5.56mmNATO弾

登録日:2011/08/29(月) 16:50:34
更新日:2022/03/25 Fri 18:32:18
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  • データ
弾丸径 5.69mm
首径 6.43mm
肩径 9.00mm
底面径 9.58mm
薬莢長 44.70mm
全長 57.40mm
初速 905~940m/s(弾頭重量による)
初活力 1,679~1,767J(同上)
別名 SS109(FN社)、M855(米軍制式番号)、5.56mm×45弾

色々と難のあった7.62mmNATO弾に代わって1970年代に採用されたのが「5.56mmNATO弾」である。





○5.56mm×45弾の誕生

ベトナム戦争前から7.62mmNATO弾がフルオート射撃だと扱いにくいことは十分知っていたけど、アメリカはごり押しした手前「Sorry」とは言い出せない。
ちゃっかりとアーマーライト社やスプリングフィールド社に試作のライフルや小口径高速弾を開発させている所は流石と言えるが。
急遽アーマーライト社のAR-15をM16採用し、使用弾薬の.223レミントン弾を「5.56mm×45弾」として制式化され、M193と名付けた。





○新しいNATO弾

NATO加盟国が第二の小口径弾を選ぶことに合意したのは1970年代。
すでに量産し、使用実績もある自前のをかつてのようにプッシュするアメリカ。

「おーい、俺のとこで作った弾薬使おうぜ」

しかし…

欧州一同「ふざけるな!!」


そこで標準弾として選択されたのがベルギーのFN社が開発した「SS109」(アメリカではM855)である。

口径はアメリカの.223レミントン弾(5.56mm×45弾)とは同じだが、いくつか違う点がある。



○SS109(M855)と.223レミントン弾(M193)

これはどちらの弾薬にも言えることだが、尖突形状弾の特性として軟組織内(所謂人体内)では横方向へのブレが起きやすく、体内に留まりやすい。*1
ただ、レミントンより重いSS109は、初速で劣るものの遠距離における命中精度と威力が高い
装薬もSS109の方が多く、レミントン弾が作られた当時にはまだ普及していなかったケブラー材を使ったボディアーマーやヘルメットを貫通できる。


○7.62mmNATO弾との違い

  • フルオート射撃がしやすく面制圧に向いている
  • 回転数が高く(13~16万に対し30万回転)貫通力が高い
  • 軟組織に対する貫通力は低い(二次被害の軽減)
  • 携帯出来る弾薬の数が多くなる
  • 銃全体をコンパクトに出来る
  • 弾頭重量が軽く遠距離の直進性が低い
  • 空気抵抗による速度低下に弱い
といった違いがある。

150m以上離れると900m/s以上あった初速は750m/sまで下がり、殺傷能力が大きく下がり、弾頭が断片化しなくなることもある。
二つのNATO弾はそれぞれ住み分けがされており、それぞれの特性を生かして現在も活躍中である。





○採用している主な小火器
FA-MAS
FN SCARF2000FNC
MINIMI
H&K G36
L85A1
M4カービン・M16
シュタイアーAUG
マグプル MASADA
など

  • NATO以外
89式5.56mm小銃
ガリル
タボールAR-21
SIG SG550
ウルティマックス100AK-100シリーズ
など





○余談

◆単に「5.56mm弾」というと「.22LR弾」等と混同してしまうので「5.56mm×45」や「5.56mmNATO弾」とした方が間違えない。
しかし、そうそう間違いは起きないと思う。

◆初期のM16は.223レミントン弾に合わせた設計だが、改良型のM16A2はSS109に合わせた設計となっている。

◆まとめ「.223レミントン弾=M193」≠「SS109=M855=5.56mmNATO弾」
しかし、二つともヨーロッパ式に表せば「5.56mm×45弾」である。



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最終更新:2022年03月25日 18:32

*1 なおかつ体内でブレた後、弾頭下部が割れ、断片が体内を傷つけながら散らばる。