ディース・ヴィ・ティラスト

ディース・ヴィ・ティラスト

作:@Freeton2
生年月日 宇宙新暦4405年7月28日
年齢 16アストラ歳(星年齢
共立公暦1000年時点.
出生地 ロフィルナ王国
民族 ロフィルナ人
所属 ゼノアビリティ・プラン
元ロフィルナ王国陸軍
肩書 特命中佐執行官
ロフィルナ陸軍在籍時:大佐
異名 煉獄狂焔


概要

 エリスト・ヴィ・クロヴァンス(本名:ディース・ヴィ・クロスト:後にディース・ヴィ・ティラストへと改称)は、ロフィルナ王国出身の元陸軍大佐であり、転移者星間戦争での戦争犯罪とグロノヴェイルの戦闘での激烈な抵抗で悪名高い人物である。異名「煉獄狂焔 (れんごくきょうえん)」は、彼の復讐に燃える狂気と、戦場を焼き尽くすような破壊衝動を象徴する。家族をセトルラーム共立連邦の進駐で失い、怨念を胸にロフィルナの過激派を扇動。共立公暦592年のグロノヴェイルでは、聖イドルナート祭を舞台に民兵を率いて連合部隊に抗い、戦争犯罪者として拘束された。ティラストの行動は、単なる軍人や犯罪者の枠を超え、戦争のトラウマと復讐の連鎖を体現。文明共立機構の常任最高議長メレザ・レクネールとの抑留中の対話では、「冷酷な人殺し」を自認し、宇宙の無秩序と闘争の必然性を吐露。彼女の「人間性」への訴えを嘲笑しつつ、その言葉は彼の心に微かな波紋を残した。共立公暦1000年時点で、彼の遺産はロフィルナのナショナリズムや国際社会の亀裂に影響を与え続け、ルドラトリス安全保障盟約ネルヴェサ―民主同盟の対立を背景に、戦争の傷跡を象徴する存在となっている。かつてはロフィルナ陸軍の精鋭として知られ、戦略的洞察力とカリスマで部下を統率。転移者星間戦争では、アリス・インテンションへの報復として虐殺を扇動し、国際社会の非難を浴びた。グロノヴェイルでの敗北と拘束後も、その狂気と信念は民兵や過激派に火を点け、ロフィルナの反共立機構感情を助長。ティラストは、破滅を招く「煉獄の炎」として、イドゥニア世界の歴史に刻まれた。彼の物語は、復讐の果ての人間性と、正義の名の下での妥協を問う。

自己紹介

 俺の名は……いや、かつてはディース・ヴィ・ティラストと呼ばれた。今はエリスト・ヴィ・クロヴァンス、だとさ。共立機構の書類にそう刻まれた名だ。笑えるよな、まるで過去を灰に変えたつもりらしい。だが、俺の炎はそんな簡単には消えねえ。「煉獄狂焔」…民兵どもがそう囁いた名の方が、よっぽど俺らしい。ロフィルナの土で生まれ、血と鉄の戦場で育った。家族? ああ、いたさ。セトルラームの進駐軍が笑いながら奪っていった。あの笑顔、忘れられねえよ。だから俺も笑って返した。転移者星間戦争、グロノヴェイル…俺はただ、奪われたものを取り戻そうとしただけだ。虐殺? 戦争犯罪? ふん、勝者が決めた正義のレッテルさ。俺はただ、己が味わった地獄を倍にして返したかった。メレザ・レクネール……あの女の言葉は、妙に耳に残る。「お前は人間だ」とかなんとか。笑っちまうぜ。人間性? そんなもん、宇宙の果てじゃ灰と一緒だ。だが、あの目……俺の炎を鎮めようとしたあの目は、どこか憎めなかった。まあ、どうでもいい。今の俺は死んだも同然だ。処刑されたんだろ? なら、この声はただの残響さ。……それとも、煉獄の炎はまだ燃えてるのかな?

