東湘本線

東湘本線 (とうしょうほんせん・Tōshō Line)は、東京都渋谷区の渋谷駅と神奈川県平塚市の平塚駅とを結ぶ、ちばドリームエクスプレス(cdx)の鉄道路線である。
路線記号は TS



路線データ

東湘本線 Tōshō Line
営業距離
(営業キロ)
53.6km
管轄 東京支部:9.4km(渋谷駅 – 上野毛駅間)
横浜支部:44.2km(上野毛駅 – 平塚駅間)
軌間 1067mm
駅数 36駅
(起終点含む、大磯高麗駅・大磯駅を除く)
路線記号 TS
平均駅間距離 1.53km
複線区間 全線
電化区間 全線(直流1500V)
閉塞方式 車内信号閉塞式
保安装置 Digital-ATC
運賃区分 都市線
  路線図

路線概要

東湘本線は東京都心と神奈川県湘南エリアを結ぶ通勤路線であり、環状線の多いcdxでは数少ない放射状に伸びる路線である。元々は 東湘急行電鉄 東湘線 として1970年に開業した路線であり、2005年8月5日にcdx東湘本線となった。
ゆめみや線(元北関東鉄道で、同じく2005年8月5日に転換)とは松見坂線を通してレールが繋がっており、直通運転も行っている。2009年3月からはもと北関東鉄道である春前本線との直通運転も開始している。
トンネル断面がcdxの他の路線より小さいため、車体幅が2850 mmを越える車両は入線出来ず、車両運用計画のネックとなっている。広幅車体(幅2950 mm)の車両が在籍していないのはこのためである。
併走する東日本旅客鉄道(JR東日本)東海道本線および湘南新宿ライン・小田急電鉄(小田急)小田原線および江ノ島線とは競合しており、激しい競争が繰り広げられている。特に、湘南新宿ラインとは乗り入れ先のゆめみや線・春前本線とも競合しており、直通列車を増やすことで対抗している。

運行形態

東湘本線は東京都心と横浜・湘南地区の住宅地を結ぶ郊外路線であるとともに、東京と湘南の両拠点を結ぶ路線でもある。このため、遠近分離型を基本としながらも両拠点の速達輸送も考慮した運行形態となっている。
2021年3月時点での日中の運行パターンは、下記の通りである。

種別/駅名 新宿
春日部方面
渋谷 松見坂 上野毛 中山 高座渋谷 平塚 大磯
直通急行1 ←直通   = 1本
直通急行2 ←直通   = 1本
急行 2本
快速 3本
区間快速1 3本
区間快速2 3本
普通 6本

列車種別は 直通急行 急行 快速 区間快速 普通 の5種別を基本とし、さらに 通勤急行 快速やまゆり の2種別が加わる。有料特急列車は2005年8月から2010年3月12日まで運行していたが、現在は運行していない。

  • 早朝・深夜帯と日中の一部の列車を除き、普通・区間快速列車は渋谷駅高座渋谷駅間の運転で、全区間走行するのは基本的に快速・急行列車だけである。
  • 日中はパターンダイヤが組まれており、下り列車は渋谷駅基準で運 普通 快速 または 区間快速 急行 の順で発車する。上り列車もこれに準じる。
  • 松見坂線を活用したゆめみや線直通運転も盛んで、同線本関宿駅または春日部駅から春前本線前橋駅まで乗り入れる。
  • 2008年3月15日のダイヤ改正に伴い、急行の停車駅が変更されたほか、普通を含む全列車が大磯高麗駅を通過する様になった。

急行(Express)

東湘本線の最速達列車で、主に平日の日中と土休日の終日にわたって運行ている。日中は30分間隔(毎時2本)で運転し、東京都心と湘南エリアの拠点同士を結びつつ、途中の主要駅にも小まめに停車する。

直通急行(Direct Express)

東湘本線のもう一つの速達列車で、松見坂線ゆめみや線経由で春前本線前橋駅まで直通する。私鉄では異例の長距離列車である。
日中は30分間隔(毎時2本)で、「急行」と交互に運転している。
  • 東湘本線内の停車駅は「急行」と同じで、唯一の違いは渋谷駅に乗り入れないことである。
  • 東湘本線内では「急行」とほぼ同じであるため、「直通急行」の表示は上り列車(新宿春日部方面行き)と上りホーム(同)に限られる。

