初心者向マシンの作り方・作例



STEP1:キット組み立て


最初の用意(キット、電池、工具)

  • キット
これが無ければ始まりません。キット選択の際、最低限考慮に入れておきたいのはシャーシの選択でしょう。最近は旧車の再販も少なからずありますので、間違ってタイプ1シャーシ搭載機種などを選んで後悔しないよう、現在のレースシーンで通用するシャーシの種類くらいは覚えておきましょう。詳しくはお勧めシャーシに載っています。

  • 電池
必要な電池は全てのマシン共通で単三電池2本です。
タミヤの公式レギュレーションではタミヤ製電池しか使えない事になっていますが、まず走らせたいだけという場合はどれでも問題ありません。100円ショップでもアルカリや充電式ニッケル水素が売ってたりします。
一応タミヤ公式パーツとして充電式のネオチャンプ、アルカリ電池のパワーチャンプがあることくらいは覚えておくといいでしょう。

  • ニッパー
ランナーから部品を切り取るのに使います。切れ味のいい模型用が理想ですが、100円の物でもランナーを切るだけなら十分です。

  • カッターナイフ
切り取った部品の表面を綺麗に仕上げるのに使います。あと、シールを貼る時にピンセット代わりに使えたりもします。(シール手貼りはヤメテ)

  • ドライバー
M2ネジなのでNo.1の物を購入しておきましょう。ネジ止めにはプラスがあれば十分ですが、マイナスもセットになった物を用意しておけば、後々役立つ場面も出てくるはずです。


組立

説明書とにらめっこして、丁寧に組み上げていきます。注意点は以下
  • ランナーから切り取った部品の仕上げを忘れない
特に駆動に関する場所は重要です。タイヤの切り取りが雑で走りがガタガタになってるマシンをよく目にします。

  • ビス(ネジ)止めをしっかりする
これも重要で、ローラーがしっかり固定されていないために、どうでもいいコーナーで飛んでいくマシンも少なくありません。最近の高性能なキットが簡単に飛ぶとすれば、ほぼ間違いなくここが原因です。

  • グリスアップを忘れない
ギアにだけ塗っていて、軸受けその他説明書に記載されている箇所に塗っていないマシンも多いです。まだ各箇所のグリスアップの意味を理解する段階では無いですが、必要な箇所は全て説明書に書いてますので、塗り忘れの無いように。

走りには関係無いですが、ボディの油分がシールの剥がれを招くので、それを防ぐために石鹸なり洗剤で洗います。洗ったら乾燥させていきますが、自然乾燥または軽く拭きとった後にブロアーでホコリを飛ばす等、水もホコリも無い状態にして下さい。

STEP2:素組でのグレードを上げていく


ブレークイン(マシンの慣らし運転)

最近のシャーシは初期からギアの噛み合わせが十分いいので、あまり気にならないかもしれませんが、ブレークインをしておくとよりスムーズになって速度アップに貢献します。モーターのブレークインも、ブラシの接点を削ってモーター軸により広範囲に当たるようにし、導電性を高める事で性能を向上させられます。

  • ギア、ハトメのブレークイン
プロペラシャフト受け、シャフト軸受けにはグリスを塗り、ギアには塗らずにノーマルモーターで5分程度回します。
(グリスを塗る箇所が限定されているのは、ギアは摩擦を強めて削りたい、しかし軸周りは下手に摩耗させたくない、という目的があります)
その後、すべてのギア、ハトメを水洗い&使わなくなった歯ブラシで部品の削りカスを落とします。

カウンターギアを取り外し電池をつけて、モーターを数分回します。時間はモーターの種類によっても違って来る上、走りこめば自然と慣らされていきます。最初はあまり考えなくて大丈夫です。 

  • 取付
全てのブレークインが終わったら説明書通りにグリスを塗り、取り付けます、すると買ってすぐに動かしたときより、音が静かになっているはずです。

その他

とは言え、普通に差せばまっすぐ入りますが、一応より確実な方法を。
ホイールを机に置き、ホイールの軸内側の六角形とシャフトの六角形をしっかり合わせて、シャフトを真上からハンマーで「軽く」叩いてホイールに入れていきます。差込始めを慎重にゆっくり差し込めば、簡単に六角形は合います。
もしくは硬い机の上などにシャフトを立て、ホイールをまっすぐになるように手で差し込んでも問題ありません。
怪我をしないように慎重にやってください。
最終的には、モーターを入れずに指で空転させ、ホイールがブレずにまっすぐ回っていればOKです。
ブレている場合は一旦シャフトを抜いて、六角形の嵌め合わせを60度ずらしてもう一度回してみましょう。
一番いい場所が見つかるはずです。(それでもダメならシャフトが曲がっています。その場合は諦めて別売りのシャフトを用意した方がいいです。)

