3将軍(セイザーX)

登録日:2011/05/11 Wed 00:38:27
更新日:2025/01/15 Wed 22:21:44
所要時間:約 4 分で読めます







お待たせしましたぁぁぁぁぁっ!!


やっと3人揃ったから、助けに来てあげたわよ?


ねえ、何やってんの?何やってんのぉぉ!?


お前たち…!


いいか!?覚えとけ、恐獣野郎!

俺達は、あっ!誇り高き宇宙海賊、3将ぉ~軍~!


アクアル!


さ、サイクリードっ!


あ、ブレアード様だぁぁぁ~っ!!



画像出典:超星艦隊セイザーX第36話『闇の侵蝕、ダークアルマー』より
© 2005 セイザーXプロジェクト/テレビ東京


う~ん、決まった♪



3とは、東宝制作の特撮ドラマ『超星艦隊セイザーX』の愛すべきバカたち…もとい、登場怪人である。
本項目では火将軍ブレアード水将軍アクアル風将軍サイクリード ・そして第4の将軍こと雷将軍サンダーラについて取り上げる。
…え?3将軍なのに4人いるだって?それについても解説するのでご安心を。

クリーチャーデザイン:マイケル原腸(『真佐木一佐』名義)/西川伸司(サンダーラのみ)



【概要】

まず、本作前半の敵組織である異星人集団・『宇宙海賊デスカル』の幹部としてブレアード・アクアル・サイクリードが登場する。
の4属性の内、雷属性の将軍のみが不在だった為、放送初期から考察が建てられていたが、第2部終盤にてサンダーラが登場したことで4つの属性の将軍が揃うことになった。

彼らの先祖は元々古代の地球の先住民族であったが、アドの故郷であるビオード星の宇宙船団が移住先として地球に攻め込んだことで神のように崇めていたコスモカプセルを奪われてしまった。
先祖達の殆どは宇宙に放浪し永住の地を探したが終ぞ見つかる事なくいつしか宇宙海賊と呼ばれ、ブレアード達3将軍の代には地球人とは異なる異形の怪物へと進化を遂げた。
一方、地底に活動の拠点を移した先祖もまた地上の人間とは異なる独自の進化を遂げた…それがサンダーラ達雷一族の末裔である。

本来の歴史では宇宙海賊のリーダーであるバーダー船長の命令で地球に現れ、コスモカプセルに地球征服を願ったことで地球を制圧し、500年後の未来には宇宙海賊の子孫たるネオデスカルで溢れかえっているとされる。
しかし未来の歴史を変えるべくワームホールから現代の地球にやってきたセイザーXと、歴史改変を阻止しようとするネオデスカルの介入により、彼らの運命の歯車は大きく動き出すことになる…

本拠地は宇宙海賊戦艦バルガレオンで、月面に秘密基地が隠されていた。


【特徴】

東宝が制作した特撮作品群・『超星神シリーズ』としては唯一の全編に渡って登場する敵キャラクター。
但し明確に敵として登場するのは第1部(第1クール)のみであるため、視聴者によって認識は分かれている。

シリーズ2作から一転してコメディ路線に舵を切った本作は個性派揃いのレギュラーキャラの愉快な掛け合いが見所となっており、とりわけ3将軍は演じた声優陣とスーツアクター陣の好演による相乗効果で、悪役ながらも憎めない魅力的なキャラクターに仕上がっている。
さらにアドリブも非常に多く、重要な台詞以外でここぞとばかりに挟むので分かりやすい(特にサイクリード)。

しかし忘れてはならないのが、本作の諸悪の根源たるネオデスカルは彼らの子孫…即ち未来における紛争の発端だということ
元々先祖が地球を追われたという動機こそあれど、彼らが地球に攻め入ったことがそもそもの原因であることに変わりはなく、その点は劇中でもしっかり言及されている。

このことからも単なるコメディリリーフの枠を超えた重要な立ち位置に属しており、最終的にシリーズではインパクター・ロギアやデモンナイト/神野司郎と同じくヒーローに協力するライバルキャラのポジションに収まった。
総じて本作の作風の象徴とも言えるキャラであり、ブレアードを筆頭にファンからの人気は非常に高い。
項目冒頭の名乗りは第36話にてセイザーXに助太刀した際のもので、彼らの個性が遺憾なく発揮されている。

一方、放送初期に公開された『劇場版 超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』ではコミカルさは残しつつも正統派な悪役として描かれている。
これに関しては脚本家・監督が両名ともテレビ本編には不参加かつ劇場版のプロット作成自体がテレビ本編のパイロット版と同時進行であった事*1に起因しているのだが、グランセイザーの扱いと並んで劇場版が賛否両論著しい一因としてよく挙げられがち。


