ポリジュース薬

登録日:2012/05/22 Tue 14:48:40
更新日:2024/11/27 Wed 09:39:37
所要時間:約 5 分で読めます




ポリジュース薬とは、ファンタジー小説『ハリー・ポッターシリーズ』に登場する魔法薬の一種。
英語ではPolyjuice Potion。


◆材料

  • クサカゲロウ
  • ヒル
  • 満月草
  • ニワナヤギ
  • 二角獣の角の粉末
  • 毒ツルヘビの皮の千切り
  • 変身したい人物の一部(髪の毛、爪など)


◆特徴・効能

服用すると、一時間だけ「(この薬を調合する際に用いた材料の採取元である)変身したい人物」の姿になれる。
他人のふりをして情報を得たい時、護衛対象の影武者が欲しい時等に使用する。

見た目は完璧に偽装でき、視力などの体質も変身先のものになるし、異性へ変身することも問題ない。なお変身相手の肉体が欠損している場合は、その欠損も再現される(例えば片足を失っている相手に化けると自分の片足もなくなり、義足を奪う必要が出てくるということ)。戻る時は少しずつ元の人物に戻っていく。
インターバルを置かずに連続で服用しても差し支えなく、定期的に飲み続ければ長期間元の姿に戻らずにいることもできる。
しかし人格はもちろん元のままなので、ちゃんと演技をしないと怪しまれてバレかねない。

なお、変身できる対象は人間のみ。
もしも誤って動物の一部を材料にすると、薬自体は完成し服用できるものの、獣人のような中途半端な変身になってしまう上、一時間経っても元に戻れない。
この場合、何らかの治癒魔法か魔法薬に頼らざるを得なくなる。
巨人等の亜人はハーフ含め使用できない(おそらく材料としても不可)だが、魔法生物のヴィーラを祖母に持つフラー・デラクールは問題なく使用していたので、彼女のようなクォーターくらいに血筋がヒトに近いものになれば効果が出るようだ。

調合方法を記した書物『最も強力な魔法薬』がホグワーツ魔法魔術学校図書館の禁書棚*1にあったことや、材料の一部は生徒に開放されていない棚で魔法薬学教授のセブルス・スネイプが管理していることなどから、生徒による調合は禁止されていることはうかがえるが、一般での合法性については不明。
調合過程は複雑な上、完成まで1か月もかかる。
変身先の体の一部を入れるのが最終段階で、この直前でとっておいて後で対象の人物を確定することもできる。

完成して相手の一部を入れた際は、人物によって色と味が変わる。初出となったグレゴリー・ゴイルの薬は「鼻くそみたいな色」な上「煮すぎたキャベツみたいな味」と最悪で、ヴィンセント・クラッブやベラトリックス・レストレンジの薬も同様に酷かったようだが、一方ハリー・ポッターの薬は金色で、味もまともなものだったとか。対象の人格や健康状態などに影響されるのだろうか?


◆作中での使用

作中での人間への変身手段としてはそこそこ一般的なのか、度々使用されている。読者(視聴者)の記憶にも残りやすいアイテムだったといえよう。

以下、ネタバレも含むので注意。


◆2巻 秘密の部屋

ドラコ・マルフォイからスリザリンの継承者や秘密の部屋の話を聞き出すべく、フォイの側近のクラッブとゴイル、それにミリセント・ブルストロードに変身する為、ハーマイオニー・グレンジャーが人が寄り付かない嘆きのマートルのトイレ(女子トイレ)で調合した。

ハリーがゴイル、ロンがクラッブ、ハーマイオニーがブルストロードの髪の毛を入れてそれを服用した……が、ハーマイオニーが入れたのはブルストロードの髪の毛とかではなく*2飼い猫の毛だった為、上手くいかず失敗
中途半端にになってしまい、校医のマダム・ポンフリーの世話になることに。おまけに危険を犯したにもかかわらず収穫はゼロ。
ポリジュース薬作成は思いっきり規則違反だが、マダム・ポンフリーはそのような事については問わないタイプなので事なきを得た。

ちなみにこのマダム・ポンフリーの判断だが、校医がこういうときに咎めてしまうと、類似した事態(違法薬の調合・実験に限らず、喧嘩で相手に呪いを掛けたり、魔術の自己練習中にたまたま通りすがった生徒に誤爆したり、といった場合など)を引き起こした生徒が、秘密を保持したい一心で勝手に「治療」を施そうとして、事態が際限なく悪化する……という恐れがあるためと思われる。
切羽詰まって「証拠隠滅=変異した生徒の殺害と死体処分」でも図られたら、それこそ目も当てられない。


