魔人探偵脳噛ネウロ

登録日:2011/01/23 Sun 00:49:06
更新日:2025/01/15 Wed 23:18:41
所要時間:約 9 分で読めます


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週刊少年ジャンプで2005年から2009年まで連載していた作品。
作者は松井優征。単行本は全23巻、文庫版は全12巻(連載前の同名の読み切り2本も収録)。
2007年10月にはマッドハウス制作でアニメ化した。アニメの評価については上記のタグ一覧で察して欲しい。
また、ドラマCDとノベライズ(スピンオフ作品)が制作されている。

◆概【がいよう】

「謎」と「食」にフォーカスをあてた、週刊少年ジャンプらしい短めのエピソードの多い推理漫画。
タイトル自体は正当派推理漫画のようだが、作者曰く「推理物の皮を被った単純娯楽漫画」(作者談)。
そのため常識外れな思想を持つキャラクターやその豹変シーンを売りにしており、時折痛烈な風刺ネタも混じる。
それでいて娯楽を名乗りながらも「フーダニット(誰が犯人か)」「ハウダニット(どのように犯行を行ったか)」「ホワイダニット(何が動機か)」は丁寧に踏襲しており、推理物としても逸品。
お世辞にも綺麗とは言えない絵、癖の強い内容から連載順位は低空飛行だったが、それと同時に根強い固定ファンを鷲掴みにしたため打ち切りを何度も回避し、打ち切りの激しいジャンプの荒波の中で無事に円満完結した珍しい作品。
サブタイトルが「一【ひとりめ】」「一【ひとりきり】」など「漢字一字+【独特の当て読み】」で統一されており、これも秀逸。


◆話【あらすじ】

大食い女子高生「桂木弥子」は、父親を奇妙な殺人事件で亡くしてしまい、すっかり意気消沈していた。
彼女は『謎』という食料を求め魔界からやってきた魔人「脳噛ネウロ」と出会い、強制的に探偵役を演じさせられることになる。
ネウロの超人的な能力で「誰が・どうやって犯行に及んだのか」をスピード解決していく中、多くの被害者・加害者の人生観に触れた彼女はネウロには解けない「なぜ犯行に及んだのか」を紐解く推理能力を身に着けていく。
そしてネウロと弥子の元に舞い込む事件はどんどんエスカレートしていき、ついには人類の存亡を賭けた謎解きへと発展していく…


◆人【とうじょうじんぶつ】

CVはアニメ/ドラマCD

CV:子安武人
主人公。魔界から来た魔人。
主食は『謎』を解いた時に放出されるエネルギー。
常人を超越した身体と魔界777ツ能力を操り強引に謎を解くドS。
非常に不遜で傲慢な性格をしており、謎とは無関係な面倒ごとは即暴力で解決する。被害者は特に弥子。
人目を避けるために弥子を探偵にし、自身は助手を演じる。
助手としての外ヅラは良く、「傲慢な主人(弥子)に虐待される一途な青年」というキャラを演じている。
その頭脳と能力故に「フーダニット」「ハウダニット」は簡単に解けるが、共感性が乏しいため「ホワイダニット」が解けない弱点も併せ持つ。
暴君じみている一方で人間のことを「停滞した魔界の住人とは異なり、成長し謎(食料)を生み出す種族」として尊重しており、殺人犯ですら「生きていれば次の謎を生み出す可能性を秘めている」と殺害を避けるポリシーを持つ変則的な不殺主人公。


CV:植田佳奈
もう一人の主人公。ヒロイン。私立女子高生。かわいい。
食欲の権化。口に入れば大体好き。だが体型は非常にフラット。あと鉄壁スカート。
ネウロに探偵に仕立てられ、SMプレイの相手にされる。
事件を通して成長し、ホワイダニットの事件では人間の深い感情を読み取れないネウロの代わりに活躍していく。かわいい。
普段はネウロの天然ボケにツッコミを入れる立場だが食に対する執着が異常であり、たびたびネウロをドン引きさせる。
「食べ放題をハシゴして数多くの店を閉店に追い込む」「学食が美味いというだけで猛勉強し難関校に入学」「宝石ってキラキラしておいしそうじゃないですか」「海底の貝を息継ぎ無しで食べ続ける」「バターと醤油でいためればコンクリートでも食べられる」など食のエピソードになると魔人に匹敵する奇行を取り、ネウロをツッコミに回らせる。