通勤急行(Commuter Express)

通勤時間帯に急行の代わりに運転される列車で、平日朝の上下列車と夕方の下り列車で運行している。急行列車に通勤・通学需要を盛り込んだ形となっており、学校やオフィスが多い駅にも停車すること、また、首都圏の通勤路線では珍しく、朝の下り列車にも設定されているのが特徴。
  • 停車駅は 渋谷 – 南平台駅(上りのみ) – 松見坂駅 – 駒沢大学駅 – 上野毛駅 – 洗足学園駅 – センター北駅 – センター南駅 – 中山駅 – ズーラシア駅 – 三ツ境駅 – 高座渋谷駅慶應大藤沢駅と、慶應大藤沢駅 – 平塚駅間の各駅・大磯駅である。

快速(Rapid)

急行列車の次に速い列車で、高座渋谷駅以西を各駅停車としたものである。日中は20分ヘッド(毎時3本)で運転。
  • 停車駅は 渋谷駅 – 松見坂駅 – 駒沢大学駅 – 上野毛駅 – 洗足学園駅 – センター北駅 – センター南駅 – 中山駅 – ズーラシア駅 – 三ツ境駅 – 高座渋谷駅と、高座渋谷駅 – 平塚駅間の各駅・大磯駅である。

区間快速(Resional Rapid)

「快速」と「普通」の中間的存在で、上野毛以東は実質各駅停車である。日中は10分ヘッド(毎時6本)の運転で、半数は高座渋谷駅折り返しとなっている。
  • 停車駅は 渋谷駅 – 松見坂駅 – 駒沢大学駅 – 上野毛駅、上野毛駅 – 平塚駅間の各駅・大磯駅である。

普通(Local)

全ての駅に停車する。 各駅停車 とも呼ばれる。日中は渋谷駅 – 上野毛駅間のごく短い区間を10分間隔(毎時6本)運転している。それ以外の時間帯は様々な区間列車や全区間通しの列車が存在するが、大磯駅には乗り入れない。

特別快速「やまゆり」(Special Rapid “YAMAYURI”)

東京都心から宮が瀬線経由で相模湖駅まで向かう行楽列車。土休日運転。かつては有料特急列車だったが、2010年3月13日のダイヤ改正から快速列車となった。
  • 停車駅は 渋谷駅 – 中山駅 – ズーラシア駅 – 香川駅 – 平塚駅 – 大磯駅 – 伊勢原駅清川村駅宮が瀬湖駅津久井駅相模湖駅である。
  • 使用車両は特急時代と同じ0系8000番台で、短い3両編成である。0系8000番台が何らかの理由で使用出来ない場合は、同じ0系の2000番台または2100番台が代走する。

車両

2021年11月現在、東湘本線を走る車両はいずれも電車で、東湘車両センター(浜トシ)に所属する。東湘本線は他のcdxの路線よりも規格が小さいため、同線に入線出来るのはナローボディの車に限られる。

現在使用している車両

28系8系0系(2000・2100・8000番台)を使用。このうち28系と8系の5000番台以降は、東湘車両センターに新製配置された車である。8系のうち0・200番台は印西牧の原総合車両所(現:印西牧の原総合車両センター(印マキ))・古谷電車区(現:古谷車両センター(宮フヤ))・新杉田電車区(現:新杉田車両センター(浜スキ))から転属した車である。0系は九十九里車両センター(千クリ)から転属してきた車である。かつては東湘急行電鉄から継承した7000系・9000系も使用していたが、2012年8月に8系8000番台に置き換えられた。



28系:2021年現在、同線では最も新しい車。後述の8系と共に同線の主力である。10両編成と8両編成が在籍し、松見坂線経由でゆめみや線本関宿駅春前本線前橋駅まで乗り入れる。



8系:同線のもう一つの主力車両。多くは大柏本線大横本線から転属した車を占めているが、2004年 – 2012年に新造した編成(5000・8000番台)も存在する。
編成は10両固定編成・6+4両の10両編成・8両編成の3種類が存在する。6+4両編成はかつて宮が瀬線への乗り入れ(西富岡駅まで)を考慮した編成だが、2022年5月現在は乗り入れ運転は行っておらず、10両固定編成と共通運用を組んでいる。8両編成は単独で普通列車や区間快速に使用するほか、後述の0系を連結し10両編成として使う運用もある。



