セクター・イドゥニア大戦 > 参戦勢力


概要と影響

 当記事では、新秩序世界大戦に参戦した諸勢力と、その結果について纏める。
各参戦勢力の勝敗に関しては、途中消滅、離脱、終戦時(宇宙新暦4500年)における状況を総合的に考慮し、判定したものである。

主な参戦勢力

連合国陣営

セトルラーム共立連邦戦勝。イドゥアム領内に反攻し、複数の地域を独立させた。)
 同1200年代。星間機構末期の時代に、イドゥニア星系から脱出した移民船団を母体として建国された。同2000年以降、イドゥニア空域を制した連合帝国を相手に総力戦を繰り広げ、多くの領有惑星を失う。その後も首都星系の守りを固めつつ徹底交戦を貫いていたが、大戦後期に至っては自前の工業力を生かした徹底的な反抗作戦を実行。イドゥニア星系以遠の戦闘ではケルフィリア人を始めとする夥しい数の帝国臣民を虐殺し、複数星系の破壊に踏み切るなど星間史上において筆舌に尽くしがたいカルマ(戦争犯罪)を積み重ねた。その報復の勢いから、一時はフォフトレネヒトの攻略も現実味を帯びていたが、もう一方の敵性勢力であるギールラングの脅威が問われるようになると、停戦の機運が高まり、イドゥニア戦線までの段階的撤退を余儀なくされた。絶滅作戦に躊躇がない分、この国だけで連合国における8割以上の死傷者を出している。戦後処理に関しては、セトルラーム共立連邦/国際関係を参照のこと。本大戦の爪痕から、最終的な政治決着に至るまで実に500年もの時を費やし、多くの困難を伴った。

ツォルマリア星域主権企業連合体戦勝。イドゥニア情勢に介入し、戦後秩序の形成を担った。)
 星間機構の崩壊に伴って衰退した旧ツォルマリア本国。数千年もの長きにわたる復興から奇跡の経済発展を遂げた。大戦末期。廃止航路において保護されたツォルマリア人女性を通じてイドゥニア諸国とセカンド・コンタクトを果たし、外交関係の再構築に努めた。旧植民地諸国に対しては過去の精算を含む平和裏の交渉を望んだが、イドゥアム帝国(ガルロ派)に使節団を殺され、同4426年、連合国としての参戦に至った。人権感覚が皆無に等しいイドゥニア世界の惨状に直面し、戦時国際法の制定を提唱する。

イェルサー・アン・フエーレ(現:オクシレイン大衆自由国)(戦勝。戦後秩序の形成を担った。)
 イェルサ―への入植後、長らくギールラングの海賊艦隊の襲撃を受けてきたイェルサー・アン・フエーレはその根本的な解決のために軍事増強を行い、セクター・イドゥニアの情報を手に入れていた。宇宙新暦3000年代―――大戦中期。フエーレ軍は同2600年代に共闘関係となって久しかったセトルラームの戦略的撤退を承認。その穴埋めを引き受ける形で軍事力を拡大した。また、これ以上の被害を食い止めるため、当時巨大な勢力圏を誇ったギールラングを相手に総力戦を仕掛けることになった。その後は一進一退の攻防戦を繰り返し、同4500年の講和条約(大衆自由国の成立)をもって暫しの安定を得たとされる。戦後情勢において再びプレゼンスを高めつつあったツォルマリア(旧星間機構)との駆け引きが続く中、同4600年代に再びギールラングの脅威が叫ばれるようになると、防衛のための参戦を決意。窮地に陥っていたセトルラームを支援しつつ、これまでにない大規模な軍事解放へと踏み切った。同4700年代。サンパルーナ星系周辺のラノリア総督の反乱を支援し、ツォラフィーナ(後のキルマリーナ及びメイディルラング)の建国に対しても影響力を持つことに成功したとされる。一方、ギールラング亡き後の領有問題で追撃を試みたセトルラームに不信感を抱くようになり、民主化圧力を強化。以後、国際社会における新たな列強としての道を歩んだ。

