145 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/14(月) 02:16:49 ID:???
トライアルDは本能的に感じ取っていた。
目の前の男が危険な存在だと。
しかし彼は広瀬の作りし物、それ故恐怖を感じなかった。
それが幸か不幸かはわからない。
剣崎の抹殺。
Dの脳裏に浮かび上がってくる使命。
トライアルDは剣崎に飛び掛った。
その直後、ソレは宙を舞い大きく吹き飛んだ。
木々をなぎ払いながら突き進むトライアル。
森を抜け、ビルの壁にめり込んだ。
剣崎が殴った。
たったそれだけのことでトライアルは長い距離を飛んだのだ。
そしてその剣崎は既にトライアルの目の前にいた。
通常の人間ではありえない速度で動いたのだ。
立ち上がったトライアルは剣崎に一撃を浴びせた。
直撃ではなかったが人にとっては十分なダメージになるはずだった。
効いていない。
トライアルはもう一撃、出力を最大にして光弾を放った。
電撃がそれを完全に防ぎきった。
それどころか電撃はトライアルに直撃した。
近くにオドシシの姿などない。
電撃は剣崎が放った、そうとしか考えられなかった。
146 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/14(月) 02:17:42 ID:???
剣崎がキングラウザーを掲げる。
5つの黄金のモンスターボールが飛来し、剣崎の手に納まる。
「スペード10」
ラウザーは読み上げる。
「スペードJ」
アンデッドポケモンを。
「スペードQ」
それぞれのスートを。
「スペードK」
そしてカテゴリーを。
「スペードA」
キングラウザーが輝く。
「ロイヤルストレートフラッシュ」
必殺の一撃。
それはアンデッドポケモンの力であり、剣崎自身の力でもあった。
光を纏った王の剣がトライアルを一閃した。
トライアルDは光の粒子に包まれ、爆散した。
147 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/14(月) 02:18:45 ID:???
「やはり……剣崎一真は危険すぎる」
広瀬が独り言のように呟いた。
「あれが、剣崎を抹殺する理由ですか?」
研究室にいた橘が話しかける。
「ああ、あれはジョーカーと同様の力。あってはいけない」
広瀬は橘の方には顔を向けず、キーボードをいじっていた。
「使い続ければ彼もアンデッドポケモンになるかもしれない」
橘はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「でも、剣崎にそれを伝えればいいだけだ」
外に飛び出す橘。
「さて、次はどうなるかな……」
キーボードのエンターキーを押す音が静かに響いた。
148 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/14(月) 02:21:06 ID:???
剣崎はキングフォームを解除するとその場に倒れこんだ。
疲労が押し寄せたのである。
「っ、これは結構きついな……」
意識を失いかける。
剣崎は顔をはたいて意識を保とうとした。
剣崎がへたり込んでいると橘が現れた。
「剣崎、お前に話がある」
橘の姿を見て、思わず剣崎は身構えた。
「なんですか、始は渡しませんよ」
「今はそんなことはどうでもいい、お前のその力のことだ」
アブゾーバーを指差す橘。
剣崎は起き上がりながらアブゾーバーを見つめた。
「……キングフォーム」
剣崎自身、何が起きたかわからなかった。
パンチ一発でトライアルDをふっ飛ばし、放電までする。
自分にアンデッドポケモンの能力が備わったように思えない。
その感触はまるで自分がアンデッドポケモンになったかのようだった。
「その力は封印しろ。使えば使うほどお前の体は……」
突然橘の話を遮り何かが現れた。
ソレは二人に既視感を感じさせる姿だった。
そして巻き起こる爆炎。
後ろに吹っ飛ぶ二人。
149 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/14(月) 02:22:51 ID:???
「ケンザキ カズマ。オ前ヲ消去スル」
トライアル。
広瀬が差し向けたのだろう。
同時に橘のポケナビにコールがかかる。
「どうだね、橘君。新作のトライアルEは」
「広瀬さん、剣崎は俺が説得します! だからトライアルは回収してください」
「そのトライアルには君のポケモンのデータを使っているんだ」
「聞いているんですか、広瀬さん!」
「剣崎君を庇うのなら君にも容赦しないだろうねぇ」
通話が途切れる。
それに合わせてトライアルEが攻撃を始めた。
「剣崎、お前は逃げろ」
「でも、橘さん」
「立っているのがやっとなんだろう。早くしろ」
橘に急かされ剣崎はペルシアンを繰り出した。
「大丈夫ですよね、橘さん……」
橘はニコリと微笑んだ。
151 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/16(水) 23:05:23 ID:???
