グロノヴェイルの戦闘

グロノヴェイルの戦闘
Guronoveiram fean(ロフィルナ語)
Fe an Guronoveir(オクシレイン語)
時代 共立公暦592年5月3日
場所 ロフィルナ王国
革命記念都市グロノヴェイル
結果 戦争犯罪人複数名の拘束
交戦勢力
大罪会議
グロノヴェイル自警団
単独武装民兵
セトルラーム共立連邦
オクシレイン大衆自由国
指導者
ディース・ヴィ・ティラスト
他、複数の地方名士
ヴァンス・フリートン
センジュ・アン・アクセルン・ヴィン・アンニオ
戦力
ティラスト派正規将校30名
グロノヴェイル武装民兵15000~25000名
単独民兵14000~16500名
セトルラーム駐留軍800名
第27特殊作戦連隊特殊作戦群250名
損害
戦死1,000~2,000名
負傷4000~5000名
拘束186名
戦死121名
負傷305名
墜落4機
破壊52両

 グロノヴェイルの戦いロフィルナ語:Guronoveiram fean、オクシレイン語:Fe an Guronoveir)は、グランドウィンド停戦協定以降の共立公暦592年、セトルラーム、ロフィルナ、オクシレインの三ヶ国間の合意に基づいて履行された軍事作戦である。戦争犯罪人の逮捕を目的とした紛争。係る逮捕作戦の実行にあたっては、ロフィルナ政府が主催する聖イドルナート祭の形式に従うことが条件とされた。そのため、同国正規軍による監視のもと、セトルラーム、オクシレインの両国が執行部隊を派遣し、問題の戦争犯罪人の拘束に至ったのだという。戦いの場として指定されたグロノヴェイルにおいては、先の転移者星間戦争において虐殺を扇動した陸軍部隊の指揮官が列席。その支持基盤となったロフィルナ国民の不満を抑えるべく伝統的な祭りとしての体裁が整えられた。責任追及の矢面に立たされたheldo主導国のセトルラームは同盟内部の衝突を避けるため、これに同意し、戦後処理を命題とする国際社会の妥協を促した経緯がある。


背景

問われるセトルラームの指導力

 共立公暦590年。転移者の処遇を巡るラヴァンジェ及びオクシレインの対立は、主戦場となったシアップの紛争を過熱させた。これにより、対応を迫られた共立機構は平和維持軍を派遣し、事態の収集に乗り出したが、過剰防衛を禁じる厳格な規定が仇となって多くの犠牲を出してしまったわけである。この一連の混乱の中で、平和維持活動による支援を表明したheldo各国は現地に軍を派遣。これにより、平和維持軍の弱点を補えるものと期待されたが、heldo内部の温度差もあり、その実態は自国民の救出を優先するという極めて酷薄な作戦へと推移した。その主な原因として、ラヴァンジェ当局に対して反旗を翻したAIn(アリス・インテンション)の攻撃が激しさを増したこと。それに対して最も苛烈な報復に及んだロフィルナ陸軍の暴走によって事態の収拾に非常な困難を伴った経緯がある。この紛争は戦後処理を巡るオクシレインとセトルラームの外交問題にまで発展し、heldo内部においても責任の所在を巡る加盟国間の対立を引き起こすなど平和維持を命題とする協力体制の脆弱性が露呈した。時のヴァンス・フリートン.セトルラーム大統領は、そうした事態を打開するため自らコックス大宰相と会談。最終的にロフィルナ連邦含む現行同盟の瓦解を避けることで一致し、問題の戦争犯罪部隊について、どのような処遇が適当であるかの調整を続けた。

