怒首領蜂大往生

登録日:2010/10/11 Mon 20:12:03
更新日:2025/05/23 Fri 20:25:28
所要時間:約 6 分で読めます




怒首領蜂ありがとう。

そしてさようなら…



本格シューティングゲーム永遠へ…



怒首領(どどん)(ぱち)大往生とは2002年に稼働開始した縦スクロール弾幕系シューティングゲーム。開発元はCAVE、総発売元はAMI。

【概要】

ご存知弾幕STGの金字塔『怒首領蜂』の続編であり、前作のシステムをさらに進化させて大ヒットを記録した。
後述する難易度の高さで有名な本作であるが、ゲームとしてのクオリティは高くファンも多い。

白往生、調整版のブラックレーベル(通称「黒往生」)があり、前者はPS2に、後者はXbox360に移植されている。
現在ではPS4、Switch向けに白、黒に加え初心者向けに調整された「スーパーイージーモード」、さらに初移植の海外版「怒首領蜂Ⅲ*1」も収録された『怒首領蜂大往生 廻転生』が発売されており、今から触れるならこちらがオススメ。
その他にはiモード版(Switch、Steamに移植済)やiPhone版(白ベースだが追加機能で遊びやすい)、PS2版限定で収録されているデスレーベル(ボスラッシュ。夢も希望も慈悲も無い鬼畜難易度)が存在する。

音楽は『バトルガレッガ』等の並木学氏が担当。クオリティも高く、本作以降の多くのケイブシューの作曲を担当していった。
因みにこのゲームで流れるBGMのタイトルはほぼ全て、アーケードSTGの歴史を語るうえでは外せないメーカー名から来ている。

【ストーリー】

先代の文明国家は兵器に戦略意思を持った機械兵団を創り出し、無人の世界大戦をおこなっていた。

やがて誰も機械兵団の戦闘を抑えられなくなり、全てを失った人類はその過ちを繰り返さないよう、機械兵団を月に封印したのだった。

そして1000年の時が過ぎ、人類の文明が平和に向けて使われる時代が訪れていた。
この時代はロボットの技術が発展し、人間に出来ないような難解な作業は、すべてロボットに任せる事ができる程になっていた。

そんな時、月では異常な動きが報告されていた。
封印していた機械兵団が起動しているというのだ。
何者かによって封印が解かれたのか、それともコンピュータの意思か…。
国連軍は、目覚めた機械兵団が地球を目指して戦力を整えつつある情報を掴むと、
月の首都である月華僑(ルナポリス)にむけて先制攻撃を仕掛けていった。

その作戦に参加した戦闘員の中に、戦闘機の「強化」を行う専用ナビゲータ「エレメントドール」がいた。

エレメントドールとは、戦闘機に接続・装填することで戦闘機全ての兵器プログラムを管理し、武装の強化を図る戦闘用ロボット。
この「エレメントドール」の出現は、戦闘機の強化を容易に行うことを可能にし、またそのタイプによって、強化する兵器を変えることができるなど実戦において欠かせない存在になりつつあった。

しかし、エレメントドールの存在によって、
「機械対機械の戦争」という過ちが繰り返されようとしている…。

【操作】

1レバー3ボタン。 8方向レバーで自機の移動を行う。

Aボタン:ショット/レーザー
短押し(ゆるい速度での連打)で攻撃範囲に優れるショットを発射する。
ボタンを押し続けるとオプションを収束させ、攻撃力に優れる「レーザー」の発射に移行する。この際、自機の移動速度は低速となる。
レーザー発射中に自機が纏う「オーラ」にも独立した攻撃判定があり、レーザーの発射源(合体中のオプションが配置される位置)を敵に重ねるとレーザーとオーラが同時ヒットとなり大ダメージを与えられる。(通称:オーラ撃ち)
オーラ撃ちを当てるには敵へぶつかるギリギリまで近づく必要があるので注意。

Bボタン:ボム/ハイパー
ショット中に押すと画面全体を攻撃する「スプレッドボム」を放つ。無敵時間は短め。
レーザー発射中に使うと攻撃範囲は狭くなるものの火力が高く無敵時間が長い「レーザーボム」を発射する。
ハイパーについては後述。
ボム所持数は死亡時に1つ増える。(ただしハイパー発動中に死亡した場合は増えないので注意)

