって味覚に個体差があったのだろうか? -- 名無しさん (2021-10-31 19:04:22)
- ↑13 「マイナス」という漫画の「遭難クッキング」というエピソードかと -- 名無しさん (2022-06-20 19:19:19)
- 異常状態だからわからないといわれればそこまでだけれど、食用の動物がもし喋れたら食べられなくなると答える人が多いのがふつうだとすると、種が同じで言葉が喋れる相手をわざわざ食べちゃうのって相手をどう見ているかが不思議 -- 名無しさん (2022-07-04 21:52:14)
- switchで遊べるゲーム「グリーンヘル」でも骨を煎じたり生肉モグモグできたり焼いたりスープにしたり出来た。審査漏れかな? -- 名無しさん (2022-07-05 01:08:22)
- 荒野に獣、慟哭す -- 名無しさん (2022-07-20 14:58:31)
- ビジネス用語でも使われててビビった -- 名無しさん (2022-07-20 15:33:53)
- ゴールデンカムイ -- 名無しさん (2022-09-16 00:59:20)
- 仏教とカニバリズムについても日本ではきほん鳥しか食べなくなったとされる原因らしいから(巷説かもしれない)記事としてあったらおもしろいかも -- 名無しさん (2022-09-18 16:23:26)
- 異常プリオンってまれにだけど健康な人でも外部からの接種が無いけど正常の物が変化してしまうってのがあるそうな。プリオン病で孤発性ってついているのがそれ -- 名無しさん (2022-12-18 20:43:41)
- コメントのログ化を提案します。 -- 名無しさん (2022-12-18 22:41:34)
- 培養肉技術を使って合法的に人肉食ができるようになったら変わるだろうか -- 名無しさん (2023-01-13 23:33:32)
- 培養肉なのにわざわざ人肉を作る? -- 名無しさん (2023-01-13 23:58:37)
- 鶏、牛、豚は食肉用に品種改良したから上手い、安い、早いだけど、人間はそうじゃないから…。マンアフターマンの世界ならありだけど -- 名無しさん (2023-01-14 03:21:33)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2023-01-16 20:27:17
- ↑4↑3京極夏彦のルー=ガルーはそういう話だったな(そして再現できなかったが食糧難は解決された)。あと米澤穂信の儚い羊たちの祝宴でも「カニバリズムだと承知して食すことに意味があるのにそれを知らずに食べるのは無粋も無粋」とされているので、合成人肉はやっぱ本末転倒なんだろうな -- (名無しさん) 2023-01-16 21:52:59
- 食べる(食べようとする)側が魔女や山姥の場合は人間か化物か微妙だから迷うな -- (名無しさん) 2023-09-05 19:48:36
- library of ruinaも忘れてはいけない -- (名無しさん) 2024-01-06 20:31:36
- 可食部が少なすぎて効率が酷いと気付いた時に、禁忌感より先に非効率さが気になるようになってきた -- (名無しさん) 2024-02-08 13:45:46
- SCP-1048-JPにもカニバリズム要素は含まれてて事態を悪化させた -- (名無しさん) 2024-04-11 17:22:24
- ↑そういうアプローチで、食人を避けるケースもあるのか… -- (名無しさん) 2024-06-25 23:12:35
- 屍喰らいの冒険メシっていうゲームに戦闘中に死んだキャラを食って一時的にパワーアップできるシステムがあるけど当然のように仲間も食える(キャラロストはないので蘇生か探索終了すれば何事もなかったかのように戻ってくる) -- (名無しさん) 2024-11-02 01:44:21
- 化け物が好んで人を食いたがるのかは何故かと真面目に考えて見ると、「単純に数が多いし、大都市であれば確保が容易」「基本鈍くて非力なので野生動物狩るより楽」「純粋に食い物としてというより、食い殺すまでの過程を愉しんでいる」ってところなんだろうか -- (名無しさん) 2025-02-02 02:48:56
- ↑ものにもよるだろうけど、オーガとかのレベルだと人間は数匹食っただけでも強いやつ集めて完全武装で逆襲に来ることが多いから普通に考えると割に合わない。それでも食べたくなるほど美味なのか、ヒトからしか安定摂取できない必須栄養素があるんじゃないかという考察。たまに博愛の精神で共存していればオーガも人を襲わなくなるって話もあるけど、それって猫をヴィーガン食で育てるのと同様の善意からの虐待なんじゃないかね -- (名無しさん) 2025-02-02 03:32:21
- 事故とかでの極限状態なら本当にしょうがないと思うけど、創作とかでの人食い描写は苦手。 -- (名無しさん) 2025-03-31 20:19:51
最終更新:2025年03月31日 23:24