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110 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 13:36:09 ID:???

剣崎、そして睦月は小夜子の家に戻っていた。
「遅いですね、橘さん」
睦月が心配そうに呟く。
そんな睦月を気にもとめず、剣崎はただ深刻な顔をしていた。
「どうしました、剣崎さん? 顔色悪いですよ?」
「あ、いや。ちょっとな。悪い、俺もう寝るわ」
歯切れ悪く話すと剣崎は隣の部屋に移った。


橘は広瀬に連れていかれた。
「ここは私の研究所のようなものだ、見たまえ」
モニターに始の姿が映る。
過去に撮影したものの様だ。
「彼、相川 始は人間ではない」
広瀬の言葉に動揺を隠せない橘。
「な、どういうことです」
広瀬は手元の機材を操作しながら話を続ける。
「相川 始はアンデッドポケモン。それも特別な存在、ジョーカーなのだよ」
ジョーカー、トランプでは所謂"ババ"――余りもの、特殊なもの――とされる。
アンデッドポケモンはトランプと深く関わりがあるとされている。
それならば始――アンデッドジョーカー――は一体何者なのか。
「ジョーカーはポケモンの始祖ではない。彼が勝った時、全てが滅ぶ」
広瀬がモニターの画面を切り替える。そこにはジョーカーとなった始の姿があった。
「人間も、ポケモンも全てだ。そしてジョーカーは目覚めてしまった」
広瀬の話を聞いていた橘は、一つの答えを導き出した。
「俺は……相川、いやジョーカーを捕獲します」
「話が早くて助かる。私一人では自信が無くてね。君の力が必要だ」



111 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 13:44:27 ID:???

「始は……やっぱりアンデッドポケモンなのか」
わかりきった事を布団の中で呟く剣崎。
「でも、俺はアイツを信じるって決めた」
布団を一旦引き寄せ、頭まですっぽり覆う。
そして色々考えを膨らませ、結論を出した。
「……よし。俺は最後まであきらめない!」
布団を撥ね退け、思わずガッツポーズを取る剣崎。
そこに睦月が現れた。
「あれ、剣崎さん寝たんじゃ……?」
「あ、ちょっとな。おやすみ!」
今度の剣崎は明るくにこやかに返事をした。


翌日。
アンデッドサーチャーの音で睦月は目を覚ました。
剣崎を起こそうとしたが、一向に起きやしない。
仕方なく書置きを書き、一人で向かった。

「ここか……」
反応があった場所に着くと、何もいない。
誤作動したのだろうか、そう思い帰ろうとした時何かが襲い掛かった。
「うわぁ!」
鋭い爪。たてがみがたなびく。そして異形の姿。
上級アンデッドポケモンである事は明白だった。
「ほう、少しは腕があるようだな」
女性の声。上級アンデッドから発せられている。
「お前、何者だ!」
「私はアンデッドレントラー。今日はこれだけにしとこうか」
アンデッドが飛び去った。

「あいつ、何しに来たんだ?」
独り言を言いながら帰路に着く睦月だった。



112 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 13:45:52 ID:???

始は彷徨っていた。
かろうじて人間の姿に戻る事はできた。
しかしまたいつジョーカーに戻るかわからない。
アンデッドポケモンとしての本能が、再び騒ぎ出す。
そうなったら自分で止められるのだろうか?
ただ苦悩し続ける始。
そこに見慣れぬ影が近づいてきた。
「ジョーカー、ハッケン。ショウキョスル」
腕から光線を放つ影。広瀬の刺客、トライアルDだった。
始は対抗する為、ベルトのボールを探る。
カテゴリー2以外のボールは少年に奪われていた。
始はカテゴリー2を使う事を躊躇った。
「コイツを使ったら……俺はまたあの姿に……」
迷っているその間にも攻撃は行われる。

「……やるしかないのか」
始は意を決してジョーカーへと姿を変えた。
ジョーカーとなった始には小手先の攻撃は通用しない。
連続攻撃を受け、吹き飛ぶトライアルD。
やがて爪や牙での猛攻でトライアルは動きを止めた。
勝利を確信したのだろう、ジョーカーは再び姿を消した。
その姿は少し始に戻りつつあった。

その背後で、トライアルが不気味に立ち上がっていたのを知る者はいなかった。



113 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 13:48:02 ID:???

剣崎はジョーカーの反応を察知し、捜索を始めていた。
「この辺で反応があったはずなんだけど……」
アンデッドサーチャーを再び取り出す。
すると二つの点が点滅し始めた。
「ジョーカー、探してるのかな?」
この前の少年だ。隣にはミノマダムもいる。
「お前、始の居場所を知ってるのか!?」
「お前じゃなくてキングだよ」
少年がはぐらかす様に微笑む。
「キング? カテゴリーキングってことか!」
「一番強いって事さ!」
ミノマダムが剣崎に襲い掛かる。
剣崎はリザードで反撃に出る。

「かえんほうしゃ!」
リザードの炎がミノマダムを襲う。
だがその攻撃は完全に回避されていた。
続けて敵の"ミラーショット"が決まる。
「なっ、時間操作か」
時間を自由に操ることができるミノマダム。
今まで戦った敵の中でもかなりの強敵に入る部類だ。
攻撃がことごとく避けられ、ダメージを与えられない。
「どうすればいい?」
攻撃が決まらない事に焦る剣崎。リザードの体力も限界が近づいてきている。
「コイツに勝てないようじゃ僕と戦うのは早いね」
キングが場から立ち去る。ミノマダムは残ったままだ。
ミノマダムの時間停止攻撃でボコボコにされるリザード。
その時、キングと入れ替わりに一人の人物が現れた。



114 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 13:50:10 ID:???

始だ。ジョーカーの力は何とか抑えているらしい、人の姿を保っている。
「始! お前大丈夫なのか!?」
戦いを忘れて始に駆け寄る剣崎。
「ああ……。剣崎、そいつの、時間停止には弱点がある」
始が剣崎に何かを手渡す。
「奴のミノだ。これを持つ者には……時間停止が効かないはずだ」
記憶を反芻してみる。キングも確かにミノらしきものを持っていた。

「よし、サンキュー始!」
剣崎はゴミのミノをオニドリルに持たせるとアブゾーバーを起動した。
「アブゾーブクイーン」
「フュージョンジャック」
剣崎全てのポケモンに翼の力、そして時間停止を破る力が加えられた。
「リザードン、ほのおのキバ!」
灼熱の牙がミノマダムを貫く。
相手は必死に時間を止めようとしているが、もはや剣崎達には意味をなさない。
「ライトニングソニックでトドメだ!」
ジャックフォームによるジャンプ力、突撃力が強化された必殺蹴り。
ミノマダムを気絶させるには十分すぎる威力だった。
剣崎はカテゴリー10のプロバーブランクで捕獲した。


「始、本当に大丈夫なのか?」
「……保証はできん」
言葉を詰まらせる剣崎。
そして静寂を破る黒い影。
「……ジョーカー、お前を封印する」
橘 朔也。彼のその目は本気だった。
最終更新:2007年06月14日 19:25