ドローレス・アンブリッジ

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ドローレス・アンブリッジ - (2022/01/31 (月) 12:13:56) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/01/10 Tue 23:24:39
更新日:2024/02/18 Sun 21:36:10
所要時間:約 7 分で読めます





「ェヘン、ェヘン、ンフフフ♪」


ドローレス・アンブリッジとは、小説『ハリー・ポッターシリーズ』に登場する魔女。




演:イメルダ・スタウントン
日本語吹き替え:小宮和枝

フルネームは「ドローレス・ジェーン・アンブリッジ」。
初登場は第5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』。魔法省の高官であり、地位は「魔法大臣上級次官」。
上級次官は日本の「事務次官」に当たる為、大臣の地位に次ぐポストということになる。

『不死鳥の騎士団』でホグワーツ魔法魔術学校の教育改革の為に魔法省から派遣され、「闇の魔術に対する防衛術」の教授になった。
新学期の挨拶で「ホグワーツに戻ってきた」と発言しており、ホグワーツの卒業生でスリザリン寮の出身である。

肥満体型で、顔は締まりがなくたるんでおり、その姿はガマガエルを思わせる。
宝石のついた指輪やネックレスをつけ、ピンクのカーディガンを着ている。
部屋も見渡す限りピンク色で、壁には猫が描かれた皿が沢山飾られている。
ちなみに守護霊も猫。

一見穏やかな中年女性に見えるが、生徒から秘密を聞き出す為に禁止されている「真実薬」や法律に抵触する「磔の呪い」を使おうとするなど、その本性は残忍、傲慢、卑劣。


魔法の腕前は優秀とは言い難く、フィリウス・フリットウィックが一瞬で消滅させた障害物を数時間かかっても消滅させることができない、
セブルス・スネイプから偽の真実薬を提供された際にそれを本物だと疑わなかった上に使い果たした際に再調合の要求*1をするという、魔法薬学に対しての無知などを晒している。

それでも前述通りに守護霊を出す事が出来たり、罰に使う羽根ペンを発明する等、それなりの才能と実力はあり、
例えばミネルバ・マクゴナガルは「ギルデロイ・ロックハートですらアンブリッジに比べれば遥かに優秀」と評していたが、
忘却術以外取り柄がない彼よりは魔法使いとしての腕前は上である。
ただし、後述の通り彼女の「闇の魔術に対する防衛術」の授業は非常に退屈、かつ実用性がないものであり、
それに比べれば、ロックハートは実践授業を行おうとしたりと教授としては(まだ)マシだったため、
マクゴナガルの前述の評が『「闇の魔術に対する防衛術」の教授として』であれば、確かにロックハートの方が優秀と言えるだろう。

……まあそう言ってもロックハートが「実践的授業」をやったのは最初の一度きりで、それが大惨事に終わったのちは、
「自分の著書から名場面を再現する」という、もはや授業の体を為していないレベル(自己顕示欲発散の舞台にしていた)だったから、
いくら「理論書を読むだけ」であっても「まともなテキストを使う」点においてはまだアンブリッジのほうが……と言える*2
まああの発言に対しては正確さとかではなくマクゴナガルの嫌悪感を示すだけのものだろう。


魔法省で高官を務められるほどには省内の人間からの評判は良い様子だが、
アルバス・ダンブルドアを支持する側の人間からは蛇蝎の如く嫌悪されていて、
特に上記の通りマクゴナガルとは犬猿の仲であり、教育方針や拷問に近い罰則等について激しい言い争いになっている。

ヴォルデモート復活を主張するハリー・ポッターに対しても、
クィディッチを生涯禁止にしたり、理由を見付けては罰則を科す等、立場を悪用して多くの嫌がらせを行った。

また、狼人間や巨人、水中人といった「半人間」を非常に恐れており、
魔法省で「反人狼法」を起草し、リーマス・ルーピンを始めとする狼人間の就職を困難なものにした。
さらには闇祓いを率いて巨人の血を引くルビウス・ハグリッドを襲撃する等、「半人間」に対して異常なまでの偏見と恐怖心を抱いている。

一方で出身寮であるスリザリンに対しては露骨なまでの依怙贔屓を行っており、
スリザリン生から選抜された高等尋問官親衛隊を設立、その隊長には監督生をも上回る権限を与えた等。
しかしそんなスリザリン系統においても、教師として同僚のはずのホラス・スラグホーンからは「もともとあの女は好かん」とバッサリ切り捨てられ*3
スリザリン生の中ですらアンブリッジを嫌う人間は結構いたという。




以下、ネタバレ含む

  • 五巻『不死鳥の騎士団』
ヴォルデモートの復活を認めない魔法省から派遣され、ホグワーツの「闇の魔術に対する防衛術」の職に就く。

権力への執着とヴォルデモートへの恐怖心に支配されたコーネリウス・ファッジにより、
魔法省を乗っ取る為に武装集団を編成しているダンブルドアもといホグワーツを監視する為*4に派遣されたが、
表向きは教育改革の一環として派遣されたことになっている。

そもそも教師として派遣されたわけではない彼女に満足な授業など出来るはずがなく、
その授業は「防衛術の理論」という教科書を生徒に読ませるだけという、
実践が重要視される「闇の魔術に対する防衛術」の授業とは到底思えない代物であった。

そんな低レベルの授業をする一方で、本来の監視という任務に対しては熱心で、
「ホグワーツ高等尋問官」に就任すると、スリザリン生を中心に「高等尋問官親衛隊」を設立し、
シビル・トレローニールビウス・ハグリッドを停職に追い込んでいる。

そんなアンブリッジに対抗する為、ハリー達はダンブルドア軍団を結成し、「必要の部屋」で戦闘訓練を始めるが、
マリエッタ・エッジコムの密告でそれを知ったアンブリッジは、ハリーたちを拘束。

