登録日:2009/05/28(木) 00:20:00
更新日:2025/02/13 Thu 20:57:04
所要時間:約 3 分で読めます
突撃銃/アサルトライフル(Assault Rifle)とは銃器の一種である。
ドイツ語ではSturmgewehr(シュトゥルムゲヴェーア)という。
後述する
大人の事情からドイツではそのへんの経緯の話は避けられるケースが多いだけで、そもそも「突撃銃」も「アサルトライフル」も本来はこれの直訳である。
【概要】
ライフル弾と拳銃弾の中間ほどの比較的小口径弾を使用し、連射(フルオート射撃・
バースト射撃)が可能な
歩兵用銃である。
設計思想は近距離で短時間による圧倒的火力を個人単位で発揮することとされている。
最初期の物は第二次大戦末期のドイツで設計された
StG44とされており、「
Strumgewehr」という名称もこの銃の有用性を認めた時に
ヒトラーが作ったものである。
これ以前にも歩兵が持ち歩けるフルオート可能小銃としてはアメリカのBARやドイツの
FG42が存在するが、それらはフルサイズのライフル弾を用いる物であり、アサルトライフルではなく軽機関銃のカテゴリーに分類される場合が多い。
上記以外にはロシアのフェドロフM1916がアサルトライフルの始祖として話題に上がる事がある。
この銃が使う6.5mm×50SRは日本製で、フルサイズライフル弾ではあるが他のライフル弾に比べると日本人の体格に合わせて低威力・軽反動になっている。
故に中間弾薬に該当するのでは?という説である。
実際には運用が軽機関銃に近かったらしいので、今の所は軽機関銃扱い。
後アメリカのM2カービン(
M1カービンにフルオートを付け加えた物)もアサルトライフルに近い銃ではあるが、今度は威力が下に振れすぎているので、やはりアサルトライフル扱いにはならなかった。
先に書いた「近距離で短時間による圧倒的火力を個人単位で発揮する」という点では短機関銃とアサルトライフルの区分はあいまいともいえるが、実際には弾の規格の観点で高威力なもの(+PDWには数えられないもの)が短機・比較的低威力なものがアサルトライフルと区別していることが多いようだ。
WW2後に
StG44のコンセプトを基にしたソ連の
AK-47がベストセラーとなり、
ベトナム戦争以降は東西両陣営でアサルトライフルというカテゴリが本格的に普及していった。
現在の「(歩兵用)自動小銃」は基本的にアサルトライフルとして使うのが前提の設計であり、例外はほぼ「専門職の兵員によるスナイパーライフル」「儀礼銃」のようなまったく別の用途を想定しているものである。
現代のアサルトライフルはカテゴリとしては上記の定義通りだが、3バースト機能のみを備えたものや、スコープを標準装備し中近距離の狙撃に対応したものなど幅広い銃が存在する。
汎用性を高める工夫も多く行われており、豊富なアクセサリーパーツによって様々な戦場に対応させたり、銃身などのパーツを付け替えで遠距離戦に対応させたり、マークスマンライフルの様にすることができる。
【分類】
現代における突撃銃には基本となるもの以外にも様々な派生型がある。
●基本型
口径は5.56mmか7.62mmが主流で弾数は約30発。全長は1m以下、重量は4kg以下の物が多い。
うち7.62×51mmといった初期のアサルトライフルは、反動が強くアサルトライフル的な運用が難しい事からバトルライフルとも呼ばれる。これは比較的遠い間合いでの使用を前提としたケースが多く、ある意味では「ある程度でいいなら狙撃にも使える機種」のご先祖様といえる。
運用方法は中近距離で弾幕を張りつつ進行する。
口径5.56mmは有効射程は300mほど。7.62mmは450~550mほど。この有効射程は命中精度や威力を優先した場合。弾幕による敵部隊の行動制限・行動意図
無効化の場合はもっと伸びる。
●カービン式
銃身の短縮化により取り回しを良くしたもの。反面、基本型より射程、命中精度が劣るといわれる。
しかし機構が簡素で生産性良くCQB(閉所空間での銃撃ありの戦闘)にも対応することか出来る。
主な銃器
SIG552(スイス)
M4カービン(アメリカ)
AKS74U(ロシア)
