フレイザード


「もろい…もろすぎるぜ…!!
 なんで人間ってやつぁ、こんなに弱っちい身体をしてやがるんだ…!?」

「生き残った人間は村ごと焼きはらえ!!
 女も子供も…家も畑も家畜さえも…!!

     人間どもの痕跡はいっさい残さず灰にするんだ!!」

漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の登場人物。
声優は旧アニメ版では 山口健 氏、新アニメ版では 奈良徹 氏が担当。

ハドラーが禁呪法により生み出した氷と炎の半身を持つ岩石生命体で、魔王軍六大魔団長の1人。
「氷のような冷徹さと炎のような暴力性を併せ持つ」と喩えられるように情け容赦の無い性格で、
「オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ…勝つのが好きなんだよォォッ!!!」の台詞の通り、勝利する事こそが全てと考えている。
とりわけ積極的な侵攻を繰り返す姿から「魔王軍の切り込み隊長」とも呼ばれている。
敵対した相手には容赦がなく、オーザム王国を滅亡させた際には生き残った住民や家畜の皆殺し、家屋の破壊などを命じたりと、
人間が存在していたという痕跡を根絶やしにした他、うら若き少女の顔を焼くという残虐行為に走った事を非難されても、

「笑わせるなッ!! ここは戦場だ、殺し合いをするところだぜ!
 男も女も関係ねェ、強い奴が生き残り、弱い奴が死ぬんだよ!

     傷つくのがイヤなら戦場に出てくるんじゃねえ!!」

といった苛烈な言葉を堂々と口にするほど。この言葉は「真の男女平等」「フレイザード理論」として妙な人気を持つ事に
真の男女平等の比較動画

苛烈すぎるこの精神性は、生まれて間もないゆえに自分の人格と人生の経歴そのものが浅いことによるコンプレックスの裏返しであり、
自分の存在を周囲に認めさせるため、勝利と栄光に異常な執着を持ち、勝つためなら一切の手段を選ばないどこまでも刹那的な男である。
胸につけている『暴魔のメダル』は、六大軍団長の初お目見えの際、軍団結成祝い兼忠誠を試すための試練としてバーンが贈ったもので、
業火の中のメダルに誰もが尻ごみをする中、氷の半身を半ば溶かしてまで捨て身で勝ち取ったこのメダルは、
フレイザードが生まれて初めて手にした栄光の証となっている。
また、フレイザードを禁呪法で生み出した時期のハドラーも、魔軍司令として慣れない中間管理職をやっていた時期でもあり、
「禁呪法で生み出された魔物は創造主と似た性格になる」こともフレイザードの精神性を形作る一助になっている。*1

こうした性格からザボエラとは比較的ウマが合った一方で、
人の身でありながら自分達と対等に扱われていたヒュンケルのことは青二才と呼んで嫌っていった。

創作作品では炎属性と氷属性が融合したキャラや技が度々登場するが、フレイザードはその手の要素を持つキャラの中でも特に有名なキャラである。
後年には同じくジャンプ掲載作品『僕のヒーローアカデミア』に、炎と氷の双方を扱う轟焦凍が登場しており、引き合いに出されることも多い。
轟の中の人が新アニメ版でのヒュンケルなのもあり、とことんまで反りが合わなさそう


劇中での活躍

上述のオーザム王国を滅ぼした後、ハドラーからの招集を受けて六大軍団長会議に参加。
そこでパプニカ王国の攻略をヒュンケルに任せたという話が気に入らず、独断で彼の始末を画策。
ダイ達との戦いに敗れた頃合いを見計らい、地底魔城の溶岩を活性化させることでまとめて始末しようとする。
これによりヒュンケルは死亡、不死騎団は壊滅したものとされ、彼に代わってパプニカ王国の侵攻を引き継ぐこととなる
(実際はヒュンケルはクロコダインに救出されていた)。
バルジ塔に籠城するレオナ達二人の賢者を相手に圧倒的な力を振るい、窮地に立たせた所でダイ達アバンの使徒の加勢により苦戦。
ダイの力を脅威と見たフレイザードは禁呪法「氷炎結界呪法」を発動、一行のレベルを下げる事による弱体化を図り形勢逆転
(ちなみに、劇中では能力の増強弱体を行う補助魔法が存在しておらず、これが唯一の補助魔法である)。
敗走を余儀なくさせた上、彼らにとっての人質とばかりにレオナを氷漬けにする。
ダイ達との再戦時は彼らがマトリフの助力により再起したという状況であり、彼らの力の前に魔王軍の総力はおろかハドラーまでもが敗北するという劣勢の中、
「魔王軍の総がかりでも倒せなかった勇者の一行を全滅させれば大金星」と奮起していた。

その後、ヒュンケルとクロコダインの協力もあって結界呪法の要と言える「氷魔塔」「炎魔塔」の破壊に成功し、
再びバルジ中央塔に到着したダイ達に奇襲をかけ、マァムを窮地に追い詰めるも、ヒュンケルとクロコダインの加勢により無傷での勝利は不可能と判断。
栄光の証である暴魔のメダルを投げ捨て、捨身の切り札「弾岩爆花散」により自身を構築する岩石全てを武器とし一行を圧倒する。
しかしこの戦いの中でヒュンケルはフレイザードの核を破壊する事をダイに提言し、ダイはかつてアバンに教わった「空の技」を思い出し「空裂斬」を放つ。
一発目こそ不発に終わったのだが、実際は核を掠めており、フィンガー・フレア・ボムズでの反撃を図ろうとする直前で左腕が崩壊。
これにより空裂斬の成功に希望を見出したダイは空裂斬を連発するも不発。
しかしヒュンケルの機転により血の目潰しを受け、完全に気配で敵を捉えられる状況に持ち込まれた末、
その状態で放った空裂斬がついに核を捉え、肉体の維持が出来なくなってしまう
慌てて分離するも無防備になった所を狙われ、氷の半身はポップに破壊され、残る半身をヒュンケルに破壊されそうになった所、
戦況の偵察に現れたミストバーンに「魔影軍団最強の鎧」を示され、配下になる事との交換条件を持ち掛けられる。