Cボタン:フルオートショット
ボタン長押しでショットを撃てる。

【自機】

  • TYPE-A
(1Pカラー:/2Pカラー:
攻撃範囲が狭い、「前方集中型」のショットを撃つ。移動速度は速い。

  • TYPE-B
(1Pカラー:/2Pカラー:
攻撃範囲が広い、「拡散範囲型」のショットを撃つ。移動速度は遅い。


なお、ケイブ内製作では唯一中速ヘリコプター型+左右移動で弾道が変化するショットの機体が存在しない。

【エレメントドール】

『怒首領蜂』での自機選択後の「強化タイプ」にあたる存在。
本作からショット・レーザーを両方強化するエキスパート強化が初登場*2
更にタイプによって開始ボム数、最大ボム所持数が変動するようになっている。

  • ショーティア
ショット強化。攻撃範囲が広くボム所持数も最多(3~6個)だがレーザーが貫通しない為火力不足気味。ボム強化ではない
レーザー時の足の遅さは弾速が全体的に速めな本作においてかなり響く。初心者向けに見せかけた玄人向け。故障ティアなどと言ってはいけない。
流石に問題だったのか黒往生ではレーザー時の足が若干速くなって名実ともに初心者向けになった。


  • レイニャン
レーザー強化。レーザーが貫通する。ボムは2~4個。人生押しっぱなし
死ぬとショットが貧弱になるので復活はかなりきついが、緋蜂戦で多くボムれる。そのため全一スコアがこの強化だった時期があった。*3
実際に辿り着けるかは別問題として。


  • エクスイ
エキスパート強化。ショーティア並のショット範囲*4とレイニャンのレーザーを持つがボムが少ない(1~2個)。
ボムによるゴリ押しがしづらいため、他の強化以上にハイパーの使いこなしが重要。ある意味本作のゲームデザインを体現したような子。
とはいえショット、レーザー両方強化の恩恵はデカく、白往生でクリアを狙うなら事実上これ一択。
なおEDは鬱エンド。しかもCAVE的には正史であり、6年後の続編へのフラグにもなっている


お勧めの自機タイプとしては
A-Ex≧B-Ex>B-L>>>色々な壁>>>B-S

上記の通りEX強化で安定だが、黒往生や白往生1周目ならS強化も十分視野に入る。
とりあえず白往生2周目B-Sは苦行なんてもんじゃないのでドM以外はやめておけ。


【システム】

  • GPSシステム
ご存知コンボシステム。
敵を倒すとコンボゲージが増加し、これが0にならない限り得点が雪だるま式に増加していく。
レーザーを当て続けている場合ゲージは一定量残るのでこれを利用すれば全つなぎが可能。
当初は3面のみ全繋ぎできない*5とされていたがパターンが改良されていった結果、全面で全繋ぎ可能と証明されている。

  • 蜂アイテム
各道中に10個隠されてるアイテム。
隠されてる場所にレーザーの先端を当てると出現する。

取得時に
  • コンボゲージ最大値まで回復
  • スコアがHit数×1000×(1+蜂パフェの面の数)加算
  • ハイパーメーター増加(増加量はhit数依存、またハイパー発動時は増加せず)
の効果が発生する。

  • ハイパーシステム
今作において稼ぎ、攻略の両方においてのキモ。
敵機にレーザーを当てるか、蜂アイテムを取得することで画面上部のハイパーメーターが溜まり、上限まで達するとハイパーアイテムが1個出現する。
道中で溜まった場合は即出現、ボス戦においては特定条件下(ボム数0等)で出現。
ハイパー発動中にメーターが溜まった場合は弾消し発生、ハイパー終了時にアイテムが出現する。

アイテムを取得した後、ボムボタンを押すことでハイパーを発動することが出来る
最大まで5個まで貯めることが出来る。

ハイパー発動により無敵時間(道中80フレーム、ボス戦120フレーム*6)と共に
  • 攻撃力、Hit増加数の上昇(ハイパーの個数により上昇率変化)
  • コンボゲージ増加量が増加
  • 画面の弾消し
  • ランクの上昇
  • ボスの攻撃の処理速度が1.5倍速化(真ラスボス除く)
の効果が発動。ハイパー中にボムを撃つと強制終了される。

迂闊に使うと自分の首を絞める危険性もあるが、後半面は殲滅力アップの恩恵が大きくなるので上手く使っていきたい。
また、冒頭でも触れてるがハイパー中に死んでしまうと 「ボムの最大ストック数が増えない」きっついペナルティがある ので要注意。