ロフィルナ国内における粛清計画

 実のところ、コックス大宰相は増長する地方軍閥に手を焼いており、特に戦闘意欲が旺盛な過激派を如何にして処理すべきか腐心しているのが実情であった。転移者戦争における陸戦部隊の派遣も戦死による影響力の低下に期待していたのが正直なところで、予想以上の戦果を収めてしまった彼らに対し恐怖の首領たるコックスは軍事クーデターの危機に直面したのである。かといって、一度振り上げた拳を下ろすことは国内外に対して恥じるプライドもあるがゆえに認めるわけにはいかず、事態収拾のために訪れたフリートン大統領との交渉で難しい決断を迫られた。結果的に同盟関係を持続させることで一致した両者は他のheldo加盟国を納得させるための措置を検討。ロフィルナに対する当面の制裁措置を「事実上容認」する方向にシフトした上で、対黒丘政策の調整に入った。戦争犯罪人の処罰に関して、強力な確約を得たフリートン大統領はオクシレイン本国へ自ら赴き、セトルラームの本気度を「証明」する共同作戦の交渉を練り上げたのである。粛清準備を整えたコックス大宰相は、聖イドルナート祭の開催を名目として問題の戦争犯罪集団をグロノヴェイルに誘導した。この計画は、戦後処理を命題とする国際社会と勢力図の塗り替えを目論むロフィルナ政府の画期的な妥協点として推奨された。

経緯

商業区域サブストリート攻防戦

 半径100kmにも及ぶグロノヴェイルの都市構造は円形の砲塔城塞で囲まれて久しく、中心部に一際目立つ高層建築物が鎮座していた。その名をリッケンフェール・タワーと称し、オクシレイン特殊作戦群を中核とする連合部隊は戦争犯罪の主犯たる多くの将校がビルの最上階に立てこもっている情報を確認したのである。作戦の実行にあたっては当初、無反動推進ヘリ10機を主体とする電撃戦によって速やかに中心部を制圧する計画が実行されるはずであった。しかし、先のコックスの策動を予想したティラスト派が事前の申請内容とは異なる部隊展開を実施し、この一連の動きを疑ったセトルラーム駐留軍の提案を受け入れる形で急遽陸路での進軍プランに変更されたのである。セトルラーム・オクシレインの両軍からなる連合司令部は、当初の予定である作戦開始時刻に修正を加え、ジェルビア時刻の午前3:00分、セ連機動海兵による大規模な面火力投射を加えた上での突撃を開始した。午前3:20分。商業区域に侵入したオクシレイン特殊作戦群は、第一特殊歩兵分隊、同火力支援分隊を繰り出し、正門ゲート付近の防衛にあたっていたロフィルナ民兵数百人を追い払った。同時にセトルラーム機動空兵による側面射撃が実施され、メインストリートに陣取る数千人規模の自警団を釘付けにしたのである。その隙に狭い路地へと躍り出た特殊作戦群は同自動車化歩兵分隊が有する兵員装甲輸送車に乗り込み、左右の建物から銃弾を浴びせてくる単独武装民兵数百人を蹴散らしつつ前進した。

地下セクション防衛戦

 戦局は同4:00の時点でロフィルナ側に1000人以上の死傷者が生じる一方的な状況であったが、同4:30頃、メインストリートから押し寄せたグロノヴェイル自警団5000名超と接敵した頃から徐々に連合部隊にも被害が生じる事態へと推移した。これを受けて、サブストリートの左右を固めたセトルラーム機動部隊は後方の無反動推進ヘリ3機を投入。上空からの精密射撃による無慈悲な措置を講じてオクシレイン側の装甲車に道を開けた。同5:30分頃、一度に大勢を相手できない連合部隊は商業区域の地下セクションに陣地を築き、狭い経路からの突撃を試みる敵武装民兵の侵入を防いでいた。この時点でセ連機動部隊の死傷者数は52名に達しており、前線で戦うオクシレインの特殊作戦群もティラスト側の猛攻を受け、防御を固めざるを得ない事態に直面した。最終的には12両を盾に応戦を続ける体制となったが、ロフィルナ側も経路に積み重なった死体を盾に用いるなどしてじりじりと距離を詰めてきたのである。

