5.56mmNATO弾

登録日:2011/08/29(月) 16:50:34
更新日:2025/06/30 Mon 20:16:08
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概要

突撃銃向けの弾薬で、NATOの標準弾として各国の軍で採用されている。
同種の弾薬としては色々と難があった7.62mmNATO弾に代わり1970年代に採用された。



性能

弾丸径:5.69mm
首径:6.43mm
肩径:9.00mm
底面径:9.58mm
薬莢長:44.70mm
全長:57.40mm
初速:905~940m/s
弾頭重量:55~77gr
マズルエネルギー:1679~1767J
別名:SS109(FN社)、M855(米軍制式番号)、グリーンチップ
同規格品:.223レミントン、M193(米軍制式番号)



歴史

5.56×45mm弾の誕生

時はベトナム戦争開戦時のアメリカ。空軍などで試験採用されていたM16が想像以上に現場に合致していたことから全軍で大規模に採用し7.62mmNATO弾を使用するM14を駆逐してしまった。
使用弾薬の.223レミントン弾は「5.56×45mm弾」として制式採用され、M193と名付けられた。

新しいNATO弾

ベトナム戦争の結果を加味してNATO加盟国が第二の小口径弾を選ぶことに合意したのは1970年代。
すでに量産し、使用実績もある自前の5.56x45mm弾をプッシュするアメリカ。

「おーい、俺のとこで作った弾薬使おうぜ」

しかし…

欧州一同「ふざけるな!!」

すでに米7.62x51mm弾を猛プッシュされ各国の兵器開発や兵站にいろいろと負担を強いられていた他NATO加盟国はそのままの使用を固辞。
そこで選択されたのがベルギーのFNハースタルが開発したSS109である。

SS109(M855)と.223レミントン弾

寸法はアメリカの.223レミントン弾とは全く同じで一応それぞれ対応の銃で弾を入れ替えても発砲できる。しかしいくつか違う点がある。
弾頭重量が62grとより重く装薬も多いSS109は、初速で劣るものの遠距離における弾速の維持と威力に優れる
よって.223レミントン弾に比べてケブラー材を使ったボディアーマーを貫通しやすい。

また、どちらの弾薬にも言えることだが命中後に体内で横転が起きやすい。これにより生身に対しては7.62mmNATO弾に劣らないダメージを与えることができる。

7.62mmNATO弾との比較

  • フルオート射撃がしやすい
  • 携帯出来る弾薬の数が増える(同等の重量で20連弾倉x6から30連x8に)
  • 銃全体をコンパクトに出来る
  • より小口径であるがゆえに射程は劣る(が市街地戦では必要十分)

現在では
  • 5.56x45mm弾:突撃銃、分隊支援火器(汎用機関銃やマークスマンライフル)/犬や大型鳥類、鹿など小中型獣の狩猟・駆除(バーミントハンティング)
  • 7.62x51mm弾:マークスマンライフル、狙撃銃や軽機関銃的運用をする汎用機関銃/熊や猪など大型獣の狩猟
と、双方の特性を生かして別分野で活躍している。



5.56mmNATO弾を採用している主な銃

ベルギー


ドイツ


アメリカ


アジア

  • 89式5.56mm小銃(日本)
  • 20式小銃(日本)
  • K1短機関銃(韓国)
  • K2小銃(韓国)
  • ウルティマックス100(シンガポール)

他口径からのコンバージョンによって対応

  • AK-101/AK-102(ロシア)
  • 97式自動歩槍(中国→カンボジア・ミャンマーへ輸出)

その他(欧州、アフリカ、南アメリカ)

  • FA-MAS(フランス)
  • L85A1(イギリス)
  • シュタイアーAUG/F88・F90(オーストリア/オーストラリア)
  • SIG SG550シリーズ(スイス)
  • VHS(クロアチア)
  • タボールAR-21(イスラエル)
  • ベレッタ AR70(イタリア)
  • ベレッタ ARX160(イタリア)
  • ガリル(イスラエル)
  • ベリル(ポーランド)
  • ベクターCR21(南アフリカ)
  • インベル MD(ブラジル)



余談

  • ごくまれに.22LR弾を.223レミントン弾と聞き違えてしまう場合がある。薬莢をお土産にもらう際は22口径やロングライフル弾等ときちんと言い分けよう。
  • M193とM855では入れ替えても発砲可能というのは上で書いたとおりだが、性能は異なりライフリングのピッチなども変わってくるので混同すると事故が発生する。気を付けよう。
  • 尚マガジン側はSTANAGマガジンなどと称されることがあるが標準化自体はされていない。
  • 近年ではより高威力の同規格弾が米軍にて開発、配備されている。

M995:2001年採用の徹甲弾。
M855A1:2010年採用、通称ブラウンチップ。先端に鉄製弾芯を追加して装薬の圧力を増し、貫通力と精度の向上を実現。
Mk262:77グレインと重めで遠距離狙撃対応。
Mk318:14インチ銃身に最適化した弾で、多少の遮蔽越しでも問題なく貫通して相手を無力化することが目的。

  • 自衛隊の20式小銃はこれまでの89式(420mm)やM4カービン(370mm)よりも短めな330mmの銃身を採用しているが、同時にJ3高威力弾が採用されている。
 おそらくは上記Mk318のような短銃身に最適化された弾なのだろう…と推測できるが最新の兵器なので詳細はまだわからない。
 ほかの国もNATOの定める規格の範囲で独自の改良を施している場合がある。そういった面で調べてみるのもよいだろう。



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最終更新:2025年06月30日 20:16