ラ・ブレーザ・フェリーチェ

[解説]
ヘイゼルニグラートの周辺で栽培されている林檎を使った発泡酒で、アモーレ・アルティジャナーレと同じく、創業当初から製造されていたもの。
その製法は、外気にさらして完熟させた林檎を圧搾して得られた果汁をヘイゼルニグラート産のホワイトオークで作られた樽に入れ、林檎の表皮についている酵母による自然発酵を行うというもので、通常、自然発酵をさせた場合には、林檎の表皮に付着した雑菌が繁殖しダメになる樽がいくつか出るはずであるのだが、リュトン・ピエーノでは仕込みの際に水魔法を用いて有用な酵母の活性化を行なっており、雑菌の繁殖が抑えられている。
もっとも、この手法は微生物学的な知見によって発見された訳ではなく、酒作りの繰り返しの中で醸造家達によって編み出されてきた手法であるため、醸造家達に、雑菌の繁殖を防いでいるという意識はおそらく無いであろう。
酒の精霊に嫌われないために必要な一手間。ということなのだ。
酒の精霊に嫌われないために必要な一手間。ということなのだ。
このような製法は創業当初からほぼ変わっておらず、ヘイゼルニグラートに伝わる古き良き地酒の1つとしても親しまれている。
その味や飲み味は、林檎のフルーティな甘さとほのかな酸味が特徴で、炭酸の爽快感と合わせて「ラ・ブレーザ・フェリーチェ(幸せのそよ風)の名前の通り、「幸せを運ぶ春のそよ風のようだ」とも形容されるほどで、アルコールが苦手な人であっても飲みやすいとされる。
そのまま飲むことも好まれるほか、カクテルに使われることも多い。また、そのさっぱりとした口当たりはチェイサー(強い酒類や料理の口直しとして飲まれる水やアルコール度数の低い飲料のこと)としても適しており、レストランやバーなどでも提供されている。
発酵時間により、辛口、中辛、甘口に分類されており、発酵時間が長くなるほど酵母によるアルコール発酵が進むため、糖分がアルコールと炭酸に分解されることでアルコール度数が上がり、辛口となる。
それぞれ、味によって合う料理が異なっており、辛口は酸味が生臭さや青臭さを打ち消すため魚料理や野菜類と、中辛はフルーティな林檎の香りが肉とよく合うため肉料理と、甘口は林檎本来の優しい甘みが塩味の強いチーズなどと合うためおつまみや前菜と相性が良いとされる。