犯罪人の確保とタワー上層における籠城戦

 午後12:00の時点で3000人以上の死傷者を出した武装民兵は一時地下上層部に撤収。体制を整えた連合部隊は地下深層エリアの列車を拝借し、残った装甲車両とともに再び中心部に向けての行軍を再開した。12:55分から13:20分に至るまでの道中において夥しい数の武装民兵と接敵し、更に15人の死者と、94人の負傷者を出した。地上では残る8機のヘリがメインストリートに陣取る自警団主力を引き付けていたが、1機が撃墜された時点でゲート方面への撤退を余儀なくされた。墜ちたヘリのパイロットは暫く生存し、ハンドガンを用いて戦ったが、激昂した数百名のグロノヴェイル市民に殺到され、どうすることもできずに殉職した。13:30分頃、リッケンフェール・タワーの中層部に到達した連合部隊は地上から突き出された複数人の無惨な遺体を目撃することになる。セトルラームの機動海兵が地上からの追撃を阻止する中、オクシレインの特殊作戦群はタワー上層のティラスト派を拘束し、ヘリによる屋上からの脱走を試みた。しかし、遠方への後退を余儀なくされたヘリ部隊に駆けつける余力などなく、タワー内部での籠城を余儀なくされた連合部隊は事実上、死を待つのみの状況へと追い詰められた。

脱出経路における大規模火力レース

 18:27分頃、絶望的な激戦の最中、降伏を検討し始めた、その時に状況が一変した。一階エントランスホールの戦いで通信が途絶し、行方不明となっていた機動海兵複数人が地下道からの自爆攻撃を実行し、メインストリートもろとも広範囲の道路を陥没させたのである。勝利を確信して酒盛りに興じていたロフィルナ側の民兵は無造作に積まれた強化弾薬の誘爆に巻き込まれ派手に散っていった。正面ゲートの手前で戦闘を継続するヘリ部隊はこの機を逃さず、直ちに連合部隊救出のための行動に打って出た。19:48分、1機の犠牲と引き換えに道中の激戦を掻い潜り、ついに連合部隊との合流に成功したのである。残る自動車化歩兵はセ連海兵を主力とする揺動作戦に参加し、複数のサブストリートを突っ切りながら敵主力の撹乱を引き受ける役割を演じた。20:30分に戦争犯罪者の護送を成功させた特殊作戦部隊は再び渦中の市街に引き返し、包囲されつつあった残りの生存部隊の救出にあたった。軍事的には全滅といっても過言ではない多くの犠牲と引き換えに目的を果たした連合部隊は順次市街からの脱出を成功させ、ロフィルナ正規軍が陣取る分厚い境界線を突破した。同正規軍の終戦判定にも関わらず、興奮を抑えられない多くの武装民兵が境界線を越えようとしたが、これまでとは比較にならない無慈悲な機関砲の斉射を受けて市内への撤退を余儀なくされたという。21:55分、問題の戦争犯罪者全員の無事を確認した連合部隊は、道中の地域パトローラーに道を開けるよう要求。双方の緊張は激発寸前にまで達したが、22:30分、現地の指揮官が渋々封鎖を解いたことで事前の約束は無事に履行された。