【将軍の皆さん】

火将軍ブレアード

CV:伊藤健太郎
スーツアクター:佐藤優、岩崎晋弥(巨大ブレアード)

ライオセイザー/安藤拓人のライバルにして本作屈指の愛すべきバカ筆頭

火属性を持つ武闘派の怪人。
かなり短気でケンカっ早くすぐに「めんどくせぇ!」と短慮な行動に移るのが珠に瑕。
その直情っぷりは一気に恐獣を出してしまうほどで、他のメンバーから「恐獣はやめろ~っ!!」と止められるほど。

その反面、仲間想いで情に厚い。

武器は長剣『ファイブレード』で、必殺技は『デスブレイバー』

拓人とは初対決以降、ライバルのような関係になる。
第9話「史上最悪の3日間」では拓人と共に戦艦バルガレオンのダストボックスに閉じ込められてしまうが、なんだかんだで奇妙な友情が芽生える。
両者とも似た所があるため、顔を合わせるとすぐ口喧嘩に発展するが組んだ時のコンビネーションは抜群。

第15話「危機一髪!シャークセイザー登場」では両者ともに
「オラオラオラかかってこいやぁ!!」と互いの得物を肩に担いで啖呵を切る場面も見せている。

「ブレンダ」やら「プレリュード」やら「ブレーメン」やら、よく名前を言い間違えられる。

「俺は音楽隊じゃねぇえ!!」


月面で暮らした影響か、なんと生身で真空を泳げる。*2

幼少時に船長に拾われ育ててもらった恩から船長のために戦っている。
船長がロボットだと判明した時には一番にショックを受けていた。 
ちなみに船長の断末魔が『ブレアード、どうして死んでしまったのだー!?』であったことから、一時期死亡説が浮上していたが、実際には杞憂に終わっている。(こちらの項目も参照。)

サンダーラとは本来の歴史なら結ばれる間柄であり、ブレアード自身も彼女に一目惚れした。
しかし当のサンダーラは拓人に惚れてしまい、一時は嫉妬に燃えたが、サンダーラが地下に戻る際には静かに見送った。その後彼女から手渡されたキューライを悲しそうに奏でていた。

中盤、ネオデスカルが気に入らないため離反。安藤家に拾われ、縁側の飼い犬ポチになった。

安藤春子お手製の納豆ごはんを気に入り、安藤家の洗濯物を干したりしながら生活していたがひょんな事からジャッカルと遭遇。
馬が合うらしく第2部終盤では行動を共にした。

ジャッカルが命を落としてからはドリルアングラーを受け継ぎ、セイザーXと彼らの駆る流星神と共にネオデスカルと戦った。

最終決戦の後、サイクリードから借りパクしたコスモカプセル・スタッグビートル7の所有者となり、3人揃って宇宙へと旅立った。



水将軍アクアル

CV:浅川悠
スーツアクトレス:齋藤恵美子

水属性を持つ女怪人。
3将軍のツッコミ役で時には身もふたもないセリフで他2人のテンションを下げる。一応3人の中で一番まとも。

非常に頭が良く様々な作戦を建てる知性派。
武器は先端に月の装飾が付いた『ラグバッシュ』
かなり煽てに弱く、ネオデスカル勢には気前よく協力した。

基本的にブレアードとサイクリードの事はバカにしているが、仲間意識はあるらしく心配する事もあり、安藤家でもブレアードに悪態をつきながら洗濯物を畳んだ事もあった。

洗脳されたサイクリードの豹変ぶりには流石に動揺した模様。
最終的に自分達の居場所を探すため、セイザーXに協力することになる。

最終決戦後はコスモカプセル・ピジョン10の所有者となり、宇宙へと旅立った。


風将軍サイクリード

CV:岸尾大輔
スーツアクター:富田稔

風の属性を持つ知能派の怪人。

黒い海賊帽子とカイゼルヒゲが特徴。
武器は扇状の『ファンクリーダー』

頭が良く3将軍の頭脳派担当……と見せかけて、かなりビビり屋で気の弱い小心者。
しかも少し天然気味でボケ担当でもある。

余り争い事が好きではなくセイザーXに悉く負けた続けたため、次第に宇宙に帰りたいと言うように。終いには宇宙に帰るためにヤケになった事もある。

ネオデスカルの首領は彼の直系の子孫であるため、彼が現代に現れた際には首領の座を明け渡された。

終盤、情けないという理由で頭に怪しい機械を付けられて闘争心と自信に満ち溢れた人格に洗脳される。
その攻勢はセイザーXを苦しめるもブレアードによって機械を取り外され、元の人格に戻る。 

洗脳されてる間の記憶は無いらしく、全く戦局について知らなかったのだがそのまま最終決戦に巻き込まれた。
結局、何がどうなってるのか分からないまま最終決戦後はコスモカプセル・スワン6の所有者となり、ブレアード達と共に旅立った。