「このパワーで! この強度で! これで負けたら…バカだぜ~ッ!!!!」

勝利を掴む為に誘いに乗り「鎧武装(アーマード)フレイザード」へと生まれ変わるも、空裂斬が完成したダイの敵ではなく、アバンストラッシュで瞬殺。
自分を騙したミストバーンに恨み節をぶつけるも、ミストバーンからすれば最強の鎧はダイ達の力を見極める為のものでしかなく、
再度のチャンスを乞うも虚しく、ミストバーンに踏み躙られる最期を遂げた
(尤も、フレイザードもまた「この鎧があればミストバーンも倒せる!」と下剋上を狙っていたので自業自得なのだが)。
非道極まりない下衆な敵ではあったが捨て駒にされた哀れな末路を見かねたのか、「墓の一つでも作ってやろうか?」とポップに同情されるが、
ヒュンケルは「あれが奴の墓標だ」と、投げ捨てられた暴魔のメダルを指差しただけであった。
また、この「魔影軍団最強の鎧」というのは後にデッド・アーマーという名のモンスターとして差し向けられたが、
その頃には成長したヒュンケルの敵では無く、一蹴される程度の存在でしか無かった。
一応、他のさまようよろい等より大型で強そうな感じではあったが……。

余談だが、「炎と氷の半身をそれぞれ持つ」身体構造から、劇中最強の呪文とされる「メドローア」に最も近いキャラとも言われている。
メドローアは「メラとヒャドの魔力を均等に融合させ、光の矢にして射貫く呪文」であるため、
半分炎・半分氷のフレイザードならば編み出すこと自体は簡単だったと思われる。
メドローアを編み出したマトリフはフレイザードを倒した際「レベルが低くて助かった」と語っているが、これは数値としてのレベルだけでなく、
この呪文自体がメラ系とヒャド系を同時に扱うセンスが求められる呪文(本人談)であり、彼はその条件を満たし得る一人だからである。

前日譚『勇者アバンと獄炎の魔王』は時系列的にまだ生まれていない頃の出来事なので後の六大団長の中では唯一未登場。
ただし、代わりにフレイザードのプロトタイプとも言うべき、ハドラーが禁呪法で生み出した「グランナード」という鉱石生命体が登場する。


MUGENにおけるフレイザード

ですからー氏が製作したものが2022年1月19日より公開中。
defファイルにはMUGEN1.0以降用と書かれているが、WinMUGENでも使用可能。
グラフィックはオリジナルの3Dモデルを使用している(左右反転でカラーパレット切り替わるようには設定されていない)。
強弱のパンチ・キックの4ボタン仕様で戦う。

ですからー氏のキャラではお馴染みの我慢補正などを搭載。
独自のシステムとしてブロッキングのような「ホールドブロック」があり、相手の攻撃を受け止めて反撃可能。ただしダメージはそのまま受ける。
また、専用のボタンでショートステップができ、ジャンプの登りに下段無敵があり、下降中に技が出せる。

必殺技は原作でお馴染みの攻撃魔法やブレス、
超必殺技に「五指爆炎弾」(フィンガー・フレア・ボムズ)や「氷炎爆花散」、「弾岩爆花散」を搭載している。
特に弾岩爆花散はヒット・削りを問わず6割以上消し飛ばす、とてつもない威力の大技。
ただし、原作同様に自身の核(コア)も飛ばしているので全画面攻撃などで迎撃されると即死するばかりか、
次ラウンドも強制敗北になるという、まさしく命懸けの技でもある。
AIはデフォルトで搭載されている。
3:10~(弾岩爆花散は5:39~)
プレイヤー操作

この他、ニコニコMUGENでは男女ペアタッグバトル大会V2における嘉神慎之介レンのタッグ名が「白黒フレイザード」であり、
フレイザードと配色が左右逆のギルもGM氏製にKELN氏AIを当てるとネームが"Frazard"になったりする。
フレイムはFlameなので綴りが違う細かい事は気にするな!


「オレは戦うのが好きじゃねェんだ…

 勝つのが好きなんだよォォッ!!!」

出場大会

プレイヤー操作

実況付きP操作 Tarie配信(20キャラ目操作キャラ)


*1
中間管理職時代のハドラーと言えば、自己保身に走ってばかりのイメージがあるが、
武人として完成した超魔生物ハドラーの「目的の為には自身の命すら惜しまない」精神性の片鱗が現れているとも言える。
逆に、武人として完成した時期に同じく禁呪法で生み出された「ハドラー親衛騎団」は、
「正々堂々と戦って勝つ」「ハドラーへの絶対的な忠誠」というフレイザードとは真逆の考えをしていた。
唯一親衛騎団の"僧正"フェンブレンだけは「弱い者をいたぶるのが好き」というフレイザードに通じる残虐性を秘めているが、
彼もまた敵対した相手の長所を認め、仲間との協調を重要視するという姿勢を持っている。


最終更新:2024年04月11日 23:48