影響

列強その他の国家間における確執

 23:27分、連合部隊はディース・ヴィ・ティラスト以下、拘束された戦争犯罪人を平和維持軍に引き渡し、長い一日の任務を終えた。これにより、関係各国の面目は保たれたが、ロフィルナ政府を率いるコックス大宰相の心境はもっと複雑であった。今作戦の成功で、少なくとも政権に歯向かう恐れのある不穏分子(戦闘狂)を一掃することには成功した。しかし、それは政権の安泰を確定するものではなく、国際社会に約束を履行させるための戦いの始まりを意味した。5月8日。一向に連絡を寄越さないセ連政府に痺れを切らしたコックスは、ラマーシャ、ファルランベルク、フィンスパーニア国境の緩衝地帯に砲弾を打ち込むよう指示。同5月9日に大統領が訪問すると、物々しい軍事パレードとともに派手な出迎えを実施し、即刻ロフィルナへの制裁を緩和するよう暗に恫喝したのである。額に青筋を浮かべ、柔和な表情のコックスを前に、全てを察したフリートンは工夫の余地など一ミリもないことを悟って対決姿勢に転じる覚悟を固めた。結論から述べると制裁自体は緩和され、ロフィルナの経済基盤に対する支援措置も講じられた。共立公暦655年、ラムティス条約に基づくロフィルナ王国の大量破壊兵器削減措置が実行されると、複数ヵ国による王国復興への更なる支援措置(事実上の通常戦力強化支援)も実施され、イドゥニア世界は以後暫しの平和を維持できる情勢となった。しかしながら、国際社会による対ロフィルナ外交への包囲網も形成されつつあり、これに不信感を募らせたコックスはユピトル連合など反大国主義的勢力との接近を強めたのである。そうしたロフィルナ政府の抵抗は、陣営間の馴れ合いを嫌うラヴァンジェメイディルラング王政連合の国益と合致し、既存の陣営に対して広範な情報共有ネットワークの強化に繋がった。現行秩序の不安定化に直面した列強三国は物理的互恵関係の緊密化を推し進め、きたるべき軍事衝突の危機に備えた。

目的の達成と軍事的な敗北

 今作戦における目的の遂行をもって、セトルラーム政府は国際社会における緊張の緩和をアピールした。一方、セ連国内における今作戦の評価は非常に厳しいものがあり、野党から損失責任の追求を受けるなど、多方面にわたってフリートン大統領の説明責任が問われたのである。オクシレイン政府も当初の予想に反して多くの犠牲を出したことに落胆しており、今後の戦略に活かしていく方針を示した。後にグロノヴェイルの教訓と呼ばれることになる、今次作戦の戦略的失敗をもって弱小と思われていたロフィルナ民兵の強さが知れ渡ったとされる。この一連の報道は渦中のコックス大宰相にとって好ましいことではあったが、同時に更なるセトルラームの軍事干渉をも覚悟しなければならない局面でもあった。セトルラーム・オクシレインの両国は帝国とともに陣営間のネットワークを強化することで合意し、責任問題の炎上に期待する一部国家の躍動を牽制した。

ユミル・イドゥアム連合帝国の復興支援

 連合帝国の方針は元々、反民主主義を掲げるものであり如何なる形であれオクシレインとの関わりを否定するものであった。今次作戦の成功を受けて、民主主義諸国の更なる躍動を警戒したトローネ皇帝は、追求の矢面に立つフリートン大統領を支援するための大規模な支援物資の提供を申し出たとされる。これにより、当面の脅威となりうるオクシレインの内政干渉を牽制するとともに共立同盟におけるセトルラームの求心力低下を最小限に留められるであろうことが期待された。提示された支援プログラムのうち、係る戦闘において損害を被った軍人及び市民に医療、食料、その他の日用雑貨を、グロノヴェイル市役所にインフラ及び建造物の修復を、セトルラームに対しては破壊された兵器の補充を支援する。また、この履行にあたっては地元軍閥による着服の防止を徹底するため、連邦共同体の長たるアリウス女大公の名のもとに分配することで合意した。以上の施策により、イドゥニア世界における帝国のプレゼンス増大を懸念した王政連合は、史上異例となる共立同盟との合同軍事演習を提案。対するセトルラームは時期の悪さを理由に辞退し、その他の共立同盟諸国もほぼ同様の対応を示したが、ことロフィルナ王国に限ってはコックス大宰相の独断で受諾され大規模に実施するという行動に及んだ。事態のエスカレーションを望まないフリートン大統領の抗議に対し、ロフィルナ政府は主な支援対象となる自国の意向を差し置いてセトルラームが交渉の中心窓口となっている現状への不満をあらわにした。

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最終更新:2024年02月25日 23:07