メリアス
「命さえも玩ぶのか?」
【性別】 男性
【種族】
大精霊の一体にして精霊神。元は人間
【属性】
木,
霊
【所属】 「古代樹木信仰教団本部」⇒「霊界」⇒「
楽園の主⇒「木霊強硬派」首魁
概要
この
聖域と次元の壁一枚隔てた亜空間内に設けられた
楽園に本拠地を置く精霊。
古来よりヤドリギは「神宿る木」、「聖なる樹木」または「吸血鬼の樹」と呼ばれ人々の信仰や畏怖を集めておりその強烈なイメージから神性を得た。
その姿は不定であるが、20代前半~中頃のゆるく結わいた深緑の長髪に淡い緑の瞳。魔植物の花冠、古典的なローブ姿の苦労してそうな顔をした病的に白い肌をした華奢な男の姿を良く取る。
寄生樹たるヤドリギの精霊であるが故か、何かに寄生・共生しなくては存在を保つことが出来ず、寄生先により容姿、能力等が変動する。
本体は配下である
デンドロン・ヴリコラカス同様無数の蔦とヤドリギの枝であり、これらが寄生元へ絡みつきながら様々な姿を形成している。
人類へ絶望、失望の念を抱いており、人間嫌いをこじらせにこじらせた結果眷属を率いて人類滅亡を夢見て行動を始める。
彼こそが最近活動が活発化してきた植物系モンスター及び精霊からなるテロリスト集団、「木霊強硬派」の首魁である。
本拠地、
楽園の核(制御ユニット)であることから外に出ることが叶わず、魔物の製造や眷属に加護を与えるなどのバックアップを勤めている様子。
その関係でコンタクトを取る際は通信ばかりで本体が出てきた試しはなかった。
その精神感応能力により、人々のエゴや負の感情、同胞達の苦しみ、悲しみ絶望を溜め込んだ結果精神をどんどん病んでいく。
一連の破壊活動にて精神汚染はさらに悪化、もはやいつ精神崩壊(=死)を迎えてもおかしくない状況で
ルルアンの依頼にて集まった傭兵一行による作戦が開始。
同胞である
マウロを含む彼らを信用せず、住人たちに避難指示を出しながら自身は相棒たる大樹と強硬派の構成員たちと共に徹底抗戦を図った。
しかし、戦闘が進むにつれ、もはや限界を越えた彼の体は崩壊を迎え、それと同時に生み出した領域たる楽園も崩壊の危機に陥ってしまう。
ジェイソンや
エコー、
竜聖がなんとか崩落を食い止めようとするも、
木霊たちの絶望は止まらない。
更なる絶望と自責、後悔に苦しみいよいよ堪えきれなくなったものの、エコーの
言の葉に込められた日の光に似た暖かさを感じながらその意識は後悔と共に深く沈んでいった。
多くの犠牲を払いながら一命こそとりとめたものの、その魂はボロボロで修復も難しく、聖域への帰還も望めない状態だった。
その為、大樹が償いとして楽園を構築していた魔力とともに彼を取り込み、分解。
1000年という途方もない間続いた精霊としての生を己が生み出した世界たる楽園と、かけがえのない相棒と共に終えた。
だが、彼の魂の輪廻は相棒の手により歪められ、種となり現世に舞い戻る。
種は芽吹き、日の光を浴びながら時を早めたかのようにみるみるうちに成長し、そして……。
性格は知的かつ沈着。真面目で人が良く繊細で気が弱いヘタレな苦労人気質。
メンタルは脆いように見えるが数多の魂を食らい、大精霊になれててあの能力を持って1000年以上持ちこたえるくらいなので寧ろ本来は強いほうである。
しかしながら非常に強い感受性と制御不可能の読心能力によって他人が気に留めない感知できない部分でのダメージが極めて重篤。
これらが蓄積され続けた結果ガラスのように脆い精神となってしまった。
森を必要以上荒らされなければ何も言わないし、我慢強く絡まれても何も言い返せない為同僚らからも完全にナメられている。
同胞である木霊や植物に対しては超過保護で偏愛の変人であるが、人間を蛇蠍の如く嫌う差別主義者。ちなみに該当しない人外に対しては良識的で常識人。
キワモノ揃いの精霊たちの中では良識派だったのだが、一連の事件にてすっかり危険人物になってしまった。
上述の通り人間嫌いをこじらせにこじらせ、自身も危うい中もはや盲目と言える状態になっている。