レミソルト朝ロフィルナ王国戦勝。失地の大部分を回復させた。)
 参戦当初は、ロフィルナ文明の復活を掲げてツォルマリア列強と戦った。以後、長きにわたる枢軸諸国との連携の中で夥しい数のツォルマリア人を虐殺し、戦争犯罪を積み重ねる。一方、エルク王朝による支配下で貧富の格差も拡大。大戦後期に至っては、レミソルト王朝の復活を望む地方軍閥によって内部から崩壊してしまう。星の解放者を自称するセトルラーム連邦に対しては、肯定的な勢力と否定的な勢力とで世論が割れてしまい、ロフィルナ革命を誘発した。一連の長きにわたる総力戦の中で復古運動が盛り返し、イドゥアム帝国との同盟破棄に至ったのだという。セトルラームによる承認のもと、南中央大陸の過半(レナリス、トナベリア、ボルツオ、スルマニエス)を制し全盛期に近い姿を取り戻した。

フィンスパーニア王国戦勝。ユミル・イドゥアム連合帝国からの独立を果たした。)
 南中央大陸西南の半島に位置する。開戦当初はサンパレナ共和国の植民地であった。ジェルビア連合諸国と接し、王政連合の脅威に晒されていたが、同1575年の講和条約においてイドゥアム帝国領となる。同4000年代にフリーネア王国を中核とする新連合国軍の東進を受け、イドゥアム帝国からの独立を果たした。同4050年以降は他の連合国とともに帝国直轄領レシェドルティへの東進に踏み切り、夥しい数の死体を積み重ねていく。東西を隔てる大山脈において幾度となく帝国の近衛騎士団と衝突した。

ラマーシャ公国戦勝。ユミル・イドゥアム連合帝国からの独立を果たした。)
 旧ジェルビア連合加盟国。星間機構からの崩壊以降、国境線が安定せず、大戦初期(同1575年)の敗戦を迎えた。周辺の連合諸国と同じく、夥しい数の死体を積み重ねる。最終的には南にフィンスパーニア王国、北にファルランベルク王国と接し、共にレシェドルティへの東進を図った。東西を隔てる大山脈において幾度となく帝国の近衛騎士団と衝突し、難攻不落の要塞を陥落させた。東部戦線においては南進する王政連合軍と連携しつつ、セトルラーム主導の軍事作戦を補った。

ファルランベルク王国戦勝。ユミル・イドゥアム連合帝国からの独立を果たした。)
 旧ジェルビア連合加盟国。大戦初期に漏れなく敗戦し、イドゥアム帝国に併合された。同4000年代にフリーネア王国を中核とする新連合国軍の東進を受け、圧政からの独立を果たす。また、北方の帝国領(ブルセカ地峡)と接している関係上、本格的な東進こそ行わなかったが、再び南進してきた王政連合軍と挟撃する形で同地を守る帝国軍の屍を積み重ねた。侵攻軍の主力に解放奴隷(主に虐待されたツォルマリア人)を加えたことで軍規違反が横行し、戦後、有志連合の制裁リストに加えられてしまう。

フリーネア王国戦勝。国民投票の結果、平和裏にセトルラーム領となる。)
 南中央大陸(主戦場)から遠く離れた位置に存在する。北フリーネア大陸において最も広い面積を有した軍事大国。大戦初期における鎖国が仇となってイドゥアム海軍に開国させられた歴史を持つという。加えて属国に等しい扱いを受けたが、名目上の主権は保っており、王政連合から核の傘を得るなどして長きにわたる不遇の時を耐え抜いた。同3900年代にセトルラーム艦隊が来航すると、自ら土地を提供し、橋頭堡を築かせる。必然的に連邦の庇護下に入ることから、堂々とイドゥアム帝国からの解放を宣言し、南中央大陸に侵攻した。戦後は平和裏の統合を願い出て連邦の特別行政区となり、段階的民主化を果たした。

