129 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:19:26 ID:???

「な、ま、抹殺!?」
睦月が素っ頓狂な声を上げる。
剣崎も驚きを隠せずにいた。
「何故お前が殺されなければならないかは俺にもわからない。
 だが、これは広瀬さんの指示だ」
橘は冷たく言い放つとトライアルに命令をした。
命令を受けたトライアルは剣崎に襲い掛かる。
剣崎はケンタロスを至近距離から繰り出し、トライアルを弾き飛ばす。
すかさずペルシアンを繰り出すと更に距離を離しにかかった。
「剣崎さん!」
「来るな、睦月!」
追いかけようとする睦月を制止する剣崎。
「アイツの狙いは俺だ。お前まで巻き込むつもりはない!」
トライアルはゆっくりと起き上がると剣崎の追跡を再開した。

「……剣崎さん」
立ちつくす睦月に橘が歩み寄った。
「俺に協力しないか。ジョーカーを捕獲する」
「ジョーカー?」
「相川 始。その正体は破滅を呼ぶアンデッドポケモンだ」
突然告げられた思わぬ言葉。
睦月の頭は既に混乱していた。
「……俺、今何も信じられそうにない、貴方の言う事も」
そう言うと橘から離れ、一人で歩き出した。



130 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:20:15 ID:???

何をすればよいのかわからなかった。
誰が味方で誰が敵なのかすらわからない。
「俺、どうすればいいんだよ……」
睦月の口から独りでに言葉がこぼれる。

ふと誰かの気配を感じ振り返る。
そこには一人の女性が立っていた。
「貴方は……」
どちら様ですか?
そう口にしようとした瞬間、女性の姿が変化していった。
見覚えのある姿。
以前睦月を襲ったアンデッドレントラーだった。
「お前の今までの戦いは見せてもらった。私と戦ってもらおうか」
電撃を睦月の足元に落とす。
挑発のつもりなのだろう、わざと外したようだった。
「……いけ、スピアー!」
仕方なく睦月も応戦する。

「ダブルニードル!」
スピアーの"ダブルニードル"がレントラーを襲う。
レントラーはそれを"ほうでん"で弾き飛ばした。
続けざまに電撃を纏わせたツメがスピアーを追撃する。
スピアーは連撃を受け、力なく墜落していった。
「くそっ、サイドン!」
スピアーを戻すと新たにサイドンを繰り出す睦月。
「つのドリル!」
一か八かの大技。決まれば一撃で沈ませられる。
しかし、その大技は当然のように外れた。
更に技の隙を突いてアンデッドレントラーのハイキックが決まる。
潰れるサイドン。



131 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:24:03 ID:???

「……てごたえが無いな。はっきり言って弱い」
レントラーが睦月に言い放つ。
睦月は何も言い返さずに立ち尽くしている。
「その弱さの原因、当ててやろうか。……迷いだ」
その言葉に一瞬顔を上げる睦月。
「迷いは判断を鈍らせるだけでなく、己を弱くする。
 武人の誇りを持っているのなら迷いなど捨てるのだな」
レントラーは人間体に戻ると一言付け加えた。

「己が信じるもの、それが正義だ」
「……信じるもの」
睦月が周りを見回した時には既にレントラーの姿は無かった。


橘は広瀬の元に戻っていた。
「広瀬さん、やはり剣崎を……」
抹殺するというのはどうなのだ。
そうと言おうとして口ごもる。
「君は私に従ってくれればいい」
強い口調で橘に言い聞かせる広瀬。
「しかし……」
「聞こえなかったのかな」
それ以上橘は何も言わなかった。



132 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:27:00 ID:???

一人の男が町をぶらついていてた。
男に名前は無い。
記憶喪失だとかそういう類のものでもない。
アンデッドストライク。あえて呼ぶならそれが男の名だった。
「やぁ」
男に軽薄そうな少年が話しかけた。
キング。彼はそう名乗っていた。
「スペードスートのカテゴリーキングか。なんの様だ」
「キングでいいよ。コレさ、あげるよ」
ジョーカーから奪ったポケモンたちを押し付けるキング。
「ハートスートでしょ、アンタ。もっときなよ」
ジョーカーで遊ぶのにもう飽きたのだろう。
「こんなものあってもなくても同じだ。
 それより、ミュウ……カテゴリー2はドコだ?」
一応ボールを受け取るとキングに問いかける男。
「うーん、アイツはジョーカーが捕獲したみたいだよ?」
興味ない、そんな感じで受け答えするキング。
「! ……そうか」
男が立ち去る。
「ちょっと、もうおしまい? あー退屈」
キングもどこかへ消えていった。



133 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:27:57 ID:???