来歴

新秩序世界大戦

 宇宙新暦4405年、ディース・ヴィ・ティラストはロフィルナ王国の地方都市、グロノヴェイル近郊の農村で生まれた。不老不死の体質により、肉体年齢は成長後に30代で永遠に固定される。この時期、セクター・イドゥニア大戦(新秩序世界大戦)は末期に差し掛かり、セトルラーム共立連邦をはじめとする連合国が、ユミル・イドゥアム連合帝国を含む枢軸国と激しい戦闘を繰り広げていた。ロフィルナは連合国側として参戦し、セトルラームの技術・経済支援を受けつつ、惑星イドゥニアの南中央大陸で帝国の傭兵部隊やギールラングのゲリラ戦に直面。同4410年、ユミル・イドゥアムの傭兵部隊がグロノヴェイル近郊を襲撃。ティラストは燃え盛る農村と民間人の悲鳴を目撃し、母に抱かれながら「敵」の残虐さを刻み込まれた。この記憶は、彼の心に「煉獄狂焔」の最初の炎を灯した。4425年、ロフィルナ陸軍士官学校に入学。不老不死の知恵と戦略的洞察力、不屈の意志で頭角を現し、4430年には少尉としてロフィルナ陸軍に配属された。やがて結婚し、妻と娘、息子たちとともにグロノヴェイルで暮らし始めたが、セトルラームの影響下でロフィルナの社会不安は増大していた。4500年、ラマーシャ公国のジェルビアで平和条約が結ばれ、大戦は終結。ロフィルナはセトルラームの経済支配と国際共立監視軍の駐留により、国民の不満とナショナリズムが高まっていた。

セトルラームの進駐と家族の喪失

 宇宙新暦4530年、セトルラーム共立連邦がロフィルナ王国に進駐を開始。ロフィルナの反共立感情とナショナリズムの高まりを抑えるため、セトルラームは軍事力を背景に強硬な統制を敷いた。グロノヴェイル近郊のティラストの故郷も占領の標的となった。セトルラーム軍は「反乱分子の摘発」を口実にティラストの家族を彼の目の前で虐殺。父は抵抗中に銃で蜂の巣にされ、母は叫びながら斬り刻まれ、兄弟は殴打されて息絶えた。ティラストの妻は屈辱的な暴行を受けた後、喉を切り裂かれ、幼い娘と息子たちは無慈悲に銃殺された。ティラスト自身も言葉にできない残虐な仕打ちを受けた。鎖で縛られ、家族の死を嘲笑うセトルラーム兵から執拗な殴打と拷問を受け、肉体に深い傷を負った。不老不死の体は傷を癒したが、精神は屈辱と絶望に引き裂かれた。「ロフィルナの蛮族」と侮辱する兵士たちの笑い声と、家族の血に塗れた光景が、彼の心に消えない復讐の炎を刻んだ。セトルラームは公式に「誤認による民間人被害」と主張したが、ティラストにとってそれは家族と尊厳を踏みにじった許しがたい罪だった。この惨劇は、彼を「人間」から「煉獄の化身」へと変貌させ、セトルラームへの憎悪を燃え上がらせた。

第二次ロフィルナ革命

 宇宙新暦4900年代、ロフィルナ王国セトルラーム共立連邦の経済的・軍事的支配による抑圧と、国内のナショナリズムの爆発により、第二次ロフィルナ革命が勃発した。ティラストは、この革命の中心人物として、ロフィルナ陸軍内の過激派を糾合し、「ロフィルナの魂を取り戻す」ことを掲げた。同4902年、彼はグロノヴェイルの民兵組織「焔魂義勇軍」を結成し、セトルラーム駐留軍へのゲリラ戦を展開。革命の初期、ティラストはセトルラームの補給基地を襲撃し、数百人の民間人を含む施設を焼き払った。この行為は「グロノヴェイルの焦土」と呼ばれ、ジェルビア星間条約同盟や周辺星系の勢力から非難されたが、ティラストは「敵の血でしか自由は買えない」と主張し、民衆の支持を獲得。革命の最中、彼はセトルラームの傀儡政権高官を公開処刑し、その映像を惑星全土に配信。ロフィルナのナショナリズムを煽り、革命を過激化させた。同4907年、ティラストの戦略的狡猾さと民兵の狂信的な忠誠により、革命は成功。セトルラームをはじめとする海外資本は、ロフィルナの激烈な抵抗と星間社会の圧力を受け、撤収を開始した。革命の成功はロフィルナの自治を回復させたが、ティラストの無差別攻撃や民間人虐殺の扇動は、星間連合の記録に「煉獄狂焔の革命」として刻まれ、彼の名を宇宙規模の戦争犯罪者として確立。レルナルト・ヴィ・コックス大宰相は、ティラストの冷酷な戦略と民衆を扇動するカリスマを「狂気の化身」と評し、彼をロフィルナ最大の脅威と見なした。革命の成功はロフィルナの反セトルラーム感情をさらに強固にし、後の転移者星間戦争における戦争犯罪の火種となった。ティラストの悪行—公開処刑、焦土作戦、民衆の過激化—は、星間社会に深い亀裂を残し、ロフィルナを孤立させる一因となった。

