登録日:2025/07/04 Fri 18:37:26
更新日:2025/07/21 Mon 06:47:30
所要時間:約 40 分で読めます
―――あたしの世界一好きなサッカー選手は、「とにかく考えた」って言ってた。
するとな、「いろんなことが、いずれ考えなくてもできるようになる。
そうしたら、ようやくそれが自分のものになる」って。
「似てるけど、やっぱり勘とは違う」って。
頑張れ。人間は考える葦である。
『アオアシ』は、ビッグコミックスピリッツで2015年から2025年まで連載された漫画。全40巻予定。
作者は小林有吾。
17巻までは「取材・原案協力」としてスポーツライターの上野直彦、18巻以降は「監修」として飯塚健司の名前が併記されている。
概要
田舎のサッカー少年が
Jリーグのユースに見出され、実力主義の世界でプロを目指して成長する姿を描くサッカー漫画。
なんと言ってもその特徴は、プロクラブの下部/育成組織(ユース)を舞台にしていること。
日本でユースが本格的に機能し始めたのは2000年代からと、Jリーグ始動から見てもやや遅いせいもあるが、ユースを舞台にしたサッカー漫画はほぼ例が無い。
というのも同じ世代を描く高校サッカーと比べ「部活動もの」のお約束がほとんど適用できず、専門的すぎて読者の共感・理解もしづらいため明らかに難度が高い。
一方で、サッカー界における「高校世代のトップの多くはユースに、なんなら既にプロに居るため、高校サッカーは『その他大勢』の集まりであり、全国大会は野球における甲子園のように必ずしも夢の舞台ではない」
という現実は高校サッカー主体の漫画では扱いづらく、ユースの概念がライバルのエリート的な個性付けとして使われれば上等、時には無かったことにされることもある中で、そこを真っ向から描いたのが本作と言える。
ただし、本作ではライバルとしては高校サッカー組が目立っており、超一流選手がユースに行っていない理由を付け加えつつ強敵として登場する。
もう一つの大きな特徴が、
主人公のポジションがサイドバックであること。
サッカーの歴史においては特に扱いが軽かったポジションであり、華に欠けるのでただでさえ少ないディフェンダー主人公の中でも、センターバックより更に例が少ない。
そして古典的なサイドプレーヤーではなく、連載当時の潮流を反映した「
司令塔を務めるサイドバック」像をフィーチャーしている。
以上の点からもわかるように、かなりサッカーマニア寄りの要素が強い作品である。
一方で、主人公を始めとした素人目線を常に置いて「コントロールオリエンタード」「止める・蹴る」「トライアングル」「首振り」「絞る」といったサッカーの基礎から「5レーン」「N-BOX」といった戦術オタク御用達マニアックな概念までを物語の中で丁寧に描いているため、
サッカーに詳しくない人にも割と優しく、むしろ新鮮に様々なサッカー知識を学べる作品でもある。
サッカー漫画は現実のサッカー界の世相を反映しがちだが、本作では
「現実の選手や出来事はこの世界でも存在するかのようによく触れられるが、話題として挙がるだけで物語に直接は関わらない」という形になっている。
要は実在人物のゲスト的な登場はなく、一部のキャラクターにモデルがいる程度。
一方で、物語上では開始(作中設定は明言されていないが現実は2015年)から1年程度しか経っていないのに2020年のプレミアリーグの試合や2022年カタールW杯の出来事が言及されるなど、
現実との連動や整合性は二の次として、時事ネタを取り入れたり読者向けに現実との対比で物語を引き立てるような使い方になっている。
作者の小林は当然ながらサッカー好きで、地元クラブ愛媛FCのサポーターだった。連載終盤では愛媛FCのスポンサーにまで名を連ねている。
しかし自分でサッカー漫画を描くことは全く考えておらず、ユースを舞台とするコンセプトも含めて当時の副編集長から要請されて執筆することになったという。
スピンオフとして、本編の裏でサッカー選手として再起を始めた主人公の兄を描く『アオアシ ブラザーフット』を並行して不定期連載している。
本編内ではこの件にはちょろっとだけ触れられている。
冒頭の台詞にある「人間は考える葦である」は、17世紀フランスの哲学者ブレーズ・パスカルの言葉の引用。
ざっくり言うと人間に思考する力が与えられていることの大事さを説いたもの。
作品の反響を受けて、子供向けに全文ふりがな対応した『アオアシ ジュニア版』というバージョンも刊行されている。
メディア展開
2022年4月よりNHKEテレでテレビアニメが放送された。
その後は音沙汰がなかったが、原作完結直前に2026年から第2期が放映されることが発表されている。
アニメーション制作は1期はProduction I.Gだったが、2期はトムス・エンタテインメントに変更予定。
他、2019年には舞台化されており、2022年にキャストを変更して再演も行っている。
あらすじ
愛媛県の弱小サッカー部のエース・青井葦人は、偶然試合を見たプロの指導者・福田達也にその特殊な才能を見出されて
J1所属の育成名門クラブ「東京シティ・エスペリオン」のユースへの挑戦資格を与えられ、チャンスを見事掴み取ってユース入団を果たす。
だがそこは、プロを夢見ながら地元で漫然とサッカーをしていた葦人にとってはまるで別世界であった。
しかし夢と支えてくれる家族のため、持ち前の負けん気で必死にプロへの道をひた走っていく。