明らかに眷属も巻き込むようなことをしでかしているが、もう自分でも活動を止められない、引き返せない状態まで行き着いてしまっている。
ちなみに趣味が悪く、センスも最悪。
なお人間だった頃はこんな偏屈な性格はしてなかったようだがヘタレで苦労人気質で趣味が悪いというのは変わらなかったようである。
主な技・魔法
主に魔術を使った射撃、狙撃を得意とする他守りもかなり堅く、驚異的な命中技術を持つ。
きっちり守りを固めて、相手の隙を確実に狙い撃つ堅実なスタイル。
射撃や狙撃の際には右腕に枝や蔦など植物が巻きついて変形し、ライフル銃の砲身(近接攻撃用の武器も兼ねている)のようになる。
槍のように突き刺して相手に直に砲撃や毒薬、細菌兵器などを送り込むことも出来る。
「イクソス・クローステール」
全身を構築するヤドリギの蔓や枝による攻撃。
腕や足を始めどこからでも出てくる上に、絡みついた蔦と枝をほどいて全身を糸やロープのようにすることも出来る。
攻撃の他にも狙撃・砲撃時に腕や体をしっかりと固定するためにも使用する。
「クリューソス・ヴェロス」
ヤドリギの小枝を媒介に魔力を纏わせ光の矢を展開し、発射する木属性魔術。
展開・飛翔スピードに優れ、発射後の弾道操作も可能。
「アルールゲース・プルナリ」
真紅の光の矢を放つ木属性魔術。
相手に命中すると、そこで弾けて光の破片により相手をズタズタに貫き傷つける。
魔術式散弾銃。
「アクティース・クラドス」
やや太めの光の槍を放つ霊属性魔術。
槍は途中で無数の矢となり、広範囲を一度に攻撃する。
「フォス・ステレコス」
魔力によりやや大きな光の矢を放つ光(聖)属性魔術。
貫通力、飛翔スピード、射程、火力どれも強力。
浄化効果あり。
「トリキューミア・キュノロドン」
無数の鋭利な刃物のような棘を持つ茨を召喚し、波のように一斉に放ち切り裂く魔術。
広範囲に茨の波が襲い掛かるが、規模を調節して一点に集中させることも可能。
「ピュロボルス」
着弾もしくはメリアスの任意のタイミングで魔術衝撃を加えることにより内部の薬品や細菌兵器が弾け飛び、周囲に撒き散らされるように設定した弾丸を放つ。
撒き散らされる規模は小さいもののあらゆる弾丸で範囲攻撃、もしくは範囲サポートが可能となる。
魔術衝撃のタイミングをずらすことで時間差爆発のようなことも可能。
「テオス・ヴラスタリ」
自身を構築するヤドリギの一部を種のようにして撃ちだす。
着弾した箇所に潜ませてトラップとしておいたり、相手に直に撃ち込み寄生させたりする。
寄生主の体力と魔力を徐々に奪い、体の自由を乗っ取ったり束縛したりできる。
「イオス・クレーネ」
複数の毒草の成分を混合し凝縮。毒の効力を増幅させた毒薬を砲弾として放つ。
ダメージはないが、相手を毒や麻痺、眠り、魅了などの多数の状態異常にしてしまう。
基本的に生物にしか効果はないが、精霊などに効く場合もある。
ちょこちょこ調合している様子。
「ノソス・シアロン」
幾つかの特殊な菌類を含んだ粘液のような細菌兵器を砲弾として放つ。
粘液を体内に取り込んでしまった相手の神経や血管・内臓を浸食。ズタズタに破壊してしまう恐ろしい兵器。
どうやらちょこちょこ培養している様子。
勿論生物にしか効果はない。
「ディアプトラ・ファンタスマ」
特殊な細菌や魔植物等多数の素材を混ぜ合わせて生み出された液状の劇薬。
液に触れた魔力や魔法物質を中和し分解してしまう。
相手の魔法の対処など防御にも使用出来るが、相手に直に当てることで相手の魔力を大きく殺ぐことが可能。
対精霊用を見越して作られた為精霊系に特効を持つ。
当然のことながら自分も危ない。
「ヒーマティア・リゾーマ」
自身の周囲を覆うように鋼鉄の如く強靭な根の防御壁を展開する。
防御壁だけでなく縄や鞭、槍としても機能する攻防一体の技。
地面がないと発動できず、屋内などでは使用できない。
「アイフィロス・ペトラ」
淡い緑のオーラを展開し、障壁とする魔術。