マイヤント共和国戦勝。ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を防いだ。)
 北レナムス大陸諸国を束ねる、地域大国。枢軸陣営に対して否定的である一方、ツォルマリア系列からなる連合国に対しても一家言を抱いており、長らく静観を決め込んでいた。主戦場から遠く離れていることもあって、十分に軍備を整える時間を得たが、中央大陸方面から進出してきた帝国軍の侵略を受け、ジャローバ以東に対する影響力を失った。以後は一帯の解放を目的とする断続的な抵抗を継続。幾度となくロフィルナ、イドゥアム等の枢軸軍を撃退し、レナムス地域の独立を認めさせた歴史を持つ。戦後はセルギリア地域における影響力の拡大に乗り出したが、一帯の帰属問題を巡るサンパレナ共和国との紛争に敗れ、現在の陣営線が確定した。

サンリクト公国戦勝。ロフィルナ領として復帰した。)
 開戦当初は武装中立路線を堅持。北の中央大陸に対して暫しの静観を保ったが、宇宙新暦1575年、ジェルビア諸国が降伏すると間もなくロフィルナ軍の脅威に晒されるようになり、恭順か戦争の選択を迫られた。更に南方から迫りくるマイヤント軍の圧力を受け、両者の軍事通行権を認める流れに転じたが、その間に自国軍の増強を進めるなど交渉の時間稼ぎに努めた歴史を持つ。しかし、その目論見はサンリクト国内におけるマイヤント軍の大敗によって早期に頓挫し、間もなくロフィルナ(エルク王朝)の属領として編入される結果となった。同4150年にセトルラームの支援を受けたフリーネア王国軍が上陸すると、間もなく武力解放される流れとなり連合国に加わった。戦後はレミソルト王朝から成り立つ新ロフィルナ王国に迎合。高度な自治権を持つ領邦としての地位を確立した。

テラソルカトル王政連合戦勝。ユミル・イドゥアム連合帝国から第3惑星レキノラを奪取。)
 王政連合は、インスニア公王国を盟主とする北方諸国の共同体であり、独立以降の第2惑星イドゥニアにおいて、いち早くツォルマリア人との共存を進めてきた歴史がある。そのため、宇宙新暦1428年。南中央大陸西方の友好諸国(ジェルビア大陸連合)がサンパレナ軍の侵攻を受けると、同枢軸陣営の排除を目的として参戦した。しかし、同1500年代。ユミル・イドゥアム連合帝国の成立から徐々に戦略的な後退を強いられると、王政連合は同大陸における事実上の敗北を認め、1575年、講話条約の締結に至ったとされる。この時、王政加盟国の一つにして、南進の要となっていたブルシェンドルーク王国(ブルセカ地峡)を失い、戦意を挫かれた。同3952年。大戦後期にセトルラーム艦隊が襲来すると、いち早く同国からの共闘要請を受諾し、連合帝国に対して再度の宣戦布告を行う。来たるべき決戦に備えて刷新を重ねた王政連合の軍隊は、枢軸領(連合帝国)となって久しい多くの地域を脅かした。

ジェルビア大陸連合敗戦。ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を受け、併合される。)
 ジェルビア連合は、南中央大陸西部(ロフィルナ王国を除く東パルストーラ地域)のツォルマリア列強レナリス帝国が中心となって成立した。ファルランベルク王国、ラマーシャ公国、トナベリア王国、ボルツオ自由国、スルマニエス国、その他、数多くの都市国家が結束しており、方々(ロフィルナ、レシェドルティ、サンパレナ)を睨む防波堤として王政連合の保護下に入っていた。同1310年。ツォルマリア人類に対して最も急進的とされるロフィルナ王国の破壊行動を止めるために宣戦布告を行ったが、当初の予想以上に頑強な抵抗を受け、長い膠着状態へと陥った。そして、同1428年。各戦線が疲弊したところにサンパレナ軍の介入を許してしまった経緯がある。更に大陸東部の大国帝政レシェドルティ(後のユミル・イドゥアム連合帝国)が参戦し、中央大陸における戦いは激化の一途を辿った。最終的には同1575年に大敗を喫し、イドゥアム帝国に併合される結果となった。ジェルビア各国の独立は同4000年代、フリーネア王国軍を主力とする新連合国の大陸外からの反攻を待たねばならなかった。