演じる岸尾氏の自由すぎるアドリブが見所であり、伊藤氏からも『彼のアドリブ人生のはじめの頃なんですかね(笑)』と評されるほど。一方で本作に参加したとある脚本家が当時運営していたblogで苦言を呈したりもしていた。
実際にアクアルの台詞とアドリブが重なってしまった為、後日浅川氏が録りなおす羽目になったこともインタビューで明かされており、本人もその点はしっかり謝罪している。


雷将軍サンダーラ

CV:倉田雅世
スーツアクトレス:酒井亜美

雷属性をもつ女怪人。
第2部の終盤に登場した4人目の将軍。
100年に一度開く地底の門からやってきた古代地球人の子孫で、語尾に素朴な田舎の娘よろしく「~だぁ」とつける。
『キューライ』と言う楽器を所持しており、これの音色を聞いた者は戦いを止めてしまう。しかしどういうわけか唯一ジャッカルにだけは効かなかった。

地上に現れて初めて会う男性と結ばれる事を信じていた。

本来の歴史ならば彼女と結ばれるのはブレアードであり、2人の子孫がネオデスカルとなるのだが彼女は拓人と出会い、「あんたが運命の人だぁ~!」と惚れてしまう。

拓人の事を一途に想うも、彼の煮え切らない態度に業を煮やして一族の守り神・雷神ゴードを呼び出して拓人を試そうとする。
しかし拓人の正直な気持ちを聞いたことで自分の想いが彼に届く事はないと悟ったサンダーラは雷神の体からコスモカプセル・マンティス11を取り出すと拓人に託す。
最後は自分の存在が争いの元になるとして地底へと帰っていった。
これによって歴史が改変。ブレアードとサンダーラの子孫であったグローザを含む大勢のネオデスカル構成員が消滅した。
ちなみに本来の歴史では、彼女はデスカルに支配された地上に失望して地底へと帰ってしまったらしく、彼女の存在は誰にも知られていなかった。

【余談】

  • 3将軍のデザインを手掛けた原腸氏は作品がコメディな作風だとは知らなかったため、ラフ画をいくつも描くほどカッコイイデザインを目指したりギスギスしながらも互いに認め合っていくというキャラクター像を想像していたそうだが、過去に自身が手掛けたゴーマ3ちゃんズ(『五星戦隊ダイレンジャー』)のようなアットホームな雰囲気の愉快なキャラクターになるとは夢にも思わなかったという。
    • サンダーラのみは米田興弘監督の依頼で西川伸司氏が担当しているが、原腸氏による検討稿も存在する。曰く『横に分けてる感じのFRP製マスクで作ってもらえたら、「アキバレンジャー」に先駆けたものにできたんですが…』とのこと。

  • ブレアード役の伊藤氏によると、アドリブを持ち込み出したきっかけは制作途中だった3将軍の移動時に現れる蝙蝠のCGの内1匹がブレアードの耳にツッコんでいるように見えるカットがあり、とっさに『おっ!コウモリが!』とリアクションを入れたことだという。その場ではNGになったものの声優陣でテスト時に遊んでいたところを監督陣から『本番もそれで。』とOKをもらうことが多くなった結果『悪ノリ』が増えたのだそう。

  • 当初は商品化の予定はなかったが、予想以上の人気ぶりに火が付いたのか、コナミのオンラインショッピングサイト『コナミスタイル』(ライバル会社でいうとこれ)の完全受注生産品としてまさかのソフビ人形が発売された。(但しサンダーラは除く)
    ソフビの原型はシリーズで着ぐるみ造形を手掛けていた品田冬樹氏が担当。そのおかげで造形・塗装共にクオリティは高く、サイクリードは帽子の着脱も再現されている。
    ちなみにこの商品がコナミから発売された最後のシリーズ関連アイテムとなった。

  • 彼らの存在は他社特撮に影響を与えたと評されることが多く、特に翌年に放送された同じく時間がテーマの特撮作品に登場する味方怪人…とりわけその看板キャラと言える赤鬼怪人は放送時期が離れていないこともあって何かとブレアードと比較されることが多い。
    実際『ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK』に掲載された切通理作氏のコラムにおいても名指しで比較対象に挙げられたり、テレマガネットの特集記事でもネタにされている。




画像出典:超星艦隊セイザーX第1話『拓人は燃えているか!』より
© 2005 セイザーXプロジェクト/テレビ東京


なんなの?これは

アニヲタWikiにこんな項目があったのか。

めんどくせぇ~っ!!追記・修正、開始っ!!



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最終更新:2025年01月15日 22:21

*1 よくテレビ本編より先に制作されたと勘違いされがちだが、撮影自体は第6話まで撮り終えた段階で行われている。

*2 描写はないが恐らく他の2人も同様と思われる。