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アナと雪の女王

原題:Frozen
公開:2013年11月27日
時間:102分
監督:クリス・バックジェニファー・リー*




  • 目次

ストーリー

王家の娘・エルサは生まれつき持っていた氷の魔力を制御できず、妹のアナに魔法をぶつけてしまう。両親はトロールの長・パビーに頼み、アナを回復させてもらうが、危険を防ぐため、エルサの魔法に関する記憶を失う。成長するにつれ、魔力が肥大化していったエルサは城の中で隔離されて育つ。10年後、姉妹は両親を海難事故で失ってしまう。

それから3年後、エルサの戴冠式当日、エルサは久々に人の前に姿を現すこととなった。アナとの久々の再会も束の間、アナとの口論の末、魔力が暴発。もう国にいることはできないと悟ったエルサは、雪の山奥へと逃げてゆく。

概要

ディズニーの長編アニメーション第53作。同時上映は『ミッキーのミニー救出大作戦*』。

2013年当時、『トイ・ストーリー3』を抜いて最も稼いだディズニーアニメとなった。


後日談として、短編アニメーション『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』(2015年)、『アナと雪の女王 家族の思い出』(2017年)がある。2019年には『アナと雪の女王2』が公開された。

歴史

1937年、ウォルト・ディズニー・プロダクション(現ウォルト・ディズニー・カンパニー)は世界初の長編カラーアニメーション映画『白雪姫』を作りながらハンス・クリスチャン・アンデルセン*の作品の映画化を検討していた。1940年3月、ウォルト・ディズニーサミュエル・ゴールドウィン*率いるメトロ・ゴールドウィン・メイヤー*(MGM)に対してアンデルセン映画の合作を持ちかけた。アンデルセンの生涯をMGMの実写パートで、彼の手掛けた『人魚姫』『マッチ売りの少女』『スズの兵隊』『雪の女王』『親指姫』『みにくいあひるの子』『赤い靴』『裸の王様』のアニメパートをディズニーが担当するという計画だった。しかし、ディズニーは『雪の女王』のキャラクター作りに苦戦し、第二次世界大戦*に突入すると1942年にこのプロジェクト自体が中止になった。

戦後、MGMは単独で『アンデルセン物語』(1952年)を公開。アンデルセンをダニー・ケイが演じ、彼の描いた物語はアニメーションではなく、ミュージカルやバレエで表現された。MGMのこの映画はアカデミー賞*6部門にノミネートしたが、ディズニー側に動きはなかった。

1990年代後半、ディズニーはアンデルセン原作の『リトル・マーメイド』(1989年)からディズニー・ルネッサンス*と呼ばれるアニメ黄金期を迎え、『雪の女王』の映画化を検討し始めたが、グレン・キーン*が他のプロジェクト(後の『塔の上のラプンツェル』(2010年))に専念するため、2002年に中止となった。2006年にディズニーのピクサー・アニメーション・スタジオ買収が完了すると、両スタジオのトップになったジョン・ラセターが2008年にクリス・バックをディズニーに呼び戻した(バックは『ターザン』(1999年)を手掛けた後、移籍していた)。バックがラセターに出したアイディアの中には、『雪の女王』も含まれていた。バックはアンデルセンの映画化というより、王子からのキス以外でディズニー作品の愛を描きたかったと語っている。ラセターも長年『雪の女王』に興味を持っていたことが判明し制作が始まったが、やはり雪の女王のキャラクター作りに苦戦することとなった。

2011年12月22日、『塔の上のラプンツェル』の成功後、ディズニーは2013年11月27日に『Frozen』を公開すると発表。楽曲はクリステン・アンダーソン=ロペス*ロバート・ロペス*が担当し、監督をバック、プロデューサーをラセターとピーター・デル・ヴェッコ*が務めることになった。

キャラクター設定においては、主人公のアナと雪の女王を姉妹にすることで、雪の女王をただの悪役としてではなく家族ドラマのメンバーとして扱うことに決めた。姉妹というテーマはアメリカ合衆国*のアニメーションでは珍しく、ディズニーでも『リロ・アンド・スティッチ』(2002年)ぐらいしか存在しなかった。ディズニー社内では姉妹サミットを開催し、姉妹の思い出などの情報を集めた。

脚本

2012年3月、『シュガー・ラッシュ』(2012年)の脚本家のひとりジェニファー・リー*が採用された。作品の舞台となるアレンデールのためにノルウェー*の研究が行われた。またユニークなキャラクターの冒険という点で、『アラビアのロレンス』(1962年)や『ドクトル・ジバゴ』(1965年)、宮崎駿*のアニメーションも参考にしたという。8月にはラセターとエド・キャットマルの推薦でリーがウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ*の長編映画初の女性監督に選ばれた。

「真実の愛が凍った心を溶かす」という主題は初期から一貫していたが、そこまで至る経緯がなかなか決まらなかった。当初エルサは悪者であり、アナの結婚式を阻止するために彼女を誘拐して吹雪を起こす設定だった。ロペス夫妻はエルサを悪役ではなく自分の力をコントロールできずに葛藤する女の子と解釈し、彼女の心の内を描いた「レット・イット・ゴー」を一日で書き上げた。この曲が決定的となり、エルサのキャラクターや物語全体が書き換えられることとなった。結果として、ラストでアナがエルサを救うラストシーンがジョン・リパ*によって考案され、スタッフたちは大絶賛した。