登場人物
主要人物
主人公。名前はカタカナでルビが振られるか「アシト」とカタカナで書かれることが多い。
点を取ることが何よりも好き、天才FWを自称する大言壮語なお調子者。高校1年生(本編開始時は中学3年生)。
技術面はユース基準では最底辺、身体能力にも別段恵まれていないが、ピッチ全体の状況を完璧に把握できる「俯瞰」の目という特異な才能を持つ。
ユースの環境に慣れてきた矢先、FWからその「俯瞰」を最大限活かせるDF……サイドバックへ転向させられることとなり、
苦難を経てそこで「司令塔」として才能を開花させていくことになる。
東京シティ・エスペリオンのユースチーム監督。34歳、無精髭でだらしないイケオジ。
日本から世界を制するクラブを作り上げるという大望を抱いており、その地盤を作るために今はユース育成を手掛けている。
育成指導者としては指導者になる前から天性の才を発揮しており、同時に監督としても一流の戦術家でもある。
現役時の活躍やその指導力からエスペリオンユース生の多くにとって憧れの存在であり、冨樫のように彼個人を慕ってエスペリオンを目指した例も見られる。
野望に全てを懸ける生き方をしており、見た目通りの俗っぽい雰囲気に反して非情・冷酷な行動も多い。
それでもユースという環境と自身の経験上、怪我のリスクだけは避けることを重々言い含める。
現役時代は高校で活躍してエスペリオンに入ったスター選手で、23歳の冬にスペイン1部の最下位クラブ・SCサバデルへ移籍。
FCバルセロナを打倒するなどシーズン後半だけで獅子奮迅の活躍を見せて1部残留へ導き、一躍時の人となった。
しかしその矢先、シーズン最終節のちょっとした接触プレーで以前から痛めていた膝に致命的な故障を負ってしまい、それからはメキシコやパラグアイの2部ですらまともにプレーできず25歳の若さで失意の引退を遂げた。
ちなみに、現役中は
クラウドばりのトゲトゲ髪でプロ入りしてから金髪に、引退前後に黒髪に戻して数年前は短髪、本編では少し伸ばした無造作なモジャモジャ髪と何気に髪の変化が激しい。
ヒロイン。福田の義妹で、中性的で理屈っぽい独特な言動をする金髪美少女。アシトと同学年。福田のことは「兄ィ」と呼ぶ。
福田とは「テレビで見てガチ惚れした選手が父親の再婚で義兄になった」という運命的な出会いをし、スペインに渡った彼に弱冠6歳ながらついて行って支えていたが、彼の挫折を目の当たりにしたことでスポーツ外科医を目指すことを決意。
印象に反して、マルチリンガルであり高校では特進コース在籍、既にプロ顔負けの栄養学を習得している超エリート。
時々エスペリオンユースの手伝いをしており、ユース関係者とは概ね見知った仲。
一方でサッカーと密接な環境にいる割にサッカー自体への関心は乏しく、観戦はするが未だにニワカ知識しかない。解説シーンの無知担当だが、たまに鋭い見方をすることも。
アシトに現役時の福田を重ねたり、無学ぶりを見かねて食事管理などを始めるうちにお互い惹かれていき、友達以上恋人未満の甘酸っぱい関係を続けていくことになる。
- 栗林晴久 CV:梅原裕一郎
「エスペリオンユースの最高傑作」と評される、精鋭揃いの中でも突出した天才。2年生だが春の時点でトップチームデビューを飾り、一つ飛ばしでU-20日本代表に招集されている。
選手としては典型的な10番、並外れたテクニックと創造性を持つファンタジスタ。目標は「世界最高の選手として誰もがパッと思い浮かべるような存在」になること。
「フィジカルという言葉はテクニックのない人間の言い訳」という信念を持つが、フィジカルもユースレベルなら見劣りしない程度のものは持っている。
人当たりは良く仲間思いではあるが根っからの天才肌、サッカーが全てというタイプの人間で、会話は他人と噛み合いづらい。
容姿・年齢・性格・能力、全体的になんとなく味方版
センドーな男。
好き嫌いの多い偏食家。
栗林に次ぐエスペリオンユース有望株の1人。
悪辣で粗暴な問題児で、出会った時からアシトを見下して目の敵にしており、ユース試験(セレクション)からの因縁の相手。
しかし選手としては、驚異的なフィジカルを筆頭に非の打ち所がない能力を持つ守備の要であり、CBながらに大胆な攻撃参加で得点を奪いまくる攻撃のジョーカーですらある。
当初は完全に悪役だが、アシトがDFに転向したうえにAチーム昇格を果たしてからは嫌でも肩を並べざるを得ず、成長を重ねるにつれて徐々に阿久津もアシトを認めざるを得なくなっていき、
物語後半ではアシトの相棒格と言える立ち位置を確立する。
東京シティ・エスペリオンユース
トップチームはJ1昇格から9年、資金力は少ないがここ5年間リーグ8位以上をキープし続けており、ユースからトップまで一貫してボールを持つポゼッション重視の超攻撃的スタイルを確立している。
「トップチームのスタメンにはユース出身者が6人以上いるべきである」という非常にハードルの高い理念を掲げているが、優秀な育成組織によりそれを成し遂げている。
ユースチームは、ユース世代のトップリーグである「高円宮杯プレミアリーグ(EAST)」に所属。Bチームも2つ下のカテゴリーにあたる東京都リーグで公式戦を行っている。
ポゼッション重視の育成により、ユースですら次々にワンタッチプレーでゴールまで迫れる、ユース世代としては別格のテクニックを身につけている。
チームカラーは黄・黒で縦縞のユニフォーム。