メティア星系連合敗戦。ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を受け、併合される。)
 メティア星系連合はカンバ星系を始め、アーディティムシ星系を領有した。星間機構の崩壊に伴って独立した旧植民地国家の一つである。総人口の殆どがツォルマリア人類で占められており、報復を目論む近隣文明を滅ぼすために参戦した。イドゥニア方面に対しては王政連合を支援する一方、主な攻撃対象としてフォフトレネヒト方面に侵攻軍を差し向け、総力戦となった。最終的には、フォフトレネヒトを含むユミル・イドゥアム遠征艦隊によって征服された。

ケレス・バルネル連合王国敗戦。ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を受け、併合される。)
 星間機構の崩壊に伴って独立した旧植民地国家の一つ。ユピセヴィオ国とともにキクロハヌマ星系を分割統治していた。新時代における覇権競争に消極的で、平和友好路線を取っていたが、フォフトレネヒトを恐れるユピセヴィオ国の圧を受け、参戦に至った。最終的には、フォフトレネヒトを含むユミル・イドゥアム遠征艦隊によって征服される。大戦後期に反攻へと転じたセトルラーム艦隊の施策で連邦化したが、その保護領域は広範囲に及ぶ連邦正規軍の確証実験によって汚染された。その後の混乱は、近隣のユピセヴィオにケレス・バルネルを統合させたことで収束する。そうした連邦の不祥事も過激派による民権運動に乗じる形で巧妙に正当化された。

ユピセヴィオ国敗戦。ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を受け、併合される。)
 星間機構の崩壊に伴って独立した旧植民地国家の一つ。ケレス・バルネルとともにキクロハヌマ星系を分割統治していた。近隣空域においては、ロフィルナ王国と並んで急進的なフォフトレネヒトの侵略を恐れており、生存戦略の一環として参戦する。最終的には、フォフトレネヒトを含むユミル・イドゥアム遠征艦隊によって征服される。大戦後期に反攻へと転じたセトルラーム艦隊の施策で連邦化したが、その支配はイドゥニア星系における和平条約の締結(同4500年)をもって終了した。

ダムラリニ帝国敗戦。ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を受け、併合される。)
 当時、イドゥセクメ星系の過半を占めた旧ツォルマリア系列の新興国家。旧植民地駐留軍を中核とする強大な軍事戦力を持ち、フォフトレネヒトを恫喝した。過去の同化政策において大量のロフィルナ人を移送し、強制労働を課すなど苛烈な階級社会を形成する。元はヘズレル共和国の領土を略奪する形で成立した経緯から、当時代において完全なるイドゥセクメ星系の統合を目論んだ。過去、イドゥニア方面の開発に追われ、選別の手を緩めたツォルマリア本国を憎んでおり、自国の意向にそぐわない全ての枢軸諸国に対し宣戦布告を行った。経緯が経緯なだけに敗戦後はイドゥアム帝国による徹底的な粛清を受け、完全に集団としての文化を失う。

枢軸国陣営

ユミル・イドゥアム連合帝国敗戦。一部で諸説あり。イドゥニア星系において複数の占領地域を失ったが、征服した領域の大部分を維持)
 星間文明統一機構が滅びて以降、時の帝政レシェドルティは隣国ジャゴラスへの侵攻を皮切りに周辺国を脅かす行動に出た。これに対して、制裁措置を取ったジェルビア連合と衝突。サンパレナ共和国、フォフトレネヒト皇国とともに共闘路線を取る流れに転じ、ユミル・イドゥアム連合帝国を成立させた経緯がある。この夥しい数の犠牲者を出した総力戦の果てにジェルビア連合を崩壊へと至らしめた連合帝国の野望は留まるところを知らず、宇宙各地に散った漂流難民の新天地に対しても向けられた。その結果、セトルラーム共立連邦と接触する流れを辿り、人類史上稀に見る大規模な絶滅戦争へと突き進んだのである。最終的には戦線を押し戻され、チャルチルフ星系にまで攻め込まれる事態へと推移したが、突如、撤収し始めたセトルラーム艦隊に追い打ちをかける形で再びイドゥニア星系へと戦線を押し戻した。その後の講和会議において、連合帝国はイドゥニア星系における複数の領地を失い、以後の求心力低下に苦しめられたとされる。

