【システム名】 |
改造カード |
【読み方】 |
かいぞうかーど |
【分類】 |
周辺機器 |
【登場作品】 |
『4』『5』『6』 |
【詳細】
『4』から登場した新システム・関連商品。
ゲームボーイアドバンスの拡張機器である「カードeリーダー+」を使用し、専用のカード「カードe+」の
バーコードを読み取ることで対応したデータがゲームに反映されるというシステムになっている。
後のNintendo Switch関連商品「amiiboカード」の原型とも言える試みである。
カードは玩具店や家電量販店などでトレーディングカード形式で販売されており、寸法や包装形態などもほぼ同じ。
価格は5枚入り200円(当時価格)で、『4』では改造カード4枚+ゲームには使用できない「キャラクターカード」が1枚、
『5』以降では改造カード4枚+アイテムが入手できる「アイテムカード」が1枚という構成。
プロモーションアイテムとしての側面も兼ねており、ワールドホビーフェアなどのイベント来場者に配布されたり
雑誌や関連グッズの特典として収録されていた(例:来場者特典→『4』ダブルパック特典で再配布された
グランプリパワーのカード)
その名称の通り、ゲームを改造するという遊びを公式化+物理的なアイテムで実現するという意欲的なシステムで
使用することによって様々な変化を起こすことができる。戦闘に直結する効果には
ロックマンの最大HPを増やす、
カスタム枚数やメガ(ギガ)チップの投入数を増やすなどの効果があり
ナビカスタマイザーどころか『3』の
エキストラコード級の効果がある。
数値の変化だけでなく、「
バスターが特定のチップに変化」、「
メットガード系が使い放題」などの基本アクションレベルから
がらっと変わってしまうようなもの、「戦闘開始時に必ず
フルシンクロになる」「戦闘中常時ガード状態になる」などのぶっ飛んだものも存在。
戦闘力に関係しない部分は、ロックマンの色が変わる、
PET画面の色を変えるなどのラインナップになっている。
流石に全くノーリスクというわけではなく、強力な効果のものは使用すると副作用のバグも発生する。
ナビカスで発生するバグだけでなく、
ダークチップで起こるものも効果に含まれているため、バグが重なったりするとデメリットはかなり強烈。
強力な効果の改造カードであればあるほど重大なバグを持っており、一応バランスは考慮されている…のだが、そこはやはり本
シリーズの自由度、
デメリットを踏み倒す方法がある、そもそも
バグを修正してしまう手段が存在する、適用順の工夫で上書きするなど
様々な手段でほぼ帳消しにしてしまうこともできる(Lv3のバグを許容できるならば、それ以上は出したもん勝ちという部分も…)。
ここまで書いた時点でもわかるように、公式がゲームを改造することを容認しているコンテンツという位置づけであるため、
一部の記録を競うコンテンツにおける制約や、
通信対戦のレギュレーション分けが存在する。
- 『4』ではオンにしているとネットナビSP戦のタイムアタック記録が無効になる。逆に逆にフォルテXXと戦うにはオンである必要がある
- 改造カードのあり/なしは通信対戦前のオプションで設定可能になっている。『5』『6』公式大会では改造カードなしが「ジュニア」「シニア」クラス、ありが「マスターズ」クラス
- 改造カードは使用しない場合でも読み込んだ内容を消去する必要はなく、「改造OFF」を選択すれば強化内容を無効にすることができるため、双方の合意によって切り替えられる
【基本システム】
『4』
メモリアドレスに見立てた「改造アドレス」という概念があり、「0A~0F」までの全6スロットからなる。
各アドレスに対して1つだけ改造カードを有効化することができるが、アドレスによって対応カードの効果がおおむね決まっている。
- 0A:ロックバスター(通常ショット)改造
- 0B:HP強化
- 0C、0D:特殊能力付与
- 0E:チャージショット、永続ソウルユニゾン
- 0F:PETカラーの変更
アドレスが被るカードは排他となっているが、HP強化のみ複数アドレスにあるので重ねがけが可能。
上述の通り「強力なものほど副作用も重い」というシステムになってはいるものの、
初登場作品ということもありぶっとんで強力な効果がノーリスクor低リスクの物が散見されたり、
特定手順で本来想定されていない(本シリーズ用語ではなく本当の)バグを発生させてしまうものもある。
- 強すぎるオールガード
- HPが減少バグが出る代わりに毒、ブレイク以外に完全無敵になる。シンプルに強すぎである。
- 0C/0Dの2スロットを占有する、Lv3HPバグが発生し高速でHPが減るという弱点はあるものの、他アドレスでHPを盛りまくったり回復で相殺も可能。
- 本来のゲーム設計を逸脱できるバスター改造系
- シンプルに強すぎる「バスターでブラインド効果付与」「バスターの攻撃力15」などの効果