  • あかねちゃん
魔界探偵事務所の壁に埋まっている三つ編みの死体。ネウロの障気で中途半端に蘇生し、壁からはみだしていた一房の三つ編みヘアのみが活動する。
マネジメント技能やマルチリンガルなど高いスキルを有し、所員(主に弥子)の相手からお茶入れはもちろん、スケジュール管理や部外者とのメール応対などもこなす秘書として雇われている。
すさまじい*1美少女らしく、現在の髪の毛単体でさえ髪のプロが陶然とするレベルで美しいらしい。
*2
魔力を蓄えている、ネウロと色ちがいの髪飾りをもらったことで髪の毛のみ壁から離れて活動可能になり、
弥子と合体すると髪型や髪色が自由自在な"弥かねちゃん"となる。長時間合体していると弥子と人格が入れ替わるらしい。

CV:吉野裕行/谷山紀章
最終学歴が小卒*3のチンピラ(25)。
元々闇金の取立人だったが、色々あってネウロに探偵事務所の雑用としてこき使われるように。
野良犬のごとく粗野な乱暴者だが、義理堅く面倒見のいい人情派。
作中を通じて精神的に成長し、要所要所で重要な役回りを果たす。

  • 笹塚衛士
CV:遊佐浩二
警視庁捜査一課所属の刑事。
ノベライズ『魔人探偵脳噛ネウロ 世界の果てには蝶が舞う』の主人公。
弥子の父親の事件を担当し、犯人が上司だったことと弥子(ネウロ)の推理力を目の当たりにしたことから、彼女らが事件に介入することを許している。
低いテンションと高い実力でネウロと弥子はもとより、警察内部でも厚く信頼されている。
葉緑素持ち疑惑、存在するだけで室温が2℃下がるなどネタ要素まで完備。
過去に家族を何者かに殺されている。

  • 石垣筍
CV:鳥海浩輔
警視庁捜査一課所属の刑事。
今時の若者にありがちな軽いノリと低いプライドと組織票の持ち主。
かなりのオタク気質で手先が器用。
笹塚に憧れているにも関わらず彼からぞんざいに扱われているが、互いにそれなりの親睦を築いている。
他の同僚のみならず弥子にすら見下されるような人物だが、ある事件をきっかけに成長する。

  • 等々力志津香
警視庁捜査一課所属の刑事。笹塚、石垣の後輩。
優秀で真面目だが、笹塚曰く「100回に一回損をする性格」。
ひょんなことから石垣と凸凹コンビを結成する。

CV:木内秀信
警視庁刑事部。笹塚のライバルで上司。
自分と同じキャリア組であるはずが自らドロップアウトした笹塚のことを一方的に敵視している。
潔癖な完璧主義者で、最初は弥子らを現場の不純物扱いして排除しようとする嫌な奴だったが徐々に成長する。
魚肉ソーセージとかわいいものが好き。タバコは吸えない。

  • 筑紫候平
CV:安元洋貴
警視庁刑事部。笹塚、笛吹の後輩で笛吹の理解者。
特技は解説とフォロー。極度のチョコレートアレルギーであり食べてしまうと神々しくも切なそうな撃墜された天使のような顔になる。
尊敬する人は「初めてピロリ菌を食べた人」。
ちなみにアニメでは最終回間際までまったく台詞が無く、むしろ最終回間際になってちゃんと個別の声優が配役されていた事に驚いた視聴者も多いとか

