ニンテンドー3DS

登録日:2010/09/24(金) 01:02:03
更新日:2024/04/14 Sun 04:25:51
所要時間:約 9 分で読めます




任天堂が発売した第6世代携帯ゲーム機。
3DS
発売日 2011年2月26日
価格  税込¥25,000→¥14,286+税(2011年8月11日から)

3DS LL(生産終了)
発売日 2012年7月28日
価格  ¥18,000+税



■概要

ニンテンドーDSに継ぐ完全な新機種。
DSやDSiの特徴的要素は引き継がれており、DS用とDSi用ソフトとの互換機能を持つ。
DSi同様にGBAソフトとの互換性が無いのでDS用の一部ソフトのWスロットインはできない。

最大の特徴にしてウリは、
「裸眼で3Dを楽しめる」点。
グラフィックやCPUの性能も向上しており、3D以外も単純にDSより大きく進化した。

カラーバリエーション(3DS)は限定モデルを除くと現在ピュアホワイト、クリアブラック、メタリックレッド、ライトブルー、グロスピンクの5つ。
コバルトブルー、アイスホワイト、ミスティピンク、フレアレッド、コスモブラック、アクアブルーは生産終了。

また、北米向けに「ミッドナイトパープル」が2012年5月20日に、
台湾・香港向けに「晴空藍」「珠光桃紅」が2012年9月28日に発売されているなど、海外では多少バリエーションが異なる。


■新要素

  • 3Dディスプレイ
上画面に3.5型の3Dディスプレイを搭載し、裸眼で立体的なゲーム映像を見ることが出来る。
3D表示は上画面横に付いたスライドによってスムーズに深度調節が出来、2D表示も可能。

3DSの3D映像は3D映画によくある「飛び出る映像」よりも「奥行きの有る映像」がメイン。
作品によっては飛び出しもないわけではないが、あまり期待しすぎない方が良い。
窓を想像していただければわかりやすい。

  • グラフィック性能
DSから大きく進化し、GCやPS2に引けを取らない…どころか部分的には凌駕する画質となった。
実は3DSのCPUが描画しているポリゴンモデルはかなりのローポリであると言われている。しかしGCやPS2の解像度が480Pであるのに対し3DSは240P。相対的にポリゴンの少なさは気にならない。
そしてポリゴン数より重要なのが、表面の様々な質感を表現する「シェーダー」の機能の高さである。
要するに「3DSは造形の腕はそれなり、その一方で色の塗り方が上手い」とでも考えておけばいいだろう。
ただしバッテリー消費などの関係から、PS3やWiiUレベルの据え置きマシンと同等の機能のシェーダーを有しているわけではなく、高画質に見せる為のある工夫がなされている。

+ 詳細
一体何が起こっているのか?
その秘密は本機が採用しているGPU、「PICA200」にある。(正しくはGPUチップとしてのPICA200が入っているわけではなく、ARMv6のSoCの一部として「PICA200回路」が入っている…いわゆるIPコアであるが)
まずおさらいだが、PS2やWiiの世代までのGPUのシェーダーは固定機能、要するに「回路として」内蔵している機能により様々なエフェクトを実現していた。これで描ける物体は基本的にはのっぺりしたマットな質感(専門用語で言うとランバート反射)のものだけ。表面のテクスチャはただ色が塗ってあるだけ。一応擬似的に光沢や周囲の風景を写り込ませる手法(スフィア環境マッピング)もあるが視点の移動に追従できない。
これに対してWiiU/PS3/Xbox360世代*1で本格的に導入されたプログラマブルシェーダーは、視点と光源に応じた光沢と映り込み、金属に石にプラスチックといった様々な質感、そして1枚のポリゴンの中に凹凸を表現するバンプマッピングと、今までできなかった様々な表現を可能とし、更には未だ誰も見たことの無い新しい技法を作り出すことすら可能な無限の可能性を秘めている。
PS2/WiiまでのゲームとWiiU/PS3/Xbox360以降のゲームの動画を見比べて見てもらえれば質感の差が分かるだろう。
さて本題のPICA200だが、分類としては固定機能シェーダーになる。なんで今さら固定機能? シェーダーなんてプログラマブルシェーダーの方が開発者の好き勝手作れるんじゃないの?と言われそうだが…
プログラマブルシェーダーってのはめちゃくちゃマシンパワーを食う。だって読んで字のごとく「プログラム」でシェーダー、つまり特殊効果作っているわけで、それを動かすだけのマシンパワーが要る。
マシンパワーが要るってことはそれなりに電気食うわけで、バッテリーとの戦いとも言われる携帯機器とははっきり言って相性悪い。
そこで、「逆に考えるんだ、よく使うシェーダーは『処理回路』としてチップに組み込んじゃってもいいんだ」となったのがPICA200である。
そう、いくらプログラマブルシェーダーに無限の可能性があるといえ、もう実用化されて長いのだから、あらかたの可能性は探索しつくされ、「定番」といえるような使い方が既に確立されている。
であれば、昔ながらの固定機能に加えてそのような新たな定番も回路として組み込んでしまえば、プログラマブルの自由度は失う代わりに、現代的な派手な表現が省エネで実現できるわけだ。
これもまた任天堂オハコの「枯れた技術の水平思考」の1つと言えるかもしれない。
  • ソフト容量
グラフィックやサウンドが高度になったことで、DSやGCよりも容量は増加傾向にある。
なおゲームカードメーカーのマクロニクス社によると、8GBのカードまで生産対応可能とのこと。