また、物語の悪役を明らかにする方法についても様々な案があった。そもそも真の悪役は誰なのか、またどのタイミングで明かせば衝撃的か、あまりに露骨すぎて観客に予測されないかなどを吟味した。初期案だとアナはクリストフと出会ってすぐ恋に落ちていたが、ハンス王子と婚約していながらそのような浮気なヒロインでは観客に嫌われてしまうだろう、と設定変更された。

作品のマスコット的存在である雪だるまのオラフは当初エルサの意地悪な相棒の予定で、彼を見たリーの感想は「殺してやりたい」という過激なものだった。

エルサが氷の魔力を手に入れた背景はトロールがナレーションで説明する予定だったが、話が膨らみすぎて予定の尺では収まりきらなかったためにカット、『アナと雪の女王2』(2019年)へと持ち越しになった。
公開一年前になると、物語に違和感が生じ始め、2013年2月から6月にかけて脚本や楽曲の作り直しが必要となった。「生まれてはじめて」は公開のわずか5ヶ月前に完成し、ロペス夫妻曰く最も重要な曲となった。その月にディズニーはアリゾナ州*フェニックスでファミリー向けと大人向けの試写を2回行わせ、ラセターとキャットマルも出席した。スタッフたちは観客からの反響の大きさにこの映画には何かがあると確信し、キャットマルもリーを「よくやったね」と褒め称えた。

キャスティング

2012年3月5日、女優のクリステン・ベルがアナ役に選ばれた。彼女は小さい頃からディズニーアニメに出ることが夢で、幼い頃に「リトル・マーメイド」の「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌った音源がスタッフたちの目を引いたのだという。主人公の収録は物語の変更などに合わせて約20回に渡って行われ、終盤彼女は妊娠していた。ベルは従来のディズニーの女性キャラクターよりも親しみやすい等身大のキャラクターを演じることができて誇りに思っているという。

ブロードウェイのベテラン女優イディナ・メンゼルがエルサ役を演じた。

アニメーション

『塔の上のラプンツェル』のように、CGと従来のアニメーションを融合したスタイルを取っている。

マイケル・ギアイモ*は本作の世界観を形成するためにスカンジナビア*の書籍やソルヴァング*ロサンゼルス*の近くにあるデンマーク*をテーマにした街)の調査を行なったが、結局採用されたのはノルウェー*の風景だった。

ディズニーは3つのチームを研究調査に派遣した。アニメーターと特殊効果のスタッフはワイオミング州*ジャクソンホール*で雪の中を駆け回った。男性スタッフもスカートを履いて雪の動きを学んだ。照明と芸術のチームはケベック州*のアイス・ホテルを訪れて雪や氷の光の反射を学んだ。ギアイモは数名でノルウェーへ向かい、自然や建築、文化を経験した。

キャスト

劇場公開版 新録版
アナ クリステン・ベル 神田沙也加
アガサ・リー・モン(9歳) 諸星すみれ
リビー・スタベンラッチ(5歳:台詞)
ケイティ・ロペス(5歳:歌)
稲葉菜月
エルサ イディナ・メンゼル 松たか子
スペンサー・レイシー・ガーナス(12歳) 小林柚葉
エヴァ・ベラ(8歳) 佐々木りお
オラフ ジョシュ・ギャッド ピエール瀧 武内駿輔
クリストフ ジョナサン・グロフ 原慎一郎
タイリー・ブラウン(幼少期) 関根航
スヴェン - -
ハンス王子 サンティノ・フォンタナ 津田英佑
パビー キーラン・ハインズ 安崎求
バルダ マイア・ウィルソン 杉村理加
ウェーゼルトン公爵 アラン・テュディック 多田野曜平
オーケン クリス・ウィリアムズ 北川勝博
マシュマロウ ポール・ブリッグス 藤原貴弘
アグナル国王 モーリス・ラマーシュ 根本泰彦
イドゥナ王妃 ジェニファー・リー* 最所美咲
カイ スティーブン・J・アンダーソン 飯島肇
ゲルダ イーディ・マクラーグ 増岡裕子
ゴチ ジャック・ホワイトホール
ペブル アニー・ロペス 池田優音
クリフ
トロールの子 石井陽
エリク 遠藤純平
フランシス
シトロン -
シェッキ -
司教 ロバート・パイン 竹本和正
スペインの高官 ジェス・コルティ 桂一雅
アイルランドの高官 タッカー・ギルモア 野川雅史
ドイツの高官 ジェフリー・マーカス
船を降りる男 田村真
母親 大室佳奈
召使の女性 RICO
その他 デイヴ・ボート
フレッド・タタショア
ウッディ・バック
コートニー・ペルドン
ミッキーマウス -(カメオ出演)
ラプンツェル -(カメオ出演)
フリン・ライダー -(カメオ出演)


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楽曲

タグ:

長編映画
最終更新:2024年09月08日 18:45
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