  • 篚口結也
CV:佐々木望
警視庁情報犯罪課の刑事。
19歳にしてその腕を買われ、警視庁のコンピュータ犯罪対策の切り札。

CV:朴ロ美/斎賀みつき
世界的犯罪者。
何の脈絡もなく強盗に入り、住人を「赤い箱」に加工して返却する猟奇的な手口と正体不明さから「“”物強“”“X”-invisible」と報道され、それを省略した「怪盗X」という名称を自らも使用している。
人間ではあるが突然変異的な存在で、細胞を変化させ他人に成りすますことができる。
脳の細胞変異のせいで「自分がどこで生まれた誰なのか」を喪失しており、それを突き止めるために猟奇的な人間観察を繰り返し自分の正体を探求している。


◆見【みどころ】

普通、探偵モノの見所と言えば様々なヒントを散りばめた推理パートだが、この作品に限っては「魔界777ツ能力」というチート能力をはじめ強引に推理を進めるため、かなりアッサリしている。
全ての事件で「フーダニット(誰が?)」「ハウダニット(どうやって?)」「ホワイダニット(なぜ?)」のどれか一つを重視しており、「ハウダニットのときはフーダニットとホワイダニットは完全無視」のように一つの事件で解く謎を絞り込むことで短い話数で事件を解決している。
ハウダニット重視の事件の中には解決編のフーダニット部分を「(再犯現場を)全部見ていましたよ」で片付けた事件まであるほど。
どの事件にもヒントらしいヒントもあるが、作画ミスと思うような細かい所に存在している。
しかも本当の作画ミスも多いのでほとんどアテにできない(特に手が逆だったり指が増えたり)。


この作品の見所はやはり、

犯人の自白である。


こちらも通常の探偵モノとは異なり、

まるで同情できない動機を吐き散らす
 ↓
人間じゃない何かに豹変する
 ↓
襲いかかって返り討ちに合う
 ↓
時々さらに酷い姿になる

といった流れになる。
ちなみに事実上のラスボスにあたるシックスの外道さはジャンプ作品の登場人物とは思えないほど。


◆計【なんじゅうにもはりめぐらされたうちきりプロット】

最終巻のあとがきによると作者の松井優征はこの作品で漫画家デビューをするにあたって「商品として成立する責任ある終わらせ方」をすることを目標としたという。
具体的には「いつ打ち切り宣告されても、その時点でのボスを倒して円満完結したような読後感になるように『1巻打ち切り』『2巻打ち切り』『3巻打ち切り』『7巻打ち切り』『10巻打ち切り』『20巻円満完結』…といった打ち切りプロットを連載前に作成し、連載中はその打ち切りポイントに合わせてボス戦への伏線を張ったり回収したりを繰り返す」という非常に論理的なもの。
運と実力の結果として最長の20巻プロットまで連載し、23巻で円満完結を遂げることができた。
実際に1巻から23巻までのエピソードを読み解くと
  • 1巻打ち切りプロット⇒探偵デビュー編
  • 2巻打ち切りプロット⇒事務所設立編
  • 3巻打ち切りプロット⇒怪物強盗X編
  • 7巻打ち切りプロット⇒怪物強盗Xリベンジ編
  • 10巻打ち切りプロット⇒電人HAL編
  • 20巻円満完結プロット⇒シックス編
という形で大きなイベントとそれに向けた伏線が配置されており、作者の計算高さを物語っている。

のちにジャンプが企画する漫画講座で教鞭を取った際に「漫画は防御力」(=読者を増やす『攻撃力』は努力で得られないものもあるが、脱落者を減らす『防御力』は努力で得ることができる)と述べるなど、漫画家の中では珍しい「理論で漫画を描く」タイプの漫画家である。




我が項目の不足を
この魔界(せかい)は満たしてはくれなかった

地上(うえ)だ
地上に求めよう。

最も複雑で
最も深遠で
そして最も美味な――


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最終更新:2025年01月15日 23:18

*1 コミックのキャラ紹介で毎回異なる称え方をされている

*2 まあ、この手のネタの定番らしく顔が描かれることは結局なかったが

*3 「小卒」は本人の自虐ネタであり、実際は中卒