  • 金具磨き
上級者がやるようなマニアックな方法は取らなくていいですが、金具はしっかり磨いて綺麗にすれば性能は上がります。市販のシルバー磨き布、ピカール、酸性の液体(マヨネーズ、酢、シルバー用の「スピーディップ」等)で、
表面全てを磨いて下さい。表面こそが電気が通る"道"です。液体でくすみを取った場合は、勿論綺麗に洗いましょう。

STEP3:グレードアップパーツ(GUP)を装着

ミニ四駆のパーツも現在は極めて多種多様な物が販売されており、何が何なのか意味不明な事と思われます。
なので、ここでは基本となるパーツとその目的も記述していきます。

最優先パーツ

電池を除けば速度アップに最も貢献するパーツはモーターです。なのでまずはモーターを交換します。
最初はノーマルより1段階上のグレード、「トルクチューン2モーター」、「アトミックチューン2モーター」のどちらかをお勧めします。
ストレートの多い高速コースであれば、「レブチューン2モーター」も選択肢に入り得ます。走らせるコースに合わせてモーターを選択してみてください。

  • 補強プレート
「FRP」や「カーボン」とある補強プレート各種は、前後バンパーを強化して、"ローラーの幅を広げる"、"バンパー強度を上げて走行中に変形しにくく、壊れにくくする"、といった効果の他に、何度も付け外しを繰り返すローラーセッティングにおいて、バンパー穴に必要以上の負担をかけないという利点もあります。
なので、「FRPマルチワイドステー」、「FRPマルチワイドリヤステー」あたりを、または「ファーストトライパーツセット」にて、一気に入手するのもお勧めです。

基本パーツ

  • ギア
各種ギアを用意しておくことで、スピードとパワーの調整が出来ます。コースによって相性のいいギアは違ってくるので、モーターやプレート程優先ではありませんが、速度向上という目的においては無視できない要素です。

わざわざ買い替えで用意するからにはベアリングローラーがお勧めです。ボールベアリングならではの回転性能で速度向上に貢献してくれます。迷ったら「ローラー用13mmボールベアリングⅡ」が頑丈かつバランスのいい性能でお勧めです。ローラーが噛む、噛まない等の専門知識を身につけたら色々試してみるくらいでいいでしょう。

AR・MAシャーシであれば低摩擦素材の軸受けがありますが、徐々に削れていくのでこちらもボールベアリングに変更しておくのが無難です。
上級者がこぞって手にする620ボールベアリングは高価かつ装着方法が特殊なので、まずは普通に売っているHG丸穴ベアリングを用意しておきましょう。
空転だけではなくマシンの重みが負荷となった時の回転も滑らかにするため、どのタイプであれボールベアリングがおすすめです。削れる心配も無いので金銭面に余裕があれば。

応用パーツ

「フロントアンダーガード」、「ブレーキスポンジセット」等の、立体コース向けの、減速なり姿勢制御なりを担当するパーツです。これを装着することによって、スロープ上りのジャンプ姿勢が綺麗になり、コースアウトを防ぎます。よほど跳ねるセクション、跳ねるセッティングでなければ、ブレーキさえしっかりしていれば大抵の立体はクリア出来ます。

マシンの重心を調整する為の重りです。ブレーキを付けていてもジャンプの姿勢が極端に汚い、各セクションでのふらつきが気になる等で効果を発揮します。現在は上記の固定ウェイトのみではなく、上下に稼働するカウンターウェイト「マスダンパー」シリーズも多く使われています。こちらは重心調整目的もありますが、最大の目的はジャンプ着地時に反対側に動いて跳ねるのを防ぐ事です。
この各種ウェイトは使い方を最も理解する必要のある難しいパーツであり、むやみに付けても逆効果な場合が多いです。理解しきれていない内は、最後の手段くらいに考えていいと思われます。

改造例

立体向けシンプルチューン

  • ベースマシン:スパークルージュ(MAシャーシ・小径ローハイト・超速ギア)
剛性、駆動効率、拡張性トップクラスのMAシャーシ採用マシン。低摩擦素材のローラー軸受け付きでパーツ代も節約できます。小径ローハイト、超速ギアの組み合わせは現在の立体シーンにマッチします。
MAシャーシ採用車種の中では、ボディが小型でパーツの装着に制限が少ないのもお勧めの理由です。