2022年11月からはトップナンバーを含む編成がデビュー時のリバイバル塗装に変更し、塗装のバリエーションが増えた。他の塗装の編成と共通運用を組んでおり、東湘本線以外でもその姿を見ることができる。



0系2000・2100番台:房総半島からの移籍した2ドアの車両。単独で使用することは無く、8系(前述)の8両編成の大磯方に2両を繋ぎ、10両編成として運用する。転換クロスシートであることを活用し、長距離運用に就くことが多い。

0系8000番台 :元特急用車両で、行楽列車「快速やまゆり」に使用。常に3両に組んでいる。

過去に使用していた車両

  • 4系 :8系と共に印西牧の原総合車両所(当時)から転属した車で、10両編成と6+4両編成が存在した。どちらも8系電車と共通で運用していたが、電子機器老朽化と8系と互換性のある部品確保を理由に2014年から28系電車に置き換えられ、2018年に運転を終了した。
  • 7000系 :もと東湘急行電鉄の車両で、1970年の東湘線開業時から使用していた。2012年に運転を終了した。
  • 9000系 :もと東湘急行電鉄の車両で、輸送力増強のため1990年代に製造され、2012年に運転を終了した。わずか2編成のみの存在だった。

ラインカラー

ラインカラーは、湘南シーサイドグリーンである。ただし、列車の車体色は車種によって異なる。

駅番号

2005年の転換当初は、渋谷駅を起点に TS01 TS02 …の様に番号を振っていた。転換開業後に開業した四季の森駅みずき駅については、前駅の駅番号に枝番を付けたものとなっていた。
2020年3月14日に駅番号を振り直したが、少々特殊な振り方となっている。松見坂駅から松見坂線の番号( MZ07 )を引き継ぐ形となっており、松見坂駅から TS07 TS08 …の順に振られている。一方、渋谷駅方面は TS06 TS05 …の順に番号が戻る形で振られている。

二つの「渋谷」駅

東湘本線内には 渋谷駅 高座渋谷駅 がある。前者は東京都渋谷区に、後者は神奈川県大和市にそれぞれあり、両者は東湘急行電鉄時代から今の名称で存在している。名前が同じ「渋谷」のため、東京の渋谷駅まで利用しようとした乗客が誤って高座渋谷駅で降りてしまうなどのトラブルが起きてしまうことがある。
2つの渋谷駅の名称問題は東湘急行時代から何度も議論されており、cdxへ転換するときも大きな議論となった。結局、駅名は「渋谷」・「高座渋谷」に決定し、東京都の渋谷行き電車は「 東京方面 渋谷行き」とアナウンスすることで対処することにした。その後、駅番号が導入され、駅番号で区別するようにしている。
  • 上り高座渋谷駅行き列車の放送例
「まもなく、1番のりばに、高座渋谷行き 普通列車が ○両編成で 到着します。~(略)~。この電車は、東京の渋谷には参りませんのでご注意下さい。」
  • 高座渋谷駅での放送例
「高座渋谷、高座渋谷。東京の渋谷ではございません。東京の渋谷へおいでのお客様は、このままご乗車下さい」
  • 列車内での放送例
「まもなく、高座渋谷、高座渋谷です。東京の渋谷駅へおいでのお客様は、このままご乗車下さい。~(略)~。」

歴史

  • 1970年4月14日 – 【路線開業】 東湘急行電鉄東湘線 として渋谷駅三ツ境駅間が開業。
  • 1983年2月21日 – 【路線延伸】三ツ境駅 – 平塚駅間。
  • 2005年8月5日
  • 2007年4月1日 – 【駅開業】 みずき駅
  • 2009年3月14日 – 【駅開業】 四季の森駅
  • 2012年8月--日 – 【運転終了】7000系・9000系。
  • 2013年3月16日 – 【駅改称】アルバック本社前駅→ 萩園駅
  • 2014年4月4日 – 【運転開始】28系電車
  • 2018年--月--日 – 【運転終了】4系電車
  • 2020年3月14日 – 駅番号を振り直し。