上述の「ヒーマティア・リゾーマ」が展開できない場合や、咄嗟に攻撃を防ぐ場合に使用。
蔦や枝、腕に展開してぶん殴る為の鈍器としても利用する(というよりそちらの目的で使うことが多い)。
「プロ・クローマ」
対象に自然から集めたオーラを纏わせ物理以外の全属性への耐性を少しずつ上昇させる守護の魔術。
ただしまんべんなく上昇させるので劇的にあがるわけではない。
あくまで耐性をあげるだけで、無効化になるわけじゃないので注意。
「エフカリプトス・ピュロン」
対象に木の魔力を集中させ、傷をみるみるうちに修復してくれる再生の魔術。
メリアスの得意な魔術らしく、扱いは手慣れたもの。
凄まじい再生スピードを持つ。
「エンファシス・イーアートリコン」
薬剤を媒介に発動する魔術。
媒介とした薬剤の効力を爆発的に高め、増幅する。
発動する効果は媒介次第だが、強力な治癒術及び攻撃手段になる。
「ミストルテイン」
宿木の若い枝を媒介に発動する木属性攻撃魔術。
媒介にした枝に膨大な魔力を纏わせ、極めて高い貫通力を持つ金色の光の巨槍として射出、精密射撃を行う。
強靭な鎧、装甲、魔術障壁などをことごとく貫通してしまう恐ろしい魔術。
凄まじい破壊力を持つ大技だが制御が難しく、反動もデカい。
「トラゴエディア・シンパテイア」
自身を構築する蔦を対象に接続することで視覚や聴覚、痛覚などを共有する。
転じて彼自身を蝕み続ける世界に溢れる負の声やそれが転じて生まれる痛みを対象にダイレクトに与えてしまう。
相手の精神をパンクさせることも出来れば、痛みを共有して戦闘不能に追い込んだりとかあれこれできる。
精神攻撃に弱いくせに精神攻撃できるじゃねーかとかいっちゃいけない
他にも各種地属性魔術、結界術などいろいろ使える。
21: 特殊能力・特殊技能
「精霊」
近くの土地や自然が発する霊素(気)に当てられた霊が純化したり、他の霊や大量の霊素を取り込み融合したりすることで生まれる強化霊の一種。
その中でも霊素が司る属性の象徴へ帰依し、その事象を象徴とする化身となった存在のこと。
精霊に特別な効果を持つ攻撃や能力の影響を受ける。
「樹神」
そんなに強力ではないものの神性を持つ。
しかし生前はヒトだったので、その精神構造は人間と同等で特に超越した部分は見られない。
神性の発する神威に対する耐性があり、神性やその眷属が齎すという精神や霊魂に対する猛毒の影響を受けない。
上述の精霊特効に加え、神へ特別な効果を持つ攻撃や能力の影響を受ける。
「ヤドリギ」
寄生樹の精であるメリアスは木や植物(杖などの道具、倫理的に問題が有るものの植物系の魔物でも可能)に憑依し続けなくては存在を保てない。
融合後は媒介にしたものに元々宿っていた意思や魂の影響を受け、メリアスの容姿もそれに応じて変化する。(ただし性格の傾向はそのまま)
またある程度持ち合わせた能力はそのまま使えるものの体質もそれに応じて変化し、耐性や能力がころころ変化する。
「精神感応」
非常に感受性が強く、眼に見えぬ自然や霊、土地などに宿る意思や残留思念、人々の心の声が聞こえてしまう精神感応系の制御不能の霊媒体質。
特に弱い精霊とされている木霊や魑魅魍魎の声をよく拾ってしまう上に、特に怒りや哀しみ、恨み、恐怖などの強い負の意思を敏感に感じやすい。
本人曰くその意思や残留思念などが強ければ強いほど、声はより鮮明に聞こえてくるらしい。
その結果かなり具体的な思念を聞くことが可能であり、超広範囲を対象とした凄まじい情報収集能力を持つと言い換えることもできる。チート
応用として読心を行うことも可能だが、非常に大きな負担が掛かるらしく下手をすれば一緒に流れ込んでくる膨大な思念に耐え切れずに発狂してしまう可能性もある。
能力の都合上普通の生活をしているだけで様々な思念を拾い、それに晒され続ける為精神的に負担が掛かりやすい。
人間だった頃からこれよりも大分効力は低いものの類似する能力を持っていた様子。
「交信能力」
魔力たっぷりのヤドリギを媒介に交信が可能。