坂は勿論、コーナー攻略も馬鹿にできないトルクを要求するため、
キットの付属ギアが高回転低パワーの超速ギアなのも相まって相性がいいです。

MAシャーシに最もマッチする最新形状の前後の補強プレートです。「MAシャーシファーストトライパーツセット」でまとめて購入すると、ローラーセッティングに使えるアルミスペーサーが手に入るのでお得です。

フロントを軽く擦らせてリアを効かせる基本ブレーキチューニングをそのまま実践します。リア側には強めの灰色スポンジを選択すると安定しやすいです。

~補足説明~
必要最低限の軽量チューンであり、基本性能を高めつつ、市販レベルのスロープを攻略するためのセッティングです。
レーンチェンジもブレーキで減速、姿勢制御することで攻略してしまうという算段も含んでいます。
実はスターターパックと殆ど変わらないパーツチョイスでもあるので、車種にこだわりが無ければそのままスターターパックを用意してしまうのも手です。

フラット向けシンプルチューン

  • ベースマシン:プロトエンペラープレミアム(SUPER2シャーシ・大径ハードバレルタイヤ・4.2:1ギア)
軽量、頑丈、高拡張性のSUPER2シャーシ搭載車の中でも、転がり抵抗が少ない大径ハードバレルタイヤを標準装備したマシンです。ボディのプロトエンペラーも、小型で扱い易いのが嬉しいところです。

チューンモーターの中でも回転とトルク双方優れた高バランスモーターで、今でもフラットレースの基本となります。回転数のみならず、程よく備わったトルクも、高速志向のセッティングによく合います。

  • 補強プレート:ファーストトライパーツセット(または同種の単品をそれぞれ用意)
パーツセットの中で、FRPプレート、ロングビス、スペーサーを使用します。プレートでバンパーの強化、ワイド化し、ロングビス、スペーサーでリアローラーを上下二段化してふらつきを防ぎます。
フラットではマスダンパーは完全に不要、低摩擦ローラーは下記ベアリングローラーを用意できない場合に活用出来ます。

  • ギア:超速ギア、またはハイスピードEXギア
高速型コース攻略の為に、ギア比をスピード寄りにします。基本的に超速でいいですが、コースレイアウトによっては少しパワー寄りなEXに切り替えます。単品で用意してもいいですが、「ARシャーシ セッティングギヤセット」で一式を揃えるのもオススメです。

軽量でエッジが鋭くコースに食いつきやすいローラーです。
これをフロントに使用し、コースに食いつく特性を利用してレーンチェンジを安定攻略します。

~補足説明~
SUPER2シャーシをシンプルに高速化したセッティングです。効果のはっきりわかる基本パーツを集めた最低限のリストですが、予算が許せばボールベアリングや中空シャフト等で内部の強化をしていくのがセオリーです。

それでも困ったら

トルクチューン2モーター、ファーストトライパーツセットを、それぞれ使っているシャーシに合わせて用意しましょう。それだけでも基本形は完成します。
マシンと一通りの基本パーツが揃った「スターターパック」もあるので、そちらで始めるのも手軽でおすすめです。初心者にも優しい、いい時代になりました。

STEP4:脱初心者へ。覚えるべき事、考える事

STEP3までで基本と言える要素は掴んだかと思われます。以下に注意点を記述していきます。
  • コースに合わせたセッティングを常に意識する
レースにおいて、どのコースでも絶対最強最速なマシンなど存在しません。
(大きく分けたってフラットと立体がありますし)
例えばスロープ後にストレートが何本あるのか、レーンチェンジ直前直後のセクションは何か等で細かくセッティングを変更する必要も出てきます。熟練していって速度が上がれば、当然安定化セッティングもシビアになっていきます。マシンとコースをよく見て、的確なセッティングが出来るようになっていきましょう。

  • それぞれのパーツの意味を常に考え、理解する
初めて見たパーツ、新商品、他人のマシンについていたパーツ等、多くのパーツを見ることになりますが、何も考えず採用するのではなく、"何故"、"何の為に"、"そのパーツを"付けているのか、また販売しているのかを常に考えるようにしましょう。
理由は言うまでもなく、マシンやコースには相性があるからです。
例えば本に紹介されているチャンピオンマシン等も、特定のコース1種類に合わせて作っているものであり、全く違うコースを走らせるのにチャンピオンマシンをただコピーしても無意味ですから。

以上2点をしっかり理解、実践して続けていれば、確実にレベルは上がっていくと思います。各セクションの対策も自分なりのセオリーが出来てくると思います。そうなれば後は結果を出すために邁進するだけです。存分に楽しんで下さい。


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最終更新:2023年02月25日 13:57