- チップを使っている判定なのでカウンターや連続ヒットでフルシンクロ化も可能な「バスターを(特定のチップの効果)にする」系
- 入力をミスらなければ延々相手をハメられる「バスターをエアシュートにする」、ガードの上手さ次第では鉄壁の「バスターをメットガードにする」
- 威力100+吹き飛ばし性能によって猛威を振るう「チャージショットをフウジンラケットにする」、実質1.5秒ごとにフルカスタムを使用可能「チャージショットをフルカスタムに変更」
- 本来両立できないはずのソウルユニゾン+悪専用チップを両取りできる、固有効果がぶっ壊れる永続ソウルユニゾン系
- サーチソウル、ジャンクソウルなどの対戦において強力なソウルユニゾンを常用できるだけでその威力は充分
- …と思いきや、なんとソウルユニゾンして悪専用チップを使用することが可能になっている(ダークチップ、ダークソウルユニゾンは使用不可)。本来であればありえない、ソウルユニゾンによるチップ強化効果が悪専用チップに乗るという状況を生み出すことができる。
- なお、想定されていない組み合わせなので当たり前と言えば当たり前なのだが、一部のソウルとチップの組み合わせでは効果が適用されなかったり、一部バグと思しき挙動が起こる。
- ロールソウルの「チップ使用時にHP上限の10%を回復」はHP強化による上限上昇が適用される、常時ステータスガード+高速HP回復効果を持つことになるウッドソウルなどの本来持っている効果がぶっ壊れてしまうソウルもちらほら存在。
…と、このような具合になっているため、マスターズクラスでは往々にしてハチャメチャな対戦が繰り広げられがちである。
『5』『6』
『4』での反省を活かしてか、新たに「容量」という概念が設けられカード自体のフォーマットが刷新。
ウイルスやナビのイラスト+連想される効果複数+「MB」単位の容量が描かれた新デザインとなっている。
上限は
80MBまでで、何枚でも使用できるが、当然強力なものほど容量は大きくデメリット効果も付与されている。
単体のカードで最大の容量は80MBの
ダークロックマン・
光彩斗。続く強力な複合効果のカード群が70MBで、こちらは任意の低用量カードを選ぶ余地がある。
『5』では戦闘中に発揮する効果の他
ミリオネアや
アイムフィッシュなど、戦闘外で効果を発揮する効果も入っていたが、『6』では戦闘中に意味のない効果はなくなった。
部分的にコストに対して強いと言われているカードが存在してはいるが、80MB以内でやりくりして構築しなければならないので、
やや下位互換的なカードであっても構築次第では採用の余地があったりと、『4』と比べてもデッキ構築的な遊びの余地が増している。
なお、DS版の5DSでは、そもそもゲーム機本体がカードeリーダーの使用を想定していないため、改造そのものが存在しない。
また、『5』では発生するバグを
バグストッパーで無効化することが可能。(バグストッパーの効果を持つ改造カードが50MBとやたらと重いのでたぶん不具合)
【実機環境】
物理的に存在するアイテムでゲームの楽しみ方を広げるという一歩進んだコンセプトではあったものの、
GBAというハードの制約もあるため、実際にこのシステムを利用するには以下のような追加機器が必要だった。
- 追加の「ゲームボーイアドバンス」もしくは互換機が1台
- ロックマンエグゼを起動している側のGBAに対して、カードeリーダー+を装着したGBAでカードをスキャンする→スキャンしたデータを通信ケーブル経由で送信するという挙動をするため。
- カードeリーダー+の端子レイアウトの都合上、ゲームボーイミクロでは利用することができない。後発のゲームボーイアドバンスSPの場合、通信ケーブル用端子は浮いた状態になるが、本体の通信ケーブル用スロットで代用可能
- 「カードeリーダー+」本体
- 読み取り機として利用するGBA本体のゲームカセット差し込み口と通信用端子を占有する。
- 改造用eカード+
- GBA用通信ケーブル
- 改造カード
最後の改造カードは数百円程度の価格だったが、カードリーダーの希望小売価格が約6000円+通信ケーブルが1500円、
GBA本体がなければさらに10000円の追加出費で合計17500円の追加出費となる
…と、ぶっちゃけ熱斗くらいの年齢の小学生にはとても気軽に使えるシロモノではなかった。
ロックマンエグゼシリーズの場合、通信対戦という部分に重きが置かれていたためにGBA本体は友達の持っている物を使用させてもらう選択肢があること、
通信ケーブルに関しても同様に最初から持っている可能性が高いというプラス要素もあったとは言え、お世辞にもハードルが低かったとは言いづらい。
こうした問題点を鑑みてか、一部の玩具量販店や大型家電量販店ではゲームコーナーに併設する形でカードeリーダー+が設置されており、