1年生のMF。アシトと共にセレクションを合格した1人。
チビでギョロ目で福耳の風貌にオシャレを勘違いしたようなチャラい雰囲気のなんとも冴えない少年。
モテ願望が強く、
サッカーのできるモテ男・イケメン全てを激しく憎悪しており、女の影がどこかにちらつく度に悲しきモンスターと化す。
重責を担う度に全身ガクブル状態になるあがり症だが、いざピッチに立ってしまえばむしろ落ち着くという性質のものなので実害はほぼなく、むしろ強心臓。
フィジカルが弱く目立った能力はないが賢いプレーで味方を引き立てる、いわゆる「水を運ぶ」役目に特化したゲームメイカー。
普段から周囲に気を回して関係を取り持っており、1年グループのまとめ役と言える存在。
一見ヘタレの三枚目に見えて初期からずっと優秀な男であり、
そのブレないメンタリティをしてアシトに「天才ってこいつだ」と言わしめた。
- 橘総一朗 CV:山下誠一郎
1年生のFW。アシトと共にセレクションを合格した1人。
街クラブである武蔵野ジュニアユースのエースだったが、環境に甘えていると感じて武蔵野を離れ、そのプレーに衝撃を受けたエスペリオンに挑戦した。
情に厚い爽やかな好漢で、クサい台詞を真顔で言って周囲を照れさせる。裏設定では歌や絵がとてつもなく下手だとか。
途中からアシトや大友に実力で差をつけられており、中盤以降は試合出場が少ない。しかし、力不足を痛感して凹んではピッチ上で一踏ん張りを見せる男でもある。
連載当初はセレクションで落ちる側になるはずだったが途中で合格させる方向に変わったらしい。
1年生のCB。この年唯一スカウトで加入した。
巨漢でリーゼントで粗暴な言動の全身ヤンキー。実際に中学時代は暴走族とツルんでいて、ユースに入るなら縁を切れと福田に言われ従いはしたが、入団発表の日に壮行会を開いてバイクで送られて登場という好き放題ぶりを見せ、徐々に鳴りを潜めるが序盤は傲慢な言動が多かった。
プレースタイルは典型的なパワー系のCBだが、攻撃的なプレーを好み攻め上がりたがる。阿久津同様、非常時にFWとしてプレーすることも。
小学校時代は街クラブでサッカーをしており、トレセンでハブられてしまった時に福田に声をかけられて僅かな時間ながら指導を受けたことで福田に憧れ、中学時代は不良三昧の傍ら弱小サッカー部に入って技術を磨いており、成長を認められてスカウトされた。
そのため全くの我流であるにもかかわらず、粗いところもあるが基礎技術は最初からエスペリオン基準にある程度ついていけるほどに身についている。
福田に出会った少し後にエスペリオンの練習に参加した際、ジュニアユースの選手の「プロになることだけ考えて目の前の勝利を軽んじる」振る舞いを侮蔑して揉めて以来、ジュニアユース組、特にその当事者であった黒田・竹島とは強い確執がある。
アシトとは同室で、立場の近さから早くに打ち解けるものの、当初のあまりの下手さもあってアシトが成長した後も無意識に見下しており、後にそれを指摘され反省してアシトに教えを請い、視野の能力を磨く。
1年生のFW。ジュニアユースから昇格した1人。
ウニ頭に三白眼、おちゃらけた陽気な性格で、セレクション組にも最初から気兼ねなく接するムードメーカー。「~じゃ(ジャ)」とよく語尾につける。
エスペリオンでは重点的に鍛えている「言語化」を苦手とする感覚派・野性のストライカーだが、脳筋というわけではなく味方を操るコーチングや心理戦も得意で隙がない。
ジュニアユース時代からこの世代では頭一つ抜けており、進級後すぐAチームに加わって順応し始め、作中最後まで第一線を張る。
なぜか苗字で呼ばれることが皆無で、メンバー発表の場面でも大抵は「遊馬」と名前で書かれる。
1年生のSB。ジュニアユースから昇格した1人。
イギリス人の父親を持つハーフの金髪美少年。エリート意識が高くストイックな性格。
エスペリオンらしい攻撃的なSB。初期は左SBでありアシトとの関係性が問題として描かれたが、アシトのコンバート以降はもっぱら右でプレーしている。
実力的にはAチームレベルではやや力不足で、出番はあるがその度に苦労しつつも踏ん張っている。
サッカー一筋だが、「彼女なんていない」と言えばかえって浅利狙いの女子たちで周囲が沸き立つ大友の敵。
彼女100人作れそう
1年生のMF。ジュニアユースから昇格した1人。
初登場時には「のほほ~ん」というSEが描かれるような幼く柔和な少年……に見えて、根はかなりドライで鋭い目つきを見せる腹黒気味の糸目キャラ。
全てにおいて極端に理詰めのプレーをする守備的MFで、浅利と共にアシトとの連携問題を背負うが解決、その後は朝利と共に一歩遅れを取る立場になる。
実は中学の同級生の彼女がおり、「何気なくサッカーに関係ない話をしてくれる人がいるだけでありがたいんだ」という真のリア充を感じさせる発言で大友の心を折った。
- 竹島龍一 CV:熊谷健太郎
1年生のCB。ジュニアユースから昇格した1人。
赤髪のリーゼント(冨樫よりは控えめ)。見た目に反してピッチ上では落ち着いた雰囲気だが、普段はいつも女を取っ替え引っ替えして練習場に連れてくるチャラ男。大友の怨敵。
CBですら攻撃的な選手が目立つ
異常環境のエスペリオンにおいて貴重な純正の守備的CBで、冨樫や阿久津のようなフィジカルはないが間合いの判断などが絶妙で、守備だけならチームトップクラスとされている。
冨樫との確執で揉めた後、「
