スケバン刑事

登録日:2012/06/01(金) 11:00:28
更新日:2025/04/18 Fri 10:40:04
所要時間:約 7 分で読めるぜよ




スケバン刑事(デカ)』とは、和田慎二の漫画作品。
1976年1月〜1982年12月まで白泉社の少女漫画誌「花とゆめ」に連載された。

概要

とある事情で不良学生ながら刑事になった麻宮サキの活躍を描く。

不良の目線から見た「無理解な大人(社会)への反抗」に留まらず、世の中の様々な理不尽なものに対する怒りを剥き出しにしたハードボイルド志向の強いアクション漫画であり、少女漫画とはいうものの内容はかなり重い。
実際、登場人物の半分くらいは死ぬ。

場面によってはグロかったり凄惨なシーンもあったりするが、そういうシーンは比較的少なめなので、苦手な人でも安心……か?
一方で笑える場面もそれなりにあり、必ずしも重いだけの漫画ではなかったりする。


連載終了後に実写ドラマ化され、一大ブームを巻き起こしたことで知られるが、原作と作風がかなり異なっており、しかもドラマ版はドラマ版で作品によって作風が変わったりするため、まあ、それはそれである。
ドラマについては当該項目を参照。

ドラマのイメージが強すぎるが、他にもOVAが発売されていたりする。

和田の没後10年となる2021年からは別作家によるリブート版が『月刊プリンセス』にて掲載されている。


あらすじ

札付きのスケバン、麻宮サキは「地獄城」と呼ばれる国内屈指の過酷な女性用少年院の中で過ごしていた。
ある日、面識のない謎のグラサンの男がサキの所を訪れ、こう持ちかけた。

「学校で大事件が起きているが大人では学校の捜査は難しいので、学生刑事になって欲しい」

警察の手先になるなんでお断りだと一度は蹴るサキだったが、彼が「死刑囚であるサキの母親の死刑執行を延ばす事」を交換条件に出したため、悩んだ末に承諾する。
そして、脱獄不可能と言われた地獄城から脱獄し、学生として潜伏しながら世の不正を暴く、サキの学生刑事としての新たな人生が始まった…。


登場人物

  • 麻宮 サキ
主人公。
鷹ノ羽学園で番を張っていたが、生活指導の教師に目をつけられて地獄城に送りこまれる。
その後地獄城を脱獄し、スケバン刑事となって母校に舞い戻ってきた。
スマートな体躯ながら筋力が非常に強く、恵まれたフィジカルと研ぎ澄まされた勘、そして母親に教えてもらったヨーヨーを武器に戦う。
当初は普通のヨーヨーを使っていたが、神恭一郎から戦闘用に特化したヨーヨー(鉛入りで、糸も極細のチェーンで作られている)を託され、それを使うようになる。
なお、このヨーヨーの内部には警察の証である桜の代紋が刻まれており、サキの身分を保障するものとなっている。
ドラマ版ではセーラー服がトレードマークだったが、原作では話が進むにつれ「学校」が舞台の話が少なくなっていき、終盤にもなると最終回くらいしかセーラー服を着る場面がなかった。

リアルファイトではほぼ無敵だが、メンタル面に隙がある。まあ、高校生だからそれ位普通ではあるのだが。
また、数の暴力に押しきられて負けた場面もあった。

恋愛とは無縁の世界に生きてきた為、そっち系の話は苦手。

やたら男性(神、三平、ジミー、ムウ)に好かれる。

糞尿まみれになったりミミズ風呂に入れられたりミミズハンバーグを食べさせられたり死体と箱詰めにされたり、
千人はいるであろう不良達から一方的にリンチされたりと割りと散々な目に遇っている。

  • 神 恭一郎
サキをサポートする私立探偵。長髪イケメン
元々は作者の過去作品に出てきたキャラクターだったが、スターシステムによってレギュラーに抜擢された。
表・裏問わず太いパイプを持ち、銃の達人でリアルファイトがかなり強い。
当初はサキにとって「いけ好かないが自分にとって必要な仲間(リーダー)」的な存在だったが、本作の路線変更に伴い、いつしか恋愛感情を向けられるようになる。
本人達はなかなか自身の気持ちに気付こうとしなかったが、サキとは相思相愛。
本編開始前に「猫」という犯罪組織を壊滅させた過去があるが、「猫」が復活しつつあることを知り、再び戦うために海外に渡るも、徐々に視力が蝕まれていく…。
かつて、強引に鉄仮面を付けさせられて洞窟の中に放逐された過去があり、この鉄画面がドラマ版二代目サキのモチーフになった。