その後、ハリーとハーマイオニー・グレンジャーと一緒に訪れた「禁じられた森」で、
ケンタウルスを「ヒトに近い知能」「汚らわしい半獣」と侮辱し、激怒したケンタウルスによって森の奧に連行されてしまう。

「ポッター、何とかして!私は悪者じゃないって言って!!」

「すみません先生、僕は嘘をついてはいけない…」


一体どんなお仕置きをされたのか……。



あとフレッド・ジョージが退学する際に置き土産として仕掛けた罠に引っ掛かって散々な目にも遭ったりした。

そして魔法省がヴォルデモートの復活を正式に認めた為、ホグワーツから除籍されることになった。
(こっそり立ち去ろうとした際にポルターガイストのビープズに見つかり、マグゴナガルから借りた歩行杖等でひっぱたかれながら叩き出される羽目になった)

因みに夏休みにハリーのもとへ吸魂鬼を送り込んだのも彼女であった。


  • 6巻『謎のプリンス』
「見え透いた悲しみの表情を浮かべながら」のうのうとダンブルドアの葬儀に出席。
「禁じられた森」から出ずにひっそりと参列していたケンタウロスを目撃するとそそくさと隠れるなど、相当トラウマになっている様子。


  • 7巻『死の秘宝』
魔法省がヴォルデモート陣営に陥落されると、新たに創設された「マグル生まれ登録委員会」の委員長に就任する。
が、実際やっていることはマグル生まれの魔法使いたちへの『魔女狩り』とも呼べるメチャクチャな弾圧であり、死者まで出している。

そんな中、分霊箱を探すハリー達3人組はマンダンガス・フレッチャーが賄賂としてアンブリッジに「サラザール・スリザリンのロケット」を贈っていたことを知り、
ポリジュース薬を使って魔法省へ侵入する。


「ロケットのSの字はセルウィンのS。私はセルウィンの血筋で実のところ純血の家系は殆ど私の親戚筋なの♪」

ハリー「ステューピファイ!」


アンブリッジはハリーの失神呪文をくらい、ロケットを奪われ出番終了。

それにしても平気で嘘をつく女である。



余談ながら、このスリザリンのロケットは分霊箱になっていた関係で、周囲の人間の精神を邪悪に歪め、人間関係に亀裂を生じさせるという特性がある。
実際これを回収した後、ロンは性格の狷介さが露骨になり、一時離別してしまう。
……が、アンブリッジは元々邪悪だったために分霊箱の影響をまったく受けなかったらしい。ある意味凄い。




物語終了後、マグル生まれへの悪行が災いして、アズカバンへ投獄された。

    m9
     ノ
プギャー (^Д^)
    ( (9m
    < \



余談だが、DVD、Blu-ray収録の未公開シーンによれば、過去に何かあったらしいことが仄めかされているが、何がアンブリッジをここまで歪めてしまったのか……。

彼女が忌み嫌う「半人間」と過去に何かあったのかもしれない。




以下、「ポッターモア」にて明かされた過去

魔法使いで魔法省魔法ビル管理部勤務のオルフォード・アンブリッジとマグルのエレン・クラックネルの娘として出生。スクイブの弟が存在。

魔法省勤務でありながら野心に乏しく低い役職に甘んじた父と杜撰できまぐれなマグルの母は非常に不仲である上に、
父の仕事から非常に貧しい生活を強いられており、その事がドローレスの人生に影を落としている。

ホグワーツではスリザリンに所属。
卒業後は魔法省魔法不適正使用取締局のインターンに就職するなど優秀な成績を収めているものの、
貧しく半純血というスリザリン内において深刻なハンデがあった為に学生時代は責任ある仕事を任されることはなかった。
……という話だが、実際にはスリザリン生でも大半は混血である。というか、魔法界全体でも完全な純血などはまずいない*5
そのため、半純血という点以上に、元から性格面に狷介な要素があったものと思われる。後述するように魔法省に移っても人格は不評だった。

さらには学生時代にスクイブの弟について父と自身、母と弟で断絶状態となり、それ以降マグル社会に去った母や弟とは絶縁状態となる。
以降、低い役職の父、マグル出自の母、スクイブの弟の存在は劣等感へと繋がり、
それは半純血である自身を純血と偽るようになり、ついには批判的で攻撃的、差別的な性質になるなど歪みに歪んでしまった。

それでも魔法省の仕事は真面目に行い、相応に優秀な働きをしながら自身の本性を巧みに隠したり他人の功績を横取したりと30歳を前に若くして室長へと出世。
その頃には父に対しては引退を促すようにカネをよこしたりするなど、自身の身辺を綺麗にしようとしていた。
無論、周囲は周囲で父親の話題を出したりする形で彼女の足を引っ張ったりしてはいたりする等、魔法省はかなり腐敗していたのだが。

だが、酒に弱く一杯の酒で馬脚を現したり、時として反マグル主義者ですら引く程のマグルやスクイブの扱いに関する苛烈な発案をするなど、
その真面目さや能力と野心を評価こそされながらも人格面での評価はされず、自身の野心を満たすほどの出世はできず、一生独身であった。

そんな中、例のあの人の復活を知り疑心暗鬼に陥ったコーネリウス・ファッジに取り入って自身が望む更なる出世への糸口を得るようになる。



以上の事から、お世辞にも清廉だったとは言えないものの、歪みの原因が魔法使いとマグルである両親の不仲、
魔法使いでありながら父親の役職の低さとそこから来る貧しい生活、スリザリン所属という点での半純血である事などから、
優秀でありながらも不遇だった部分があるなど、映画版の未公開シーンでそれとなく示されていた過去に関しての伏線が回収されている。




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