赤髪のリーゼントが気合入れる時は丸刈りが相場」と言って試合直前に親が理容師の彼女に剃ってもらい、その後は時間経過で徐々に元に戻っている。
- 秋山円心 CV:手塚ヒロミチ
2年生のGK。Aチームのベストメンバーの1人。
トップチームのベテランと言われても違和感がない貫禄の男前な兄貴分。
全編にわたって窮地を救いまくっている頼れる守護神で、足元の技術も高く、青森戦ではハイプレス対策としてのGKを前進させての組み立ても難なくこなした。
2年のMF。U-18代表にも名を連ねるAチームのベストメンバーの1人。
栗林に次ぐテクニシャンだが、なまじ役割も被っているために長年「栗林のナンバー2」扱いされて劣等感を抱えており、神経質で気難しい性格。
最大の武器はキープ力だが、本質はドリブラーではなくパサータイプ。
2年生のFW。U-18代表にも名を連ねるAチームのベストメンバーの1人。
エゴのないチームプレーヤーで、阿久津や桐木と対等な肩書きの割にこれと言った長所も描かれず目立つ活躍は少ないが、作中の多くの試合でスタメンを張り、各試合でチャンスに絡んでは大体ファインプレーで防がれる名脇役。
長身でツーブロックヘアのキリッとした優等生で、ピッチの外では真逆の阿久津と対立しがちだが、そんな彼でも阿久津の実力は認めている。
2年生のSB。Aチームには入れる程度の実力だが、開始当初は怪我からの調整でBチームに下ろされていた。
気のいい好青年で、孤立している相手に積極的に話しかけ、チームの誰もに慕われている存在。
しかし、怪我の再発、あと一歩の実力不足、父と同じ警察官になるためといった理由を総合して2年途中での退団を決意。内心では未練もあり、他の2年組を筆頭にして最後の試合となる船橋戦で翻意させたいと団結するも平の考えを変えるには至らず、チームを去った。
作中で例外なく「平(平さん)」と呼ばれるため、「平さんの名前なんだっけ?」と思いそうになるが、平が名前である。
彼の退場展開は反響が大きかったようで、料理が得意な設定もあってそれを絡めた短編「ミッドナイトダイナー」が後に掲載された。
2年生のMF。Aチームのベストメンバーの1人。実はスカウト組。
チーム内でも突出して分厚い体型とたらこ唇が特徴。見た目通りパワー自慢で剛毅な人柄だが、それでもエスペリオンユースなりの足元の技術はある。
2年生のFW。1年に弟のロアンがいる。愛称は「オジー」。ひょろ長体型の黒人。
俊足が持ち味とされるものの実際の活躍はほとんど描かれていない地味な存在だが、途中交代要員として名前が出ることが多く、何気にカタール遠征でも控えに入っている。
3年生のFWで主将。前年度高円宮杯プレミアリーグ得点王。U-18代表にも名を連ねるAチームのベストメンバーの1人で、翌年のトップ昇格内定者。
ぼんやりとした雰囲気の
坊主頭で、常に変な語尾で話さないと気が済まない奇人。おどけたギャグ顔ばかりだが真面目な時はイケメン。
一人で突破して一人で決め切れてしまう理不尽な個人技ストライカー。優秀すぎるためか、作中で描かれる試合では何かしら理由があってメンバー外なことが多い。
3年生の右SB。U-18代表にも名を連ねるAチームのベストメンバーの1人で、翌年のトップ昇格内定者。
Aチームかつ代表組のためアシトと同じチームでプレーすることが少なく、高円宮杯の最終節である青森戦が初めてだった。
足元の技術とスピードに長けた正統派の攻撃的SBで、「アシトに欠けている能力を強みにしたSB」。
3年生のCB。Aチームのベストメンバーの1人で、翌年のトップ昇格内定者。
面長の濃ゆい顔に常に笑みを絶やさず、どこからどう見ても高校生でもなければカタギでもないが、性格は温厚で知性的。字も達筆。
異常発達した大腿四頭筋が生み出す瞬発力を武器にした、対面の相手に決して抜かせない対人守備力が強み。
- 小早川透士 CV:松浦義之
3年生の左SB。MFや右SBもこなせ、攻撃的な他のDFのフォローに回りバランスを取れる堅実な選手。Aチームのベストメンバーの1人。
アシトとはポジションが被り、総合力では圧倒的に勝るが、共存して他のポジションに回って出場している。
実力の評価に反してプロ入りは決まっておらず、ギリギリでJ2山形の練習参加のオファーが届きそのチャンスを掴んでいる。
3年生のMF。良くも悪くも突出した部分がなく、3年間なんとか食い下がりながらもバックアッパーに甘んじてきた。
眉なしスキンヘッドで気性は荒い。
その境遇のため「自分は脇役で汚れ役」と割り切って過ごしており、プロ直行は早々に諦めて大学経由でサッカーを続ける予定。
ジュニアユース所属の中学3年生のFW。秋山円心の弟で、月島コーチが見出した秘蔵っ子として抜擢されカタール遠征に参加。
兄とは似ても似つかない跳ねっ返りの小柄な少年で、バルサ相手だろうが物怖じしない恐れ知らず。
左ウイングを務めるが、同じサイドとなるアシトのスタイルはいまいち苦手にしている。
ユース選手以外のエスペリオン関係者
エスペリオンユースのヘッドコーチで、Bチームの監督を担当。
福田とは同い年かつ高校時代からの親友で花には「イチャイチャ」と表現されるほど、有名な選手ではなかったがエスペリオン一筋の選手人生を歩んだ。
彫りの深い顔立ちで鉄面皮、見るからに厳格な鬼コーチだが、根は優しく非情になりきれない一面もあり、福田の非人道的とすら思える手法に驚愕することもしばしば。