26話橘編。
トライアルEは標的を橘に定めた。
「俺のコピーか……おもしろい」
サンドパンを繰り出す橘。
「どくばり!」
背中の針山から無数の"どくばり"が放たれる。
トライアルは素早く回避すると左腕から火炎弾を放った。
サンドパンも丸くなって攻撃を受け止める。
「今のはバルビートの能力……。きりさくだ!」
サンドパンは素早く格闘戦に持ち込んだ。
鋭いツメがトライアルの腹を目掛け突き出される。
ダメージを受けたのはサンドパンの方だった。
トライアルの腹部は岩の様に硬くなっていた。
ツメが砕け、怯んだサンドパンにトライアルの拳がヒットする。
直撃する前に橘はサンドパンを回収した。
「コータス、そしてニョロトノの能力……」
ギャロップを新たに繰り出す橘。
「かげぶんしん、更にでんこうせっか!」
いくつもの残像が戦場に現れる。
しかしトライアルは迷うことなく本体を攻撃した。
「まだだ、バルビート、ホエルオー!」
バーニングディバイドへと攻撃をつなげる。
トライアルEに強烈な一撃が与えられる。
152 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/16(水) 23:06:06 ID:???
煙が晴れたとき、そこにはトライアルの姿は無かった。
「……。……! 分身か!」
気付いた時にはもう遅かった。
上に逃げたトライアルの踵落としがバルビートに命中した。
続けざまに突進攻撃がホエルオーに直撃する。
クロバット、ギャロップ、ホエルオー、ドードリオ、サンドパン。
カイロスを除く橘のポケモンの能力を所持している。
広瀬の言っていたことは本当だったらしい。
「くっ、行け、コータス!」
新たにコータスを繰り出す橘。
「ふんえん!」
黒煙が周囲を舞う。
コータス、そして橘の姿を覆い隠した。
だがその目晦ましはトライアルには通用しない。
火炎弾が容赦なく打ち出される。
「ドードリオ!ドリルくちばし!」
コータスを囮にした一撃。
しかしその作戦も見破られ、ドードリオは弾き飛ばされた。
「クロバット、ニョロトノ!」
もはや人海戦術になっていた。
"バブルこうせん"、"かえんほうしゃ"、"クロスポイズン"。
連続して攻撃が命中するが決定打を与えられない。
橘のポケモン達へのダメージの方が明らかに多い。
153 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/16(水) 23:07:30 ID:???
「やはり俺じゃダメか……」
思わず諦めの言葉を口にした橘。
トライアルDとの戦闘時も勝算は無かった。
剣崎のようにキングフォームもなければ、
始のようにアンデッドポケモンでもない。
睦月みたいにカテゴリーKを捕獲した事も無い。
ただの人なのだ。
橘は自分がここまでやってこれたのは奇跡、そう思えてきた。
桐生の代わりにアンデッドポケモンのトレーナーになった。
ポケモンへの恐怖心で身体に影響を及ぼしたこともあった。
戦う力を持っていながら大切な人を二人も失った。
睦月の更生にも役立てたかどうかわからない。
それだけの男だった。
だが、それだけの人間がここまでやってきたのだ。
だったら、今更この程度の苦境、なんともない。
最強の凡人、橘 朔也の闘志に火がついた。
「ポケモン達の体力は残り僅か……チャンスは一回!」
全てを賭けた総攻撃が始まった。
154 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/16(水) 23:08:41 ID:???