  • ランク
このゲームのランクは生存時間ハイパー使用累計数のみである
前者はほぼ全てに、後者は特に弾速度に影響を与える
ただし後者は最大で15個分でボムで-3、死亡で-12なのであまり気にすることはない
2周目は白はランク最大で固定。黒は変動ありで2-5までノーミスを維持すると白の最大ランクを上回る。


【ステージ】

全5ステージ、2周エンド(突入条件あり)。

  • ステージ1     東亞
月の首都・月華僑(ルナポリス)の上空を進む。
敵の攻撃はまだ緩い。露骨な初見殺しもないため操作に慣れるには最適。

ボス:大型制空戦闘機 凄駆(スザク)
左右のホバーリングポッド、中央の巨大ガトリング砲、左右2門ずつの計4門の砲台から、1面ボスとは思えぬ激しい弾幕をばら撒く。
ホバーリングポッドが破壊可能で、破壊できればハイパーアイテムを放出する*7
…がポッドを破壊すると発狂モードになり、 上級者でも死ねる程の1周目としてはあまりにも場違いな高速弾幕がすっ飛んでくる。 *8


  • ステージ2     彩虹
かつてクレーター地帯だった湿地帯を進む。
背後に映る地形や、クレーター地帯を抜けて敵基地に潜入する構成など怒首領蜂2面を強く意識したようなステージ。
終盤がザコラッシュなのもやはり同じ。ハイパーの利点と醍醐味を気軽に味わえるので余裕ができれば使ってみよう。

ボス:局地用浮揚戦車 百虎(ビャッコ)
前後両方から弾を発射してくる大型砲台に、その内側に設置してある小型砲台、中央頭の部分から攻撃を行う。
体力が少なくなると発狂。大型砲台部分が壊れ、その後ろからショットガンタイプの砲台が出現する。
第一形態の弾幕が数パターンからランダムな上に針弾同士が交差するタイプ弾幕が多く事故被弾が起きやすいと こちらも2面ボスにあるまじきとんでもない強さ。
第二形態は純粋なばら撒き主体になるが弾幕が濃く、そして速い。慣れるまではボムを惜しまないつもりで。


  • ステージ3     凄舞
月の上空、衛星軌道上での戦闘。
この面から本作は本性を現す。特に 中ボス以降は攻略ルートから外れるとボム/ハイパーか死亡確定という熾烈さ。
ただしランダム要素がなくパターンを組み上げる程安定度が増すため、パターン構築の楽しさを実感しやすい場面でもある。

ボス:軌道衛星防衛艦 厳武(ゲンブ)
本体の前部に装備されている大口径の砲台と首の部分からの 6(3×2)連装の砲台と、左右に設置されている砲台から攻撃を行う。
体力が少なくなると発狂。本体の外壁が左右に開き中から浮遊砲台が出現する。
弾幕STGとは思えない弾速の弾幕で道中を抜けてきたプレイヤーを叩き落とす。百虎と比べてパターンになりやすいとはいえとても手強い。
更に発狂は常に迫ってくる交差弾+時折放出される浮遊砲台からの自機狙い+おまけと 非常に凶悪。決め撃ち用のボムが無ければ待っているのは死である。


  • ステージ4     錯節
月の坑道内部に侵入する。
3面と比べると幾らか控え目な難易度だが、終盤のレール地帯は完全なパターン可ができずにアドリブを要求される。
この面の中ボス「怒顎(ドガク)」は左右のパーツを破壊してから、本体にボム以外でトドメを刺すと1UPアイテムが手に入る……のだが下手に狙おうとすると殺されるくらい強い。
怒顎からの弾幕だけでなく、 砲撃後に上から降ってくる薬莢に潰されるプレイヤーが相次いだ。

ボス:局地用浮揚戦艦 逝流(セイリュウ)
本体の3連装×2門の砲台と腕みたいなパーツから攻撃を行う。ある程度ダメージを与えると、円盤状のビットを展開する。
ビットへのダメージは本体へ還元されるため、ハイパーレーザーやレーザーボムを複数のビットへ同時に当てるようにすると一気に体力を削れたりボスヒット数を荒稼ぎできる。
弾幕自体も全体的に2・3ボスよりは見切りやすい。発狂が少々難しいが上記の方法を使えば速攻が可能。