指導能力は一流で、福田のように遠くを見据えたことはしないが的確な言葉を与えることができ、選手たちからは慕われている。
意外と名前の方で呼ばれることが多い。
エスペリオンユースのコーチ。現役時はエスペリオンユースから大学経由でJ1大宮という経歴だがまだ28歳。
柔和な金髪メガネで、知的好奇心を爆発させ早口になることもあるが、常識に縛られすぎた言動も少なくなく、指導者としては未熟な模様。
エスペリオンユースのGKコーチ。現役時は高校→大学→エスペリオン→J2徳島という経歴。
貫禄のあるゴリラ系の容姿だが、何気に福田らと同じ34歳。戦術面の話には絡まないが、茶目っ気もあり親しみやすい人物。
エスペリオンの親会社「海堂電機」の社長令嬢。
見た目はスポーツの似合わないお淑やかな黒髪ウェーブのお嬢様だが、大のサッカーマニアで、将来はサッカー指導者を本気で志望している。
そのため趣味でエスペリオンの練習や試合を観ており、彼女なりの分析やアドバイスは選手の身でも参考になるほど。
遊馬は母親が海堂家の家政婦であることから気安い幼馴染で、冨樫と何かと関わりを持つことになり、自身はアシトに惹かれてしまっている恋多き乙女。
解説要員を務めるものの本筋との関わりはあまり強くないが、物語も佳境に入った頃の人気投票で1位を獲得する大偉業を成し遂げている。
アシトの母。バーのママをしており、女手一つで息子2人を育ててきた肝っ玉母ちゃん。
アシトの挑戦には当初は家計を理由に難色を示すが、決まってしまったからには割り切って息子の背中を押した。ただ、その後も良くやれているのか心配している。
息子の夢としては応援しているが、サッカー自体には全く関心がない。
アシトの1つ上の兄。幼少期はサッカーをしていたが、小学生の時に重度の喘息で断念(中学では進学校のお遊び程度でサッカー部に入っていた)。
アシトとは対照的に、慶應大のA判定を貰えるレベルの超優等生。アシトにとってはサッカーの師匠でもある良き兄。
喘息は最近完治したもののサッカーとは縁を切っていたが、テクニックは未だ健在で、それが地元のJクラブ「アスレティカクラブ愛媛」のユースに見つかり、練習生として誘われる。
母にさらに負担をかけてしまうことや、愛媛はエスペリオンとは違い万年J2の平凡なクラブで、しかもアシトと違って素直に進学すれば安泰の立場なのもあって思い悩むが、諦めきれずに夢への挑戦を決意することに。
エスペリオントップチームの現指揮官。就任2年目のスペイン人で、日本語はほとんど喋れない。
現役時はバルサのカンテラ上がりでスペイン五輪代表にも入る逸材だったがトップチームではわずか2年、23歳でバルサから放出。
「あの時のようなボールだけで通じ合えるサッカーに一度だけでも戻りたい」という一心で世界各地を流浪した末、同じ思いを持っていた福田と現役最晩年にサバデルで出会った。
冷徹で圧が強い。カンテラ育ちというのもあり日本の育成組織を軽視していたが、エスペリオンの育成を目の当たりにして現在は見直しつつある。
エスペリオンのエースストライカーであり、日本代表でも既にワールドカップに出場している23歳。イケメン。今季限りでドイツ1部レバークーゼンへの移籍が決まっている。
キザな雰囲気に反して「FWには野性の感覚が必要」という持論を持っており、似たタイプである遊馬に関心を持っている。
御年40歳、J1出場458試合、代表として2回のW杯を経験しながらも海外に出ることなく20年エスペリオン一筋を貫くエスペリオンの生き字引。秋までの1年ほどを怪我で離脱しており、そのため作中終盤まで会うことがなかった。
誰もツッコまないが、独特なカットの坊主頭、極太もみあげと太眉に下まつ毛ありというやたら癖のある風貌。
年齢抜きでもフィジカルは劣る司令塔MFであり、高校でレギュラーすら掴めなかった頃から「考える」ことを磨き続けた結果、蓄積した試合経験を現在に重ね合わせることで「視る」必要すらなく的確なパスを繰り出す領域に達した、「考える葦」の体現者と言える選手。
肉体の限界やクラブへの貢献を尽くした達成感、献身的に支えてくれた妻を想う気持ち等から今季限りでの引退を決意していたが、引退を表明しようとした矢先、トップチームの練習に3日限定で呼ばれたアシトと出会う。
司馬を自分にとっての「こうなるべき選手」だと見定めて3日間食らいついてきたアシトに対し、「愛弟子が自分の想像を超える喜び」が自分の原動力になってきたことを自覚させてくれたアシトに応えるために引退を撤回、「あと1年だけ続けるから、トップの練習に呼ばれるようになれ」と告げる。
東京武蔵野蹴球団ユース
地域のアマチュアクラブ、いわゆる「街クラブ」の一つ。
エスペリオンユースBチームと同じ東京都リーグ所属で、橘の古巣。
1年生のFW。アシトと共にエスペリオンユースのセレクションを受け、最終選考で落ちた中の1人。
名門中学のキャプテンでなかなかの有力株と見られていたが、根が粗暴な小物で、追い込まれると荒くなったり完全に心が折れたりするメンタル面の弱さが決め手となって落選。
セレクションの時は割と打ち解けていた感じだったものの、今では「アシト達のペースに巻き込まれたせいで落ちた」と逆恨みしている。
しかしその屈辱をバネにフィジカル面を中心に大きく成長して自信をつけ、エスペリオン戦を前にした都リーグ7節時点で9ゴールと得点王ペース。
性格自体はまるで改善していないためチーム内でも仲間を見下し不和を招いている「異物」だが、その執念は本物と仲間に認められている。