「とびだせ どうぶつの森」など一部のソフトでは、読み書き速度を上げるためにフラッシュメモリが使用されている。

  • 新しい入力インターフェイス
(スライドパッド・モーションセンサー・ジャイロセンサー)
スライドパッドはアナログスティックのようなもの。十字ボタンよりも細かい操作が可能になる。
加えてモーションセンサーやジャイロセンサーが内蔵されたことで、周辺機器無しでもWiiのような直感操作が可能になった。

  • 通信機能
すれちがい通信
従来のそれが本体機能に統合された。3DSはスリープ中でも他の3DSを探して通信可能。
すれちがいたいゲームを起動してなければならなかったDSとは異なり、3DSのソフトは設定さえしておけば最大12本のソフトのすれちがい通信を同時に待機させることも可能。

いつの間に通信
「あーっ!俺のアルセウスが勝手にキリンリキと交換されてるーっ!?いつの間にィ!?」(嘘)

…wifiアクセスポイントに接続できる場所でスリープにしていると、追加機能等やゲームが自動で届く機能。
決して上のようにいつの間にかポケモン等を交換してしまう機能では無いので安心しよう。

  • ゲームを終了せず使える機能
ゲーム中にメニュー、インターネットブラウザ等の呼び出しが可能。
※一部作品ではインターネットブラウザが使えない場合がある、

  • ソフト等のダウンロード販売
体験版やソフトやPV、ランキング、追加コンテンツのダウンロードに対応。
※データ移動には移動そのものの制限有り

  • カメラ
内蔵されたカメラでは3D写真を撮ることが出来る。3Dの見え具合も調節出来る。
またAR(拡張現実)機能にも対応しており、ARカード等の条件があれば実際には無いものをカメラに撮せる。
要はセルフ心霊写真というか、アニヲタ的には電脳コイルのアレ。

  • 豊富な内蔵ソフト
ゲームを買わなくともすれちがい通信で遊べるモードや、撮った顔写真で顔シューティングや、ARを体験出来るモード、交換日記等がある。
無論「ある程度の暇潰し」程度ではあるが、やりたいゲームがないときのいい繋ぎになる。


■発売された主なソフト

任天堂からは定番のスーパーマリオ3Dランドマリオカート7等の他にゼルダの伝説 時のオカリナ3Dやスターフォックス643D等の64時代の名作移植他、
ファイアーエムブレム 覚醒やまさかの新・光神話パルテナの鏡、とびだせどうぶつの森、ポケットモンスター X・Y等が発売。

神々のトライフォース2、バンブラ新作等、人気だったソフトの新作もかなり発売されている。


サードパーティー制では、モンスターハンター3G・4(G)、X(X)や、戦国無双Chronicle、バイオハザードリベレーションズイナズマイレブンGO
真・女神転生4、キングダムハーツ3D等々、有名タイトルの新作がかなり発売されている。

そしてまさかの「くにおくん3D」発売。
誰も予想だにしなかったこれには往年のファンは涙を流したとか懐かしすぎて発売日までネタだと思ったとか。

もちろん完全新作も多く、新作ではレベルファイブの妖怪ウォッチ、セガのリズム怪盗Rや、スクエニのシアトリズムファイナルファンタジー、ブレイブリーデフォルト等が発売されており、
他には、実質的ナムカプ2のセガ・バンナム・カプコンによる「PROJECT X ZONE」も発表されました。

…とこのように老若男女に向けた幅広いソフト群も魅力であった。



■関連機種

3D機能を排除した3DSの廉価版。
北米・欧州で販売するためにコストを抑えている。後に日本国内でも販売された。
詳細は該当記事を参照。

3DSに新しい機能を追加した後継機。
詳細は該当記事を参照。


■周辺機器

  • 《拡張スライドパッド》
要は右スティックとボタンを追加するものなのだが妙にデカい

一部ソフトではあった方が操作性が良くなり、それでなくともグリップ性は良くなる。
が、New版では無用の長物になりそう。

任天堂純正の他にも、ホリから発売されたモンスターハンター4G用の拡張スライドパッドがある。
操作性には癖があるので馴染むまで難しいが、慣れれば使いやすくなる。コントローラーを持つような感覚でプレイできる。

  • 《マリオカート7 ハンドル for ニンテンドー3DS》
マリオカート用ドライブアタッチメント。見た目は車のハンドル的なアレ。
主観視点で遊ぶときにあると臨場感が増すかも。

  • 《NFCリーダー/ライター》
一部のゲームで、amiiboを読み取る場合に必要。New版では本体に内蔵されているので不要。


■その他

上述の様に3DSは任天堂ハードとしては異例の早期値下げを行った。
この価格改定に伴い、価格改定前の値段で購入したユーザー向けに用意された補填プログラム。
詳しくは該当項目を参照。

  • 余談
3DSは組長こと、山内溥元社長がこだわり続けてきた3D表現へのテーマを本格的に昇華したものである。
宮本氏曰く「(山内さんは)なにかというと3Dはどうや?」と言っており、3DSの始祖とも言えるバーチャルボーイもお好きだった様子*2

そして、組長のこの熱い情熱に応えるべく任天堂はバーチャルボーイが失敗しても、しぶとく試行錯誤を繰り返し*3、ついに3DSという形で世に出ることとなった。



追記・修正は3Dに拘りがある方がお願いします。

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最終更新:2024年04月14日 04:25

*1 初代Xboxは微妙にプログラマブル

*2 出展:https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/hardware/vol1/index4.html

*3 バーチャルボーイの他にもゲームキューブに3Dの回路を仕込んだり、ゲームボーイアドバンスに立体液晶を埋め込んだりしていた。