駅一覧・接続路線

  • 2021年3月13日改正
  • ●は停車駅、|は通過駅、▲は上り列車のみ停車
  • 区快:区間快速、やま:特別快速やまゆり、通急:通勤急行
  • 平塚駅大磯高麗駅間は宮が瀬線
東湘本線 Tōshō Line
駅間
キロ
営業
キロ
駅番号 駅名





接続路線・備考 所在地 管轄
- 0.0 TS05 渋谷駅 東日本旅客鉄道: JY 山手線・ JA 埼京線・ JS 湘南新宿ライン
東京急行電鉄: TY 東横線・ DT 田園都市線
IN 京王電鉄井の頭線
東京地下鉄: G 銀座線・ Z 半蔵門線・ F 副都心線


渋谷区


0.6 0.6 TS06 南平台駅
0.8 1.4 TS07 松見坂駅 MZ 松見坂線(一部乗り入れ)
1.5 2.9 TS08 淡島駅 世田谷区
1.6 4.5 TS09 若林駅 東京急行電鉄: SG 世田谷線
1.5 6.0 TS10 駒沢大学駅 東京急行電鉄: DT 田園都市線
1.5 7.5 TS11 深沢不動駅
1.9 9.4 TS12 上野毛駅 東京急行電鉄: OM 大井町線
1.5 10.9 TS13 高津諏訪駅


川崎市
高津区



1.6 12.5 TS14 洗足学園駅
0.9 13.4 TS15 高津新作駅
1.2 14.6 TS16 西野川駅 川崎市
宮前区
0.9 15.5 TS17 南野川駅
1.5 17.0 TS18 北山田駅 横浜市
都筑区
1.4 18.4 TS19 センター北駅 横浜市営地下鉄: B ブルーライン・ G グリーンライン
0.9 19.3 TS20 センター南駅 横浜市営地下鉄: B ブルーライン・ G グリーンライン
2.3 21.6 TS21 池辺町駅
1.2 22.8 TS22 加賀原駅
1.8 24.6 TS23 中山駅 東日本旅客鉄道: JH 横浜線
横浜市営地下鉄: G グリーンライン
横浜市
緑区
1.9 26.5 TS24 四季の森駅 横浜市
旭区
1.1 27.6 TS25 ズーラシア駅 OY 大横本線
1.3 28.9 TS26 都岡下川井駅
1.2 30.1 TS27 金が谷笹野台駅
1.1 31.2 TS28 三ツ境駅 相模鉄道:本線 横浜市
瀬谷区
1.3 32.5 TS29 阿久和駅
1.5 34.0 TS30 下瀬谷駅
2.6 36.6 TS31 高座渋谷駅 小田急電鉄: OE 江ノ島線 大和市
2.5 39.1 TS32 南綾瀬駅 綾瀬市
3.2 42.3 TS33 慶應大藤沢駅 藤沢市
2.8 45.1 TS34 文教大学駅 茅ヶ崎市
1.2 46.3 TS35 みずき駅
1.2 47.5 TS36 香川駅 東日本旅客鉄道:相模線
1.4 48.9 TS37 湘南田端駅 高座郡
寒川町
1.6 50.5 TS38 萩園駅 茅ヶ崎市
2.2 52.7 TS39 新平塚駅 平塚市
0.9 53.6 TS40 平塚駅 AK 愛甲線
東日本旅客鉄道: JT 東海道本線
2.4 56.0 TS41
MG02
大磯高麗駅 中郡
大磯町
1.5 57.5 TS42
MG01
大磯駅 MG 宮が瀬線(一部乗り入れ)
東日本旅客鉄道: JT 東海道本線
MG07 伊勢原駅
MG20 相模湖駅
駅間
キロ
営業
キロ
駅番号 駅名





接続路線・備考 所在地 管轄

今後の予定



cdxは2021年4月に1990年代 – 2000年頃に製造された車両を順次新型車両に置き換えることを発表。東湘本線では8系の初期車(0・200・1000番台)と0系が該当し、これらは2024年度から2026年度にかけて後継車両のAC3(29系電車)に置き換える予定。なお、8系5000番台以降の車(初期型に組み込んだ増結車両を除く)とわずかに存在する車体更新車は置き換えの対象から外れており、今後も運用の変化は無いものと思われる。


最終更新:2023-11-06    東湘本線 路線

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最終更新:2023年11月06日 02:04