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広瀬の研究室では広瀬が一人残っていた。
「トライアルEが敗れたか……。結構やるね、彼らも」
椅子から立ち上がると研究棚から怪しい薬品を取り出す。
それを大掛かりな装置に設置すると装置が起動を始めた。
「次はトライアルFだね」





睦月はアンデッド反応を追って近くの森まで来ていた。
不意に人の気配を感じて振り返る。
「誰だ?」
「……お前こそ」
見慣れない男。どこと無く常人では無い雰囲気。
そしてカテゴリーAが騒ぎ出す。
自分を戦わせろと言うかのごとく。

「ふん、お前ポケモントレーナーか。しかもアンデッドポケモンの」
男が姿を変化させる。
両手に鎌。赤と緑の鎧。
「ストライク……? カテゴリーKか!」
睦月はリングマを繰り出し戦闘態勢をとった。

「れいとうビーム!」
強烈な凍気がストライクを襲うが、ストライクは飛翔して攻撃をかわす。
そしてそのまま蹴りに持っていく。
不意を付かれリングマは大きく仰け反った。
「リングマ!」
ストライクの追撃が続く。
睦月はリングマがダウンする前にボールに回収した。




「負けるか、スピアー!」
スピアーを新たに繰り出す睦月。
"ダブルニードル"がストライクの腕を狙う。
鎌と針が激しくぶつかり合う。
昆虫ポケモン同士の激突を制したのはストライクだった。
スピアーが地に叩き落される。が、それと同時に"何か"を放った。
回避できずストライクは直撃を負った。
「! ……? なんだ?」
ダメージはほとんどない。容赦なくスピアーを追い詰める。

「戻れ、スピアー。……ドククラゲ!」
新たにドククラゲを繰り出す睦月。
「とける!」
出現と同時に防御を固める。
ストライクは間合いを取ると"ぎんいろのかぜ"で迎え撃つ。
自分も能力を高めるつもりなのだろう。
風を止め、一気に懐に潜り込むと"きりさく"を連発する。
急所に当てれば防御が高まっていても耐え切れない。実に理にかなった戦術だった。
「ドククラゲ、触手で動きを封じろ!」
"まきつく"、"からみつく"のオンパレード。
ストライクの両手を完全に封じた。

「無駄だ!」
"つばさでうつ"でドククラゲの触手を打ち払うストライク。
気合を溜めた一刀がドククラゲに振り下ろされる。
確実に急所を捉えた攻撃でドククラゲの体力は限界まで持っていかれた。
「耐えろ、ドククラゲ! あやしいひかり!」
薄気味悪い光がストライクを照らす。
神経に異常を促し、混乱状態へ追い込んでいく。




「こいつ、時間を稼ごうとしてる……?」
気付いた時にはもう遅かった。
ストライクの意志は鈍り、身体には猛毒が回っていた。
スピアーが放った技、"どくどく"によって。
混乱状態とはめられたことで精神が高揚したストライクは一人でに叫んだ。

「面白い、面白いぜ! 俺はアンデッドストライク、パラドキサ!」

ストライク――パラドキサは右腕の鎌を肥大化させ、ドククラゲを一撃で切り裂いた。
「次は、どいつだ!?」
睦月は挑発を受け流しつつオクタンを繰り出した。
「えんまく」
黒煙によりパラドキサの視界は完全に閉ざされた。
更にオクタンは遠距離から"れいとうビーム"、"バブルこうせん"などを乱射し追い詰める。
「こそこそするんじゃねぇ!」
辺りを手当たり次第"きりさく"パラドキサ。
その鎌は木の陰に潜んでいたオクタンを捉え、一撃で熨した。
睦月は考えた。
『相手が自滅するのが先か、自分の手持ちが全滅するのが先か』





突然雷鳴が響く。
蒼い稲妻がパラドキサを貫いた。

「!?」
睦月が振り返るとそこには剣崎が立っていた。

「剣崎さん!」
「遅くなったな、睦月」
剣崎はゆっくりと歩み寄り、アブゾーバーを構えた。
「睦月、相手の体力はどれくらいだ?」
「かなり減ってはいます」
剣崎は少し考え、顔を引き締めた。
「なら、コイツでケリをつける」
アブゾーバーが起動する。
「アブゾーブクイーン」
「エヴォリューションキング」
カテゴリーK。
その力を剣崎は再び解き放った。




「剣崎さん! それは!?」
「説明は後だ。お前の力を借りるぞ、睦月!」
キングラウザーを強く握るとパラドキサに斬りかかる。
吹き飛ぶパラドキサにトドメの一撃を浴びせるため、剣崎は黄金の僕――ギルドアンデッド――を呼び寄せた。
サワムラー、カブト、ケンタロス。
さらに睦月のポケモンからサイドン、リングマを付け加える。
「クラブ4」
「スペード5」
「クラブ6」
「スペード7」
「スペード8」

「ストレート」

ラウザーを地に刺し、飛び上がるキングフォーム。
そのまま蹴りの体勢に入ると次の瞬間にはパラドキサの息の根を止めていた。
騒がしいほどの破砕音が鳴り響く。



「おいおい、冗談……だろ?」
狼狽するパラドキサをよそに、剣崎はコモンブランクを投げかけた。
吸い込まれていくパラドキサ。
その足元にはいくつかのハートスートのモンスターボールが散らばっていた。
「これは……始のポケモンか」
変身を解いた剣崎と、キングフォームの戦いを傍観していた睦月が覗き込む。
「これで始が治るかもしれない」




「やっぱり、剣崎さんはすごいですね。カテゴリーKまで力に変えちゃうんだから」
「まだ使いこなせてないんだけどな。それより睦月、お前も凄いじゃないか」
話題を返され驚く睦月。
「一人でカテゴリーKを追い詰めたんだろ? それってやっぱ凄いだろ」
「いや、それほどでも……」
照れ隠しに頭を掻く睦月。
「さてと、コイツを始に届けなくちゃな」
ハートのアンデッドポケモンたち。始を救う鍵を剣崎は手にした。
最終更新:2007年09月11日 18:56