剣崎は人気の無い森に辿り着いた。
睦月や関係の無い人まで巻き込みたくない。
その気持ちが剣崎を動かした。
「……ん、人?」
ふと木々の奥に目をやると、少年の姿が映った。
「君、どうしてこんな所に?」
「特訓してるの。仮面ライダーみたいになるんだ!」

仮面ライダー。剣崎には聴きなれない単語だった。
「んー、何それ?」
少年は剣崎が知らない事に意外そうな顔をした。
「知らないの? TVでやってる正義の味方だよ!」
「正義の味方……」
「うん。ライダーはね、凄く強いんだ。あ、悪いやつも手ごわいんだよ」
剣崎に力説する少年。
剣崎も真剣に聞き始めた。
「でもライダーには仲間がいるんだ。仲間同士で助け合って、悪いやつをやっつけるんだ!」
「仲間……か」
「そうだ、お兄ちゃん僕がライダーになったら仲間になってよ」
あどけない笑顔。
剣崎も釣られて笑顔になる。
「いいぜ、お兄ちゃんも正義のヒーローだ!」
少年との会話の中で何かを見つけた。
剣崎はそう思えた。



134 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:30:35 ID:???

「あれぇ、誰かと思えば」
突然、キングが現れ近づいてきた。
剣崎は少年を安全な場所に逃がす。
「キング、お前を捕獲する!」
指を差して宣言する。
キングは多少面食らったようだがすぐに笑い出す。
「は、無理無理。今度は生きて帰れるかもわかんないよ?」
剣崎はヘラクロスを繰り出し、戦闘態勢をとる。
「本気か、じゃ仕方ないね」
キングの姿がアンデッドポケモンの姿に変わる。
「やってやろうじゃん、雑魚ちゃんズ」
「……雑魚じゃない」
剣崎から闘志がにじみ出る。
カテゴリーA。ブレイドも同様だった。

「俺は、正義のために戦う!
 そして共に戦う仲間がいる!」
ブレイドを見ながら剣崎が叫んだ。


「俺と、コイツで、仮面ライダーブレイドだ!」



135 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:36:14 ID:???

「かめんらいだぁ?」
キングがやれやれ、とポーズを取る。
「いくぜ、ブレイド!」
ブレイドが突撃する。
キングは盾を取り出し攻撃を弾く。
「まだだ、みだれづき!」
連撃が盾の反応速度を僅かに上回った。
キングがバランスを崩す。
「調子に乗るな!」
黄金剣がヘラクロスに振りかざされる。
「いけ、カブト!」
ボールに手をかける剣崎。
「邪魔だ!」
キングが衝撃波を飛ばして剣崎を牽制する。
腰のボールも飛び散る。
その間にヘラクロスに一撃が浴びせられた。

「ふん、僕にかなうはずが無いんだよ」
キングがトドメを刺そうと近づいていく。
黄金の剣が強く煌いた。



136 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:38:58 ID:???

「……まだだ! ブレイド!」
ブレイドが再び突撃する。
狙いはキングではなかった。
キングの剣。オールオーバー。
そして"つばめがえし"の一撃はそれをキングの手から弾くのには十分だった。
「な!?」
オールオーバーが剣崎の手に移る。
「これが仲間の力だ!」
オールオーバーで何度も斬りつける剣崎。
キングは盾を取り出し防戦に徹するしかない。
盾にヒビが入る。
最強の矛と最強の盾。
競り勝ったのは矛だった。
崩れ落ちるキングの盾。

その瞬間を待っていたブレイドが最後の一撃を浴びせた。
"メガホーン"はキングの急所を貫き活動をとめた。


「う、そ、だ、ろ? 僕が? 負けた?」
キングの表情から笑みが消える。
「俺達の勝ちだ」
剣崎はKと刻まれたボールを取り出し、キングにあてた。
「……気をつけなよ。僕に支配されないようにね」
最後に意味深な言葉を残し、キングはボールに吸い込まれた。




137 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/01(火) 03:44:34 ID:???

そして迫り来る影。
トライアルD。
それが剣崎の目にもはっきりと映った。
「ヤツか……」
剣崎は意を決した。
ラウズアブゾーバーが展開される。
一つ目のコマンド。
「アブゾーブクイーン」
アブゾーバーの音声が鳴り響いた。
二つ目。
いつもと違うボールを剣崎は取り出した。

「エヴォリューションキング」

神々しさを感じさせる機械音が響き渡る。
金の光が周囲を包み込む。
光の中には、どこか違う剣崎がいた。

手には運命の切札。キングラウザーが握られていた。


同時刻。
研究室で広瀬が呟いた。
「これは……キングフォーム?
 いや、違う。通常のものではない」


仮面ライダーブレイド キングフォーム。
その力が今解き放たれようとしていた。

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最終更新:2007年06月14日 19:28