98 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:19:24 ID:???
「そうか……嶋さんが……」
追いついた橘に睦月は全てを話した。
「俺、これからも戦っていこうと思います」
睦月は強く決意したようだった。
「とりあえず、戻るか」
三人で小夜子の家まで戻る事となった。
会話が無く、少し重い空気が流れる。
「……アンデッドポケモンを整理してみないか?」
橘の提案で3人はポケモンを並べだした。
まずは剣崎から。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……」
9個のモンスターボールが置かれる。
次は橘が。
「……9体だ」
「俺は8体ですね」
睦月も並べて置く。
「相川さんのポケモンも含めるんですよね。
えっと、確かストライクに……」
睦月の振りに剣崎が続く。
「サメハダー、メガヤンマ、ヤドラン、ムクバード。
あと、モジャンボにモルフォン、バクーダとドラピオンで9体だな」
99 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:20:15 ID:???
今度は橘が上級ポケモンの数を数え始める。
「上級の方は……俺が2匹、剣崎が4匹、睦月が1匹か」
上級の言葉を聞いて剣崎がモンスターボールを取り出す。
「睦月、これ。クラブのカテゴリーJだったよな」
アンデッドドンファン。剣崎が勢いで捕獲してしまったものだ。
「あ、ありがとうございます」
剣崎が睦月に手渡す。
「結局、現在捕獲が確認されているのは42種か」
残り10種。剣崎は始のことを思い出していた。
アンデッドポケモンであるのなら彼も捕獲しなければならない。
始は自分の存在に苦悩していた。
アンデッドポケモンとしての宿命と
人間として生きていくこと。
どちらを選択すべきか。
「ばかばかしい。俺はアンデッドポケモンだ」
自分自身に言い聞かせていると、一人の少年が現れた。
「やぁ、はじめまして。いや、久しぶり、かな」
少年は笑みを浮かべ、始に近寄ってくる。
「誰だ……お前」
始がストライクのボールに手を掛ける。
「ストップ!」
少年が掛け声をかけると、ドコからともなくミノマダムが現れた。
吹き付けていた風が止む。騒がしい町の音が止まる。
時が止まったのだ。
100 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:21:20 ID:???
「さぁて、どうしようかな……?」
周りをぐるぐる回って見る少年。
ふと、何か思いついたようだ。
始のベルトについたモンスターボールを1個取り上げた。
カテゴリーA――ストライク――だ。
「動かせ!」
再び少年がミノマダムに命じる。
止まっていた時が流れ出す。
「これ、貰っていくよ」
意識が戻った始にカテゴリーAをちらつかせる少年。
「そんなに怖い顔しないでよ。近くの廃工場で待ってるよ」
それだけ話すと、少年とミノマダムは一瞬にして消えた。
剣崎のポケナビに連絡が入る。
「はい、剣崎。始か、どうした」
始の話を聞く剣崎。
「……わかった、今すぐ行く」
剣崎はすぐさま外へ飛び出した。
あまりの速さに橘たちが声をかける暇も無かった。
「なんだったんだ?」
橘が剣崎の行動に不思議に思っていると、
「橘さん、アンデッドサーチャーに反応が!」
睦月が反応をキャッチした。
「俺達も行くぞ!」
101 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:37:02 ID:???
橘、睦月は反応のあった地点を目指していた。
突然、橘を狙って光弾が放たれた。
「くっ、何だ!?」
飛んできた方向を見ると異形の者が立っていた。
「上級……アンデッド? 睦月、お前は先に行け」
嫌な予感を感じた橘は睦月を先行させた。
「お前の相手は俺がしよう」
カイロスを繰り出す橘。
「はかいこうせん!」
強力なビームが正体不明のモノを吹き飛ばす。
「やったか?」
爆煙が消え去った時、そこには無傷のそいつがいた。
「効いていない……? ならば!」
ラウズアブゾーバーを掲げる橘。
「アブゾーブクイーン」
「フュージョンジャック」
ポケモンに2匹の上級の力が与えられる。
「ドードリオ、ドリルくちばし!」
空に舞い上がったドードリオ、その三本の頭から必殺の突きが繰り出される。
連続して放たれる攻撃に敵も思わず怯んだようだった。
「今だ、バーニングショット!」
三匹のポケモンの一斉射撃。周囲の大地が大きくえぐれる。
しかし、その一撃を受けても相手は地に伏さなかった。
さらに反撃の攻撃が3匹をまとめて気絶させた。
「コイツ……強い」
102 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:40:46 ID:???
