登録日:2015/01/05 Mon 12:22:01
更新日:2025/05/27 Tue 22:14:57
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名前の由来は「オペラ座館・新たなる殺人」で登場する能条光三郎。
各人に関しては当該記事でより詳しく解説がなされているものが多いので、そちらを参照されたし。
またそれとは真逆のタイプである「逆能条タイプ」についても掲載しているが、初期の頃はこちらの方が多かった。
この手のタイプは
哀しき悪役と言われ、他作品にも登場する事もあるが、ここではタイトルの通り『金田一少年』『金田一37歳』に登場した人物のみを扱っている。
地味に同じ作者の『探偵学園Q』では登場しておらず、某小学生探偵の方でも激レアであるが、某貧乳マジシャンと某巨根物理学者がデコボココンビのドラマでは多かったりする。
◇能条タイプ
普段から悪態や人を貶す言葉を言う姿をして周りの反感を買い「こいつ殺されてもいいんじゃないか?」
と読者からも思われるが、実はそれは周囲を欺くための演技で、本当は善良な心根の持ち主であり、
それゆえに復讐に走ってしまったことが判明するという経緯を持つ犯人を指す。
いずれも大切な人達を自分が殺した被害者に奪われたという共通点があり、
ある意味では被害者たちの犯した愚行の犠牲になった『被害者』ともいえる。
【能条タイプの人物の傾向】
- 犯行の動機が大切な人を殺された、もしくは自殺に追い込まれたことに対する復讐である
- 手にかけた被害者は一見一たちと友好的に接したりするが、本性は
それこそ逆能条タイプにいがちな吐き気を催すほどのクソ野郎で過去に起こした事(いじめや性暴力等)に関しての反省をしていない
- 復讐を果たすまで小悪党を演じ、一に嫌悪感を抱かれ、第三者
と読者からも恨みや反感を買うが、真相解明後は一たちも認識や態度を改めるようになる。
- 無関係の人物は絶対手にかけない
- 共犯である人物を守るため自分が犯人だと最後まで貫き通す
- 復讐を果たした後は責任を取るため自殺をしようとする
- 劇団のスターや座長、会社社長、映画監督など組織の主戦力やトップである
- 恋人がレイプされたビデオの始末、友人への伝言、亡くなった恋人の葬儀など事件後に一たちに頼み事を託す。
◇逆能条タイプ
【逆能条タイプの人物の傾向】
- 動機は私利私欲、過去の事件のことに関しての口封じ等、全く同情できない自分勝手な動機である
- 被害者に落ち度はない。あってもその被害者を殺害する過程で無関係の人物を巻き込む。
- 一や美雪など無関係な人物に対しても、トリックや過去の秘密に気付いたり計画の邪魔になると判断すれば容赦なく殺す(もしくは殺そうとする)
- 殺害方法は残忍(顔を潰す、切断、心臓を取るなど)
- 利用できるものは何でも利用する(テロリスト・恋人・共犯者など)
- 正体が判明するまで一に好感や哀れみを抱かれ、一たちと友好的に接したり、情報提供・検死等で一に協力したり(嘘の情報を提供する場合もあり)、危険から守ったりする
- 不動高校の教師、一や美雪の友人、友人の恋人など一たちの身近な関係者や協力者である
- 格闘技を身につけている、芸術に秀でている、医学の知識があるなど天才肌であったり特技をもっていたりする
- 真相解明後に逃亡する、自分は悪くないと開き直る、共犯者にすべての罪を押し付けるなど悪あがきをするが、最後は第三者によって殺害されるか自殺する
ある意味現実性が高い
能条光三郎
- 演技時:「おれはどっちかっていやあ、センセイ、あんたのコネが目当てだったんだよ。大演出家って言われてるあんたの娘と一緒になりゃ、いつかでっかいチャンスが巡ってくるんじゃねえかってな」
- 真実:「黒沢先生。どうでしたか、おれの演技。少しは、巧くなりましたか?」
このタイプの元祖ともいえるキャラクター。
劇団「幻想」の団員で、団長である黒沢和馬の娘・美歌と婚約していたが、同じ団員の真上寺聖子に鞍替えし、美歌を絶望させ自殺に追い込んだ。
女癖の悪さは札付きで、師である黒沢にさえ罵詈雑言を浴びせるその愚劣さは、まさに「
吐き気を催す邪悪」そのものだった。
しかしその真相は、能条を自分のものにしようと企んだ聖子とその一味により強姦され、自殺に追い込まれた美歌の復讐を遂げるための演技だった。
また、その強姦を録画されたテープ回収の為、すぐに復讐を行わずに長い月日を耐え抜いた事から、決して自身の報復感情だけで突っ走った訳ではない事がわかるだろう。
劇団員ならではの自分も黒沢に敵対する人間であると標的たちに信じ込ませ、聖子、緑川、滝沢の3人を殺害し復讐を遂げる。
全てを暴かれた後は真相を明かす代わりにビデオテープの内容を誰にも見せずに始末させてほしいという取引を剣持に持ちかけ、それに応じた剣持から渡されたビデオテープを自らの手によって投棄。全てのけじめを付けて連行されていった。
なお劇場版においては発狂した滝沢が美歌の親友である加奈井理央を犯人(ファントム)と誤解して彼女を殺そうとするもファントムに変装した能条が彼女を助ける。だが滝沢の反撃にあい逆に殺されそうになった能条を理央は滝沢を殺すという形で助ける。罪悪感に押しつぶされそうになる彼女の為に、能条は全てを背負い自分にまかせるようにいうと劇場に火をつける(彼女が犯人だという証拠を消すため)その後自首したと思われる。
(といっても凶器は滝沢のもので殺そうとしたのも滝沢で能条の「彼女が滝沢に殺されそうになったから」という証言があれば
正当防衛になり釈放される可能性は高い)
本心では能条を憎んでいた彼女も能条の抱えていたものを知り彼への憎しみを消した。
余談
映画版で能条を演じた平田弘明氏はアニメでは
いつき陽介を演じていることでも有名だが、いつきは初登場した「悲恋湖伝説殺人事件」ではミスリード要員。
最大の手がかりであるイニシャルは本編開始時点から確認出来るが、彼がペンネーム使用者だと明かされ本名が樹村信介(つまりイニシャルS・K)だと分かるのは解決編直前。そのため、イニシャルにいち早く気づいた読者は彼を犯人候補として疑う仕組みになっている。
(同じくイニシャルが違う真犯人・遠野英治は特別な参加者と打ち明けた上で「死亡」するため、これも疑いやすさを助長している。)
それ以外にも
- やたら周りに悪態をつく
- 死体発見時、真っ先にジェイソンの解説をする
- 関係ない人間を容疑者に仕立てようとする
- 3人目の被害者が残したダイイングメッセージを見るなり「どうせジェイソンに決まっている」と言いかける
など、悉く犯人にしか見えないような言動を繰り返しており、作者が露骨に疑いの目を仕向けようとしているのが確認できる。
アニメ版の声優が一番最初の事件で犯人役を演じた平田氏であったのも、それを助長する材料である。
追記・修正は、良くも悪くも本性を表してからお願いします
最終更新:2025年05月27日 22:14