機関部が引き金より後部に位置する物。銃身そのものは短くしていないため、射程や精度はあまり落とさずに小型軽量化が期待できる。
しかし機関部をストック部分に持ってきたために、射手の難聴を引き起こす可能性や、
銃自体が短いのでオープンサイトでは狙いづらく、利き手によっては排莢口を顔で塞いでしまうことがある(改善策として排莢口を下にしたり、部品を変えて対応する。)。
なお銃剣が使いにくいとの意見もあるが、それは元々使用を想定していないため当たり前である。
独特の形状から従来のライフルからの持ち替えには訓練が必要。
簡単に言ってしまえば、『機動戦士ガンダムシリーズ』宇宙世紀OVA三部作でジム系のMSが持ってたあれのことである。『1st』『08小隊』ビーム・ライフルや『0083』ロング・ライフルと比べれば小型化されているのが理解できるであろう。
●ウェポンシステム
厳密に言えば
機関銃の項目に記すべきだが、とりあえずこちらに記載。
基本となる機関部を中心に、銃身やストック等のパーツの組み替えで分隊支援火器(軽機関銃など)やライフルとして使用出来る、というシステム。
共通の部品の使用により、生産やメンテナンスが改善される利点がある。
欠点は拡張性をもたせたことによるパーツ点数の多さと重量、コスト。
また部品に求められる耐久性の問題から帯に短し襷に長い
中途半端な性能になることも多い。
主な銃器
M63(アメリカ)
XM8(ドイツ)
シュタイアーAUG 7.62mm 5.56mm(オーストリア)
【ゲームにおける突撃銃】
軍隊の主力武器ということもあり
FPS・TPSでも初期
装備としてよく登場する。
威力・射程・連射・弾数などが全てがそこそこの標準的・バランス型武器であることが多い。
一方で
拳銃などがメイン武器になるサバイバルホラーでは、
散弾銃と並んで弾が貴重だが強力な上位の武器として登場する。
【余談】
ちなみに、
自衛隊と
ドイツ連邦軍では突撃銃/Strumgewehrと呼ばずに小銃/Gewehrと呼んでいる。
前者は攻撃的な名前を嫌い、後者はヒトラーに付けられた名前を嫌ってのことである。
追記・修正お願いします。
- 最初のアサルトライフルはドイツじゃないですよイタリアのチェイ=リゴッティですよ -- 名無しさん (2017-07-03 13:31:14)
- チェイリゴッティはあくまで用兵思想的な意味では「自動小銃」であって、「突撃銃」の元祖かと言われるとどうだろう。「フルオート射撃が可能な自動小銃」というだけでは他にもM1907とかフェドロフとかあるけど、それらは突撃銃の祖先と言うべき存在だよねどっちかというと -- 名無しさん (2017-07-03 18:28:23)
- 哀しいことに、パワードールシリーズに出てくるアサルトライフルは、それほど強くない。キャノンがメインだからなぁ; -- 名無しさん (2017-07-03 18:50:01)
- フルサイズ小銃弾を連射出来るにしましたってだけで、白兵戦の交戦距離は300m前後で起こる事が一番多いとかって研究や、機関拳銃や機関銃の代替任務を行う思想を充足している訳じゃないStG44以前の銃が突撃銃だと思える幸せな頭が羨ましいもんだ -- 名無しさん (2019-12-09 02:04:18)
- 突撃銃の源流は歩兵に敵の防御陣地を突破できる制圧力を持たせようってものだから交戦距離云々は関係なくね?マルチプレイヤーとしての突撃銃ってのも近年の要求でできた枠組みだろ -- 名無しさん (2019-12-09 03:07:53)
- ↑さてはナム戦前のアメリカ人だな? -- 名無しさん (2021-06-26 13:06:23)
- ビーム兵器でアサルトライフルて少ないよね -- 名無しさん (2024-10-18 13:14:14)
- ホラー映画やゲームだとショットガンにメインウェポンの座を渡しがち。サービスライフルを持っている軍人はあまりホラーの主役にはならないからね -- 名無しさん (2025-02-13 20:40:11)
- ↑ Stg44以来のカービン弾が「人間の頭部や胸部をごっそり破砕する」という仕事はそれほど得手じゃないしね -- 名無しさん (2025-02-13 20:57:04)
最終更新:2025年02月13日 20:57