ユーザーが自分のGBA本体とソフト・カードを持ってくるだけで利用できるというサービスも展開されていたようである。
【後年の扱い】
GBA本体のハード機能に依存しているため、後に配信されたVC版では対応は「改造時にのみ発生するイベント」を発生させるコマンド・方法があるという程度に留まっている。
なお、改造カード対応があった『4』『5』『6』のうち、追加イベントがある関係で『5』の「
フォルテクロスロックマン」だけはVC版でも利用可能。
根強いファンの多い本
シリーズにおいては実機で十数年に渡ってやり込み続けているという猛者も居たりするが、そのような層にとっても
後から実機プレイ環境、現物を揃えるのが難しいという深刻な問題がある。GBA本体やソフト、カードeリーター+本体、通信ケーブルなどの機器が
中古・レトロゲーム市場からも年々減っていくことや、改造カード自体も新しく刷られることがないため、時間とともに価格高騰しているのである。
特に状態の良いものやコンプセットはオークションでは数十万円まで値段が釣り上がることもあり、まさしくリアル超レアチップ状態となっている。
↓今や非常に貴重な『4』の改造カード実機使用例集
ネット対戦における現状
現在のネット上で見られる、エミュレーターを使用した『6』の非公式ネット対戦環境では、
いわゆるセーブデータエディタを使って改造カードを読み込ませたことにし、適用するのが一般的なようである。
無論、吸い出したデータをエミュレーター上で実行する行為自体が既にグレーであるのと同時に、改変したセーブデータの配布など
アウトな要素の多い遊び方であるため、ここでは詳細について解説することはしないが、
長い間そうまでしないと改造カードで遊べない状態になっていたというのは事実である。
なお、全般書籍のリバイバルを手掛けるサービスの「復刊ドットコム」において、関連書籍『カプコンオフィシャル設定資料集 ロックマンエグゼのすべて』が復刻された際には
付録カードの「電脳獣グレイガ」が一緒に復刻されているが、なんとこのカードは使用…できなかった。
元データがなかったためなのか、カラーコピーされたように全体的に色がぼやける&褪せた状態になっており、カード自体の寸法も実物より小さくなっている。
改造カードに使われているDot Code Technologyと呼ばれる技術は高密度な印刷を行うことで最大2KBのデータを書き込めるというものであるため、
寸法が変わったりぼやけた状態となったことで、正常な読み取りができない状態になっていたと考えられる。実機プレイ用にカードを探し求めている人は注意されたし。
『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』における復刻
2023年に発売された、ロックマンエグゼシリーズの復刻移植作品『
ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』では『4』『5』『6』の3作品全499枚が収録。
『4』から数えると実に20年を経て公式かつ合法、完全な状態で改造カードの要素を楽しめるようになった。
対戦での使用はもちろん可、マッチングルールで使用可否の選択も可能。
ただし、上述のようにあまりにもゲームバランスを破壊していた「オールガード1/2、2/2」の2枚は対戦で使用することができない特別措置がある。
全499枚を完全収録と謳っているだけあり、全カードの高精細なイラストを鑑賞することも可能で、
『4』のキャラクターカードのようにゲーム的な効果の無いものも網羅されている。
プロモーションカードなどについてももちろん全対応である。
なお、カードナンバー000:ウェポンチェンジ(バスターがミニボムになる)が特別収録カードの欄にあるのはおそらく同カードが
改造カードパックVol1が発売されるより前に、雑誌コロコロコミックの付録として先行リリースされていたためである。
また、本来『ロックマンゼロ3』からデータを送らないといけない仕様だった
Zセイバーに関しても、
アイテムカードが
新録されているという、かなり気の利いた作りになっている。
【各言語版での名称】
言語 |
名前 |
補足 |
日本語 |
改造カード |
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英語 |
Patch Card |
『アドコレ』発売前は「Mod Card」と呼ばれていた。 |
中国語 |
繁体字 |
改造卡 |
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簡体字 |
改造卡 |
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最終更新:2025年06月10日 14:40