対軍閥闘争

 共立公暦400年代、ティラストはロフィルナ陸軍内で頭角を現し、セトルラームの影響下で分裂したロフィルナ王国の軍閥との対立を深めた。ロフィルナは、複数の軍閥が自治を主張し、セトルラームやジェルビア星間条約同盟との関係を巡って分裂していた。ティラストは、軍閥の「妥協派」を「ロフィルナの裏切り者」と糾弾し、武力による統一を試みた。同450年、彼は軍閥連合「ステラム・シュラスト州国」への攻撃を開始。惑星イドゥニアの南中央大陸の北部都市バルグラズを舞台に、軍閥の指導者たちを次々と暗殺し、拠点を焦土化する「バルクシオンの粛清」を実行。この作戦で、ティラストは軍閥の民兵や家族を含む数千人を虐殺し、都市の経済を壊滅させた。彼の部隊は、風と炎の令咏術を駆使して軍閥の要塞を焼き払い、炎の旋風で逃亡者を追い詰める冷酷さを見せつけた。ティラストの戦場での姿—炎に包まれ、敵を灰に変える姿—は、部下に畏怖と狂信的な忠誠を植え付けた。この行為は、レルナルト・ヴィ・コックス大宰相に「制御不能な狂気」と恐れられ、ティラストの軍事的才能と破壊衝動がロフィルナの内戦をさらに激化させた。同460年、ティラストは北部軍閥の残党を吸収し、ロフィルナ陸軍を自らの支配下に置き、ジェルビア星間条約同盟との連携を強化。軍閥闘争での彼の行動は、ロフィルナの統一を名目にした復讐の連鎖であり、セトルラームの影響を排除するための狡猾な策略でもあった。バルグラズの廃墟に立ち、ティラストは「ロフィルナの敵は全て灰にする」と宣言。この言葉通り、ステラム・シュラストの遺産を徹底的に破壊し、ロフィルナの軍事力を再編した。ティラストの「煉獄の炎」は、敵対勢力を焼き尽くすことでロフィルナの内戦を終結させ、彼の悪名を星間社会に轟かせた。この粛清は、ロフィルナの過激なナショナリズムを星間社会に印象づけ、ティラストを「戦争の怪物」として恐れられる存在に押し上げた。