フォフトレネヒト皇国敗戦。一部で諸説あり。大戦末期に戦線を大きく押し戻した。)
 古くから独自の伝統を保つフォフトレネヒト皇国の方針は、至極単純明快なものであった。それは、二度と外宇宙の文明に屈しないこと。すなわち、宇宙の覇権を手にすることである。1000年以上もの長きにわたって続いた星間文明統一機構の支配は、ケルフィリア人の心に暗い影を落とし、強い復讐心をもって時のイドゥニア世界に影響を及ぼしたとされる。まず、手始めに当面の大敵となるダムラリニ帝国を討ち滅ぼすため、利害関係が一致する帝政レシェドルティとの軍事同盟を結んだ。次に、星間機構系列の後継国家を次々と征服。ユミル・イドゥアム連合帝国を成立させ、イドゥニア星系に繋がる主要航路を抑えた。その結果、以後、長きにわたる覇権を享受したが、その代償はあまりにも大きく、レシェドルティのロフィルナ人に実権を奪われてしまった。皇国としての伝統はチャルチルフ星系の内側でのみ保障される有り様となり、時の皇帝の采配次第で即座に崩壊へと誘われる危険性すら指摘されたのである。それから長い時が経ち―――幸か、不幸か、すべての元凶たる皇帝はセトルラーム率いる連合諸国の反撃をもって戦死した。時のフォフトレネヒト政府は帝位の空白を埋めるために実権を取り戻し、反撃の狼煙を上げたのである。

ヘズレル共和国敗戦。一部で諸説あり。大戦後期にセトルラーム艦隊の反攻を退け、国体を守りきった。)
 ヘズレル共和国は常にフォフトレネヒトと行動を共にする盟友であった。星間機構による分断政策の最中でさえも、彼らは一時もケルフィリア人の存在を忘れることなく、解放の時を待ち続けたのである。そのため、フォフトレネヒト皇国が滅亡の危機に瀕した際には、強大なセトルラーム艦隊でさえも手を焼くほどの徹底抗戦を繰り広げ、後の反攻作戦の糸口を掴んだとされる。そうした功績にフォフトレネヒト政府も多大な支援をもって報いるなど、両者の絆は永遠にも等しい確固たるものへと昇華した。ヘズレル政府にとって、今大戦の勝敗は種の存続をかけた死闘とされた。この記憶は現代に至っても強烈に語り継がれており、二度と同じ過ちを繰り返すことがなきよう常に気を配っているという。

帝政レシェドルティ敗戦。終戦後、イドゥアム領として復帰した。)
 他のイドゥニア列強と同じく、自力で星間機構からの独立を果たした。先の占領行政に対する禍根から、ツォルマリア人に対して最も苛烈な弾圧を加える。同時に共存を掲げるジェルビア連合の存在を疎んじており、その背後に控える王政連合の脅威を取り除かんとした。そのため、惑星内外を問わず利害の一致する諸勢力との同盟を締結。ともにユミル・イドゥアム連合帝国を形成し、枢軸国陣営における主導権を握った。宇宙新暦1575年にジェルビア連合を下し、イドゥニア世界における制空覇権の成就に貢献。これにより、暫しの栄光を得るも、同4000年代にフリーネア王国軍を主力とする新連合国の攻勢を受け、枢軸陣営における盟主としての地位を失った。以降は講和条約が成立するまで連合国の軍政に置かれたが、その間も大勢の帝国臣民がゲリラ戦を展開するなどして頑強な抵抗を続けていた。最終的には講和条約に基づく平和裏の連合帝国への復帰を果たした。

エルク朝ロフィルナ王国敗戦。ロフィルナ革命を誘発し、国を追われた。)
 星間機構からの独立以降に残党の駆逐を掲げる。新ジェルビア諸国に対してはロフィルナ文明の一員として復帰するよう圧をかけたが、聞き入れられず、大規模な侵攻へと踏み切った。この間、利害を共有する枢軸諸国との連携を強め、連合国との対決姿勢を固めた経緯がある。大戦初期において勝利し、イドゥニアにおける枢軸陣営の覇権を確固たるものとしたが、本来ロフィルナ領であるべき大陸東部の大部分が帝国領として編入され、暫しの忍耐を余儀なくされた。時のロフィルナ指導部はイドラム一世との友好を維持しつつ、その衰退を長きに渡って待ち続けた。宇宙新暦4000年代。遥か遠い宇宙から反攻に転じたセトルラーム連邦軍の襲来をもってロフィルナ革命が勃発。体制の在り方を巡って衝突する反乱軍の追撃を受けて時のエルク王朝は国を追われた。しかし、数千年にもわたるエルク王家の悲願(失地の回復)は皮肉にも革命後の新政権が成功させ、ロフィルナ本国に対する亡命政府の正当性は完全に失われた。

