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剣崎一行は特に問題なくハカランシティに到着した。
天音を家に送り届けると剣崎たちは大通りに出た。
「しかしでかいなぁ、この町」
剣崎が感心したような声を出す。
「始、お前はこれからどうするんだ?」
剣崎は始に尋ねる。出来れば一緒に行動したい、そんな考えも持っていたのだろう。
「……アンデッドポケモンを捕獲する。それ以外に興味は無い」
始はその場から立ち去ろうとする。
(……見つけたぞ、カリス)
「!?」
始があたりを見回しはじめる。何かを探しているようだ。
「ここだ、カリス」
"カリス"と始を呼ぶ声、その声のする方にはサングラスの男が立っていた。



「……誰だ、貴様」
始が殺気立った目で男を睨みつける。
まるで積年の恨みの相手のようだ。
「今は伊阪と名乗っている。お前はどうなのだ?カリス」
サングラス男――伊阪は始をカリスと呼ぶ。挑発しているようにも見られる。
「俺をその名で呼ぶな!俺は相川 始だ」
始は伊阪に向かって叫んだ。手は腰のモンスターボールに伸びている。
既に戦闘態勢に入っているようだ。
「ここで戦うのはいささか気が引けるな。やれ、スリープ」
伊阪の方がポケモンを出すのが速かった。スリープが現れる。
それと同時に攻撃に移る。
「っ! ……」
始が倒れる。"さいみんじゅつ"をくらったようだ。
「始っ!大丈夫か!」
それまで状況がつかめなかった剣崎が近寄る。
「邪魔だ、どけ」
しかし伊阪に吹き飛ばされる。そのまま伊阪は始を掴んだ。
「コイツは貰っていくぞ。追いかけたければ追って来い」
伊阪は始を掴んだままその場を立ち去った。
「始!クソォ、ズェッタイオイカケテュアル!」



始が連れてこられたのは研究所のようだった。
「どうだ。気に入ったか、カリス」
始は両手足を縛られて投げ出されていた。
「こんな物で俺を抑えたつもりか? 甘いな」
「甘いのはそちらの方だよ、その縄は特殊な加工がされていてな」
伊阪が始を見下ろして話を続ける。
「お前を捕獲させてもらおうか、その方が都合がいい」
「貴様、一体どこでモンスターボールを手に入れた?
 さっきのスリープ、アイツはアンデッドポケモンだった。
 アンデッドポケモンは専用のボールが必要なはずだ」
始が早口でまくしたてる。アンデッドポケモンの知識は豊富なようだ。
「ふ、協力者がいてな。まあお前には関係ないことだ」

「カブト、げんしのちから」
カブトから岩が飛んでくる。
「打ち落とせ、サワムラー!」
サワムラーが足で全ての岩を叩き壊した。さらに攻撃の態勢に移る。
「とびげり!」
サワムラーが飛び上がる。そのまま蹴りを繰り出した。
「てっぺき」
カブトの体が輝きだす。衝突したサワムラーが弾かれる。
「何!とびげりが効かない!?」
驚きを隠せない剣崎。伊阪は余裕の表情でカブトに命令を下す。
「マッドショット」
今度はカブトから泥の塊が放出される。一瞬の隙をつかれてサワムラーは直撃を受けた。
「サワムラー! まずい、火力が足りない」
剣崎に危機が訪れた。ダメージを与えられなければ勝ち目は無い。



「剣崎、コンボを使え」
縄から解放された始が言い放つ。
「コンボ?」
剣崎は回想を始めた。
クロバットとの戦闘。橘は2匹のポケモンを出して技を叫んでいた。
この前のドラピオンもそうだ。始はサメハダーとムクホークのコンビネーションで捕獲していた。
2匹のポケモンの連携。ここに鍵がある。
「そうか!」
剣崎は新たにオドシシを繰り出した。
「オドシシ、でんじは! サワムラーはとびげり!」
剣崎の指示通りに2匹が動く。
オドシシの角から"でんじは"が放たれる。それを受けカブトの動きが止まる。
そこにサワムラーのキックが決まった。大きく吹っ飛ぶカブト。
「名づけて……ライトニングブラスト!」
必殺技でトドメを差した剣崎。そのままボールを投げる。
「フハハ、無駄だ。カブトは私のポケモンだ」
ボールに戻そうとする伊阪。
「それはどうかな?」
「何!?」
伊阪のボールは真っ二つに割れていた。すぐ近くに立つストライク。
「ボールが破壊されれば捕獲は出来るだろう?」
始がつぶやく。手にはAと書かれたボールがある。
「カリス、貴様……!」
カブトは剣崎の投げたボールに回収されていった。
「サンギュ、始」
「借りを作りたくなかっただけだ、勘違いするな」
始は剣崎に背を向けた。

「まあいい、まだ手駒はたくさんある。ゆけ」
伊阪が何体ものアンデッドポケモンを繰り出す。
「このままじゃ分が悪い。一旦引くぞ」
剣崎と始はムクホークのふきとばしで時間を稼ぐと、研究所から退散した。



その頃橘もアンデッドポケモンと戦っていた。
(恐怖心?……いや、俺の心にそんなものがあるはずない)
「カイロス、はかいこうせん!」
カイロス必殺の一撃が繰り出される。
だが相手のアンデッドポケモン――ギャロップに避けられる。
回避行動から"とびはねる"に移行したギャロップに倒されるカイロス。
「ナニヤッテンダ! いけ、サンドパン!」
橘はカイロスを引っ込めるとサンドパンを繰り出した。
サンドパンは"どくばり"で攻撃するがあまり効いていない。
ギャロップは助走をつけて駆け出してきた。"フレアドライブ"だ。
「ころがれ!」
橘の命令でサンドパンは丸くなると転がった。
サンドパンとギャロップが激しくぶつかり合う。
結果は痛み分けだった。
サンドパンは戦闘不能、ギャロップは逃走した。
「何故勝てない? 勝てる気がしない? これも恐怖心なのか?」
橘はその場に倒れた。
最終更新:2007年01月14日 17:18