復讐の誓い、地獄の化身となりて

 家族の惨殺と自身への残虐な仕打ちを機に、ティラストは復讐を誓い、ロフィルナ陸軍の中でも特に過激な指導者へと変貌を遂げた。共立公暦587年。転移者星間戦争が勃発すると、ロフィルナはジェルビア星間条約同盟の一員として参戦。ティラストは中尉から大佐に昇進していた。惑星シアップの戦場において、アリス・インテンションへの報復作戦を実行し、無差別攻撃を扇動。数千人の民間人虐殺を繰り返した。この行為は国際社会の非難を招き、戦争犯罪の指摘を受けたが、ティラストは「敵の血でしか味方は守れない」と主張。部下からは「煉獄狂焔」と畏怖され、そのカリスマによる狂信的な忠誠を集めた。共立公暦591年、グランドウィンド停戦協定をもって一連の戦いは終結したが、ティラストの炎は鎮まらなかった。帰国後、レルナルト・ヴィ・コックス大宰相の粛清計画を察知し、軍を離れてグロノヴェイルの民兵組織「大罪会議」を結成。同592年、グロノヴェイルの戦闘で、聖イドルナート祭を隠れ蓑にセトルラーム・オクシレイン大衆自由国連合部隊と激突。リッケンフェール・タワーでの籠城戦を指揮し、1,000~2,000人の民兵を率いて壊滅的な抵抗を試みた。彼の戦略的狡猾さと狂気が頂点を迎え、ロフィルナのナショナリズムに火をつけたが、連合部隊に敗北し、ティラストは拘束された。

抑留時代:メレザ・レクネールとの邂逅

 共立公暦592年、ティラストは戦争犯罪者として文明共立機構の抑留施設に移送。冷たい独房で、彼は自らの罪と向き合うことを拒み、セトルラームへの復讐の炎を燃やし続けた。この時期、メレザ・レクネール(後の常任最高議長)との対話が人生の転換点となった。メレザは彼を「人間」として扱い、「あなたは生きてる!一人の人間として!」と訴えたが、ティラストは嘲笑。「俺は冷酷な人殺しさ。宇宙は地獄だ」と吐き捨て、セトルラームへの怨念を吐露。目の前で家族が「笑いながら踏みにじられ」、自身が受けた拷問の傷を語り、戦争の連鎖を肯定するニヒリズムを突きつけた。メレザの揺るがない眼差しと「人間性」への信仰は、ティラストの心に微かな亀裂を生んだ。彼はそれを否定し続けたが、独房の孤独な夜、彼女の言葉が炎の奥で燻り続けた。この対話は、ティラストの信念を揺さぶりつつ、破滅的運命を決定づけた。メレザとの邂逅は、彼の狂気を一時的に鎮める可能性を示唆したが、復讐の炎は消えることなく、後の運命に影を落とした。

処刑と身分の刷新

 共立公暦593年、ティラストは戦争犯罪の罪で公開裁判にかけられた。ロフィルナ王国の民衆は彼を英雄視し、セトルラームやオクシレイン大衆自由国への抗議デモが続発したが、共立機構の判決は厳格だった。共立公暦594年、彼は公式に処刑されたと発表されたが、これは偽りの処刑だった。ティラストの名は記録から抹消され、新たに「エリスト・ヴィ・クロヴァンス」として身分を刷新。「燃え盛る灰」を意味するこの名は、彼の過去を灰にした共立機構の意図を反映していた。処刑後、ティラストは文明共立機構第4816号決議指定組織・独立特命即応特殊大隊「ゼノアビリティ・プラン」(XaP)に移籍。「手が付けられない猛獣」として、共立機構の最も危険な任務に投入された。XaPは最高評議会議長と防衛統括部長官の直轄下にある特殊部隊で、情報収集、テロ防止、緊急対応を担う。ティラストの異能能力—「煉獄狂焔」の戦闘力、不老不死による精神的不屈性、戦略的狡猾さ—は、XaPの即応任務に最適だったが、彼の復讐心と狂気は部隊内でも制御が難しいとされた。過酷な任務は、極限環境での単独作戦や、特異収集局との管轄対立による危険な事案を伴い、ティラストの精神をさらに磨耗させた。それでも、彼は任務を遂行し続け、XaPのエージェントとして「Mr.X」や七草ヒメリらとともに危機を切り抜けた。同1000年時点(16アストラ歳、肉体年齢30代)、エリスト・ヴィ・クロヴァンスの行方は不明だが、ロフィルナの地下組織で「煉獄の亡魂」が暗躍する伝説が残る。ティラストの炎は、イドゥニア世界の亀裂を焼き続けている。