  • 沼 重三
鷹ノ羽学園の社会地理及び生活指導の教師。彼も彼で壮絶な過去持ちで、左目の部分の皮膚が硫酸により焼けただれている。
己にも他人にも厳しい熱血漢で不良生徒を目の敵にしており、サキを地獄城に送ったのも彼。
スケバン刑事になって鷹ノ葉学園に戻ってきたサキにも敵意を剥き出しにしており、当初は「無理解な大人」のテンプレのようなキャラをしていたが、戦う彼女の実態を目の当たりにして次第に態度を改め、協力してくれるようになる。
サキが何か事件に絡むと仕事を放り出して彼女のもとに行ってしまい、そのぶん彼の担当クラスは一気に大量の宿題を出されたり履修範囲を強引に終わらせられる等の皺寄せを被っているが、生徒達からは意外と理解されており、何だかんだ言って愛されている。
一介の学校の先生のはずなのに、彼もまた、普通に戦力として数に数えられるくらいにはリアルファイトが強い。

  • 暗闇警視
サキにスケバン刑事になる事を持ちかけた人物。その後も事件は彼が持ちかける。
大柄でグラサンと怖い風貌。裏の警視総監とも呼ばれており、彼の事を知る人物からは恐れられている。

  • 野分 三平
鷹ノ羽学園の男子生徒で、金持ちの家の跡取り息子。
痴漢をしようとしていたところをサキに取り抑えられ、それをきっかけにサキに惚れる。
初登場時は長髪だったが、「長髪の男は嫌い」と言われたため丸坊主に変え、サキの助けになろうと奔走する。
能力はかなり高く、サキの仕事を的確にサポートしていく傍らサキを振り向かせようとするが、サキからは快い返事は得られないまま、見合い相手の小座倉美幸から好かれている現実を受け入れられず自暴自棄になりかけるが、
色々あって美幸と式を挙げた……挙げたが……
武器はコンパクトな釣竿。釣りキチ三平。

  • 海堂 美尾
神の探偵事務所の秘書。
神の友人である西園寺京吾と婚約していたが、事故により彼を失った過去を持つ。
当初は戦闘に関わらないキャラだったが、後半になると神を献身的にサポートするようになり、視力を失いつつある彼の射撃のリハビリに同伴するなど自ら死地に赴くようになる。
が、そのせいで死亡フラグが立ってしまい…

  • 谷村 スガ
美尾と共に働く秘書その2。14歳だが何故か普通に神の秘書をやっている。
客が来た時には喜びながらコーヒーや料理を振る舞おうとするが、
いつも彼女が作り終える前に客が帰ってしまったり、サキや神が重要な話をしていても会話に混ぜてもらえなかったりと損な役回りが目立つギャグキャラ。
美尾と違い、こちらは最後まで戦闘には関わらなかった。

  • 海槌三姉妹
長女:海槌 麗巳
次女:海槌 亜悠巳
三女:海槌 詠巳

サキが服役している間に鷹ノ羽学園を支配していた、悪役令嬢お嬢様の三姉妹。
見た目麗しいが、その名が示すように、どこか「蛇のような冷たい目」をしていると評される。
また、三人とも、蛇を自分の手足のように自由自在に使役できるという特技を持っている。
鷹ノ羽学園の支配を目論む大富豪・海槌剛三を父に持ち、詠巳は「画家としての成功」を、亜悠巳は「バイクレースでの一攫千金」を、麗巳は「より強力な支配体制の確立」を望んでいる。
まず手始めに、父の剛三を鷹ノ羽学園の理事長に就任させるべく罠を張り、自分たちになびかなかった敵対勢力(サキが番を張っていた頃の不良仲間など)を事故に見せかけて一気に粛清。
さらに、詠巳の手によって、サキに心を開いてくれた芸術家の少女・純子が手柄を横取りされた挙げ句に殺されてしまう。
サキによって剛三と詠巳の悪事は白日の下に晒されるも、実はそれらは全て麗巳が裏で手を引いており、法の裁きを受ける前に剛三と詠巳は凶弾に倒れ、亜悠巳もサキをバイクレースに誘って闇討ちしようとしたところをやはり麗巳の策略によって殺されてしまう。
実の父親や姉妹ですら自らの野望のために謀殺した麗巳だったが、サキとの激闘の果てに遂に敗れ逮捕。地獄城に送られたが、いつの間にか脱獄して行方を眩ませてしまった。

その後、海外で組織の後ろ楯を得て再起した麗巳は、整形手術で顔を変え、自分の計画をことごとく邪魔したサキに復讐すべく、彼女の周りの人間を次々とその毒牙にかけていく……。
麗巳との再戦→決着をもって、本作は「第一部・完」となる。

  • 小座倉 美幸
サキの妹で、現在は小座倉家(三平の実家・野分家のライバル的存在である大富豪の一族)の養子。
野分家と小座倉家の関係を良化させるための政略結婚として、三平とお見合いをさせられることになる。
心優しい純粋な性格であり、三平ともすぐに打ち解けたほか、久しく会っていないどころか不良になってしまっているはずのサキのことも大好きで、姉として変わらず慕い続けている。
が、三平が本当に好きなのはサキだと知って、苦悩するあまりサキの神経を逆撫でするような失言をしてしまうなど、どこか精神的に甘さがあるような一面もある。