サンパレナ共和国敗戦。レシェドルティに植民地を奪われ、枢軸国陣営から離脱した。)
 星間機構からの独立以降に支配領域を広げた。裏からジェルビア連合を操る旧ツォルマリア軍部の力を削ぐため、枢軸陣営に加盟。フィンスパーニア半島における軍拡を継続し、大戦の火蓋を切ったが、旧ヨガ―ラニア文明圏(星間機構によって解体されたサンパレナ以前の大国)の復活を警戒するレシェドルティの裏切りを受け、早々にリーネリア地方を失う。これをもって独自路線に転じる流れとなり、南中央大陸東部の戦況が泥沼化した結果、時のサンパレナ政府は同大陸における覇権を諦め、以後、長きにわたる武装中立路線を取るようになった。大戦後期において、新連合諸国が攻勢を強めた折にはリーネリア地方の返還を条件に亡命帝国軍を受け入れた。しかし、戦後秩序を巡るセトルラームとの外交交渉が決裂し、開戦か降伏の選択を迫られたわけである。最終的には自国保護下の帝国軍に国外でのゲリラ戦を容認(一度領域外に出たらサンパレナ軍は助けないと)しつつも、核抑止を強調。イドラム2世の身柄を引き渡すことで合意し、その他、多くの落としどころを探る絶妙な駆け引きを続けた。

ギールラング星域戦国軍事同盟敗戦。両主要国の消耗を狙って次の戦争を誘発した。)
 ギールラングにとって、戦いとは国の在り方そのものに関わる信仰とされる。したがって、世界秩序とは相反する正義を掲げており、あらゆる領域において海賊行為を推奨するなど、カオスに事欠かない勢力であった。ユミル・イドゥアム連合帝国に対し、同盟を打診し、合意を取り付けた後に一時的な単独講和を結ぶ等の暴挙に出た。最終的には、セトルラームの疲弊を狙って再侵攻の計画を練り始めたが、一方の世界情勢としては厭戦ムードが漂いつつあり、ギールラングは本大戦における講和条約への調印を拒否した。闘争世界観の構築を掲げる彼らの指導者(グラハウド大公)は、戦争のための更なる戦争の道へと突き進んだ。

カルスナード教王国敗戦。大敵ツォルマリア人類との関係修復を余儀なくされた。)
 カルスナードの民は忘れていなかった。星間機構による抑圧の歴史を。カルスナードの英雄は死を恐れず、誓った。荒れ果てた大地に。時は大戦末期―――ソルキアおよびツォルマリアとの緊張が高まる中、イドゥニア人類との接触をもって開戦の糸口を掴み、そして、それを実行した。枢軸陣営への加盟を。カルスナードは一切の容赦なくツォルマリアの大地を焼き払った。かつて彼らがそうしたように。ツォルマリアの民もソルキアの力を得て戦った。その結果、カルスナードは未曾有の敗戦を喫することとなる。その時、一つの真実が白日のもとに晒された。カルスナード国民の復讐心を利用し、世界征服を目論んだ真の黒幕の罪状が広く知らしめられたのである。それは、かつて自分達の祖先を虐げた星間文明統一機構の生き残りであった。教会の上層部が、侵略者の意のままに操られ、踊らされていたのである。カルスナードの民は怒った。そして、恐怖し、慟哭の声を上げた。ツォルマリアの民は、そうしたカルスナードの歴史に同情し、自らの祖先の行いを恥じたという。両者のわだかまりは、以後、1000年以上もの時をかけて修復される流れを辿った。

関連記事

タグ:

歴史
最終更新:2024年12月16日 20:11