人物

  ディース・ヴィ・ティラスト(エリスト・ヴィ・クロヴァンス)は、復讐の炎に身を焦がす複雑かつ矛盾に満ちた人物である。外見は、ロフィルナ人特有の鋭い目つきと、戦場で鍛えられた筋骨隆々の体躯を持ち、セトルラーム進駐軍から受けた拷問の傷跡が刻まれている。かつては家族思いの温厚な青年であり、妻や子らとの平穏な生活を愛していたが、家族の虐殺を目の当たりにしたことで心は破壊され、冷酷な復讐鬼へと変貌した。彼の言動は、ニヒリスティックで皮肉に満ち、宇宙の無秩序と人間の残酷さを信条とする一方、メレザ・レクネールとの対話で垣間見せた微かな動揺は、完全に失われたわけではない人間性を示唆する。ティラストは、部下や民兵に対して圧倒的なカリスマを発揮し、絶望的な戦況でも彼らを鼓舞する指導力を持つが、その統率力は狂気と恐怖にも裏打ちされている。「煉獄狂焔」の異名通り、感情が爆発すると制御不能な破壊衝動に駆られ、敵味方問わず焼き尽くす危険性を孕む。戦場以外では寡黙で、過去の記憶や家族の幻影に苛まれることが多く、独房や任務の合間に見せる孤独な表情は、彼の内面の深い傷を物語る。ゼノアビリティ・プランでの任務では、味方に対しても距離を置き、信頼より必要性で結びつく関係を好む。ティラストの信念は「奪われたものは血でしか取り戻せない」という復讐の論理に支配されており、セトルラーム共立連邦への憎悪は彼の存在そのものとなっている。それでも、メレザの言葉が心の奥底に残した波紋は、彼が完全な怪物になりきれない人間性の名残を示し、彼の行動に予測不能な揺らぎを与えている。ロフィルナの民衆にとって彼は英雄であり怪物であり、イドゥニア世界における戦争の傷跡を体現する存在として、畏怖と憧憬の対象であり続ける。

戦闘能力

 ディース・ヴィ・ティラスト(エリスト・ヴィ・クロヴァンス)は、令咏術(タクトアーツ)の達人であり、春属性(プリマヴェーラ)と夏属性(エスターテ)を組み合わせた風と炎の操作において卓越した才能を発揮する強力な令咏術師である。異名「煉獄狂焔」に相応しく、彼の戦闘スタイルは破壊的かつ圧倒的で、戦場を焦土と化すほどの力を誇る。ロフィルナ王国陸軍時代に培った戦略的洞察力と、転移者星間戦争やグロノヴェイルの戦闘での実戦経験により、単なる術者を超えた戦術家としての能力を持つ。春属性を活用し、風を自在に操るティラストは、戦場での機動性と牽制を得意とする。ホログラムシートを瞬時に展開し、鋭い突風や旋風を発生させて敵の陣形を崩し、味方の進撃を援護。風を刃のように凝縮し、遠距離からの斬撃を放つ「嵐刃(ストームブレード)」や、周囲に暴風の障壁を形成する「風吼壁(ウィンドロア)」といった術式を駆使する。これらの技は、液状半導体の精密な制御と彼の戦闘センスにより、予測不能な軌道で敵を翻弄する。特に、風を操る際の詠唱速度は常人を遥かに超え、複数のホログラムシートを並行操作して連続攻撃を可能とする。

 夏属性では、炎を操る能力が彼の破壊力の核心。地獄の業火を思わせる高熱の炎を発生させ、広範囲を焼き尽くす「煉獄炎陣(パージフレイム)」や、集中した火球を連続発射する「焔嵐弾(フレアテンペスト)」を放つ。これらの術式は、媒介エネルギーとして大気中の酸素と熱を最大限に利用し、ティラスト自身の体機能を極限まで酷使することで威力を増す。彼の炎は、単なる物理的破壊を超え、敵の士気を挫く心理的効果も持つ。グロノヴェイルの戦闘では、リッケンフェール・タワーを包む炎の壁を展開し、連合部隊の進軍を阻んだ記録が残る。
 ティラストの真骨頂は、風と炎の融合による独自の戦闘スタイルである。春属性の風で炎を加速・増幅させ、火炎旋風や爆発的な熱波を発生させる「狂焔乱舞(インフェルノワルツ)」は、彼の狂気と破壊衝動を体現する必殺技。この術式は、複数のホログラムシートを同時操作し、複雑な詠唱を高速で行う高度な技術を要するが、ティラストはこれを直感的に実行。戦場を一瞬で煉獄に変えるその威力は、セトルラーム共立連邦の精鋭部隊すら退けるほどだった。ただし、これらの強力な術式は彼の肉体に大きな負担を強いる。ゼノアビリティ・プランでの任務では、過酷な環境下での連続使用により肉体が磨耗し、精神的な不安定さが戦闘に影響を与えることもあった。