◆4巻 炎のゴブレット

バーテミウス・クラウチ・ジュニアがハリーに近付く為、ホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の教師になった元闇祓いのアラスター・ムーディを監禁し、彼に成り済ましていた。
作中ではポリジュース薬を飲む目的でよくボトルを口にしていたが、これは本物のムーディが毒殺対策を目的として、自前の携帯酒瓶からしか飲み物を飲まないという習慣を持っていたのを利用したため。
ハリーからは、双子のウィーズリーの悪戯に引っ掛からない為には彼のようにするべきか……くらいの視点で見られていた。

また十年以上前にクラウチ・ジュニアがアズカバンから脱獄する際、母親と入れ替わるために使用していたことも明らかとなる。
母親は一時間おきに薬を飲み続けてそのまま死亡したが、埋葬される瞬間まで息子の姿のままだったという。
現にシリウスは、牢から運び出される死体を「確かにクラウチJr.だった」と証言しており、「元来の病に加えて息子絡みのあれこれで気力を失った母が、死の数秒前のタイミングを計ってポリジュース薬を飲む」のはかなり困難と思われる(自分はこの数分以内に間違いなく息を引き取ると、魔法使いとはいえ予知するのは難しいだろう)ことから、この薬で変身した状態のまま死体となった場合、変身が解除されなくなる可能性がある
(いくら葬式などしそうにないアズカバンでも、死亡してから埋葬終了まで一時間で片付くことも、少し考えづらいため。
 アズカバンの看守である吸魂鬼は目が見えないので、埋葬も全部吸魂鬼に任せていたために元の姿に戻っても気付かれなかった可能性もあるが、
 上述のシリウスの証言から少なくとも「母が最後に薬を飲む→母が死ぬ→死が確認されて死体引き出しの許可が下り、運び出される」までの期間はずっと変身しっぱなしだったはず。
 さらにシリウスの正確な証言は「吸魂鬼が監獄の外に埋葬したのをわたしは目撃している」。これが「外に運ばれる途中の死体を見た」という意味*3ではなくその言葉の通りなら、シリウスは埋められる死体の顔まで見た上で「クラウチJr.だった」と証言したことになる)


◆6巻 謎のプリンス

ホラス・スラグホーンが魔法薬の授業で見せていた。

その後クラッブとゴイルが、必要の部屋の見張りの為に使用した。ちなみに2人とも毎回違う生徒に変身していたが、その中には女子生徒も混ざっていた。
しかし何の用事もないのに特におしゃべりもせず突っ立っているだけだったので、ハリーたちから不審がられ、最終的に見抜かれた。
薬の調達方法については、スラグホーンの部屋からくすねたとハリーは推測している。


◆7巻 死の秘宝

序盤、ハリーをダーズリー家から隠れ穴に輸送する為にムーディの案でロンとハーマイオニー、フレッドとジョージ、フラーとマンダンガスの6人が服用してハリーに変身し、「七人のハリー作戦」を決行した。
実写映画版の該当シーンはいろんな意味で衝撃的。6人の自分が目の前で着替えるとかどんな羞恥プレイ
ハーマイオニー曰く(スリザリン組の髪の毛で作ったものより)美味しそうとの事。いきなりのセクハラコメントにハリーもロンも唖然とした。

ビルとフラーの結婚式では、ハリーをマグルの男子に変身させて参加した。

その後潜伏や潜入を想定していたハーマイオニーが、相当量のポリジュース薬を用意していたことが判明。
魔法省に侵入する為に3人組それぞれ同省職員のアルバート・ランコーン、レジナルド・カターモール、マファルダ・ホップカークに変身。

さらにハリーとハーマイオニーがゴドリックの谷を訪れる際にもマグルに変身するなど、随所で活躍していた。

ハーマイオニーは更にその後、グリンゴッツ魔法銀行のレストレンジ家の金庫に侵入する為、ベラトリックス・レストレンジに変身した。(ハリーとロンは透明マントを使用)
しかし、ハーマイオニーとベラトリックスの性格の違いから挨拶にうっかり返事してしまい、少し怪しまれた。






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最終更新:2024年11月27日 09:39

*1 禁書棚の資料を生徒が閲覧するには、許可証に教員のサインが必要。

*2 クラッブとゴイルからは直接材料をせしめたが、ミリセントの場合は決闘クラブで組み合った際にハーマイオニーのローブに付いた毛を使ったので、それがミリセント本人のものだと誤認したのだろう。

*3 シリウスとクラウチJr.の牢は近かったらしく、行き交うクラウチSr.やその妻の姿をシリウスは目にすることができたという。