その為ヤドリギが自生している森などにひょっこり声が聞こえることもある。
配下であるヴリコラカスとの交信も可能で、
ケイトライネンの種やら追加の種などをヴリコラカスを中継して強硬派グループに与えたりしていた。
その他の意思や様々な要因にてノイズが混ざったりすることもある。
「領域」
力の強い精霊が使えるという、自身の要素を象徴するような固有結界(霊場)を構築する能力。
(例えば戦の精霊ならばだだっぴろい戦場とか、氷の精霊ならば猛吹雪の大雪原とか)
メリアスの場合は緑に溢れた森や平原となる。
「活性化」
神性としての能力。
地・木属性を持つ者(植物や菌類、その他の魔物や精霊、木製のゴーレムなどや嫌悪している人間達も対象内)に栄養を送り成長、強化することができる。
「命の種」
神性としての能力。
魔力を用いて魔植物の種を生み出すことが可能で、植物系モンスターを生み出すことも出来る。
なお、種から育つ魔物しか生成できないらしく
グラスベリエなどの植物に近い生態を持ちながらも魔獣であるなど木属性だけど植物じゃない魔物は生み出すことが出来ない。
デンドロン・ヴリコラカスのような新種から、幾つかの植物を掛け合わせたキメラのようなものまで作ってしまう。
センスが極端に悪いせいか、彼の生み出すモンスター及び魔植物は禍々しい見た目をしたものが多い。
「発作」
極度の精神的な負担がかかると体調を崩し、全身からの出血のようなものや全身の痛みなどの発作が起きることがある。
どうやら精神的な負担から傷つき、病んでいるということが人間における痛み、病のようなものという形で発現している様子。
「地属性無効」
地及び木属性攻撃を無効化する。
「聖属性耐性」
聖属性攻撃、浄化にそこそこ高い耐性を持つ。
「空属性弱化」
風、雷属性に弱い。
「炎の記憶」
炎属性にも弱い。
また炎に強烈なトラウマを持っており、人間だった頃の死に際がフラッシュバックすることもある。
つまり自身や寄生主が炎に包まれるシチュエーション自体が彼にとって最大の精神攻撃になる。
「精神攻撃弱化」
精神攻撃に極めて弱い。
上述の通り炎にトラウマを持つが故に炎属性攻撃自体が精神攻撃になってしまうほどである。
「毒無効」
毒物の影響を受けない。
植物性は勿論他のも大丈夫。
「石化無効」
石化状態にならない。
「樹木信仰」
樹木や魔植物を信仰対象とする古代樹木信仰の信者である。
1000年前の大戦内で教団本部が壊滅的な被害を受け、衰退。
更に戦後になってから樹木信仰は教義に供儀を伴う野蛮な宗教として邪教認定を受け、残っていた勢力も次々に駆逐され滅亡を辿る。
現在は彼らの内の一派が独立し、生み出した宗教が細々と残っているだけで謎の古代信仰として扱われている。
「ドルイド知識」
樹木信仰の僧侶たるドルイドの知識を持っている(教義とかちゃんと覚えてる)。
とはいえ末端の研究員だったので、儀式や祈祷などの知識はさっぱり。
「植物学知識」
聖域の植物、植物系モンスターに関する豊富な知識を持つ。
薬草や毒草の効力などにも詳しい。
「調薬技術」
薬学の研究にて培った調薬技術で、古代文明にて一般的に流通していた秘薬(現代ではオーパーツだったりオーバーテクノロジーの産物)なんても作れてしまう。
反面現代の薬物に関しては疎く、研究書などが必要になることもある。
「バイオ工学」
の分野にも明るい。
「魔科学知識」
ロストテクノロジーと呼ばれる
シャリム大陸時代の魔科学の知識を持つ。
「古代魔術知識」
古代魔術の知識を持つ。
「古代語」
1000年前ほどに聖域に流通していた古代語全般の翻訳、古代語を用いた会話、古代文字による筆記が可能。
能力値
体力:B
魔力:A
魔法攻撃力:A
魔法防御力:S
腕力:B
物理攻撃力:A
物理防御力:A+
知力:A
素早さ:C+
命中:S++
ちなみに
1: 木霊長編一部黒幕にしてラスボスの木霊さん。実は
ソンジュ、
アリア同様かなり初期から考えてたキャラクターの一体。
モチーフは配下(?)の
