FN F2000

登録日:2012/03/03(土) 03:41:41
更新日:2024/09/10 Tue 20:43:20
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ベルギーの名門、FN社が設計・製造し2001年に世に送り出した新鋭のブルパップアサルトライフル

後述するようにブルパップ式ライフルの欠点を改良している画期的な銃である。


【スペック】
口径 5.56mm
銃身長 400mm
使用弾薬5.56mmNATO弾
装弾数 30発(箱型弾倉)
作動方式 ガス圧利用式ターンロックボルト
全長 694mm
重量 3600g(EGLM装着時 4600g)
発射速度 850発/分
銃口初速 900m/秒
有効射程 500m

【概要】

IWS(Integrated Weapon System:統合火器システム)と呼ばれる異名を持つF2000は、
元々、2004年に中止された米国のXM29 OICWの対抗馬として開発された(ちなみにOICW計画は中止後、それぞれXM8、XM25 IWASへと枝分かれした)。

そのため小火器では異例のFCS=射撃管制装置の搭載も可能となっている。

全体のデザインは同じくFN社が開発したP90のように人間工学に基づいた設計。

また本体各部をユニット、モジュール化することでメンテナンスが容易であり、
EGLM GL1グレネードランチャーやフラッシュライト等の各種オプションも簡単に装着出来る様になっている。


【画像】分解したF2000



【画期的な排莢方式】

F2000の最大の特徴。
それまでのブルパップライフルは、全長に対して銃身長を稼げるというメリットに対し、
左利きに対応出来ない
作動音や硝煙が射手に悪影響を及ぼす
照準線が短い
といったデメリットを抱えていた。

特に左利きへの対応に関してAUGFA-MASといった先行のブルパップライフルは、部品の入れ替えによる排莢方向の変更で問題の解決に当たった。

しかし、その方法では市街戦や屋内戦など咄嗟の左右のスイッチが求められる現代の戦闘状況には対応出来ないままだった。
そこでFN社は画期的な排莢方法をF2000に搭載した。



なんと右前方から薬莢を排出する。



具体的には右前方の銃口付近に排莢口が存在しており、後ろの空薬莢が前の空薬莢を押し出すことで排莢する。ロケット鉛筆をイメージすると分かりやすいかもしれない。一般的な銃が排莢する時は斜め上方向に空薬莢を飛ばすことが多いのに対し、F2000は前方にポロッと落ちる感じである。その様子は動画サイト等で実際に観た方が分かりやすいかも知れない。また、特殊な設計の銃であるため日本語でメカニズムを詳しく解説している動画もある。

これによりF2000は左右両利きに対応、また熱々の空薬莢が仲間の顔を直撃して「A~chi~chi~A~chi~」なんてことも無くなった。
P90の様に足元に空薬莢をばらまく事もないので、踏みつけて転ぶという事態も起きにくい。

そしてレシーバーから排莢口の距離が長いため、万が一トラブルが起きた場合でも対応出来るよう薬室付近にインスペクションポートを設置し、
パカッと開いて薬室内部を確認出来るようになっている。

またレシーバーの密閉性を高めて作動音や硝煙も前方に逃す設計になっており、照準線の短さを補うために基本モデルでは1.6倍率のスコープを標準装備している。



【バリエーションと採用機関】

【画像】
基本モデル。
EGLMを装着している。

【画像】
タクティカルモデル。
スコープを廃してピカティニーレールを設置。
お好きな光学照準器を搭載出来る。

【画像】
F2000Sと呼ばれるスロベニア軍採用モデル。
レール部分がキャリングハンドルを兼ねている点がタクティカルとの違い。

F2000は本国ベルギーはもとより、スロベニアやサウジアラビア、パキスタンなどでも採用が進んでいる。

特にサウジアラビアは調子こいて50000挺ほど注文した模様。
東西あらゆる兵器を運用するサウジに統制という二文字はなかった…。


サウジは政治的要因から

「○○国と国交断絶しても△△国からこの兵器を納入してもらえるもんね!」

という、冗長性を取らねばならないので仕方ないが、豪勢なもんだ。






追記・修正はF2000を50000挺買った人、お願いします。

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最終更新:2024年09月10日 20:43