  • 麻宮ナツ
サキと美幸の母親。しかし美幸ばかりを愛し、サキの事は殆ど顧みる事は無く、機嫌が良いときに一緒にヨーヨーで遊んでくれたくらいであった(それがサキにとって数少ない大切な思い出となっている)。
家庭の金銭的な事情から美幸を養子に出すも、それを快く思っていなかった夫が小座倉家に接触しようとしたため、それを止めようと彼を殺害し投獄される。
サキはそんな彼女を救う為にスケバン刑事となったわけだが、彼女のほうは相変わらずサキの事が嫌いで、しかも麗巳の策略に嵌まってしまったことからサキを我が手で殺そうと脱獄まで試みるようになる。
ただの痩せぎすの中年女性のはずなのに、我が身を顧みず捨て身の攻撃を躊躇なく行えるほか、サキと互角レベルの腕前でヨーヨーを扱えるため戦うとかなり厄介。
最終的に2度サキのピンチを救う事になる。

  • 綾倉 五子
通称「アグラ」。
ほとんど男にしか見えないくらいガタイのいい不良少女で、サキの地獄城時代のルームメイト。後に旅行先で再会したり、梁山泊に潜入した際に再会したりと、サキとは縁がある。
彼女もまた不良界では名の知れた総番長で、元々は南九州一帯の不良を束ねるほどの実力者。
終盤、サキの正体を知った時には、「自分たちの仲間であるかのように振舞っておきながら実際は公権力側の人間だった」として他の不良同様に激怒して彼女を一度は見限るが、
やはり心の底ではサキを信頼しており、冷静さを取り戻した後は総番長の座を降りて単独サキの元へ向かった。

  • 吉崎 美鈴
麗巳との決戦の後、サキが一時的に消息不明になってしまったため、暗闇警視によって新たに学生刑事に任命された4人のうちの一人。
実力は低くなかったものの、事件を解決しても何かにつけてサキと比べられる事からサキに対して恨みを持っていた。
が、決闘を通じてサキと和解し、以後は仲間として協力してくれるようになる。
4人の新学生刑事の中の実質的なメインキャラ。

  • ゴルド=小松崎
アメリカでサキを保護していた大富豪。
片方の目が義眼で、秘書のMissワタナベに身の回りの世話を任せている。
義眼で瞼が無いという見た目も凄いが、「満身創痍で記憶喪失になっていたサキに睡眠学習装置で偽りの記憶と人格を植え付け、かつて亡くした一人娘の『ナツキ』として育て直す」というその発想も凄い人。
自分のしていることの異常性には薄々気づいており、サキが記憶を取り戻したのを機に己の過ちを認め、サキとは円満に別離した。

  • Missワタナベ
ゴルドに命じられ記憶喪失のサキにナツキの人格を植え付けた。
後に沼と結婚。

  • ジミー=オッドマン
ゴルドと親交のある大富豪、オッドマン家の御曹司。
軽薄な浮気者で、しかも人種差別主義者というどうしようもないボンボンで、自分に好意を持つナツキ(サキ)を良いように利用していたが、記憶を取り戻したサキに一蹴されて改心。
睡眠学習装置で日本語を学び(手違いで関西弁になってしまったが)、サキに会いたいがために密入国で日本まで押し掛けて来る。
三平の後釜になるべく、自らも髪型を坊主にして奮戦するが、三平とは違いボンボンゆえの心の甘さが抜け切らず、最終的には自分の無力さを痛感させられてひっそりとフェードアウトした。

  • 榊原 アコ
サキになついてきた鷹ノ羽学園の生徒。サキの事が好き過ぎてむしろサキがピンチ位がいいという困った子。
事実、サキを追った事により一時期精神崩壊に追い込まれた。

  • ツグミ(小塚佐 智子)
学生刑事の一人。変装の名人で普段はツグミと名乗っている。
サキと共に梁山泊に送られ、梁山泊からの脱出後に正体を明かした。
作中でもかなりエグい死に方をした。

  • エンジェル
梁山泊にて登場。梁山泊の第3棟にて、ミミズの養殖を取り仕切っている少女。
第一印象こそ悪かったものの、アグラ以外で終始サキに好意的に接してくれた数少ない人物。

  • 風間 聖子
学生刑事No.4。女子大生。
終盤で仲間に加わり、驚き役サポート要員として活躍する。
美鈴やツグミに比べるとキャラが薄い……が、本名も判明しないうちにいつの間にか敵に寝返って雑に一蹴されたNo.1よりはマシ。

  • 樹真
神の知り合いの坊主。その発言は銀行強盗を自首させる力を持つ。

  • ムウ・ミサ
額に三日月形の傷が入った男性。どことなくやらないかの人に似ている。
梁山泊に潜入したサキの前に現れて、その後もことある毎にサキをストーカーする。サキに惚れており、神と決着を着けようとする。

  • 鳴海 碧子
裏社会の重鎮、信楽老の孫娘。
麗巳の友人だったが麗巳がサキと出会ってからはサキばかり構ったままいなくなった為、サキの事を恨んでいる。

  • 信楽老
ラスボス
数百年生きている化物老人。社会を意図的にトラブルに陥れ、それを復活させた人物として国民の信頼を掌握しようとする。




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最終更新:2025年04月18日 10:40