橘は長期戦を覚悟した。
むしろ、それで済めば御の字だと思った。
敗北するかもしれない。橘の脳裏をよぎる。
「どうかな、橘君。トライアルDの性能は?」
突然、柱の影から声が響く。
橘の記憶にうっすらと残っている声。
声の主がゆっくりと姿を現した。
「あんたは……」
黒いスーツを着た中年男性。
「広瀬、さん? 確かあなたは……」
烏丸の下で働いていた元BOARD研究員。広瀬 義人だった。
「橘君、来なさい。全てを話してあげよう」
広瀬義人はアンデッドポケモンを解放した男。
そしてその時に死んでいるはず。
何が真実で何が虚構なのか。
橘は確かめたくなった。
彼は言われるまま、広瀬に着いていった。
103 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:42:44 ID:???
睦月はアンデッドの元に辿り着いた。
「橘さんが来るまでにケリを着ける!」
相手はドククラゲ。スリープを繰り出した。
「ねんりき!」
まずは軽いジャブ。
ドククラゲもそれぐらいではやられず、バブルこうせんで反撃してくる。
「サイコキネシス! 跳ね返せ!」
念の力を引き上げる。水泡はドククラゲの元へ帰っていく。
ダメージはほとんど無い。だが相手の動きを封じる事はできる。
「しねんのずつき!」
接近技に切り替え、攻撃する。
だがダメージが全く感じられない。
「バリヤーに……とける」
"バリヤー"と"とける"――どちらも物理耐久を大きく上昇させる――の2段重ねで攻撃が無力化されたのだ。
ドククラゲは触手でスリープを捕えると、"ハイドロポンプ"を放射した。
「戻れスリープ。それなら、こいつでどうだ!」
リングマ、そしてアーボックが繰り出される。
「ブリザードクラッシュ!」
強烈な凍気が液化していたドククラゲの身体を氷漬けにした。
さらにアーボックの牙がバリヤーを食い破った。
完全に倒れるドククラゲ。
睦月はプロバーブランクでドククラゲを捕獲した。
「やった! ……ん?」
どこからか感じられる視線。
しかし、睦月が振り返るとそれは消えた。
「何だ、今の……?」
104 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:57:07 ID:???
剣崎は始の連絡を受け、廃工場にきた。
「始、またカテゴリーAを取られたって」
「奴は時間を止める能力か何かを持っている。気をつけて行動しろ」
始の用件はカテゴリーAを取り返すために手伝えというモノだった。
工場内は暗く、周囲の様子はよくわからない。
「ホントに来たんだ、ジョーカー」
一人の少年が近くの階段を降りてきた。
「ジョーカー?」
聞き慣れない言葉に剣崎が首をかしげる。
「あれ、お友達つき? お友達はコイツと遊んでいてもらおうか」
ミノマダムが剣崎に襲い掛かる。
「くそ、リザード!」
リザードがミノマダムを火炎で退ける。
敵はゴミのミノ、炎タイプの技は効果抜群もいいところだ。
「ジョーカー、キミをここに呼んだのはね、特に意味はない」
いきなり意味不明のことを言う少年。
「面白いと思っただけなんだ。僕を愉しませてよ」
少年はストライクを繰り出した。
「ホラホラ、変身しないとやられちゃうよ?」
かつての主人に刃を向けるストライク。
一方の始はポケモンを繰り出す事が出来ずにいた。
「ストライク、つばめがえしっ♪」
必中攻撃。始の腕に傷を負わす。
「もう一発!」
連続して"つばめがえし"が炸裂する。
猛攻を受けた始はついに決意した。
もう一度あの姿に戻るしかない。
アイツを捕獲してから一度もなった事の無かったあの姿に。
105 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/03/30(金) 06:58:11 ID:???
始は、野獣のような雄叫びをあげた。
身体が少しずつ変化していく。黒く、禍々しいものに。
腕は鋭利な刃が何本も飛び出し、口は牙が剥き出しになる。
まさしくアンデッドポケモンそのものだった。
「グゥゥゥゥァ!」
ストライクに襲い掛かる始。いや、始だったもの。
一撃でストライクを屠ると、少年を次の標的に定めた。
「ストップ!」
少年がミノマダムに指示を出す。
ミノマダムは剣崎を弾き飛ばすと時間を止めた。
飛び掛った状態で固まる始。
「あっはっは。ホントになったよ、ジョーカー」
少年は静止した時の中で、ジョーカーのベルトからモンスターボールを奪った。
「これで、どうなるかな?」
次に時間が動き出した時、少年とミノマダムの姿は無かった。
「始、お前やっぱり……」
アンデッドとなった始の姿を見た剣崎は唖然としていた。
始は何も言わない。何も言わずに襲い掛かった。
「何するんだ、始!」
剣崎はカブトで攻撃を防ぐ。
ジョーカーは飛び退るとそのまま姿を眩ました。
「……始、まさかアンデッドの野性が目覚めてしまったのか……?」
廃工場には剣崎だけが取り残された。
最終更新:2007年06月14日 19:25