橘はトライアルに極限まで接近し、モンスターボールを開いた。
「ドードリオ、みだれづき!」
"みだれづき"が連続でヒットする。
トライアルが反撃に移ろうとする前に次の一手が打たれる。
「きあいパンチ!」
ニョロトノが必殺拳を叩き込む。
ドードリオが稼いだ時間のおかげで破壊力は充分だった。
ガードこそされたがトライアルの体勢は崩れた。
「オーバーヒート!」
スタンバイしていたコータスの熱線がトライアルを直撃する。
トライアルの装甲をいくらか削ったようだった。
反撃の火炎弾が何発か放たれる。
だがそれを遮る一撃。
クロバットのブレイブバード。
トライアルの足を鋭い斬撃が襲った。
「まだだ、はかいこうせん!」
カイロスが必殺の一撃を放つ。
トライアルの動きを確実に削いでいく。
「フレアドライブ!」
動きを止めたトライアルにギャロップが突撃する。
不意を付かれたトライアルは宙に舞った。
「トドメだ、バーニングスマッシュ!」
ホエルオーとバルビートの合体攻撃。
強烈な炎を纏いホエルオーがトライアル目掛け降り注ぐ。
だがその一撃は力を振り絞ったトライアルに回避されてしまった。
155 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/16(水) 23:11:15 ID:???
「……引っ掛かったな! サンドパン、ジャイロボール!!」
「フュージョンジャック」
まさに隠し球。
トライアルEにジャックフォーム、そして橘の全ての力を込めた一撃が繰り出される。
壮大な爆音。
トライアルの敗北を物語っていた。
そして同時に橘の勝利を祝うものでもあった。
「ふぅ……」
橘の表情はどこか誇らしげであった。
163 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/29(火) 19:20:46 ID:???
26話始編。
相川 始は眠りに落ちていた。
ジョーカーの本能を封じるために、自ら意識を失わせていた。
その始の眠りを妨げる者がいた。
天音の家に何者かが近づく。敵意をむき出しにした誰かが。
始はゆっくりと体を起こした。
玄関の扉が開かれる。
「誰だ、お前」
始の目に映ったのは背の高い男。
「おまえが、ジョーカーか?」
「……そうだとしたら?」
外に出、扉を閉める始。
「お前を倒す。そして俺が最強である事を証明する」
男は姿を変化させていった。
アンデッドストライク、ハートのカテゴリーキング。
ストライクは右腕の鎌で始に襲い掛かる。
一撃。もう一撃。
寸での所で始は攻撃を回避する。
「どうしたジョーカー、今更善人ぶる気か?」
ストライクの猛攻が続く。
164 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/29(火) 19:22:02 ID:???
「過去のバトルファイトでは相当暴れたじゃないか、ああ?
人の姿を手に入れて腑抜けになったか!」
鎌が始の右腕をかする。
滴る緑色の血。アンデッドポケモンの証だ。
「ミュウ使ってまで人間になりたかったのか、ジョーカーさん。
随分な平和ボケだな!」
今度は左腕に鎌がかすった。
「がっかりだよ。
前回の優勝者、アンデッドミュウを倒したと聞いたから。
楽しませくれる、そう思っていたのにな。
遊びは終わりだ、さようなら」
始は本能的にカテゴリーJを取り出した。
眩い光が放たれ、始の姿が変化する。
アンデッドグラエナ。ハートのカテゴリーJの姿だった。
「……やるしかないようだな」
「ほぅ、やっとやる気になったか。
本来の姿を使わない辺り、まだ本気じゃなさそうだが」
ストライクとグラエナがぶつかり合う。
鎌を爪で防ぐグラエナ。
続けざまに回し蹴りを浴びせる。
ストライクは距離を取ると衝撃波で反撃する。
3発放たれたソレは全てグラエナに迎撃され、消滅した。
165 名前:0w0 ◆BLADEdavxU [sage] 投稿日:2007/05/29(火) 19:23:53 ID:???
ストライクは再び鎌を使いグラエナに襲い掛かった。
迎え撃つグラエナ。
敵の一撃を受け止めると思い切り投げ飛ばす。
「本当に強いのは、強いのは! 人の思いだ!」
始の必殺の蹴りがストライクを直撃する。
ストライクの腰についていたモンスターボールがいくつか吹き飛んだ。
「つぅ、まさかこうなるとはな……」
アンデッドストライクは退散した。
始は散らばったモンスターボールを回収すると家に戻った。
その中にはカテゴリーAの姿もあった。
最終更新:2007年06月14日 19:31