- 中野淳之介 CV:西山宏太朗
1年生のDF。アシトと共にエスペリオンユースのセレクションを受け、最終選考で落ちた中の1人。
小柄で七三分けのモブ顔。金田共々、ユースとの格の違いを見せつけられて心が完全に折れながらも、最後の意地でラストプレーの起点になった。
金田とは違い、アシト達には素直に敬意を持っている。金田ほど飛躍的に成長したわけではないが、レギュラーは掴んでいる。
武蔵野ユースの監督。29歳と若く、選手としてはJFL→J3、それもJ3では数試合プレーした程度。
見た目は普通の青年だが、「リスクを冒せ」が口癖の食えない指揮官で、それなりの街クラブにすぎない武蔵野に果敢なハイプレスサッカーを叩き込んでいる。
連載初期に取材していた増本浩平という人物がモデルになっている。
東京武蔵野レディースの選手で、橘総一朗の双子の姉。二卵性双生児で容姿は全く似ておらず、焼けた肌のボーイッシュ系。
選手としての活躍の場面はなく観客として準レギュラーとなる。
大友に何度も言い寄られるが、交流を重ねるうちに彼の良い部分も知っていったおかげもあり、最終的には電話番号を交換してもらえる程度には脈アリ。
東京VANS
エスペリオンと同じ東京の名を冠するライバルクラブで、前身となった社会人クラブからのライバル関係にある。
トップチームではバチバチのダービーマッチとなるが、ユース同士では物好きの少数のサポーターしか来ないので空気は普通の試合と変わらない。
「東京V」と略されるので、モチーフは東京ヴェルディだろう。
3年生。右ウイングバック。茶髪で麻呂眉、幼い顔立ち。
スピードと足元の技術に優れた攻撃的WBで、逆サイドの酒井と共にプロ入りも内定しているチームのエース。
3年生。左ウイングバック。黒髪のツンツン頭に小さな目。
選手としての特徴は辰巳と同様だが、どちらかと言うと辰巳の方が少し上の扱い。
攻撃の要だったが退団してしまった羽田に今もやや執着を残している(辰巳は逃げ出したとして見下している)。
船橋学院高校
高校サッカー屈指の名門校で、高校サッカーらしさを体現した情熱と執念を持つチーム。
モチーフは名前からして市立船橋高校だろう。
3年生。U-18日本代表のFW。黒人(どこの国かは不明)の父親を持つハーフで、長身にアフロヘアー、無表情で黒目と白目が逆になった異質な目つきなど外見は完全に黒人側。
パワー・スピードともに突出、しなやかさも備わったフィジカルに加え、賢さやチームプレーも併せ持つ非の打ち所がないエースストライカー。
中学時代は特待生として入部したもののフィジカルだけの微妙な選手で、周囲とも壁を作っておりどうしようもない状況に居たが、
対戦相手から弟共々差別を受けた際、仲が良いわけでもない自分達をチームメイトや監督が毅然と庇い立ててくれたことで仲間への感謝に目覚め、チームに尽くす意識を持ったことで急激に成長した。
3年生。トリポネと2トップを組むFW。
がっしりとした体型に浅黒い肌、よく見開かれるガンギマリのつぶらな目で笑みを絶やさない怖いお調子者。
脳筋なのが難点だが、フィジカルだけなら見た目に似合わぬ瞬発力も含めてトリポネに引けを取らない重戦車。作中ではフッキに喩えられる。こっちは日本人なのだから恐るべき才能である。
1年生の右SBでトリポネの弟。
同じく黒人の特徴が濃く出ているが、がっしりとした体型の坊主頭でいつも困り顔と、兄とはまるで似ていない。むしろ二原に似てる。
青森星蘭高校
地方にありながら全国から選手が集い、高円宮杯ではクラブユースを脅かす名門校。
冬季にはグラウンドが積雪で埋もれ、練習前に雪かきをしたうえでなお満足行くトレーニングをするのも難しいほど。
全てが整えられたクラブユースとは対照的で劣悪にしか思えない環境で、集まる選手もせいぜいクラブユースの下の方程度でしかないが、理屈では説明のつかない強さを持つ。
モチーフは間違いなく青森山田高校だろう。
1年生。U-18代表。1年にして既にJ1鹿島の内定を勝ち取っている。
アシトと同じ俯瞰の目を持つ選手であり、小柄だがアシトと異なりそもそもトップレベルのテクニックを持つ司令塔。
中学時代から将来を嘱望されて多くのユースから勧誘を受けていたが、その中で一人だけ「全然ダメ。私が鍛え直したい」と説教してきた成宮監督に惹かれてユース行きを蹴って進学。
ボブカットのパッと見普通の少年で、無口だが奔放な性格。度々寮を抜け出してイオンのフードコートで飯を食う、代表で起こった揉め事をワクワクして見守るなどろくでもない一面も。
アシトとの対比なのか、名前を呼ばれる時はアシトと同様に「レン」と書かれるかルビがカタカナで振られる。
2年生。U-18代表の正GK。
元エスペリオンのジュニアユース生で当時は秋山とポジションを争う良きライバルだったが、身長の低さが理由でユースに昇格できず、雪辱に燃えて大きく成長、秋山を差し置いて代表に選ばれるまでになった。
かつての居場所だったからこそ自分を理不尽に切り捨てたエスペリオンを憎んでおり、エスペリオン関係者とは代表で会っても一切言葉を交わしていない。
身長のハンデをものともしない、最後のひと伸びを見せる驚異的なセービングが武器。
その気性のせいなのか、描かれないところで退場したりPK献上したりしている。
3年生。キャプテン。カッコいい名前がやや似合わない厳つい坊主頭。