  • ステージ5     胎慟
最終ステージ。前半は怒首領蜂の1面を思わせる地形で、背景をよく見るとかつて怒首領蜂1面に登場したボスが墜落している。
さらに過去作のボスが中ボスになって再登場。
中盤から自機狙い弾が常に撃たれるため、パターン構築に加えて高い切り返し技術も求められる。

ラスボス:最終鬼畜兵器 黄流(コウリュウ)
戦いの最後に待ち受ける巨大な蜂の姿をした地上兵器。武装は足の6門の砲と口部、及び触角。
来訪者を歓迎するかのように、分厚い弾幕でもてなしてくれる。
発狂の反射弾幕の隙間抜けは重苦しいBGMも相まってプレッシャーは相当なもの。
なお、ハイパー発動中にボス戦に入ると恐ろしい目に遭うので絶対に避けるように。*9



よく「非常に難しい」「無理ゲー」といわれる本作。
事実1周目の前半面からボスが強く、特に3面は道中・ボス共に初心者の壁として大きく立ちはだかる。
また使用した基板が『怒首領蜂』のものより低スペックであり、それを補うべく 「最大表示弾数が劣る代わりに弾の速さで殺す」 という調整をした結果、 「弾幕系なのに弾が速い」 という事、更に特殊な解像度を採用している事が影響して 体感上の自機の当たり判定が「怒首領蜂」より大きく感じる事 *10も高難易度に拍車をかけている。
とはいえ実際は規則性の強い素直な弾幕が多くやればやるだけ上手くなるというSTGの面白さが詰まった作品であり、実は弾幕STGの攻略入門作というか登竜門としても向いていると評価するプレイヤーも少なくない。


「大往生」のタイトル名や記事冒頭のフレーズで「あれ?」と思う方もいるかもしれないが、 当初は本作を以ってシリーズを完結させる予定であった。
記事冒頭のフレーズはアーケード版の販促用チラシで実際に採用されたキャッチフレーズ。
怒首領蜂Ⅱ」のヒットで開発が始まった本作だが、上記の2周目の件だけでなく、 開発途中にスタッフの一人が退社して現場が大混乱になって急遽社長が開発に加わったり、ロケテストにて「インカムが悪ければアーケードチーム即解散」と宣告されたり、と極めて崖っぷちな開発環境だった そうな。



数々の伝説を残した本作でシリーズは「大往生」の文字通りに終焉。その存在は永遠となる・・・はずだった。



追記修正は2周ALLしてからお願いします。

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最終更新:2025年05月23日 20:25

*1 怒首領蜂Ⅱの次作という事でこの名前。ちなみに日本版でも「DONPACHI EPISODE-4」の表記があり、首領蜂や怒首領蜂Ⅱも含めてシリーズ正式作ということになる。

*2 厳密には『怒首領蜂 キャンペーンバージョン』(通称青蜂)が初出だが、セガサターン版『怒首領蜂』スコアアタック大会景品用の限定版のため、一般販売された新作では初。

*3 当時のスコア集計ルール上では部門が機体別のみだったため。ただ道中の取りこぼしが多すぎるということで最終的にはエキスパート強化を上回れない結果に。なお2019年にルールが改訂され、現在の集計では機体×強化タイプ別となっている。

*4 厳密にはショーティアより若干狭い

*5 中ボスの出現演出中にコンボが途切れてしまう

*6 2P側ではボス戦も80フレーム。

*7 通常は1個だが、第4波のポッド回転中に破壊すると2個放出される。

*8 緊急回避でレーザーボム発射→ポッド破壊してしまい発狂モードで死亡の流れが続出して開発者が「詰めが甘かった」と認める程。その影響か、ブラックレーベルでは発狂モードの条件が「ポッド破壊+ボスの体力ゲージが一定以下で発狂」に変更され、弾幕自体もマイルド調整が施された。

*9 ボス攻撃パターン処理速度1.5倍が背景のスクロールにも適用される関係で、ボスが非ハイパー時よりも下へ移動した状態でスクロールが停止して余計に避けにくくなってしまう。なお、他のボスは背景がスクロールしながらの戦闘であるためこの現象は起きない。

*10 開発スタッフによると「実際のドット数でいえば「怒首領蜂」よりむしろ小さくなっている」とのこと。