 ティラストは風と炎のスクリプトを切り替える際、卓越した詠唱技術と戦術的判断により、状況に応じて最適な術式を選択する。転移者星間戦争でのアリス・インテンション戦では、風による牽制から炎の集中攻撃へと瞬時に移行し、敵の防御網を突破した。また、近接戦闘にも優れ、風を纏った格闘術や炎を帯びた武器攻撃を織り交ぜ、術式が使えない状況でも脅威となる。文明共立機構の評価では、ティラストの戦闘能力は「単独で小規模軍団を壊滅させうる」とされ、ゼノアビリティ・プランの特命エージェントとして極限任務に投入された理由でもある。しかし、彼の戦闘能力は精神状態に大きく左右される。復讐心と狂気が力を増幅する一方、家族の記憶やメレザ・レクネールの言葉が心の奥で揺らぐ瞬間、術式の制御が乱れることがある。この不安定さが、ティラストを予測不能な存在にし、敵味方双方にとって危険な刃とする。共立公暦1000年時点で、彼の「煉獄の炎」は依然としてイドゥニア世界の戦場に影を落とし、伝説的な令咏術師として語り継がれている。

語録

「俺の炎は消えねえ。家族の血が、セトルラームの笑い声が、俺を燃やし続けるんだ」

「正義? 勝者が書く綺麗な物語さ。俺はただ、奪われたものを灰で返すだけだ」

「戦場に人間性なんざねえ。あるのは血と鉄と、燃え尽きるまでの憎しみだけだ」

「メレザ、俺を人間だと言うなら、この煉獄を止めてみろ。無理だろ? 宇宙は地獄なんだよ」

「戦士よ、立て! ロフィルナの土は俺たちの血で守る!敵を焼き尽くせ!」

「笑えよ、セトルラーム。俺が家族の前で笑ったように、俺がお前らの全てを灰にするまでな」

「この傷は消えねえ。だが、俺の炎はもっと深い傷を敵に刻むぜ」

「グロノヴェイルは俺の墓標だ。だが、死ぬ前に連合の旗を燃やしてやる」

「人間性? そんな甘っちょろい言葉、家族が死んだ日に燃え尽きたよ」

「俺の名はティラストでもクロヴァンスでもいい。どう呼ぼうが、煉獄の炎は変わらねえ」

「復讐は終わりじゃねえ。始まりだ。セトルラームが灰になるまで、俺は燃え続ける」

「敵の血が流れねえ戦場に、勝利はねえ。俺は地獄を呼び込むぜ」

「お前も家族を失ってみろよ。そしたら分かる。俺の炎がなぜ消えねえのか」

「共立機構の法? ふん、俺の法は一つだ。奪った奴は燃やす。それだけさ」

「メレザの目は、俺を刺した。だが、それでも俺の心は灰だ。救いなんざねえよ」

「恐れるな! 死すら俺たちの炎で焼き尽くしてやる!」

「アリス・インテンション? ただの標的さ。奴らの血で、俺の復讐は始まっただけだ」

「夜毎、家族の声が聞こえる。『生きろ』ってな。だから俺は燃える。死ぬまでな」

「ゼノアビリティ・プラン? 俺を飼い犬にしたつもりか? 猛獣は鎖じゃ縛れねえぞ」

「ロフィルナの魂は俺の炎だ。どんな闇も、どんな軍も、焼き尽くしてやるぜ」

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最終更新:2025年04月21日 21:11