東京VANSユースの古株にしてエース格だったが「俺は弱い人間だから環境に甘えてしまう」という思いから高3にしてまさかの自主退団をし、真逆の環境に身を置いた今に充足感を得ている。
パワーもスピードもテクニックも一流、前線守備の質も高い万能型FW。
1年生。糸目モブ顔。長野から青森に来た。
見た目通り平凡だが、実績のない自分が成功する道としてレンについて行くと打算的に決めて仲良くしており、窮地に陥った青森の秘策のためにレンと息の合う選手を増やす目的で投入される。
青森星蘭の監督。長らく青森星蘭を率い、誰もが敬意を払う御年70歳の名将で、そろそろ一線を退くことを視野に入れている。
指導力もさることながら、高校では予算的に導入困難な最先端機器を自腹で導入するなどあらゆる面で最善を尽くすへの執念も凄まじい。
その立場に反して「クラブユースは高校より強くあるべき」という信条を持っているが、つまりは「青森星蘭が頂点に君臨することでプロに危機感を促す」ということ。
成宮の息子で青森星蘭のコーチ。福田と同世代で、学生時代は青森星蘭で父の指導を受けた選手でもある。
FCバルセロナU-18
言わずと知れた、「ラ・マシア」の通称で知られる世界最高の育成組織(カンテラ)。
カタールで開催されるクラブユースの国際大会「アルカスカップ」に、高円宮杯の優勝特典として急遽出場したエスペリオンと同じグループになり、初戦で対戦することとなる。
育成王国ぶりは健在だが、上層部は育てた選手をトップチームで使うより売り払って資金源にすることに執心しており、選手・コーチ陣は見返してやろうというモチベーションが高い。
なお、同時期の現実ではむしろラ・マシアからじゃんじゃん昇格させて戦力をやりくりしている状況にあった。
バルサの至宝と目されるFW。アルゼンチン国籍。
信心深く、サッカーを「神に与えられた遊び道具」と捉えている。
異常な吸収力を有し、本編時はエスペリオンとの対戦前にカップ戦でトップチーム初出場を飾り2ゴール2アシストの大暴れをすると共に、それまでのリサーチで見られた粗が消え失せ、全てにおいてユースのレベルを超越した、完全に別格の選手へと覚醒した。
そして幼い頃には、バルサのトレーニングに参加していた栗林のプレー、福田の軽い指導を受けて彼が伝説となった対バルサ戦を見たことでその日のうちに劇的な成長を遂げ、名前も忘れてしまった彼らへの感謝の気持ちから日本に親しみを持っている。
生まれはスペインだったが姉と母を置いて元選手の父親に連れ帰られて貧困の中で過ごし、才能に嫉妬されてスカウトの話を蹴られ続けていたが、祖母が身を挺して救ってくれたおかげもあって脱出。その後父親は酒に溺れて事故死、家に残った祖母もすぐに病死してしまった。
ゴールパフォーマンスは両手の指でカメラを模した長方形を作るもの。
ガーナU-18代表のFW。陽気なドレッドヘア黒人。
トリポネと同系統の屈強で洗練されたフィジカルモンスターで、アシトにとってはトリポネのリベンジ的な位置付け。
バルサユースの中盤を担う、完璧な役割分担のイメージである「白いタイル」を見ることができる司令塔の1人。スペインU-18代表。
ガルージャ監督の息子。なお離婚しており、ガルージャが現役に拘って世界各地を転々とした都合もあって母親に引き取られている。ただ、母親は息子を自分のステータスとしてしか考えていない典型的な毒親。
幼少期はラ・マシアに入って以来当落線上ギリギリで精神的に疲弊しており、諦めて最後の試合にするはずだった公式戦、皆のムードメーカーで親友だったレナードを切り捨てると共に「白いタイル」の扱いに目覚め、プロとしての非情さを身につけて成長の軌道に乗った。
花とは同年代なので福田と共に居た時に親しくなったが、スペインを離れて以降は縁がなかったようで現在はすれ違っても気付かない程度。
同じく「白いタイル」が見える司令塔の1人でスペインU-18代表。ガラが悪め。
インタビューの際にはDFと紹介されており、試合では守備的MFの位置に入っている。
同じく「白いタイル」が見える司令塔の1人でスペインU-18代表。短髪で、一人称「私」の堅物な言動。
ユーリやファルコより一足早くステップアップしていた有望株。
見た目から口調まで猫っぽい雰囲気のFW。幼少期は気弱でホームシックに掛かっていたりした。
エスペリオンのオールコートマンツーに追い込まれて失点の引き金となり、ハーフタイムに「FWとしてのキャリアは終わり」と断じられてスザクの投入と共にSBに降ろされるが、そこから持ち直してSBとしてのプレーは卒なくこなしている。
スペインU-18代表のCB。どう見てもユースではない強面とゴツい肉体を持つ。
「バルサに居る限り、他のクラブに興味を持つのはステップダウンする時だけ(だから他のクラブについて知る意味はない)」というバルサ魂の持ち主だが、その割には足元の落ち着きにやや弱点があり、エスペリオンのオールコートマンツーの起点として標的にされることとなる。
ウクライナ人FW。戦争を理由に比較的最近ユースに迎え入れられたためスペイン語は不慣れ。
こんな名前だが日本にルーツがあるといった描写は特になく、むしろその来歴のため「サッカーじゃなくても生きていける」日本の選手を侮蔑している。
ピッチ外では帽子、ピッチ上ではヘアバンドを着用する小柄な少年。
機敏でポジショニングに長けて守備献身性も高い選手で、エスペリオン戦ではデミアンと共に後半から投入され、デミアンの陰で躍動する。
