機装兵スラッシャー(エクス・ブールヌィ聖王国仕様)
[解説]
聖華暦796年末のある時、聖華鍛冶師協会に属する、とある機兵開発チームは危機に陥っていた。成果発表会を前に準備してきたミーテリス系新型試作機兵が「崩壊」したのである。
原因はフレーム改良の際の構造設計のミスであった。
このこと自体はあり得る話だったものの、発表会に提出できるものがない、というのは今後のチームや社員の評価に響く深刻な事態であった。
原因はフレーム改良の際の構造設計のミスであった。
このこと自体はあり得る話だったものの、発表会に提出できるものがない、というのは今後のチームや社員の評価に響く深刻な事態であった。
そこで苦肉の策として選択したのは外部から調達する方法である。ちょうど同盟で開発中止になった機体があるという情報が入ったのだ。
ちなみに聖王国内では機兵開発の際に他国(同盟)から技術を買う、ことがよく行われていた。開発能力で一歩遅れている、というのもあるが、『科学技術禁止法』の影響もあった。
つまり開発のライバルに対して、『科学技術禁止法』違反を訴えて妨害する手法が発明されたのだ。聖王国は宗教国家のため、他国以上に取り締まりが厳しく、開発が遅延したり、計画そのものが中止されたり被害は大きかった。実際にはその行為そのものが諸刃の剣なので、一時期猖獗を極めた後、紳士協定によってあまり行われなくなったが、当時の対策法の一つが、他から技術を買っておいて、「我々が開発した技術ではない」と言い逃れる手法だったのである。
実際それ以外でも情報が手に入る利益は大きく、同盟としても開発費の回収ができるため、その後もよく行われていた。
つまり開発のライバルに対して、『科学技術禁止法』違反を訴えて妨害する手法が発明されたのだ。聖王国は宗教国家のため、他国以上に取り締まりが厳しく、開発が遅延したり、計画そのものが中止されたり被害は大きかった。実際にはその行為そのものが諸刃の剣なので、一時期猖獗を極めた後、紳士協定によってあまり行われなくなったが、当時の対策法の一つが、他から技術を買っておいて、「我々が開発した技術ではない」と言い逃れる手法だったのである。
実際それ以外でも情報が手に入る利益は大きく、同盟としても開発費の回収ができるため、その後もよく行われていた。
この機体は稼働時間が極端に短かったが、開発チームはこれが開発中止の原因と判断し、外部冷却装備を準備して成果発表会を乗り切った。
その後も当時の開発コンセプト、「ミーレス系の代替となる、操縦負担の少ない、国内治安維持用の機体」に合致していたことから開発が続けられ、聖王国の技術を用いて、装備を削減し機動性を犠牲にしつつも冷却系を改善、むしろ持久力のある機体に仕上げることに成功した。
問題が発生したのはこの後であった。この機体が同盟の開発施設より盗まれ、横流しされていたことが判明したのである。
合同プロジェクトである調律計画のため、共有施設に置かれて警備や管理が複雑になっていた隙を突かれていて、盗難が発覚したのは聖王国で機体が発表された後、という始末であった。
しかも間が悪いことに、機体の実働試験のさなか帝国の機兵部隊と遭遇、何とか切り抜けたものの情報は帝国にまで漏れてしまった。
結果、同盟ではエクス・ブールヌィの開発が大きく停滞することになる。
合同プロジェクトである調律計画のため、共有施設に置かれて警備や管理が複雑になっていた隙を突かれていて、盗難が発覚したのは聖王国で機体が発表された後、という始末であった。
しかも間が悪いことに、機体の実働試験のさなか帝国の機兵部隊と遭遇、何とか切り抜けたものの情報は帝国にまで漏れてしまった。
結果、同盟ではエクス・ブールヌィの開発が大きく停滞することになる。
この事件は、調律計画の主導権を奪おうとしたアイオライト・プロダクションがナイトランナーを雇って仕組んだものであった。
これをきっかけに同盟の軍事企業が非合法活動部門「イリーガルアーミー」やナイトランナー、傭兵を使った企業間抗争、「アライアンス・ウォー」が起こるのであるが、それはまた別の話である。
これをきっかけに同盟の軍事企業が非合法活動部門「イリーガルアーミー」やナイトランナー、傭兵を使った企業間抗争、「アライアンス・ウォー」が起こるのであるが、それはまた別の話である。
他方、聖王国でも責任者の処分が行われたが、これは事態を隠蔽したことに対するものであり、「他国の事情には関与しない」として開発自体は継続され実戦配備までなされた。
これも聖王国に影響力を持つアイオライト・プロダクションの工作のようであり、「アライアンス・ウォー」の結果、同盟国内でアイオライト・プロダクションの影響力が低下した800年代以降は生産が中止されている。
ただし1号機は一旦は事件を隠蔽しようとして改装、「ラ・アバンチュリエ」と改名されある聖王国貴族の手に渡っている。聖王国内でも対応に混乱があったものと思われる。
これも聖王国に影響力を持つアイオライト・プロダクションの工作のようであり、「アライアンス・ウォー」の結果、同盟国内でアイオライト・プロダクションの影響力が低下した800年代以降は生産が中止されている。
ただし1号機は一旦は事件を隠蔽しようとして改装、「ラ・アバンチュリエ」と改名されある聖王国貴族の手に渡っている。聖王国内でも対応に混乱があったものと思われる。
ちなみに『スラッシャー』は元々の(崩壊した)機体の開発ネームで『脱穀機(フレイル状の武器としても使える)または人』の意味である。機体が入れ替わった後も同じ名前が使われた。