デンドロン・ヴリコラカスと同じく半寄生植物であるヤドリギ。吸血鬼の木、神宿る木等と呼ばれ、世界各地の神話や伝承にしばしば登場する。
2: 名前の由来はギリシャ神話のトネリコのニンフ(精霊)「メリアス」から。
3: 構想当初よりもかなり性格が過激になったけどスパロボUXにも出演した「リーンの翼」のサコミズ王の影響が強し。
シオニーちゃんの影響も強いかもしれないとか最近思ってきた。
能力のモデルはニュータイプやコードギアスのマオのもの。力が強力である上制御できないという所が重要ポイント。
4: バックグラウンドが波乱万丈すぎる上に業が深すぎる人。
その最期は自分の運命を狂わせたきっかけとなった「戦乱」を自身のエゴで引き起こし、その為に守りたかったものを多くを犠牲にしてしまうというあまりに皮肉的なものだった。
このバックグラウンドも含めて彼が矛盾の塊なのは精神攻撃が何よりも効く変則的なボスというコンセプト上わざとそうした設計にしています。
5: 人間であった頃の名前はヘヴンが度々口にし、イオンのファミリーネームにもなっている「ジェルバ」。フルネームで「ジェルバ・メディシナール」。
彼のネタはギリシャがらみにしている中でスペイン語で「草」(フルネームは「薬草」)の意味。
裏設定とかそんなようなもの
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過去 |
ツークフォーゲル国出身の樹木信仰教団所属の「人間」の研究者であり、元人間の精霊。
神体であるプローディギウムをはじめとする植物たちの研究と管理を行ってきた教団の暗部所属の人間であった。
シャリム大陸の大戦乱の際に生活していた教団本部が隣国の侵略により焼き討ちに会い、それに巻き込まれて焼死。
この一件が最期まで続いた人間不信及び火、火災への強烈なトラウマのきっかけとなった。
その後、消えたくない一心で周囲の霊を取り込み力をつけ神と呼ばれる精霊となり、死んでしまった樹木信仰の神の代わりとなった。
力をつけた結果、生来の感応能力が凄まじく強化されてしまい贄とされた人々の絶望、戦乱に呑まれる人々の負の感情を全て知ってしまった。
信じていた宗教の真実、滅亡してしまった大陸に生きた人々の断末魔、悲哀、後悔を受けてしまった彼はやがて恐怖や絶望、怒りを人類への嫌悪に変えた。
そして救いを求める元同胞と人類を切り捨て精霊の世界に引きこもり、自分と同じ木霊や植物を同胞として溺愛するようになった。(とはいえその愛情は大分歪んでるが)
精霊の世界から見えるどれだけ時が流れてもなくならない現世の戦乱と犠牲。
あれから人々の負の側面しか見てこなかった彼はどんどん人類は救えないもの、卑しく愚かで身勝手なものと決めつけ彼らに深い失望を抱くようになる。
楽園を生み出し虐げられる木霊たちを保護し始めた時には既にこんな状態だったという。
彼は人類を憎んでいたが、最期まで万能な願望機とも言えるプローディギウムを破壊の兵器として用いることはなかった。
楽園のプローディギウムたる ブルーシャトーには彼が知る世界の真実、負の側面は一切教えなかった。
ただ全ての命を平等に尊び愛す博愛精神だけを教えたのである。
最期に堪えきれなくなり、暴走してしまった時も決して彼女を兵器として転用することはなかった。
どれだけ歪んでいようとも、狂っていても同胞を守りたいという思いは本物だったのだろう。
プローディギウムの研究に携わった身としてどうしても、その選択肢を選ぶことはできなかったのだろう。
彼は自らが人間だった頃、神と信じ続けた存在にいつまでも邪教として討伐される以前の「古代樹木信仰の神」であり続けて欲しかったのだ。
もはや自身が願うことのできない、実現することのできない理想である「全ての命が尊ばれる未来」を託して。
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最終更新:2015年09月30日 15:11