スペインU-18代表のGK。クール系イケメン。
掘り下げは特に無いのだが、涼しい顔でスーパーセーブを決め続ける最後の壁としてエスペリオンを終始苦しめた、地味に存在感抜群の男。
敵GKの秋山をして手本となる「先生」と称された。
バルサU-18のヘッドコーチ。長髪をまとめたサングラスのイケメン。
前職は敏腕のスカウトであり、デミアンをアルゼンチンまで出向いてスカウトし救い出した人物でもある。
現在のバルサの育成軽視にはスカウト時代から強い敵愾心を持ち、義憤に燃えて育成に情熱を注ぐ人格者に見えるが、
一方で彼が暖かく接するのは突出した才能の持ち主だけで、並大抵の才能は冷酷に切り捨てていくという、欧州サッカー育成年代の負の側面を象徴する一面もある。
福田と同世代の日本人ながらバルサU-18のコーチ。極端な欧州至上主義で、日本の育成環境を侮蔑する態度を隠さない。
高校時代は青森星蘭で成宮の指導を受けており(清吉とチームメイト)、福田が最大の敵と言うほどの天才だったが、今の本人のように欧州至上主義に染まっていた親に唆されて在学中にユースに移籍、そして早々に欧州挑戦するも躓いて結果を出せずに引退。
最終盤の登場かつ一コーチ故に作中あまり見せ場はないが、指導者としてはコネもなく地道にキャリアを積み上げてここまで来ており、指導者として優秀なのは確かな模様。
福田がサバデルに移籍した時の現地通訳。現在はバルサユースの心理カウンセラーになっており、選手たちから頼りにされている。
地元の人間で、日本語はたどたどしいため通訳としては微妙に頼りなく、イーサンも孤立して何の役にも立たない福田に失望していたが、花のスペイン在留など私生活の面でもサポートしてくれており、最後にはサバデルの救世主となった福田に深く感謝した。
その他
「サッカーエブリー」の記者。アシト並の癖毛の金髪と太眉が特徴。ラフな印象だが大人の色気も中々。
エスペリオンにお熱な先輩の命で取材に来たのが間違ってBチームの試合会場に来てしまい、そこでアシトに興味を持ったのをきっかけにユースの世界にのめり込んでいく。
記事の出来は「拙い」とハッキリ言われるほどのようで、ユースという注目度の低い題材のせいもあって閲覧数も部署内ワースト級だが、記事から溢れる情熱は評価されている。
高円宮杯プレミアリーグWESTにおける最強チーム、ガノン大阪ユースの監督。37歳。
現役時代は日本代表キャップ111試合を誇ったCB。福田と同時期にスペイン1部でプレーしていたため交流があり、指導者としても福田が苦手意識を持つ存在。
作中ではエスペリオン側の事情もあって大敗を喫し、その後ガノンとは高円宮杯のファイナルで対決するが、その直前に森野はトップチーム監督に昇格したので再戦することはなかった。
実在人物との関わり
「日本人の司令塔型サイドバック」と言えば真っ先に名前が挙がるであろう選手であり、
また、「欧州移籍で名を上げて、これからというところで怪我でキャリアが暗転して最後まで怪我に苦しみ続け引退、指導者の道を歩む」という福田との共通項もあるが、連載開始時は内田もまだ「怪我がちな選手」くらいに留まっていた頃であるため、ここは偶然の一致だろう。
あと、名前が「アツト」で「アシト」とニアピン。
表立っては関わっていないが、連載の準備段階で内田のことも取材していた模様。
作中においては青森星蘭戦でアシトが自分の目指すプレースタイルに覚醒した直後、福田がアシトをSBにした理由を語る回想で、似て非なる先駆けとして内田を強くフィーチャーしている。
福田個人の評価という体ではあるが「右SBとして世界で5本の指に入っていた時期もあると思う」「世界の扉をこじ開けた、英雄の中の英雄」等と強火気味な語り口になっており、そのあたりは本人も公にネタにしている。
司馬明孝の経歴はほぼそのまま彼である。作中世界では別人として中村も存在していることにはなっているが。
アオアシ読者だった中村は現役引退後、愛媛FCに居た知り合いのツテで作者と個人的に交流を持つようになり、それから作者側からもまたとない機会として色々と質問していたようで、
終盤では「協力:中村憲剛」と名前が載せられているほか、『ジュニア版』では中村のコラムが掲載されていたりと、作品の一端に関わる立場となっている。
追記・修正は、追記・修正コンプリートしてお願いします。
- 直近現代サッカーが描かれてる点を重視すれば最強候補に挙がる名作だと思う。無駄に引き伸ばさなかったのもポイント高い -- 名無しさん (2025-07-05 22:37:34)
- 欲を言えば日本代表としてトリポネや北野と同じユニフォームを着るアシトの姿が見たかった -- 名無しさん (2025-07-05 22:42:44)
- 「高校よりもユースが強い」は一貫して言われるが「高校が弱い」わけではないのが良いところ。なんなら作中最後付近では「長友みたいな晩成は欧州じゃ見向きもされない。日本が欧州の真似事をやめて独自の魅力を追求した時は真に恐ろしい存在になる」と言ってる -- 名無しさん (2025-07-09 10:42:18)
- 高校では無いけどホイッスルもユースの扱い苦労してた印象、連載開始時は強豪部活>ユースだったのが、後期には逆転していたので、その辺のバランス取りに悩んでたのが見える -- 名無しさん (2025-07-18 00:16:39)
最終更新:2025年07月21日 06:47